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中国古典文学研究4

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令和元年度以前入学者 中国古典文学研究4
教員名 舘野正美
単位数    2 学年 2~4 開講区分 文理学部
科目群 中国語中国文化学科
学期 後期 履修区分 選択
授業の形態 主として課題研究(Blackboardやメール、更には時にZoomを通じた学習指導)
Blackboard ID: 20201561
授業概要 中国古代における道家の思想家である老子と荘子の言葉を読み解き、そこに流れる深い人間理解の実際を見て行く。
老子と荘子の哲学思想は、ただ単に抽象的な形而上学を展開するのではなく、実際にいまここに生きている「人間」そのものについての実践的理解に基づく思惟の展開である。その「人間理解」という観点から勉強して行く。
授業のねらい・到達目標 中国古典の文章を的確に理解し、更にそこに盛られる、深い哲学的思惟の流れを理解することができる。
この科目は文理学部(学士(文学)のDP2,DP6及びCP9に対応しています。
授業の方法 ・教科書『老荘の思想を読む』における各回の授業予定個所(例えば、第1回なら「序章」(pp.1-8)の部分、第2回なら「pp.9-19」等々)をよく読み、自分の言葉で、800字前後(750-850字)でまとめる(以上、事前学習)。
・授業当日(例えば、第1回なら9月26日、第2回なら10月3日等々)の午前10:40受付開始、11:30受付終了で、事前学習における疑問点や問題点について、メール(舘野のアドレスはBlackboard に掲載されている)による質疑応答を行ない、その内容を踏まえてレポートを作成し、PDFファイルで舘野まで送付する。当該授業日の13時までに送付すること。遅れた場合は不合格・欠席とする。
・送付されたレポートについては講評を送付する。見直しをしておくこと(事後学習)。

【注意】「自分の言葉」というのは、ただ単に教科書の文言をまとめて書き写すのでなく、その内容を的確に理解して、正しく他人に説明できるような言葉である。従って、2つとして同じレポートはないはずであり、もしあった場合は、その両方とも不合格・欠席とする。更に詳しくは、Blackboardを看ること。
課題の提出方法、フィードバック方法等については、授業開始時に提示する。

