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英語音声学2(2年生後半)

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科目名 英語音声学2(2年生後半)
教員名 中村光宏
単位数    2 学年    2 開講区分 文理学部
(他学部生相互履修可)
科目群 英文学科
学期 後期 履修区分 必修
授業概要 英語音声・音韻体系における分節的特徴(母音,子音,音節)とプロソディの特徴(リズム,強勢アクセント,イントネーション)について,日本語音声と比較しながら授業を進める。本講義の目的は2つある。ひとつは,英語音声と日本語音声の特徴を比較することを通して,音声言語の観点から,英語らしさ・日本語らしさについての考えを発展させ,ヒトの音声コミュニケーションについて理解を深めることである。もうひとつの目的は,音声言語を観察・分析・記述する枠組みに基づき,受講者自身が英語発音と日本語発音を内省し,英語音声を自覚的に運用するための音声学的視点を身につけることである。
授業のねらい・到達目標 ① 話しことばとしての英語の主要な特徴を説明することができる。
② 英語音声と日本語音声の主要な相違点を説明することができる。
③ 音声学的観点から自身の英語発音を分析・評価し,英語音声を自覚的に運用することができる。
この科目は文理学部(学士(文学))のディプロマポリシーDP2,DP6及びカリキュラムポリシーCP9に対応しています。
授業の方法 パワーポイントとハンドアウト(毎回の授業にて配付)に基づく講義形式を主体とするが,少人数のグループによるお互いの発音の観察や,音声事象に関する意見交換を行なう機会を設定し,実践的・探索的に進めていきたい。なお,授業内容を十分に理解するために,授業計画やハンドアウトで紹介する参考文献(の指定した箇所)等を読み,予習と復習をすること。本授業の事前・事後学習は,各2時間の学習を目安とします。
履修条件 なし
授業計画
1 音声学と音韻論
音韻論の研究対象と基本的接近法を概説し,第2回目以降の授業で扱う内容の概観を明らかにする。
【事前学習】シラバスを読んでおくこと。
【事後学習】ハンドアウトの復習問題を解答しておくこと。
2 意味の違いに関わる音声の違い(1):音素と異音(日本語の例)
音韻論の基本概念について解説する。音素と異音の観点から日本語音声を観察・分析する。
【事前学習】五十音図のハ行子音は全て同じだろうか。自身の発音を観察し考えをまとめておくこと。
【事後学習】ハンドアウトの復習問題を解答しておくこと。
3 意味の違いに関わる音声の違い(2):音素と異音(英語の例)
英語における代表的な音声的特徴の変化を観察し,音素と異音の観点から異音規則として定式化することを試みる。
【事前学習】「team」と「meat」における「t」の発音は同じだろうか。考えをまとめておくこと。
【事後学習】ハンドアウトの復習問題を解答しておくこと。
4 音節構造と言語現象 (1):子音連続と音節主音的子音
英語の単語に含まれる様々な分節音の連続を観察し,英語音節の音声学的特徴を探る。
【事前学習】「stl-」という子音連続から始まる英単語を検索し,結果をまとめておくこと。
【事後学習】ハンドアウトの復習問題を解答しておくこと。
5 音節構造と言語現象 (2):混成語
音節の内部構造に関する2つのモデルを対比・検討し,音節が語形成プロセスに関与することを明らかにする。
【事前学習】ブランチの「ラ」は、L か R か。解答してから辞書で確認しておくこと。
【事後学習】ハンドアウトの復習問題を解答しておくこと。
6 音節構造と言語現象 (3):短縮語,頭文字語
日英語における様々な短縮語を観察・分析し,その形成プロセスを考察する。
【事前学習】キムタク(木村拓哉)やニチダイ(日本大学)などの短縮語を5つ以上挙げておくこと。
【事後学習】ハンドアウトの復習問題を解答しておくこと。
7 連続音声における発音の変化と音声知覚(1)
話しことばに観察される発音の変化について概説する。分節音の音声的特徴とリズムの観点から,単語間の区切りとつながりを観察・検討する。
