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ドイツ語学演習5

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科目名 ドイツ語学演習5
旧カリキュラム名 ドイツ語学演習5
教員名 宮澤 義臣
単位数    1 学年 3・4 開講区分 文理学部
科目群 ドイツ文学科
学期 前期 履修区分 選択必修
授業テーマ ドイツ語の地理学,世界の中のドイツ語
授業のねらい・到達目標 ドイツ語学とはドイツ語についての学問です。この演習5ではドイツの文学,文化を深く理解するために不可欠なドイツ語の地理学(つまり方言学,世界の中のドイツ語)について紹介し,知識理解を深めます。
ドイツ語方言学や世界の中のドイツ語を学ぶことはドイツ語圏の人々がどのように世界へ広がっていったかを検証することができ,同時に標準ドイツ語とは異なる生きた日常語(Umgangsprache)の文法や語用論を垣間見ることができます。
授業の方法 毎回ドイツ語についてのトピックを紹介します。それを使って受講者には作文をしてもらったり,文を読んでもらったりしてドイツ語学の知識を深めます。
毎回授業の最後には授業内容を反映したミニ課題を出します。これを提出して出席となります。
事前学修・事後学修,授業計画コメント 辞書は必ず持ってきてください。
自分が最も頼りになる文法の本や参考書を持ってくると力強い味方になります。
語学は楽しむものです。ドイツ語の歴史や方言は標準ドイツ語だけを学びたい人(うまくなりたい人)には一見無意味のように思われるかもしれません。しかし標準語を成立させたその基盤にはドイツ語史や方言のことばがあります。無意味ではありません。是非興味を抱いてください。
授業計画
1 高地ドイツ語と低地ドイツ語(ドイツ語の方言地図) 標準ドイツ語の歴史:ルターと新高地ドイツ語
標準語レベルでも北と南のドイツ語には違いがあります。この違いはドイツが領邦国家であることが大きく起因しています。そんな中でどのようにして標準ドイツ語が出来上がってきたかを,受講者の共通認識として持っていただくために第1回で取り上げます。
2 ドイツ語の地理学1:中部ドイツ語方言1(ケルン方言,ザクセン方言,シュレジア方言)
標準ドイツ語の基盤となったはずの中部ドイツ語ですが,様々な地方のドイツ語をみるとその多様性にびっくりすることでしょう。そしてケルン方言の有名な進行形や今はポーランドになってしまったシュレジア地方のドイツ語にも触れます。
3 ドイツ語の地理学2:中部ドイツ語方言2 ルクセンブルク語
ルクセンブルク語をご存じですか?ドイツ語の方言ですが,ルクセンブルクの国語です。地理的にフランス語圏とも接しているこの国の面白いドイツ語を垣間見ましょう。
4 ドイツ語の地理学3:上部ドイツ語方言1(バイエルン方言,ウィーン方言,真の高地ドイツ語の姿)
アインシュペナー,メランジェ,フィアカー,フランツィスカーナー,ブラウナー,シュヴァルツァー...これみんなコーヒーです。ウィーンではKaffee bitte!では済まないのです。
5 ドイツ語の地理学4:上部ドイツ語方言2(アレマン方言1:スイスのドイツ語)
ドイツ人ですら理解できない最強の方言,スイス方言とは?「スイスドイツ語」には3つの概念があるとはどういうことか?
6 ドイツ語の地理学5:上部ドイツ語方言3(アレマン方言2:アルザス語,フランス・アルザス地方のドイツ語)
アルザス・ロレーヌ,『最後の授業』,Vive la France! でも話しているのはドイツ語!?ドイツ文化圏でありながらドイツとフランスの間で翻弄されているこの地方の言語をフランスで発行されている語学書から学んでみましょう!