なお、本授業の事前・事後課題は、それぞれ2時間の学習を目安とします。
授業計画
1 ガイダンス
老子の〈道〉は、これまで“絶対普遍の真実在”であるとか、あるいは“万物の根元的存在”であるなどと言われ、その深遠さや幽玄なところばかりが必要以上に強調されて来た、また、荘子の展開する見事な哲学的“文学”も、本当に彼が伝えたがっていることが見失われがちであったように思われる。
そこでここでは、その真意を捕らえるべく、ただ単に字面を訳すのでなく、意識の脈絡を捕らえる読み込みを行なうこととする。
【事前学習】シラバスを確認し、「序章」(pp.1-8)を読み、これからの学習の展望を立てておくこと。 (2時間)
【事後学習】授業の内容を整理してノートにまとめ、事後課題に取り組むこと。 (2時間)
2 老子の思想背景。
老子(前4~5世紀?)という人物についての伝記は、全く明らかではない。司馬遷(しばせん)(前145年~?)が著わした歴史書『史記』の「老子伝」には、儒家の大宗孔子に、こともあろうに儒家の最重要の徳目の〈礼〉を教えたとか、あるいはまた、周の国が衰退したのを見て国を出て、隠棲しようと関所まで来たとき、そこの役人にたのまれて〈道〉と〈徳〉についての五千言あまりの文章を書き残し、いずこともなく立ち去った、といったような記述が見えはするが、いずれも伝説の域を出ないものである。この謂わば「謎の人物」老子について、その思想背景を探って行く。
【事前学習】老子の思想背景について予習してくること(『老荘の思想を読む』pp.9-19) (2時間)
【事後学習】老子の思想背景について復習し、事後課題に取り組むこと。 (2時間)
3 老子の思想における相対観について。
老子の思想の基盤となる認識論的脈絡における本質的問題は相対観である。その相対観を老子はいかに指摘し明確にしているか、この点について概観する。
【事前学習】老子の思想における相対観について予習してくること(『老荘の思想を読む』pp.20-27) (2時間)
【事後学習】老子の思想における相対観について復習し、事後課題に取り組むこと。 (2時間)
4 老子の〈無為〉について。
前回に勉強した相対観の問題を超克するための哲学的実践が所謂〈無為〉の修行である。ただ単に頭の中の理屈だけでは相対観を超克できないのである。この点について、神経・生理学的な観点も取り入れて説明する。
【事前学習】老子の思想における〈無為〉について予習してくること(『老荘の思想を読む』pp.28-40) (2時間)
【事後学習】老子の思想における〈無為〉について復習し、事後課題に取り組むこと。 (2時間)
5 老子の〈道〉について。
〈無為〉の修行を通じて体得された、人間存在の真実が〈道〉である。それは精神分析学におけるself/Selbst,真の自己「わたし」である。
【事前学習】老子の〈道〉について予習してくること(『老荘の思想を読む』pp.41-55) (2時間)
【事後学習】老子の〈道〉について復習し、事後課題に取り組むこと。 (2時間)
6 老子の〈徳〉について。
老子の〈道〉は存在としては、なお未だ「無」である。そこで老子はその顕現(日常世界における現象としての現れ)としての〈徳〉を説く。この〈徳〉を以って、我々は〈道〉の実在を推測しうるのである。
【事前学習】老子の〈徳〉について予習してくること(『老荘の思想を読む』pp.56-67) (2時間)
【事後学習】老子の〈徳〉について復習し、事後課題に取り組むこと。 (2時間)
7 老子の思想のまとめ。
【事前学習】前回までに勉強した内容(p.1-67)をよく復習しておくこと。 (3時間)
【事後学習】これまでの学習を振り返り、自分の学習内容について反省すること。 (1時間)
8 荘子の思想背景。
荘子、名は周(しゅう)、字は子休(しきゅう)。宋(そう)の国の蒙(もう)の人で、一時その地方の漆畑の管理をする役人をしていたが、のちに、世を避けて隠遁し、所謂〈万物(ばんぶつ)斉(せい)同(どう)〉の〈道〉の世界の開拓に没頭した人物で、決して政治の表舞台に出て国政を担当しようといったたぐいの野心を持った人物ではなかった。
この荘子の人物や『荘子』という書物について学ぶ。
【事前学習】荘子の思想背景について予習してくること(『老荘の思想を読む』pp.93-96) (2時間)
【事後学習】荘子の思想背景について復習し、事後課題に取り組むこと。 (2時間)
9 荘子の思想における相対観について。
荘子の思想の基盤となる認識論的脈絡における本質的問題も、やはり相対観である。その相対観について荘子はいかに指摘し明確にしているか、老子と違う、荘子独特の記述について概観する。
