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中国現代文学研究3

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令和元年度以前入学者 中国現代文学研究3
教員名 山口守
単位数    2 学年 2~4 開講区分 文理学部
科目群 中国語中国文化学科
学期 前期 履修区分 選択
授業の形態 オンデマンド型遠隔授業
授業概要 1895年日本による植民地統治開始から1945年日本敗戦による植民地統治終了まで,台湾社会は激動の歴史を歩んできた。文学もまたその社会と連動するように様々な変化を見せつつ,台湾の人々の苦難と夢を描いてきた。この講義ではその歴史をたどりながら,その中から生み出された日本語作品を分析・批評する。
授業のねらい・到達目標 日本植民地統治期の台湾文学の歴史と作品について総括的な理解を可能にすると同時に、この時期の日本語小説を多く読むことで、国家名を冠した文学でなく、なぜ言語分類を冠した文学の概念利用を行うかを、コロニアル・モダニティの視点から考えることができる。
この科目は文理学部(学士(文学))のディプロマポリシーDP2,DP6及びカリキュラムポリシーCP9に対応しています。
授業の方法 講義授業だが、反転授業形式による学生の課題レポート作成を活用する。具体的には台湾文学の各種資料を参照しながら,日本語文学の成立や経緯を学ぶ。そこから台湾文学研究に必要な理論や視点について理解を深める。作品の読解訓練も並行して行う。そのために受講生に日本語小説を読んでレポートを事前に作成してもらい、提出後の授業でそれを教材として受講生間で解読について考える。授業進行に合わせて課題レポートが課され、その内容が次の授業でフィードバックされる形となる。
本授業の事前・事後学習は,各2時間の学習を目安とする。
履修条件 「中国学入門4」の単位を修得している。
授業計画
1 「越境する文学と言語:中国文学・台湾文学・日本文学」に基づき、台湾文学の概念や歴史的経緯について学び、手掛かりとなる視点や方法論を学ぶ。また授業のテーマや到達目標の設定、及びそれを達成する方法についても明確に理解する。
【事前学習】シラバスを読んで授業計画を把握し、学習計画を立てる。 (1時間)
【事後学習】台湾文学史のトピックをノートにまとめる。 (3時間)
2 「ここ二十年の台湾文学研究」に基づき、日本でこれまでどのように台湾文学研究がなされてきたか学ぶ。
【事前学習】「ここ二十年の台湾文学研究」をダウンロードして読んでおく。 (2時間)
【事後学習】日本における台湾文学研究の経緯をノートにまとめる。 (2時間)
3 「植民地・占領地の日本語文学」に基づき、日本語概念の成立について、その経緯をまず学習する。次に台湾・中国における日本の軍事占領と日本語教育の関係について理解を深める
【事前学習】「植民地占領地の日本語文学」第1章p.10-20を読んでおく。 (2時間)
【事後学習】日本語文学と帝国日本のアジア侵略の関連をノートにまとめる。 (2時間)
4 「植民地・占領地の日本語文学」に基づき、朝鮮など外地の日本語教育について学ぶ。さらに国語問題を考えるため、台湾の日本語作家、呉濁流について基礎的な学習を進める。
【事前学習】「植民地占領地の日本語文学」第1章p.20-32を読んでおく。 (2時間)
【事後学習】台湾における日本語文学の歴史を年表にまとめる。 (2時間)
5 「植民地・占領地の日本語文学」に基づき、日本文学と日本語文学の概念差を考えるために、台湾の日本語作家、楊逵と周金波について基礎的な学習を進める。
【事前学習】「植民地占領地の日本語文学」第1章p.33-50を読んでおく。 (2時間)
【事後学習】楊逵と周金波の生涯を年表にまとめる。 (2時間)
6 反転授業を行う。受講生の事前レポートの中から討論ポイントを含んでいるものを提示して、佐藤春夫「女誡扇奇譚」における日本人の植民地表象について全員で考える。
【事前学習】佐藤春夫「女誡扇奇譚」を読み、事前レポートを作成し、指定の日時・場所に提出する。 (3時間)
【事後学習】フィードバックされた事前レポート内容を整理する。 (1時間)
