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ビジュアル社会学

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令和元年度以前入学者 ビジュアル社会学
教員名 後藤範章
単位数    2 学年 3・4 開講区分 文理学部
(他学部生相互履修可)
科目群 社会学科
学期 前期 履修区分 選択
授業の形態 15回の全てを課題研究(学修課題と教材を提示し、受講生が調べ/学んでレポートを提出し、それを踏まえて受講生と教員間及び受講生間で意見交換する)とします。学修課題と教材の提示、レポートの提出、意見交換と受講生へのフィードバックの全てを、Blackboard上で行います。履修希望者は、Blackboardにログインして、コースID:20202043「2020ビジュアル社会学(後藤範章・前・金5)」の「自己登録」を行って下さい。登録後に、「教材」ペーシから「シラバス」と「授業の進め方」をDLし、授業が始まるまでに熟読しておいて下さい。学修課題や教材に関しては、第1回目の授業日となる5/15(金)の午後4時20分以降に閲覧可能となります。出席も取りますので、毎週金曜日の午後4時20分にアクセスするように心がけましょう。
授業概要 授業のテーマは、「ビジュアル社会学とビジュアル調査法のフロンティア-『見る/撮ること』による社会調査と社会学-」です。『ビジュアル調査法と社会学的想像力』を教科書として、ビジュアル社会学及びビジュアル調査法についての授業を展開します。
授業のねらい・到達目標 Visual Sociologyは、通例「映像社会学」や「視覚社会学」の訳語があてられますが、両者のニュアンスは微妙に異なります。本講では、「ビジュアル社会学」と表現することとし、「映像の社会学」「視覚の社会学」や「映画の社会学」「テレビの社会学」などと狭く限定するのではなく、社会を映像で記録する/ ビジュアル素材を研究資料とする/社会を視覚的に考察する/社会をビジュアルに表現する等々の幅広い「社会学的実践」を包摂するものと位置づけます。受講生を、ビジュアル社会学並びにそれと密接不可分な関係にあるビジュアル調査法のフロンティアに誘います。言葉・文字(テクスト)とイメージ(ビジュアル)との錬金術によって社会の分析を錬成すること、これが授業のねらいであり、到達目標です。