【事前学習】荘子の思想における相対観について予習してくること(『老荘の思想を読む』pp.97-113) (2時間)
【事後学習】荘子の思想背景における相対観について復習し、事後課題に取り組むこと。 (2時間)
10 荘子の〈万物斉同〉について。
前回の相対観について、やはり荘子も〈心斉〉とか〈坐忘〉といった修行を通じた超克の方法を説くが、その先の記述が、正に荘子独特の展開となっており、その基本が、この〈万物斉同〉である。
【事前学習】荘子の〈万物斉同〉について予習してくること(『老荘の思想を読む』pp.114-124) (2時間)
【事後学習】荘子の〈万物斉同〉について復習し、事後課題に取り組むこと。 (2時間)
11 荘子の〈胡蝶の夢〉について。
夢は意識の深層領域における心的エネルギーの動きの視覚化されたヴィジョンである。従って、それは意識の深層領域において体現された〈万物斉同〉の〈道〉の世界からのメッセージでもある。荘子はこの夢の表象を使って、その〈万物斉同〉の〈道〉の世界を記述するのである。
【事前学習】荘子の〈胡蝶の夢〉について予習してくること(『老荘の思想を読む』pp.185-198) (2時間)
【事後学習】荘子の〈胡蝶の夢〉について復習し、事後課題に取り組むこと。 (2時間)
12 荘子の夢の諸相。
先に勉強した〈胡蝶の夢〉に続いて、更に「夢」の表象について概観する。具体的には、『荘子』書中に見える〈匠石の夢〉や〈空髑髏の夢〉について勉強する。
199-206
【事前学習】〈匠石の夢〉や〈空髑髏の夢〉について予習してくること(『老荘の思想を読む』pp.199-206) (2時間)
【事後学習】〈匠石の夢〉や〈空髑髏の夢〉について復習し、事後課題に取り組むこと。 (2時間)
13 〈渾沌〉神話について。
神話は夢と同様に意識の深層領域における心的エネルギーの動きの視覚化されたヴィジョンである。ただそれが日常的世界の諸現象に投影され物語り化されているのである。従って、それは夢と同じく、意識の深層領域において体現された〈万物斉同〉の〈道〉の世界からのメッセージである。荘子はこの神話の表象を使って、その〈万物斉同〉の〈道〉の世界を記述するのである。ここでは〈渾沌〉神話を取り上げて説明したい。
【事前学習】〈渾沌〉神話について予習してくること(『老荘の思想を読む』pp.207-218) (2時間)
【事後学習】〈渾沌〉神話について復習し、事後課題に取り組むこと。 (2時間)
14 荘子の思想のまとめ。
【事前学習】第8回から前回までに勉強した内容(pp.93-218)をよく復習しておくこと。 (3時間)
【事後学習】これまでの学習を振り返り、自分の学習内容について反省すること。 (1時間)
15 全体のまとめ。
これまで見てきたように、老荘思想は、決して単なる〃隠遁の思想〃として片付けられるようなものではない。それは真摯な自己反省と、それに裏付けられた厳しい――しかし、各々の個性に合った、従って決して無理でない――身体的鍛練との集積の結果、日常的な相対の世界の遥かかなたに繰り広げられるものであった。それはまた、真に自由な、本当の〃自分〃の世界において私たちひとりひとりが真実の〃生〃を生きてゆくという、おそらく私たち人間にとっての最大の課題に応えてくれる、まさにそういう意味での深遠な哲学思想なのであった。
【事前学習】前回までに勉強した内容(pp.1-218, + pp.219-224)をよく復習しておくこと。 (2時間)
【事後学習】授業の内容を整理してノートにまとめ、まとめの事後課題に取り組むこと。 (2時間)
その他
教科書 舘野正美 『『老荘の思想を読む』 (あじあブックス(61))』 大修館 2016年 第3版
正確には第1版の第3刷です(1・2刷でも構いません)
この本は、インターネットの書籍販売(古書販売を含む)で簡単に購入できるので、早目に購入し、よく読んでおくこと。
参考書 使用しない
成績評価の方法及び基準 授業参画度:自分の言葉で、的確にまとめられたレポート1つが1回分の「授業参画」であり、その内容も含めて、総合的に評価する。(100%)(100%)
レポートについて 
1回ずつのレポートそれぞれに「合格」「不合格」の判定をし、「合格」の場合は「授業に参加した」と見做し、「不合格」の場合は「欠席」と見做す。「欠席」(レポート不提出の場合も含む)は4回までは許容するが、5回になると受講を取り消す(「E」判定となる)。

最終的な成績評価は、レポートの内容と質疑応答の内容も加味して、総合的に判定する。
オフィスアワー Blackboard又はメールを通じて連絡すること。

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