文理学部シラバスTOP > 文理学部 > 史学科 > 東洋史特講3
日本大学ロゴ

東洋史特講3

このページを印刷する

科目名 東洋史特講3
教員名 渡部 良子
単位数    2 学年 2~4 開講区分 文理学部
科目群 史学科
学期 前期 履修区分 選択必修
授業テーマ モンゴル帝国とユーラシア・イスラーム史
授業のねらい・到達目標 本講義は,13-14世紀ユーラシアにおけるモンゴル帝国の支配が,西アジア・中央アジア・南アジアのイスラーム圏の政治・社会・文化に与えた影響を,多角的な視点から考えていく。
13世紀,大遊牧連合国家として北アジアに勃興し,中国からロシアに及ぶユーラシア東西の広大な領域を支配したモンゴル帝国(イェケ・モンゴル・ウルス)の統治は,その支配領域の政治・社会・文化に様々な影響を与えた。西アジア・中央アジア・南アジアのイスラーム圏においても,同様であった。モンゴルの侵攻は西アジア~中央アジアの政治的地図を大きく変動させ,モンゴル(フレグ・ウルス,ジョチ・ウルス,チャガタイ・ウルス)がもたらした統治思想と制度,モンゴル帝国下で活性化した東西交渉による多文化接触は,イスラーム社会の制度・文化に様々な変化をもたらすこととなった。近代の到来以前,近世ユーラシア西方地域を支配した3大イスラーム国家,オスマン帝国,サファヴィー朝,ムガル朝の成立背景・国家制度は,モンゴル支配時代にもたらされた政治・社会的変動を抜きに考えることはできない。本講義では,このような「モンゴル帝国の遺産」という視点から13~16世紀のユーラシア・イスラーム圏の歴史を学び,中世〜近世ユーラシア史の展開理解を深める。
授業の方法 講義形式で行います。
事前学修・事後学修,授業計画コメント 事前学習は特に必要としませんが,毎回の授業プリントで復習テーマを示します。それを参考に授業のプリント内容,自分で取ったノートを見直し,事後学習につとめてください。また,Blackboard Learningで紹介する関連資料から,さらに自分の関心に基づく学習を深めてください。
授業計画
1 はじめに:世界史・ユーラシア史におけるモンゴル帝国の遺産
2 ユーラシア・イスラーム圏におけるモンゴル帝国時代(1)
:モンゴル襲来とユーラシア・イスラーム圏の政治地図の変動
3 ユーラシア・イスラーム圏におけるモンゴル帝国時代(2)
:諸ウルスによる統治体制の成立とイスラーム社会
4 ユーラシア・イスラーム圏におけるモンゴル帝国時代(3)
:モンゴルのイスラーム化の諸相
5 ユーラシア・イスラーム圏におけるモンゴル帝国時代(4):モンゴル支配の終焉
6 ポスト・モンゴル時代のユーラシア・イスラーム圏(1)
:中央アジアにおけるモンゴル帝国の継承~ティムール朝とその遺産
7 ポスト・モンゴル時代のユーラシア・イスラーム圏(2)
:モンゴル以後の西アジア~トゥルクマーン王朝からサファヴィー朝勃興へ
8 イスラーム文化におけるモンゴルの遺産:王権と政治思想(1)
〜 アッバース朝カリフ政権の滅亡とイスラーム政治思想の変容
9 イスラーム文化におけるモンゴルの遺産:王権と政治思想(2)
〜 モンゴルと遊牧的王権観
10 イスラーム文化におけるモンゴルの遺産:世界観と歴史叙述(1)
〜『集史』の成立とイスラーム的歴史叙述
11 イスラーム文化におけるモンゴルの遺産:世界観と歴史叙述(2)
〜 ポスト・モンゴル時代への『集史』の影響
12 イスラーム文化におけるモンゴルの遺産:東西文化交渉がもたらしたもの(1)
〜「モンゴルの平和」の下の多文化の往来
13 イスラーム文化におけるモンゴルの遺産:東西文化交渉がもたらしたもの(2)
~ 絵画美術の発展と継承
14 理解度の確認と解説
15 おわりに:「モンゴルの遺産」をめぐる歴史認識~記憶としての「モンゴル襲来」とモンゴル帝国時代史研究の課題
その他
成績評価の方法及び基準 試験(60%)、平常点(40%)
成績評価は,第14回目の理解度確認テストと,毎回提出してもらうコメントシート(復習小テストつき)で行います。
オフィスアワー 授業後の時間帯に質問を受けます。

このページのトップ