本授業では、「自ら考える力」(A-4-3問題発見・解決力)を育むことを目標とし、とりわけ現代社会の抱える諸課題を見い出して、ビジュアル社会学の観点から説明しかつその解決策を提示することができるようにしていきます。
この科目は、文理学部(学士(社会学))のディプロマポリシーDP4及びカリキュラムポリシーCP4に対応しています。
授業の方法 授業は、教科書を使って/に沿って展開します。毎回、内容に関連する写真・ビデオ・映画・TV番組・絵画・ポスター・イラスト・スケッチ・マンガ・絵葉書などといったビジュアルな素材/データをBlackboardで提示し、「見ること」を通して理解と思考を深めていきます。また、Blackboardの掲示板で質問を受けたり意見交換を行ったりすることを通して、学生-教員間及び学生間の双方向・多方向のやり取り(意見表明・交換)も重ねていきます。
履修条件 特にありません。後期の同じ曜日・時限に開講する「芸術社会学」(金5限)と後期の別時間に開講する「東京と東京人の社会学」(金4限)は、本講と相互に関連性を有するので、シラバスを参照して興味関心を抱いた人はこれらの科目もぜひどうぞ。
授業計画
1 ガイダンス(授業のテーマや到達目標、教科書、授業の進め方、課題、成績評価の方法、その他について) (第1回~15回:A-4-3)
【事前学習】指定教科書を入手し、あらかじめ全体に目を通しておくこと (2時間)
【事後学習】掲示板フォーラムに参加して意見交換しながら授業に対する理解を深めること (2時間)
2 序論:ビジュアル調査法と社会学的想像力  <社会世界を視覚化する/社会学と写真術/ビジュアル表象/イメージと言葉/タトゥー/浮世絵・アニメ(北斎や広重やスタジオ・ジブリ)>
【事前学習】教科書のpp.ⅷ~ⅸ及びpp.1~26を熟読して、よく理解しておくこと (2時間)
【事後学習】第2回の課題に取り組み、5日間以内に提出すること (2時間)
3 グラディ論文:目に見える証拠とは -実践的なアドバイス-  <ビジュアル・ワーク/ジェンダー広告とフェミニン・タッチ/広告・テレビCM/アフォーダンス/教員と学⽣との協働>
【事前学習】教科書のpp.27~49を熟読して、よく理解しておくこと (2時間)
【事後学習】第3回の課題に取り組み、5日間以内に提出すること (2時間)
4 第1章:写真日記 -自明なものを積極的に「見る」習慣-  <写真の連続/連続性のパターン=ルーティンを写す/凍った瞬間/審美性/文脈づけ/窃視と内省/構築物としての写真/ブログ>
【事前学習】教科書のpp.53~71を熟読して、よく理解しておくこと (2時間)
【事後学習】第4回の課題に取り組み、5日間以内に提出すること (2時間)
5 第2章:ビデオ日記 -アイデンティティの構築と自己表象-  <クィア・アイデンティティのパフォーマティビティ/自己表象と自己提示/再帰と反映/想像的な自己と物語化/告白と主体の映像化/ビデオに基礎を置いた調査>
【事前学習】教科書のpp.73~96を熟読して、よく理解しておくこと (2時間)
【事後学習】第5回の課題に取り組み、5日間以内に提出すること (2時間)
6 第3章:ハウスシェア生活の空間地図 -主観性の鍵を開く-  <感情的な緊密さと社会的な結合/触れることのできる特徴/若者の世帯形成パターン/エンパワーメント/交友関係の内縁と外縁/よそ者の視角>
【事前学習】教科書のpp.97~117を熟読して、よく理解しておくこと (2時間)
【事後学習】第6回の課題に取り組み、5日間以内に提出すること (2時間)
7 第4章:触れることのできないものを映し出す -社会的構築物としてのモノ-  <経験の物体化/記憶と結びつけられた価値/自己性/対話的・弁証法的な関係/象徴体系としての社会/多声性/私の再発見>
【事前学習】教科書のpp.119~137を熟読して、よく理解しておくこと (2時間)
【事後学習】第7回の課題に取り組み、5日間以内に提出すること (2時間)
8 第5章:水曜日の夜のボウリング -男性性の解釈とパフォーミング-  <ビジュアル社会学の経験的な翼/労働者階級の性格づけ/男性性と女性性/労働に基礎を置いた関係/小さな儀礼>
【事前学習】教科書のpp.139~167を熟読して、よく理解しておくこと (2時間)
【事後学習】第8回の課題に取り組み、5日間以内に提出すること (2時間)
9 第6章:日記-写真日記-インタビュー法 -都市の日常の出来事-  <日常生活世界のパターン/時空間リズム/生きている主体としての身体/語りの能力/多産性/都市の公共的な社会性>
【事前学習】教科書のpp.171~194を熟読して、よく理解しておくこと (2時間)
【事後学習】第9回の課題に取り組み、5日間以内に提出すること (2時間)
10 第7章:眼で聴き取る -都市の出会いの窓としての肖像写真-  <アバウト・ザ・ストリート・プロジェクト/一握の砂/東ロンドン/隠喩/印象操作/記憶のキャンバスとしての肌/ストリートの記号/眼と眼同士の承認>
【事前学習】教科書のpp.195~216を熟読して、よく理解しておくこと (2時間)
【事後学習】第10回の課題に取り組み、5日間以内に提出すること (2時間)
11 第8章:ジェントリフィケーション -アムステルダムとシカゴにおける都市空間の転換-  <高級住宅地化/撮影台本と写真目録/写真誘出インタビューとGTA/写真によるドキュメント化/転換のプロセスとパターン>
【事前学習】教科書のpp.217~243を熟読して、よく理解しておくこと (2時間)
【事後学習】第11回の課題に取り組み、5日間以内に提出すること (2時間)
12 第9章:視覚的なものと言語的なもの -6フレームのスローな動画-  <炭鉱の表象/縦坑とボタ山/ビジュアル・ナラティブ/ハビトゥスと自己内省/ソシオスケープ/感情の構造>
【事前学習】教科書のpp.245~262を熟読して、よく理解しておくこと (2時間)
【事後学習】第12回の課題に取り組み、5日間以内に提出すること (2時間)
13 第10章:写真による口述史 -鶏処理工場の閉鎖とリンダ・ロード-  <産業空洞化/文章と写真との対話/多声的なアプローチ/庶民の日常生活/両義性と逆説と矛盾/異国人の視点/知識や歴史の視覚化>
【事前学習】教科書のpp.263~284を熟読して、よく理解しておくこと (2時間)
【事後学習】第13回の課題に取り組み、5日間以内に提出すること (2時間)
14 ベッカー論文:証拠としての写真術、説明としての写真  <バリ島人の性格/アメリカ人/セブンス・マン/アメリカン・フォトグラフス>
【事前学習】教科書のpp.285~292を熟読して、よく理解しておくこと (2時間)
【事後学習】第14回の課題に取り組み、5日間以内に提出すること (2時間)
15 授業の振り返りと総まとめ
【事前学習】教科書のpp.293~303を熟読して、よく理解しておくこと (2時間)
【事後学習】授業を振り返り、理解が及んでいないことを補うこと (2時間)
その他
教科書 キャロライン・ノウルズほか(後藤範章監訳) 『社会風景をありありと描写する-ビジュアル調査法と社会学的想像力-』 ミネルヴァ書房 2012年
教科書は必須です。新刊本でも古本でも結構ですが、必ず入手(自分のものにして)下さい。毎回の授業に留まらず、課題に取り組むためにも必須です。授業に先立って該当章を読んでくるのは勿論のこと、随時書き込みなどをしつつ、批評的に深く読み込んでいきます(テキスト・クリティークの実践!)。
参考書 谷富夫・山本努編著 『よくわかる質的社会調査 プロセス編』 ミネルヴァ書房 2010年
成績評価の方法及び基準 レポート(80%)、授業参画度(20%)
試験は実施しません。課題に対するレポートの評価点(13回課題を課し、1回につき10点満点で評価)を基に、Blackboardの掲示板フォーラムでの質問や意見のやり取り(20%分)を加え、A-4-3(問題発見・解決力)の修得状況を評価します。具体例:レポート13回を全て10点満点獲得すると、合計130点。レポート点は全体の80%に相当するので、130÷1.625=80点。これにフォーラムでの発言回数及び内容に応じた特点(最高で20点)を加えて、100点満点で成績を付けます。仮にレポートを9回提出し、平均で8点を得たとすると、72点。これを1.625で割った44.3点がレポート点。フォーラムでの発言点が16点(1回の発言で、内容に応じて1~3点)獲得できれば、ギリギリで60点を越える(C評価になる)、という計算です。各人のレポートに対する点数は、毎回伝えるようにします。
オフィスアワー 個別の相談に関しては、まずメールをngotoh@chs.nihon-u.ac.jp宛に送って下さい。メールもしくはオンラインでやり取りするようにします。
備考 後藤研究室に所属する学部生(演習生・ゼミ生)・大学院生・研究生で本授業の未履修者は、研究を行う上での理論的・方法論的な土台を固めるために、早い段階で履修するようにして下さい。

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