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分析化学6

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令和元年度以前入学者 分析化学6
教員名 高橋純一
単位数    2 学年    3 開講区分 文理学部
科目群 化学科
学期 後期 履修区分 選択必修
授業の形態 Blackboardを使うオンデマンド型の遠隔授業とする。

Blackboard ID:水曜1限 20203632
授業概要 分析化学は机上の知識と同時に実験技術の熟達を必要とする。その目的は対象試料に含まれる対象化学種の真の姿を描き出すことにある。この授業では,原⼦スペクトル分析を⽤いる実際の微量⾦属分析を例にとり、分析法の原理・装置の構成と共に、サンプリングから結果の考察に到るまでの過程を学ぶ。現場での分析に焦点を当て,分析化学と現場分析の目指すゴールの違いを理解する。また分析の失敗例から試料とは何か、なぜ失敗するのか、正しい分析値とは何を意味するのかを考察する。
授業のねらい・到達目標 この科目は文理学部(学士( 理学)のDP及びCP 3,4 に対応しています。
分析化学が真の値を求めることを目的とするのに対し,現場分析では正しい値を提出することが要求される。その違いとは何かを理解し,正しい値とは誰にとって正しいのか、分析の⽬的とは何かについて説明できるようになること(A-4-4)。 機器分析の原理,分析装置の構成をなぜ知る必要があるのか(A-3-4),ブラックボックスではなぜいけないのかがきちんと理解できるようになること(A-4-4)。
授業の方法 スライド資料はBlackboardに授業に先立って提示している。授業前日からナレーション付きスライドを提示するので,外部動画サイトよりダウンロードして聴講する。
課題および小テストの回答はレポート形式で期限までに提出すること。フィードバックはコメントとして学生1人1人に答える。
履修条件 特になし
授業計画
1 産業界における微量金属分析を例にとり,なぜ分析しなくてはいけないのかについて講義する。
【事前学習】無機・分析実験で使ったノートを参照して,試料の調製からデータの整理までの流れをB5レポート用紙にまとめること (A-3) (3時間)
【事後学習】スライド資料からキーワードを拾い出し整理しておくこと (A-3-4) (1時間)
2 分析化学で用いる基本用語のうち,単位,純度,感度,検量線について説明する。
【事前学習】参考書でこれらの用語について通読しておくこと。疑問点をリストアップする。(A-3) (2時間)
【事後学習】疑問点に対する回答を比較対照する。(A-3-4) (2時間)
3 基本用語としてさらに,分析の精度,正確度,共存化学種による干渉,汚染,メモリー効果について説明する。
【事前学習】参考書で用語の定義を通読し,分析の結果を左右するこれらの要因の例を考えること (A-4) (2時間)
【事後学習】参考書にある定義と実分析における用語の意味とを比較対照する。(A-4-4) (2時間)
4 分析方法と装置の各論として最初に原子吸光分析をとりあげる。
【事前学習】参考書で原子吸光分析の原理を通読しておくこと。(A-3) (2時間)
【事後学習】河川水中の鉛分析を例にとり,分析の流れをフローチャートにしてみること。(A-3-4) (2時間)
5 分析方法と装置の各論として誘導結合プラズマ(ICP)発光分析をとりあげる。
【事前学習】参考書でICP発光分析の原理を通読しておくこと。(A-3) (2時間)
【事後学習】鉄鋼中の硫黄分析を例にとり,分析の流れをフローチャートにしてみること。(A-3-4) (2時間)
6 誘導結合プラズマ質量分析法について説明する。授業内で小テストを実施する。
【事前学習】発光分析と質量分析の違いを理解しておくこと。配布プリントを再チェックしておくこと。(A-4) (3時間)
【事後学習】小テストの内容について再考すること。(A-4-4) (1時間)
7 実際の分析を行う上で非常に重要な分析の設計について講義する。前回の小テストについて解説する。
【事前学習】再度無機・実験ノートを参照し,1週目の講義ノートと照らし合わせること (A-4) (1時間)
