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解析学1(含演習)

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令和元年度以前入学者 解析学1(含演習)
教員名 三村与士文
単位数    3 学年    3 開講区分 文理学部
科目群 数学科
学期 前期 履修区分 選択必修
授業の形態 オンデマンド型の遠隔授業を行う。
授業概要 初学者には微分の逆演算として導入された積分の計算手法は, 関数のグラフの面積との関係性からリーマン積分として再考され, 微分積分学の基本定理によりその計算がまさしく微分の逆演算であることが示された. この意味でリーマン積分はそれ以前の積分の面積に関する欠点を克服したものということができる. 本授業では, 極限操作の面からリーマン積分を見直し, その欠点を克服したルベーグ積分の構成法と極限操作を学ぶ.
授業のねらい・到達目標 リーマン積分とルベーグ積分の違いを説明できる.
ルベーグ積分の構成法や測度論の必要性について説明できる.
ルベーグの収束定理の使いどころがわかる.
ルベーグの収束定理を用いた計算問題が解けるようになる.
この科目は文理学部(学士(理学))のディプロマポリシー DP3, DP6 及びカリキュラムポリシー CP1, CP9 に対応している.

なお,新カリキュラム(令和2年度以降入学者対象)では,この科目は文理学部(学士(数学))のディプロマポリシー DP3,4,5,8 及びカリキュラムポリシー CP3,4,5,8 に対応している。
・自らが獲得してきた数理科学的知識を基礎とし、その上で既存の知識にとらわれることなく、数理科学的根拠に基づいて論理的に考察することができる(A-3-3)。
・日常生活における現象に潜む数理科学的問題を発見し、専門的知識に基づいて解決案を作成できる(A-4-3)。
・新しい問題に取り組む意識を持ち、そのために必要な情報を収集することができる(A-5-2)。
・自分の学修経験の振り返りを継続的に行うことができる(A-8-1)。
授業の方法 講義形式と演習形式で行う. 演習については, 授業内演習とレポート形式の演習の2通りで行う. 授業内演習は議論の要となる重要なものを取り上げて授業内で解説を行い, レポート演習は授業内演習の類題として出題し, レポート提出者のみに解答を配布する.
授業計画
1 測度論を学ぶために集合論からの準備として, べき集合, 開集合, 閉集合, 順序集合の上限, 下限, 濃度, 可算集合などの概念を復習する.
【事前学習】開区間および閉区間がそれぞれ開集合および閉集合であることを定義から論証できるようにしておくこと. (2時間)
【事後学習】上限や下限の性質を数式を用いて表現できるようにする. ユークリッド空間における開集合が開区間の加算和で表されることを理解しておく. (3時間)
2 リーマン積分とジョルダン測度について学ぶ(A-3,A-4).
【事前学習】上極限および下極限について復習しておくこと(A-8). (2時間)
【事後学習】ダルブー上積分・下積分とジョルダン外測度・内測度の関係性を理解する. (3時間)
3 リーマン積分の極限操作について学ぶ(A-3,A-4). .
【事前学習】各点収束と一様収束の違いについて理解しておくこと. (2時間)
【事後学習】リーマン積分可能な関数列がリーマン積分可能でない関数に各点収束する例を理解しておく. (3時間)
4 ルベーグ零集合の概念とディリクレ関数のルベーグ積分を学ぶ(A-3,A-4). .
【事前学習】ディリクレ関数がリーマン積分可能でないこと理解しておくこと. (2時間)
【事後学習】ルベーグ積分の仕組みと測度論の必要性について理解する. (3時間)
5 d次元ユークリッド空間におけるルベーグ外測度とその性質について学ぶ(A-3,A-4). .
【事前学習】実数集合の下限の性質を数式を用いて表せるようにしておく. (2時間)
【事後学習】ルベーグ外測度とジョルダン外測度の違いについて理解する. (3時間)
6 可測集合と完全加法性について学ぶ(A-3,A-4). .
【事前学習】正項級数の和が項の順番に依らないことを理解しておく. (2時間)
【事後学習】外測度の対象を可測集合に制限すると完全可能性が成り立つことを理解する. (3時間)
7 シグマ加法族とボレル集合族について学ぶ(A-3,A-4). .
【事前学習】コンパクト集合について復習しておく. (2時間)
【事後学習】カラテオドリによる可測集合の定義とルベーグ外測度・内測度の関係性について理解しておく. (3時間)
8 中間試験およびその解説(A-3,A-4).
【事前学習】第1回から第7回までの内容を復習しておく. (6時間)
【事後学習】これまでに学んだ概念の必要性や意義について理解しておく. (2時間)
9 可測関数と単関数による近似について学ぶ(A-3,A-4). .
【事前学習】可測集合族がシグマ加法族であることを理解しておく(A-5). (2時間)
【事後学習】1変数の可測関数について, それを近似する単関数を数式とグラフの両方で表現できるようにする. (3時間)
10 単関数のルベーグ積分と可測関数のルベーグ積分について学ぶ.
【事前学習】関数を2つの非負関数の差として表現できるようにしておく. (2時間)
【事後学習】ルベーグ積分の定義がそれを近似する単関数の取り方に依らないことを理解しておく. (3時間)
11 関数列のほどんどいたるところの収束, 測度収束, ノルム収束の概念とそれらの関係性について学ぶ(A-3,A-4). .
【事前学習】零集合について復習しておく. (2時間)
【事後学習】種々の収束の違いについて理解する. (3時間)
12 ベッポレヴィの定理と単調収束定理について学ぶ(A-3,A-4). .
【事前学習】可測関数を近似する単関数列が単調増大列として取れることを理解しておく. (2時間)
【事後学習】ベッポレヴィの定理と単調収束定理が適用できる具体的な関数列の例を考える. (3時間)
13 ファトゥーの補題, ルベーグの収束定理, 有界収束定理, 積分記号下での微分について学ぶ(A-3,A-4). .
【事前学習】各点収束の条件のみではリーマン積分において極限と積分の順序交換が保証されないことを学んでおく. (2時間)
【事後学習】ルベーグの収束定理について, 優関数が存在しなければ極限と積分の順序交換が保証されないことを理解する. (3時間)
14 ルベーグ積分とリーマン積分の関係性や抽象空間での積分について概説する(A-3,A-4). .
【事前学習】条件収束について復習しておく。 (2時間)
【事後学習】リーマン積分可能であればルベーグ積分可能であるが、ルベーグ積分不可能な広義(リーマン)積分の例を理解する。 (3時間)
15 期末試験およびその解説(A-3,A-4).
【事前学習】これまでの学んだ内容について復習しておく(A-8). (5時間)
【事後学習】友人と積極的に相談して, 解けなかった問題を解き直すこと(A-8). (2時間)
その他
教科書 なし
参考書 黒田 耕嗣 『経済リスクと確率論』 日本評論社 2011年 第1版
伊藤清三 『ルベーグ積分入門 (数学選書)』 裳華房 2017年 第新装版
成績評価の方法及び基準 授業内テスト:遠隔による実施も考慮し、場合によっては告知の上、レポートで置き換える可能性がある。(90%)、授業参画度:オンデマンド教材の視聴状況とクイズの回答状況を評価する。(10%)
A-3,A-4の達成度については授業内試験の答案を通して評価する。
A-5については発展的内容への取り組みの姿勢で評価する。
A-8についてはノートの整理状況を通して評価する。
オフィスアワー 水曜日3限

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