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数学講究1

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科目名 数学講究1
教員名 山浦義彦
単位数    3 学年    3 開講区分 文理学部
科目群 数学科
学期 前期 履修区分 必修
授業概要 実数は数の集合である. それ以上に和や積といった演算が導入され, さらに大小関係もまた
もっている. さらに, 稠密性という性質もまたもつ. 高校生はこれを数直線に対応して理解するか
あるいは「有理数と無理数の和集合」として理解する. 本講義ではひとまず数直線のイメージは
そのままにし, もう少し厳密に実数をとらえる. 特に極限の考え方を「はさみうち」によって
定義することで, 高校数学では「限りなく」というあいまいな表現でしか規定できなかった
概念をより厳密に定義することができる. ただし, イプシロンデルタ論理式を用いないこと
が本講義の最大の特徴と言える.
授業のねらい・到達目標 【授業のねらい】
極限の深い理解がねらいである. 高校数学における「限りなく」という言葉を使うのではなく,
さらに, 大学専門数学のようにイプシロンデルタ論理式を使うのでもなく, 直観的考察である
はさみうちを使ってすべてを理解することが最大のねらいである.
【到達目標】高校数学では「当たり前で証明なしに認める性質」だった極限の諸性質を,
本講義で新たに導入される定義に基づいて証明をつけてみることを目標とする. これにより,
諸性質は自然で当たり前な性質である以上に証明できる「定理」へと昇格することになる.
この科目は文理学部(学士(理学))のディプロマポリシー DP1, DP3, DP4, DP6 及びカリキュラムポリシー CP7, CP9 に対応しています。
授業の方法 少人数のセミナー形式の講義である.
受講学生は, 指定教科書を分担して, 熟読し, 数学的内容を理解した上で,
輪講形式でホワイトボードを使って口頭発表する.
その際に, 発表方法や数学的内容の補足についてのアドバイスを細かく行う.
本授業の事前・事後学習は各々2時間の学習を目安とする.
履修条件 数学科の内規によります。 対象者はゼミに所属するものに限ります。
授業計画
1 極限と実数の性質 1  --- 直観による上限と下限の定義
【事前学習】最大値の定義を復習しておくこと.
【事後学習】最大値と上限値の関係をよく理解すること.
2 極限と実数の性質 2 --- 最適はさみうち
【事前学習】通常の「はさみうち原理」を復習しておくこと.
【事後学習】最適はさみうちと通常のはさみうちの違いを理解すること.
3 極限と実数の性質 3 --- 数列の極限
【事前学習】最適はさみうちの原理と直観的な極限を結び付けておくこと.
【事後学習】極限の基本性質を最適はさみうちで理解すること.
4 逆関数とその微分
【事前学習】高等学校での逆関数の定義を復習しておくこと
【事後学習】何故逆関数を扱うのか, 全体のストーリーを理解すること.
5 関数の連続性
【事前学習】グラフがつながっている, いないで判定できる連続性を復習しておくこと.
【事後学習】直観では理解できない例があることを具体例を通じて理解する.
6 Taylor 展開 1 --- 形式的計算
【事前学習】接線とその意味を復習しておくこと.
【事後学習】Taylor 展開が接線の考え方の拡張概念であることを理解すること.
7 Taylor 展開 2 --- 級数展開不可能性
【事前学習】Taylor 展開とはどういうものかを復習しておくこと.
【事後学習】級数展開できない関数があることを理解すること.
8 Taylor 展開 -- Lagrange 剰余項
【事前学習】級数展開できない関数があることを復習しておくこと.
【事後学習】級数展開できなくても Taylor 展開が有用であることを理解すること.
9 2変数関数の連続性
【事前学習】1変数関数の連続性を復習しておくこと.
【事後学習】1変数関数の連続性との共通点, 相違点を理解すること.
10 偏微分と全微分 1 --- 全微分可能性の定義
【事前学習】1変数関数の微分可能性を復習しておくこと.
【事後学習】1変数関数の微分可能性との共通点, 相違点を理解すること.
11 偏微分と全微分 2 --- 全微分可能性, 連続性, 偏微分可能性の相関関係
【事前学習】1変数関数における微分可能性と連続性の関係を復習しておくこと
【事後学習】2変数関数で新たに導入される「偏微分可能性」の存在意義を理解すること.
12 2変数関数の合成関数微分法 (Chain rule)
【事前学習】1変数関数の合成関数微分法を復習しておくこと.
【事後学習】2変数関数の合成関数微分法が全微分可能性からきていることを理解すること.
13 接平面の方程式
【事前学習】接線とはなにか, 復習しておくこと.
【事後学習】接平面が本当に「接している」という直観を理解すること.
14 2変数関数の極大, 極小 1 --- 2変数関数から1変数関数を取り出す.
【事前学習】1変数関数の極大極小がどうして導関数から判定できるかを復習しておくこと
【事後学習】2変数関数の極大極小を直観的に理解すること
15 2変数関数の極大, 極小 1 --- 極大極小の判定可能性
【事前学習】2変数関数の極大極小の概念の復習をしておくこと.
【事後学習】判定可能な場合と不可能な場合を例を使って理解すること.
その他
教科書 山浦義彦 『ゼミテキスト』 簡易製本 2019年 第1版
ゼミでは, 簡易製本によるゼミテキストを使います.
ゼミの学生人数に応じて印刷所に発注し4月にゼミ内で販売します.
参考書 杉浦光夫 『解析入門 (基礎数学)』 東京大学出版会 1979年 第2版
より進んだ内容を理解するために参考書を使います.
これは今後2年間使い続けます. 特に教職志望の学生は,
卒業後もいつでも利用できる良書です.
成績評価の方法及び基準 授業参画度(100%)
発表の完成度, および数学の理解度を授業参画度として評価します.
特に, 発表時に行った様々なアドバイスを参考にして,
自己を修正し, 数学の理解を深める努力度合いを
成績評価の基準とします.
オフィスアワー 金曜日 午後 山浦研究室

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