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文学・文化批評理論1

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平成28年度以降入学者 文学・文化批評理論1
平成27年度以前入学者 文学批評理論1
教員名 閑田朋子
単位数    2 学年 2~4 開講区分 文理学部
(他学部生相互履修可)
科目群 英文学科
学期 前期 履修区分 選択
授業概要 後学期に批評理論を体系的に学ぶ前段階として、文学作品をさまざまな批評理論を用いて読み解く具体的かつ実践的方法について講義を行います。文学作品においては、「何を」描くかということばかりでなく、それを「どのように」描くのか、という点が重要なポイントになります。そして「どのような」描き方をしたかによって、文学作品を媒介として伝達される言葉や思考に伴って、読者にもたらされる感情の質や内容が変わってきます。この授業では、英米文学の小説を題材として、小説における技法とそのもたらしうる効果について考えます。授業の1~5回は、読者・作者・語り手、6~10回は時間、11~15回は違和感をキーワードとします。
 学校現場における教員経験のあるものが、その経験を活かして、今日的な時事教材(新聞・雑誌・オンライン記事など)に言及しながら、授業を進めます。
授業のねらい・到達目標 批評理論を学ぶことにより、テクストの「感想」を述べるのではなく、理論を道具として用いてテクストを「批評」できるようになることを目的とします。より具体的には文学作品のどの部分にどのような技法が用いられ、それがどのような効果をもたらし、何を意味するのか、具体的に指摘し、「批評」できるようになることを目的とします。この授業で学んだ小説の技法への理解や批評理論を、レポートや卒業論文を作成する際に活用し、さらに卒業後は、小説のみならず様々なディスコースを読み解くために活用できることが到達目標です。