7 ドイツ語の地理学6:上部ドイツ語方言4(南チロルのドイツ語)
オーストリアのチロル地方は第1次世界大戦後に南チロル地方のみイタリアに分割されました。しかしここはドイツ文化圏。スパゲティーもピザも郷土料理ではありません。そんな南チロルの言語と文化を紹介します。
8 ドイツ語の地理学7:低地ドイツ語方言1(Plattdeustch:現代の低地ドイツ語,Missingsch(ハンブルク方言),ベルリン語)
標準ドイツ語よりもオランダ語に近いPlattdeutsch。この地域語の歴史と言語政策を学びます。また低地ドイツ語と高地ドイツ語が混ざったハンブルク方言や,首都ベルリンの現地方言ベルリン語についてもふれます。
9 ドイツ語の地理学8:低地ドイツ語方言2(低地ドイツ語方言としてのオランダ語)
dutch という英語の意味はオランダが独立するまで Deutsch と同じ意味でした。オランダ語は自らを Nederdiuts (=Niederdeutsch) と表現したのですからこれは明らかにドイツ語の方言でした。そのドイツ語の方言が一国語として整備されていく姿を紹介します。また日本にとってオランダ語は江戸時代には大変重要な文化語でした。江戸時代の通詞や蘭学者達がどのようにオランダ語を学習していったかもここで覗いてみましょう。
10 ドイツ語の周辺1:クレオール語としてのアフリカーンス語
アフリカーンス語は南アフリカ共和国で話されている,オランダ語を基盤に進化した新しい言語です。こうした言語を学ぶことで将来のドイツ語の姿が予想できるかもしれません。
11 ドイツ語の周辺2:イディッシュ語とハスカラ運動(ユダヤ人のドイツ語と標準ドイツ語の戦い)
文字にびっくり,でも読むとドイツ語?不思議なユダヤ・ドイツ語の世界です。
12 ドイツ語の周辺3 アメリカ合衆国のドイツ語(ペンシルヴァニア・ドイツ語とテキサス・ドイツ語)
遠くアメリカで話されるドイツ語とは一体どんなものなのでしょう?話者の生活も共に紹介します。
13 授業内試験と講評
試験はノート,独和辞典,資料を持ち込んで解答していただきます。
14 教室外学習(プリント課題を学習して頂きます。)
15 ドイツ語の地理学のまとめ 方言文法の標準語への影響,未来のドイツ語の姿を考える
その他
教科書 宮澤義臣 『言語史(ゲルマン語篇)』 ココデ出版 2003年 第1版
ここでは授業内容を反映した書籍(和書)を教科書として記述してあります。強制的に入手を迫るものではありませんが,講義内容をカバーする和書が本書以外にはほとんど見つかりませんので履修者の便宜を鑑みて掲載しました。本書はオンデマンド出版ですのでインターネット通販(下記URL参照)でのみ購入可能です。
( http://www.opsco.jp/eshop/products/detail36.html )
なお,適宜プリントを配布しますがプリントは全てドイツ語で書いてあります。
参考書 Thomas Nicolai, Sächsisch für Anfänger, Langenscheidt, 2012, 1 edition
Bernd-Lutz Lange, Deutsch-Sächsisch Machense geene Fissemaddenzchn!, EIchborn, 2012, 20 edition
R.Ebert, O.Reichmann, H.Solms, K.Wegera, Frühneuhochdeutsche Grammatik, Max Niemayer Verlag, 1993, 1 edition
Bruce C. Donaldson, A Grammar of Afrikaans, Mouton de Gruyter, 1993, 1 edition
T. J. R. Botha, Inleiding tot die Afrikaanse Taalkunde, Academica, 1989, 2 edition
Agathe Lasch, Mittelniederdeutsche Grammatik, Max Niemayer Verlag, 1914, 1 edition
W. Lindow et al., Niederdeutsche Grammatik, Verlag Schuster Leer, 1998, 1 edition
渡辺格司 『低ドイツ語入門』 大学書林 1985年 第3版
Alice Tiling-Herrwegen, De kölsche Sproch, J.P.Bachem Verlag, 2002, 1 edition
Ludwig Merrkle, Bairische Grammatik, Allitera Verlag, 2005, 1 edition
Peter Wiesinger, Das österreichische Deutsch in Gegenwart und Geschichte, LIT Verlag, 2008, 2 edition
河野純一 『ウィーンのドイツ語』 八潮出版社 2006年 第1版
S.S. Haldeman, Pennsylvania Dutch, Evolution Publishing, 2003, 1 edition
Earl C. Haag, A Pennsylvania German Reader and Grammar, The Pennsylvania State University Press , 1994, 4 edition
Hans C. Boas, The Life and Death of Texas German, the Amercan Dialect Society, 2009, 1 edition
Agathe Lasch, Berlinisch Eine berlinische Sprachgeschichte, Reimar Hobbing, 1928, 1 edition
Fritz Ponelis, The Development of Afrikaans:Duisburger Arbeiten zur Sprach- und Kulturwissenschaft, Peter Lang, 1993, 1 edition
小村実 『伯林語』 大学書林 1935年 第1版
講義で参考にした書籍の一部です。おわかりの通り,この講義の分野に関する日本語による文献はほとんどありません。またこれらの参考書を常備してある図書館を探すのはかなり難しいかと思います。よって授業ノート,配布されるプリントが授業理解の大きなカギとなります。
成績評価の方法及び基準 平常点(20%)、授業内テスト(80%)
期末試験と課題の提出,授業への参加度の総合評価です。
試験は毎回の授業を理解していればできる内容です。(この授業に関する日本語参考書はほとんど存在しませんので授業に出ていないと試験内容は十分に理解できないと思います。御注意を。)
平常点は毎回の課題提出に関する点数です。
オフィスアワー 火曜日の授業後に本館講師控え室を訪ねてください。(15:30頃まで)
またメールでも受け付けます。miyazawa@lit.tamagawa.ac.jp

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