【事前学習】発音が変化しているにも関わらず,間違わずに理解できるのはなぜか。
【事後学習】ハンドアウトの復習問題を解答しておくこと。
8 連続音声における発音の変化と音声知覚(2)
単語の境界部分に現れる様々な発音変化について概説する。音がなくなる場合(削除),ある音が別の音に変化する場合(同化と融合),そして,音が挿入される場合(挿入)について考察する。
【事前学習】なぜ,日本語話者には「I get off」が「揚げ豆腐」に聞こえるか。
【事後学習】ハンドアウトの復習問題を解答しておくこと。
9 「goed,taked,standed」という発音はアリか!?:幼児の音韻獲得
音韻規則の形成と適用について,幼児の音韻獲得(英語動詞過去形の獲得)を例に概説する。
【事前学習】英語動詞の過去形を示す「-ed」には3種類の発音がある。それらを音声記号で示し,それぞれの発音の具体例(動詞の過去形)を複数挙げておくこと。
【事後学習】ハンドアウトの復習問題を解答しておくこと。
10 日本語の外国語なまり発音
英語の強勢アクセントの位置(強勢付与規則)を説明し,英語話者の日本語発音について考察する。
【事前学習】日本語発音の「イチロー」「オータニ」と英語発音の「Ichiro」「Ohtani」は何が異なるか?
【事後学習】ハンドアウトの復習問題を解答しておくこと。
11 英語の外国語なまり発音
日本語の異音規則を復習し,日本語話者の英語発音について考察する。
【事前学習】英語発音の「single」と日本語発音の「シングル」は,何が異なるか?
【事後学習】ハンドアウトの復習問題を解答しておくこと。
12 音象徴と商品のネーミング(1)(英語の例)
商品のネーミングを例として,音声・音韻の心的側面を探索する。
【事前学習】指定した英文資料を読み,内容をまとめておくこと。
【事後学習】ハンドアウトの復習問題を解答しておくこと。
13 音象徴と商品のネーミング(2)(日本語の例)
商品のネーミングを例として,音声・音韻の心的側面を探索する。
【事前学習】指定した英文資料を読み,内容をまとめておくこと。
【事後学習】ハンドアウトの復習問題を解答しておくこと。
14 英語のスペリングと発音
英語における発音と文字表記の規則性について,-ing形の形成プロセスを例に探索する。
【事前学習】発音と文字表記がズレている例を,英語と日本語それぞれについて3つ挙げなさい。
【事後学習】ハンドアウトの復習問題を解答しておくこと。
15 試験と解説
【事前学習】第1回から第14回の内容を復習すること。
【事後学習】学習した内容を整理する。
その他
教科書 毎回の授業でハンドアウトを配付する。
参考書 John Wells, Longman Pronunciation Dictionary, Longman, 2008, 3rd edition
Daniel Jones (eds. by P. Roach, J. Setter and J. Esling), Cambridge English Pronouncing Dictionary, Cambridge University Press, 2011, 18th edition
これら2つの参考書は英語発音辞典である。その他の参考書はハンドアウトで指示する。
成績評価の方法及び基準 レポート(40%)、授業内テスト(40%)、授業参画度(20%)
試験・レポート・授業参画度に基づいて総合的に評価する。
授業参画度:毎回行うリアクションペーパー等で評価します。
レポート作成の注意点:授業中に提示する課題について,2000字程度のレポートを作成し期限までに提出する。他人の文章,Webページや図表などを,出典を明記することなく無断で使用した(=コピー・ペーストで作成された)レポートは評価対象としない。
授業内テスト:学期末に授業内で行う試験で評価します。
オフィスアワー 本授業終了後,本館2F講師室にて10分程度。回答は次回授業時とすることもある。

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