この科目は文理学部(学士(文学))のディプロマポリシーDP2,DP6及びカリキュラムポリシーCP9に対応しています。
授業の方法 基本的に講義形式で行いますが、3~4回講義を行った次の授業は発表を中心とします。講義形式の授業では、具体的に英文テクストを読み、それを例として批評理論や小説の技法の説明を行います。
本授業の事前・事後学習は、各2時間の学習を目安とします。
授業計画
1 授業内容 ●授業内容・方法・評価基準などについての説明・確認。
●信用できない語り手-もしや私はだまされている?
Kazuo IshiguroのThe Remain of the Daysを題材として、様々なタイプの語り手について学ぶ。
【事前学習】シラバスを事前に確認し、テクスト7頁の英文を読み、内容を理解してくること。その際に、理解が難しい文章があれば、授業内に確認できるように、印をつけてくること。
【事後学習】授業の内容をノートに整理し、「信用できない語り手」がどのような語り手であるのか、ディスカッションであげられた具体例を参考に、自身の考えを明確にしておくこと。
2 授業内容 ●介入する作者、登場する読者1-「よい子の皆さん、こういうことをすると困ったことになりますよ」と語りかけているのは一体誰なのか?
E. M. ForsterのHowards Endを題材にして、様々なタイプの「介入する作者」について学ぶ。
【事前学習】テクスト11頁の英文を読み、内容を理解してくること。その際に、理解が難しい文章があれば、授業内に確認できるように、印をつけてくること。
【事後学習】授業の内容をノートに整理し、「介入する作者」がどのような作者であるのか、ディスカッションであげられた具体例を参考に、自身の考えを明確にしておくこと。
3 授業内容 ●介入する作者、登場する読者2-コマーシャルで「うっそー、やっすーい」と叫んでいるのは一体誰なのか?
Laurence SterneのThe Life and Opinions of Tristram Shandy, Gent.を題材にして、様々なタイプの「テクストのなかの読者」について学ぶ。
【事前学習】テクスト15頁の英文を読み、内容を理解してくること。その際に、理解が難しい文章があれば、授業内に確認できるように、印をつけてくること。
【事後学習】授業の内容をノートに整理し、「テクストのなかの読者」がどのような読者であるのか、ディスカッションであげられた具体例を参考に、自身の考えを明確にしておくこと。
4 授業内容 ●語りと視点-見ているのに分かっていない彼女
Henry JamesのWhat Maisie Knewを題材にして、語りと視点について学ぶ。
【事前学習】テクスト19頁の英文を読み、内容を理解してくること。その際に、理解が難しい文章があれば、授業内に確認できるように、印をつけてくること。
【事後学習】授業の内容をノートに整理し、語りと視点の関係性について、ディスカッションであげられた具体例を参考に、自身の考えを明確にしておくこと。
5 授業内容 ●発表と復習 
第1~4回の授業で扱った小説の技法から一つを選び、各自が具体例を挙げて、グループ内で発表を行う。
【事前学習】第1~4回の授業で扱った小説の技法から一つを選び、その章の全体を読んでくること。事前学習をする際に説明部分が難解だと感じられた場合は、参考文献の和訳を参照されたい。
【事後学習】第1~4回の授業で扱った小説の技法について、ディスカッションであげられた具体例を参考に、自身の考えを明確にしておくこと。
6 授業内容 ●反復-「Aさんっていい人だよね、Aさんっていい人だよね、Aさんっていい人だよね」と繰り返されて3度目にあなたは何を思うのか
Ernest Hemingwayの“In Another Country”を題材にして、反復について学ぶ。
【事前学習】テクスト67頁の英文を読み、内容を理解してくること。その際に、理解が難しい文章があれば、授業内に確認できるように、印をつけてくること。
【事後学習】授業の内容をノートに整理し、反復について、ディスカッションであげられた具体例を参考に、自身の考えを明確にしておくこと。
7 授業内容 ●持続感と伸縮する時間 ― 3秒で100年、1時間で0秒
Donald BarthelmeのCome Back, Dr Caligariを題材にして、持続感について学ぶ。
【事前学習】テクスト83頁の英文を読み、内容を理解してくること。その際に、理解が難しい文章があれば、授業内に確認できるように、印をつけてくること。
【事後学習】授業の内容をノートに整理し、反復について、ディスカッションであげられた具体例を参考に、自身の考えを明確にしておくこと。
8 授業内容 ●時間の移動 ― なんで彼女、不機嫌なんだろう、俺、なんかやった!?
Muriel SparkのThe Prime of Miss Jean Brodieを題材にして、時間の移動について学ぶ。
【事前学習】テクスト55頁の英文を読み、内容を理解してくること。その際に、理解が難しい文章があれば、授業内に確認できるように、印をつけてくること。
【事後学習】授業の内容をノートに整理し、反復について、ディスカッションであげられた具体例を参考に、自身の考えを明確にしておくこと。
9 授業内容 ●エピファニー - この永遠の一瞬
John UpdikeのRabbit, Runを題材にして、エピファニーについて学ぶ。
【事前学習】テクスト36頁の英文を読み、内容を理解してくること。その際に、理解が難しい文章があれば、授業内に確認できるように、印をつけてくること。
【事後学習】授業の内容をノートに整理し、反復について、ディスカッションであげられた具体例を参考に、自身の考えを明確にしておくこと。
10 授業内容 ●発表と復習 
第5~9回の授業で扱った小説の技法から一つを選び、各自が具体例を挙げて、グループ内で発表を行う。
【事前学習】第5~9回の授業で扱った小説の技法から一つを選び、その章の全体を読んでくること。事前学習をする際に説明部分が難解だと感じられた場合は、参考文献の和訳を参照されたい。
【事後学習】第5~9回の授業で扱った小説の技法について、ディスカッションであげられた具体例を参考に、自身の考えを明確にしておくこと。
11 授業内容 ●異化 - 慣れがあなたを貪り食う
Charlotte BrontëのVilletteを題材にして、異化について学ぶ。
【事前学習】テクスト40頁の英文を読み、内容を理解してくること。その際に、理解が難しい文章があれば、授業内に確認できるように、印をつけてくること。
【事後学習】授業の内容をノートに整理し、異化について、ディスカッションであげられた具体例を参考に、自身の考えを明確にしておくこと。
12 授業内容 ●ティーンエイジ・スカースと昭和軽佻浮薄体 ― ゲッロゲロの鬼こわい
J. D. SalingerのThe Catcher in the Ryeを題材にして、ティーンエイジ・スカースについて学ぶ。
【事前学習】テクスト72頁の英文を読み、内容を理解してくること。その際に、理解が難しい文章があれば、授業内に確認できるように、印をつけてくること。
【事後学習】授業の内容をノートに整理し、反復について、ディスカッションであげられた具体例を参考に、自身の考えを明確にしておくこと。
13 授業内容 ●怪奇-ドッペルゲンガーの正体は、実は生き別れの双子!?
Edgar Allan Poeの”William Wilson”を題材にして、怪奇について学ぶ。
【事前学習】テクスト36頁の英文を読み、内容を理解してくること。その際に、理解が難しい文章があれば、授業内に確認できるように、印をつけてくること。
【事後学習】授業の内容をノートに整理し、反復について、ディスカッションであげられた具体例を参考に、自身の考えを明確にしておくこと。
14 授業内容 ●電話と第四の壁 - あなたの声は聞こえるけれど姿が見えない、姿は見えるけれど触れない、声は聞こえる、姿も見える、でも助けられない
Evelyn WaughのA Handful of Dustを題材にして、電話という小道具の効果について学ぶ。
【事前学習】テクスト77頁の英文を読み、内容を理解してくること。その際に、理解が難しい文章があれば、授業内に確認できるように、印をつけてくること。
【事後学習】授業の内容をノートに整理し、反復について、ディスカッションであげられた具体例を参考に、自身の考えを明確にしておくこと。
15 授業内容 ●授業内試験と振り返り
全体の復習を通して小説の技法についての授業内容を振り返り、試験を行う。
【事前学習】第1~15回の授業で扱った小説の技法からとくに興味をもった技法を一つを選び、その章の全体を改めて読んでくること。事前学習をする際に説明部分が難解だと感じられた場合は、参考文献の和訳を参照されたい。
【事後学習】第1~15回の授業で扱った小説の技法について、ディスカッションであげられた具体例を参考に、自身の考えを明確にする。
その他
教科書 David Lodge, The Art of Fiction, 英宝社
出版年、版を問わない。
参考書 Terry Eagleton 『文学とは何か:現代批評理論への招待』 岩波書店 1997年
Jonathan Culler, Literary Theory: A Very Short Introduction, Oxford University Press, 1997
廣野由美子 『批評理論入門: 『フランケンシュタイン』解剖講義 (中公新書)』 中央公論新社 2005年
いずれも出版年・版を問わない。
成績評価の方法及び基準 授業内テスト(50%)、授業参画度(50%)
授業参画度はグループ・ディスカッションやリアクション・ペーパー等で評価されます。
レポートの提出は義務づけませんが、興味を持った批評方法を用いてレポートを作成・提出した場合は、授業参画度として評価を組み込みます。
授業内テストは、学期末に授業内で行う試験で評価します。
オフィスアワー 授業のある金曜日の昼休みに、閑田研究室で質問等に応じる。
備考 前期に具体的な小説技法を学んだ上で、後期により専門的な批評理論の説明に進みます。

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