授業テーマ
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近現代日本の音楽文化史に関する歴史的研究
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授業のねらい・到達目標
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日本近現代史だけでなく,広く日本史の研究を志す人が,日本史全体を視野に入れ,長期的視点を持ち,かつ日本の歴史的事象を世界史の展開の中に位置づけて把握できるようにすることをめざす。この授業では,テーマを音楽文化史に引きつけて歴史を把握することに努める。
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授業の方法
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第1回目に佐々木が授業を方向づける報告を行い,参加者全員で質疑・討論を進める。予定している報告は,「ベンジャミン・ブリテンと『戦争レクイエム』」であり,ブリテンが広島・長崎の原爆投下への悔悟,インドでカンジーへの追悼の思いも強く反映し,その結果「戦争レクイエム」が完成され,演奏されると,イギリス・東西ドイツさらに1965年の日本でも熱烈に受容されたことを語るはずである。以後参加者の報告と質疑・討論による演習形式で授業を進める。
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事前学習・授業計画コメント
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授業の開始されるまでに刊行される予定のメトロポリタン史学会編『20世紀の戦争』(有志舎刊)に収録される佐々木「世界大戦に警告を発した人たち―ベンジャミン・ブリテンとウィルフレッド・オウェン―」,長木誠司著『戦後の音楽』(作品社,2011年)などにより,音楽が政治や社会的変動とどれほど深く結びついて発展して来たかを理解しておいて欲しい。ただ,参加者の報告は,テーマを音楽に限定するものではなく,このような学問分野が発展しつつあることを実感し,その問題意識を会得しておいて欲しいということである。 佐々木の報告に続き,第2回以降は参加者に自由な論題で報告してもらい,それに対し全員で質疑・討論を行うようにしたい。昨年度は,日本近現代史の専攻生だけでなく,日本中世史,考古学の専攻者も参加し,参加院生は11名になったので,今年度もこれに近いと予想される。そうすると,佐々木の報告も含め12回の報告・討論が占められるので,第13回・第14回は,全員に構想中の論文の要点を述べ,これに関して討論し,第15回(最終回)は「総括と反省」に充てる。
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