文理学部シラバスTOP > 文理学部 > 数学科 > 代数学2(含演習)
日本大学ロゴ

代数学2(含演習)

このページを印刷する

科目名 代数学2(含演習)
旧カリキュラム名 代数学2(含演習)
教員名 下元 数馬
単位数    3 学年    3 開講区分 文理学部
(他学部生相互履修可)
科目群 数学科
学期 後期 履修区分 選択
授業テーマ 体論の基礎、方程式論、ガロア理論の基本定理と応用。
授業のねらい・到達目標 前期の代数学1で学んだ多項式の取り扱いや、抽象的な代数学を基礎として、代数学の頂点であるガロア理論を学ぶことによって、これまで学んできた代数学の意義について理解する。特に線形代数学の知識がガロア理論の理解には欠かせません。ガロア理論の先には可換環論、代数幾何学、数論、表現論といった広大な数学の世界が見えてきます。
授業の方法 講義形式を中心におこなうが、1/3程度の時間を理解を確認する為の演習にもあてる。授業内期末テスト以外に中間テストを1回程度おこない、諸君の理解を深めるようにする。
履修条件 前期の代数学1で扱う多項式の取り扱いが基本になります。代数学1を履修していることが望ましい。そして、もちろん代数学序論1, 2 を履修していることが望ましい。(ただし、これらについて、必ずしも単位を取得している必要はない)。この講義はなるべく自立した形態で進めていく予定です。
事前学修・事後学修,授業計画コメント 予習よりも復習が大切です。学習にあたっては知り合いや先生と相談しながら進めてください。数学の学習は一歩一歩、山を登る作業にも似ており時として苦しく感じることもあるかもしれません。そういう時は一度、本を閉じて休憩をとり、その後に再び本を読み進めると良いでしょう。

授業計画
1 2次方程式、3次方程式の根の公式。代数方程式を根号と加減乗除で解くとは?環と体の定義
2 カルダノの公式の原理、と4次方程式についてのフェラリの解放とオイラーの記述
3 代数学2の講義で必要になる事のまとめ(1)、 多項式環と単項イデアル整域
4 代数学2の講義で必要になる事のまとめ(2)、 可換環とイデアル、整域、剰余環、極大イデアル、
5 体の拡大、単項拡大、代数拡大
6 最小多項式、有限次拡大、拡大次数
7 最小分解体、代数的閉体、代数的閉包
8 体の自己同形写像のなす群と固定体、正規拡大
9 分離拡大、ガロア拡大、
10 代数学2の講義で必要になる事のまとめ(3)、群の理論、正規部分群、可換群、可解群
11 ガロア群、ガロアの基本定理
12 3次4次方程式の根の公式再考、5次以上の一般方程式の非可解性
13 体と作図問題、ガロア理論を使った代数学の基本定理の証明
14 自宅課題演習
15 まとめ、補遺
その他
教科書 渡辺敬一 『環と体  (数学の考え方)』 朝倉書店 2002年 第1版
この本では体とガロア理論について触れており、その先にある可換環論への入門としても非常に良い本である。
参考書 渡辺敬一・草場公邦  『代数の世界 (すうがくぶっくす 13)』 朝倉書店 2012年 第2版
石井俊全 『ガロア理論の頂を踏む (BERET SCIENCE)』 ベレ出版 2013年 第1版
雪江明彦 『代数学2 環と体とガロア理論』 日本評論社 2010年 第1版
「代数の世界」は密度の濃い良い本です。ガロア理論以外の内容も豊富です。
「ガロア理論の頂を踏む」は数学者ではない人が書いたと言う点で非常にユニークです。知る限りこの本は誤植が少なく、恐らく最も分かり易いガロア理論の本だと思います。数学書でよくある「証明は省略する・・・」、「ここは明らか・・・」といった部分が殆ど無いので、皆さんの学習にも役立つでしょう。
更に高度な内容を学習したい人には「代数学2 環と体とガロア理論」が良いでしょう。整数論への準備として非常に良い本です。300年以上も未解決であったフェルマー予想を解くためにガロア理論を更にパワーアップさせたガロア表現というものが使われ、同じ著者による続編「整数論」にはそういうことが書かれています。
成績評価の方法及び基準 平常点(20%)、レポート(10%)、授業内テスト(60%)、授業参画度(10%)
テストは全部で2回を予定しています。出席をとります。演習への真剣な取り組みを授業参画度として評価します。場合によって、理解度確認の為のレポートを最終的に考えておりますが、進行具合により、テスト2回のみでレポートを行わないことがあります(その場合、上記のレポート分の比率は、授業内テスト70%になると考えて下さい)。
オフィスアワー 皆さんと相談して最初の授業に時間帯を決めます。また質問は歓迎です。
備考 皆さんには大学でガロア理論を学んだと胸を張って言えることを願って講義を進めます。世間にはガロア理論に憧れを感じながらも自学自習が難しいと感じておられる方が(結構)居ます。数学科を卒業された後にこういう人たちと遭遇する可能性は決して0ではないと感じます。皆さんがガロア理論の語り手として社会で活躍されることを望んでいます。またガロア理論の創始者であるガロア自身の人生についても是非、知って欲しいと思います。「ガロアの生涯」というアインシュタインの弟子でもあったインフェルトが書いた評伝(邦訳あり)があるので一読をお奨めします。

このページのトップ