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哲学特殊講義1

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科目名 哲学特殊講義1
教員名 三平正明
単位数    2 学年 2~4 開講区分 文理学部
科目群 哲学科
学期 前期 履修区分 選択必修
授業概要 言葉の意味を「真理」という観点から明らかにしようとする真理条件的意味論を取り上げて、指示と量化、時制と様相、命題的態度といった言語哲学上の主要問題を考察します。
授業のねらい・到達目標 人と話したり本を読んだりする際、しばしば、知らない言葉に出くわします。そういうときはどうするでしょうか。もちろん、辞書を調べたり、人に尋ねたりして、言葉の意味を把握し、その使い方を身につけることになります。実際、私たちは幼い頃から、「言葉の意味を調べて学ぶ」という経験を積み重ねてきました。
 けれども、あれこれの特定の言葉の意味ではなく、そもそも言語表現の意味とは何かと聞かれたら、どうしたらよいでしょうか。これは難題です。たしかに、「意味」という言葉の意味を辞書で調べればよい、という方針も考えられなくはないのですが、しかし実際には、調べてみても説明が短すぎたり、循環的であったりしてほとんど役に立ちません。これは、辞書を調べて解決するという問題ではなく、むしろ、あれこれの言葉の意味を与える辞書とはそもそも何か、という問題でもあるからです。「言葉の意味とは何か」というこの問題こそ、言語哲学の中心問題ですが、それに取り組むことが講義のねらいです。
 具体的な到達目標は、次の二点です。
(1) 真理条件を通じて意味を捉えようとするアプローチを説明できる。
(2) 指示と量化、時制と様相、命題的態度といった、言語哲学の主要な概念と問題について具体的に述べることができる。(これらの問題は言語哲学、言語学、論理学、形而上学、心の哲学などが交差する領域でもあります。)

この科目は文理学部(学士(文学))のディプロマポリシーDP6及びカリキュラムポリシーCP9に対応しています。
授業の方法 (1) 板書、配布印刷物とパワーポイントを用います。
(2) 基本は講義形式です。ポートナーの著書『意味ってなに?』を中心に、補足資料を加えながら授業を行います。ポートナーは言語学者であり、この本は形式意味論という分野の入門書ですが、そもそもこの分野を生み出したのは、フレーゲ、デイヴィドソン、モンタギューといった哲学者たちの仕事でした。そのため、ポートナーの本は形式意味論の入門書であると同時に、すぐれた言語哲学の入門書にもなっています。授業ではこの本に沿って、意味と真理条件、合成性、指示表現と量化子、時制・アスペクト・様相、命題的態度などの重要事項を考察していきます。
本授業の事前・事後学習は,各2時間の学習を目安とします。
履修条件 なし(昨年度からの継続で、今年度はポートナーの著書『意味ってなに?』の後半部を取り上げます。しかし、特に予備知識は必要ありません。)
授業計画
1 ガイダンス(授業のテーマ、到達目標、授業の方法について説明する)
【事前学習】シラバスを事前に確認しておく
【事後学習】第2回以降の授業に備え、意味論のごく基本的な用語を整理しておく
2 量化子とは何か
【事前学習】プリントの「一般化された量化子」の部分を読んでおく
【事後学習】プリントと講義に基づき、量化子とは何かをまとめておく
3 一般化された量化子(述語の述語)
【事前学習】引き続き、プリントの「一般化された量化子」の部分を読んでおく
【事後学習】プリントと講義に基づき、一般化された量化子について重要事項を整理しておく
4 名詞句の等位接続
【事前学習】プリントの「NP等位接続」の部分を読んでおく
【事後学習】プリントと講義に基づき、名詞句の等位接続とは何かをまとめておく
5 否定極性項目
【事前学習】プリントの「否定極性項目」の部分を読んでおく
【事後学習】プリントと講義に基づき、いくつかの否定表現の性質を整理しておく
6 目的語の位置にある量化子
【事前学習】プリントの「目的語位置の量化子」の部分を読んでおく
【事後学習】プリントと講義に基づき、目的語の位置にある量化子を説明する方法を整理しておく
7 外延性と内包性について
【事前学習】プリントの「外延的文脈vs.内包的文脈」の部分を読んでおく
【事後学習】プリントと講義に基づき、外延性と内包性の区別をまとめておく
8 外延的文脈と内包的文脈、置換テスト
【事前学習】引き続き、プリントの「外延的文脈vs.内包的文脈」の部分を読んでおく
【事後学習】プリントと講義に基づき、文脈を置換テストによって区別する方法を整理しておく
9 時制を分析する枠組み
【事前学習】プリントの「時制」の部分を読んでおく
【事後学習】プリントと講義に基づき、時制を分析する二つのアプローチを整理しておく
10 過去時制と現在時制、ライヘンバッハの仕事
【事前学習】引き続き、プリントの「時制」の部分を読んでおく
【事後学習】プリントと講義に基づき、ライヘンバッハ流の時制分析を整理しておく
11 アスペクトとは何か
【事前学習】プリントの「アスペクト」の部分を読んでおく
【事後学習】プリントと講義に基づき、アスペクトという基本概念について重要事項をまとめておく
12 完了形と進行形の分析
【事前学習】引き続き、プリントの「アスペクト」の部分を読んでおく
【事後学習】プリントと講義に基づき、完了形と進行形について重要事項をまとめておく
13 試験と解説
【事前学習】第2回~第12回の内容を復習しておく
【事後学習】学んだ事項を整理しておく
14 さまざまな種類の様相
【事前学習】プリントの「様相(モダリティ)」の部分を読んでおく
【事後学習】プリントと講義に基づき、様相の種類についてまとめておく
15 様相と可能世界
【事前学習】引き続き、プリントの「様相(モダリティ)」の部分を読んでおく
【事後学習】プリントと講義に基づき、可能世界を用いた様相の分析について要点をまとめておく
その他
教科書 なし。プリントや資料を配布します。
参考書 ポール・ポートナー(片岡訳) 『意味ってなに?』 勁草書房 2015年
飯田隆 『言語哲学大全1 論理と言語』 勁草書房 1987年
松阪陽一(編訳) 『言語哲学重要論文集』 春秋社 2013年
成績評価の方法及び基準 授業内テスト(50%)、授業参画度(50%)
【授業参画度】は、小課題の提出等で評価します。
【授業内テスト】は、言語哲学や形式意味論の重要事項が身についているかどうかを確認するためのものです。
オフィスアワー 授業終了時。または、sanpei★chs.nihon-u.ac.jpに(★を@に変換して)メールしてください。水、木、金にもらえれば早く対応できます。

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