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上代文学講義2

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令和元年度以前入学者 上代文学講義2
教員名 梶川信行
単位数    2 学年 2~4 開講区分 文理学部
科目群 国文学科
学期 後期 履修区分 選択必修
授業の形態 オンデマンド型授業。詳しくは、Blackboardの「教材」欄に載せてあるガイダンス資料を参照のこと。
Blackboard ID: 20201469
授業概要 柿本人麻呂とその時代 
 今年は『日本書紀』が「奏上」されてちょうど1300年の節目の年である。それは養老四年(720)五月、元正天皇に献上されているが、「是より先、一品舎人親王、勅を奉けたまはりて日本紀を修む。是に至りて功成りて奏上ぐ。紀卅巻系図一巻なり」と、『続日本紀』に見える。神代から持統天皇(690~697在位)までの歴史を編年体でまとめたものだが、養老四年から見ると、神代以来の悠久の天皇の歴史は、持統天皇を到達点とするという形である。換言すれば、奈良時代における近代国家は持統天皇の時代で完成したという歴史認識にほかならない。
『万葉集』の原型も、そうした持統朝に形成されたとする説が有力だが、その時代の歌の世界を象徴する歌人が柿本人麻呂であった。古代国家の完成のみならず、人麻呂によって古代以来の歌の歴史が最盛期を迎えたとするのが『万葉集』巻一・巻二の歴史認識である。『日本書紀』1300年の年に人麻呂に焦点を当てる意義は、そこにある。
授業のねらい・到達目標 『万葉集』巻三以後の歌の歴史は人麻呂を起点としているが、平安時代になると、人麻呂は歌の神となって行く。文学史の中で大きな位置を占めるのだが、そうした意味でも人麻呂を抜きにして和歌の歴史は語れない。本講義では、柿本人麻呂の作品を読み解いて行くことを通して、『万葉集』を代表する歌人の世界を知るとともに、和歌史の起点を見据えることを目的とする。
この科目は、文理学部(学士(文学))のディプロマポリシーDP6及びカリキュラムポリシーCP9に対応している。

なお、新カリキュラム(令和2年度以降の入学者)では、この科目は文理学部(学士)のディプロマポリシーDP1及びカリキュラムポリシーCP1に対応している。
・経験や学修から得られた豊かな知識と教養に基づきつつ,日本文学・日本語学研究の専門性を活用し、自己の倫理観を倫理的な課題に適用することができる。(A-1-3)
授業の方法 Blackboardの「教材」欄に、毎回その日の教材を掲載する。それを読みつつ、インターネットを通じて情報検索しながら、示されたテーマについて、指定された用紙に自分の考えを800字程度でまとめる。毎回それを提出することで、出席の確認をするとともに、成績評価とする。質問はBlackboardの「掲示板」を使用する。質問内容とそれに対する回答が、全員確認できるようにである。また、提出物に示された意見などについては、事実誤認に基づいた見解があることも予想されるので、次回の授業までにフィード・バックの教材を「教材」欄に掲載する。
十五回目の授業は、全体の振り返りにあてる。
授業計画
1 持統天皇とその時代――総論として
【事前学習】持統天皇の時代について、事典類などで確認しておく。 (2時間)
【事後学習】『万葉集』巻一・巻二の持統天皇の時代について、ノートに整理しておく。 (2時間)
2 日並皇子挽歌――持統天皇登場へ
【事前学習】注釈書を手掛かりに日並皇子挽歌(167~169)を読んでおく。 (2時間)
【事後学習】日並挽歌の構造と表現の特色をノートに整理しておく。 (2時間)
3 大津皇子――語られる悲劇
【事前学習】大津皇子事件について、事典などで調べておく。 (2時間)
【事後学習】歌がどのように悲劇を語るか、ノートに整理しておく。 (2時間)
4 近江大津宮回想⑴――人麻呂の登場
【事前学習】近江大津宮の時代について、事典などで調べておく。 (2時間)
【事後学習】どのような環境の中で人麻呂が登場したか、ノートに整理しておく。 (2時間)
5 近江大津宮回想⑵――宮廷歌人の登場
【事前学習】宮廷歌人という用語について、事典・注釈書などで調べておく。 (2時間)
【事後学習】宮廷で披露される歌の特徴について、ノートに整理しておく。 (2時間)
6 近江大津宮回想⑶――高市古人の感傷
【事前学習】地名を負う神はどのような性格を持つか、事典などで調べておく。 (2時間)
【事後学習】ヤマトコトバの語義について、ノートに整理しておく。 (2時間)
7 額田王の残照――女歌から男歌へ
【事前学習】額田王について、事典・注釈書などで確認しておく。 (2時間)
【事後学習】額田王の文学史的な位置について、ノートに整理しておく。 (2時間)
8 持統天皇の吉野行幸⑴――壬申の乱
【事前学習】壬申の乱について、事典などで調べておく。 (2時間)
【事後学習】持統天皇における吉野の意義について、ノートに整理しておく。 (2時間)
9 持統天皇の吉野行幸⑵――人麻呂の吉野讃歌
【事前学習】人麻呂の吉野讃歌(36~39)を注釈書を手掛かりに読んでおく。 (2時間)
【事後学習】宮廷儀礼歌の表現と構造について、ノートに整理しておく。 (2時間)
10 藤原京の建設――古代国家完成へ
【事前学習】藤原京について、事典なとで調べておく。 (2時間)
【事後学習】皇都を称える歌の表現と構造について、のーてに整理しておく。 (2時間)
11 持統天皇御製――「話者」としての歌
【事前学習】天の香具山について、事典などで調べておく。 (2時間)
【事後学習】歌の評価が時代によってどう変わるか、ノートに整理しておく。 (2時間)
12 宮廷歌謡の開花⑴――人麻呂の石見相聞歌
【事前学習】人麻呂の石見相聞歌(131~134)を、注釈書などを手掛かりに読んでおく。 (2時間)
【事後学習】宮廷サロンにおける歌の表現と構造について、ノートに整理しておく。 (2時間)
13 宮廷歌謡の開花⑵――人麻呂の泣血哀慟歌
【事前学習】人麻呂の泣血哀慟歌(207~209)を、注釈書などを手掛かりに読んでおく。 (2時間)
【事後学習】宮廷サロンにおける歌の表現と構造について、ノートに整理しておく。 (2時間)
14 人麻呂の死̠--演出された退場
【事前学習】人麻呂の高市皇子挽歌(167~169)を、注釈書などを手掛かりに読んでおく。 (2時間)
【事後学習】皇族への挽歌とはどのようなものか、ノートに整理しておく。 (2時間)
15 振り返り 人麻呂の活動を通観することで何が見えたか
【事前学習】学期末のレポートを用意しておく。 (2時間)
【事後学習】『万葉集』における柿本人麻呂の位置づけについて、改めて振り返る。 (2時間)
その他
教科書 森淳司 『訳文万葉集』 笠間書院 2007年
二十巻、約4500首のすべてを掲載しているものならば、指定したテキスト以外でも構わない。
参考書 教室のスクリーンに映し出した教材の中で、とりわけ重要なものはblackboardの「教材」欄に載せておくので、事後学習に利用すること。
成績評価の方法及び基準 レポート:毎回の提出物(100%)
一回ごとに提出される文章に点数をつけ、それを積み上げることで、成績評価とする。休むと獲得できる上限の点数が下がり、単位の取得が困難になる場合もあるので、休まないように。
オフィスアワー 質問・相談等はメールで受けつける。いつでもよい。できるだけ一日以内に回答するが、都合があって、遅れる場合もある。

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