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美学史特殊講義3

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令和2年度入学者 美学史特殊講義3
令和元年度以前入学者 美学史特殊講義3
教員名 高橋陽一郎
単位数    2 課程     開講区分 文理学部
科目群 哲学専攻
学期 前期 履修区分 選択必修
授業の形態 課題研究型の遠隔授業(15回)
授業概要 20世紀以降、世界の思想界をリードするいわゆる「フランクフルト学派」の代表的著作のひとつ、H. マルクーゼの『エロスと文明』(邦訳名は『エロス的文明』、ドイツ語名はTriebstruktur und Gesellschaft[衝動構造と社会])をテクストにしながら、現代社会における「抑圧」と、それを救う「美」との関係について学ぶ。前期は本書第一部「現実性原理の支配下で」を扱う。
授業のねらい・到達目標 苛酷な労働を強いる現代社会にどのような人間的問題が生じたか。また、そうした問題を解決するために現代人はどのように生きるべきか。このような問題意識をもってマルクーゼの著作にふれることで、現代社会を批判的に考察する目を養うことができ、さらに現代社会を生きるうえで創造的な姿勢をもつことがいかに重要か、を学ぶことができる。
授業の方法 第一回目と第二回目に相当する授業の教材は、授業実施日にBrackboardを通じて配信する。第三回目以降にマルクーゼのテキスト(本)に入るが、毎回、授業実施日にその日の講読範囲を告げるので、翌週(締切もBlackboardで通知)までに数百字程度の短いリポートを、Blackboardを通じて提出していただく。提出されたものに対し、担当者はBlackboardを通じてコメントを返すので、各自、復習すること。また、そうしたやりとりのなかで疑問点や問題だと思われる点を書きとめておき、毎回のリポートとは別に担当者まで配信してもらってもよい(むしろそうした「議論」を期待する)。なお担当者からは、重要箇所のドイツ語テクストも、時折配信するので、併せて利用されたい。
授業計画
1 フランクフルト学派のなかでのH. マルクーゼ―フランクフルト学派の基本思想とマルクーゼの思想的位置―(課題研究授業)
【事前学習】参考文献によってフランクフルト学派の基本思想について学ぶ。 (2時間)
【事後学習】担当者が配布したプリントを精読し、疑問点を列記する。 (2時間)
2 『エロスと文明』序文の読解―フランクフルト学派とフロイトの思想―(課題研究授業)
【事前学習】参考文献によってフロイトの思想について予習しておく (2時間)
【事後学習】なぜフランクフルト学派フロイト研究をしたかについて、メモを作成する (2時間)
3 『エロスと文明』第一章「精神分析の隠された傾向」―快原理と現実性原理―(課題研究授業)
【事前学習】序文の内容を600字程度でまとめ、内容を理解する。 (2時間)
【事後学習】フロイトにもとづく快原理と現実性原理の概念についてメモを作成する。 (2時間)
4 『エロスと文明』第二章「抑圧された個人の根源」の講読と解釈(1)―超自我について―(課題研究授業)
【事前学習】第一章の内容を600字程度でまとめ、内容を理解する。 (時間)
【事後学習】フロイトの「超自我」の概念についてメモを作成する。 (時間)
5 『エロスと文明』第二章「抑圧された個人の根源」の講読と解釈(2)―抑圧について―(課題研究授業)
【事前学習】「超自我」の概念についてまとめ、内容を理解する。 (2時間)
【事後学習】フロイトの「抑圧」の概念についてメモを作成する (2時間)
6 『エロスと文明』第二章「抑圧された個人の根源」の講読と解釈(3)―性衝動の規制について―(課題研究授業)
【事前学習】本書の「抑圧」の概念についてまとめ、内容を理解する。 (2時間)
【事後学習】性衝動と抑圧と文明の関係について、メモを作成する (2時間)
7 『エロスと文明』第三章「抑圧された文化の根源」の講読と解釈(1)―「抑圧」はなぜ生じたか―(課題研究授業)
【事前学習】ギリシア神話やギリシア悲劇における家族観について調べる。 (2時間)
【事後学習】抑圧と罪と世代問題との関係についてメモを作成する。 (2時間)
8 『エロスと文明』第三章「抑圧された文化の根源」の講読と解釈(2)―「宗教」における抑圧について―(課題研究授業)
【事前学習】父性と母性の特色について、事典等で調べる。 (2時間)
【事後学習】宗教と罪との関係について、メモを作成する。 (2時間)
9 『エロスと文明』第四章「文化の弁証法」の講読と解釈(1)―「エロス」について(課題研究授業)
【事前学習】エロスに関するプラトンの説についてまとめる。 (2時間)
【事後学習】エロスと昇華作用との関係について、メモを作成する。 (2時間)
10 『エロスと文明』第四章「文化の弁証法」の講読と解釈(2)―「弁証法」の本質について―(課題研究授業)
【事前学習】哲学史における弁証法の考え方について、説明できるようにしておく。 (2時間)
【事後学習】ホルクハイマーらの『啓蒙の弁証法』とマルクーゼの「文化の弁証法」について比較できるようにしておく。 (2時間)
11 『エロスと文明』第四章「文化の弁証法」の講読と解釈(3)―抑圧と疎外との関係について―(課題研究授業)
【事前学習】マルクスの「疎外」観について調べる。 (2時間)
【事後学習】抑圧と疎外との関係についてメモを作成する。 (時間)
12 『エロスと文明』第五章「哲学的間奏曲」の講読と解釈(1)―カント、ヘーゲルとフロイト―(課題研究授業)
【事前学習】超越論的自我論とフロイトの自我論について調べる。 (2時間)
【事後学習】カント、ヘーゲルとフロイトとの関係についてメモを作成する。 (2時間)
13 『エロスと文明』第五章「哲学的間奏曲」の講読と解釈(2)―ショーペンハウアーとフロイト―(課題研究授業)
【事前学習】近代西欧の自我論と支配の論理との関係について説明できるようにしておく。 (2時間)
【事後学習】近代西欧における無意識論の伝統についてメモを作成し始める。 (2時間)
14 『エロスと文明』第五章「哲学的間奏曲」の講読と解釈(3)―ニーチェ、ヴィトゲンシュタインとフロイト―(課題研究授業)
【事前学習】世紀末ウィーンの知的伝統について調べる。 (2時間)
【事後学習】ショーペンハウアー、ニーチェとフロイトとの関係について、「意志」概念を中心にまとめる。 (2時間)
15 『エロスと文明』第五章「哲学的間奏曲」の講読と解釈(4)―無意識の哲学と美学的観点―(課題研究授業)
【事前学習】フロイト思想の独自性について、美学的観点から説明できるようにしておく。 (2時間)
【事後学習】抑圧と美との関係について、歴史哲学的観点からのレポート作成に入る。 (3時間)
その他
教科書 H. マルクーゼ(南博訳) 『エロス的文明』 紀伊国屋書店 1958年
現在、本書は絶版なので、各自古書で用意いただくか、担当者のほうでコピーを随時用意する。
参考書 使用しない
成績評価の方法及び基準 レポート:レポートは求めるテーマと内容、提出状況を見て評価します。(50%)、授業参画度:授業参画度は、課題研究授業へのリポート提出状況や質問等によって評価します。。(50%)
オフィスアワー 授業終了後

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