【事後学習】分析設計において使われるキーワードをリストアップし,意味を理解すること (A-4-4) (3時間)
8 分析の特に極微量,極低濃度を扱う場合の容器の選択,洗浄について講義する。
【事前学習】実験室でどんな容器を使っているか,目的と洗浄について調べておきなさい。(A-3) (1時間)
【事後学習】講義で取り上げた容器の材質とその特徴を調べてまとめなさい。(A-3-4) (3時間)
9 分析装置に掛ける前の試料前処理について講義する。原子スペクトル分析法は液体試料を導入するものであり,試料前処理は液化処理を意味する。
【事前学習】固体試料の溶液化について参考書で調べておくこと。(A-3) (2時間)
【事後学習】実際に触れるチャンスはまだ少ないであろうから,ウェブなどの動画を参照して実処理の手順をみておく。(A-3-4) (2時間)
10 実試料分析例(1)として工場排水の分析と太陽電池に使う半導体シリコン中の不純物分析について講義する。
【事前学習】工場排水とは何か,太陽電池とは何かを図書館の資料(JISハンドブックなど)で調べておくこと。(A-3) (2時間)
【事後学習】講義で取り上げた参考資料に目を通しておきなさい。(A-3-4) (2時間)
11 分析実験を行うに当たっての危険行為や危険な対象試料について説明する。2回目の授業内小テストを実施する。
【事前学習】常識的な範囲でしてはいけない実験操作などをリストアップしておくこと。(A-4) (1時間)
【事後学習】小テストの内容を再考すること。危険度の評価について理解すること。(A-4-4) (3時間)
12 前回の小テストについて解説する。実試料分析例(2)として鉄鋼分析,食品分析,オイルなどの有機溶媒試料分析について説明する。
【事前学習】日本の鉄鋼産業,食品産業についてその必要性について疑問点をまとめておきなさい。(A-4) (2時間)
【事後学習】産業分野での不純物分析に対する疑問・回答を対照すること。(A-4-4) (2時間)
13 実際の現場における分析失敗例として毛髪分析と天然水晶の分析について講義する。
【事前学習】分析設計の流れを再度確認しておくこと。(A-4) (2時間)
【事後学習】なぜ分析に失敗したのか考えておくこと。(A-4-4) (2時間)
14 分析失敗例として鉄鋼中のリン分析,土壌中の微量ヒ素分析について講義する。
【事前学習】なぜ鉄鋼中のリン分析が必要か,土壌中のヒ素はどこから来るのかについて調べておきなさい。(A-3) (2時間)
【事後学習】なぜ分析に失敗したのか考えること。(A-4-4) (2時間)
15 分析結果の重みについて考える。最終課題についての解説は各自へのコメントに記す。
【事前学習】課題レポートを作成すること。築地市場移転問題,和歌山ヒ素カレー事件について過去の新聞報道を見ておくこと。(A-3, A-4) (3時間)
【事後学習】最終課題について再考すること。(A-4-4) (1時間)
その他
教科書 特になし。授業前にスライド資料を閲覧できるようにするので,見ておくこと。
参考書 千葉光一他 『ICP発光分析 (分析化学実技シリーズ4巻)』 共立出版 2013年
太田清久他 『原子吸光分析 (分析化学実技シリーズ5巻)』 共立出版 2011年
田尾博明 『誘導結合プラズマ質量分析 (分析化学実技シリーズ17巻)』 共立出版 2015年
分析法の原理・装置構成について授業の参考になる。
成績評価の方法及び基準 レポート:考え方がきちんとまとめられているかを評価対象とする。レポートとしての体裁,文章の出来不出来も内容と共に評価する。(40%)、授業内テスト:主として知識を問うものとする。覚えているかより考えている かを重点的に⾒る。(40%)、授業参画度:毎回の小課題に対する回答を授業参画度として評価する。(20%)
最終試験の代わりにレポートを提出してもらう。
授業内テストは,授業後半の時間を使って,課題に回答してもらう。
毎回,ごく簡単な課題を提示するので,回答すること。
オフィスアワー メールにて随時対応する。

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