7 反転授業を行う。受講生の事前レポートの中から討論ポイントを含んでいるものを提示して、楊逵「新聞配達夫」を想像/創造される植民地という視点から全員で考える。
【事前学習】楊逵「新聞配達夫」を読み、事前レポートを作成し、指定された日時・場所に提出する。 (3時間)
【事後学習】フィードバックされた事前レポート内容を整理する。 (1時間)
8 反転授業を行う。受講生の事前レポートの中から討論ポイントを含んでいるものを提示して、周金波「志願兵」をJapanesenessの表象という視点から全員で考える。
【事前学習】周金波「志願兵」を読み、事前レポートを作成し、指定された日時・場所に提出する。 (3時間)
【事後学習】フィードバックされた事前レポート内容を整理する。 (1時間)
9 反転授業を行う。受講生の事前レポートの中から討論ポイントを含んでいるものを提示して、張赫宙「岩本志願兵」を台湾とは異なる日帝植民地統治下朝鮮におけるJapaneseness表象とコロニアル・モダニティの問題から全員で考える。
【事前学習】張赫宙「岩本志願兵」を読み、事前レポートを作成し、指定された日時・場所に提出する。 (3時間)
【事後学習】フィードバックされた事前レポート内容を整理する。 (1時間)
10 反転授業を行う。受講生の事前レポートの中から討論ポイントを含んでいるものを提示して、台湾における国語問題について、呉濁流を例として考察する。
【事前学習】呉濁流と国語問題について、事前レポートを作成し、指定された日時・場所に提出する。 (3時間)
【事後学習】フィードバックされた事前レポート内容を整理する。 (1時間)
11 「郷土文学の系譜」に基づき、魯迅や台湾作家にとって郷土文学がどのような契機や戦略で使用されたか考察する。
【事前学習】「契機としての郷土文学」を読んでおく。 (2時間)
【事後学習】郷土文学についてレポートを作成し、指定された日時・場所に提出する。 (2時間)
12 台湾出身の作家張我軍が北京でどのような文化活動を展開したかを考察する。今回は中国語作家としてスタートした張我軍が北京留学を経て、どのように日本語教師、翻訳者へと変身していったかをトレースしながら、ナショナル・アイデンティとコロニアル・モダニティについて考察する。
【事前学習】「北京時期的張我軍:被文化與政治夾撃的主体性」p.58-69を読んでおく。 (2時間)
【事後学習】張我軍の経歴を年表にまとめる。 (2時間)
13 台湾出身の作家張我軍が北京でどのような文化活動を展開したかを考察する。今回は日本の国策映画『東洋平和の道』に張我軍がどのような意図のもとに関与し、利用されるのか、その経緯をたどる。
【事前学習】「北京時期的張我軍:被文化與政治夾撃的主体性」p.70-77を読んでおく。 (2時間)
【事後学習】映画『東洋平和の道』製作経緯をノートにまとめる。 (2時間)
14 台湾出身の作家張我軍が北京でどのような文化活動を展開したかを考察する。今回は張我軍が大東亜文学者大会に出席して発言を行い、日本の作家とも交流する姿から、文化と政治に挟撃される台湾作家の悲運を、前々回と同じくナショナル・アイデンティとコロニアル・モダニティの問題として考察する。
【事前学習】「北京時期的張我軍:被文化與政治夾撃的主体性」p.78-91を読んでおく。 (2時間)
【事後学習】張我軍の大東亜文学者大会出席についてノートにまとめる。 (2時間)
15 佐藤春夫、楊逵、周金波、張赫宙、呉濁流、張我軍らのケーススタディを踏まえ、日本統治期台湾文学の全体像を総括学習する。
【事前学習】第1回から第14回に書いたノートや提出レポートを再点検しておく。 (2時間)
【事後学習】台湾における日本語文学とは何だったのか、自分の考えをまとめる。 (2時間)
その他
教科書 教材や課題ブラックボード(Blackboard)からダウンロードする。反転授業なので、課題締め切り厳守。
参考書 山口守 『講座台湾文学』 国書刊行会 2003年
成績評価の方法及び基準 授業参画度(100%)
授業参画度には課題提出を含む。
オフィスアワー Blackboardで連絡すること。

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