文理学部シラバスTOP > 大学院博士前期課程 > 地球情報数理科学専攻 > 代数学特論Ⅰ
日本大学ロゴ

代数学特論Ⅰ

このページを印刷する

令和2年度入学者 代数学特論Ⅰ
令和元年度以前入学者 代数学特論Ⅰ
教員名 泊昌孝
単位数    2 課程 前期課程 開講区分 文理学部
科目群 地球情報数理科学専攻
学期 後期 履修区分 選択必修
授業の形態 ①主として同時双方向型授業(Zoomによるライブ中継)、ただし、課題を提出する際には、課題授業を1、2回交える予定
blackboard id : 20204515 : 2020代数学特論Ⅰ(泊昌孝・後・火2)
授業概要 特異点理論入門: 複素解析空間の特異点概論-特異点解消、ここでは、2次元複素解析的特異点に対して古典的とも思える基礎事項、著名な分類論を紹介することを基本としている。
授業のねらい・到達目標 特異点を持つ複素解析集合の特異点解消の基礎、可換環論の基礎知識を習得し, イデアル類群と例外集合の関係、ヒルベルト関数を代表とする環論的な不変量を特異点解消から決定する方法を紹介する。
授業の方法 講義形式で行う.また、講義に出てきた定理や証明を、参考文献にあたって確認してもらいます。その理解を確認した上で、その次の講義にうつります。基本的には特論であり、受講者の基礎知識の内容に配慮して、本来のテーマを外れないように柔軟な対応をする。
その際の、正直な自分の理解への認識が重要になります。
授業計画
1 基礎事項1、特異点の定義(超曲面の場合):ヤコビアン判定法、重複度、孤立特異点について様々な定義を紹介する
【事前学習】代数幾何、あるいは、複素解析幾何における多様体の扱いについて、教科書達を手にとり、イメージを持つよう努力をしておく (2時間)
【事後学習】講義で扱われた論文、書籍の所在を確認し、ノートした項目との対応を理解する (2時間)
2 基礎事項2, 正規解析空間の定義(代数的な定義、複素関数論的な定義)、セールの判定法
【事前学習】配布資料により、キーと成る用語、を自分の専門に従って予習する、Laufer の本の第一章の結果を予習する (2時間)
【事後学習】講義内での指示に従って結果を参考書などで各自確認する (2時間)
3 基礎事項3, 2次元正規孤立特異点の特異点解消の定義、例外集合の定義と、例外集合の交点形式の計算について、平面曲線論を基礎に解説する
【事前学習】第2回目の講義で指示された資料内の代数曲線に関する交点理論に関係する定理を予習する (2時間)
【事後学習】教科書の記述にあるいくつかの定理を指示にしたがい確認する (2時間)
4 基礎事項4, 2次元正規孤立特異点の著名な結果である「例外集合の不定値性」とその逆を表す「グラウエルトの定理」について解説する
【事前学習】Laufer の教科書の第2章、第3章から中心となる結果を読んでくること. 課題として、特異点解消の計算を実際に行ってみる事を考えている (2時間)
【事後学習】講義内で示された2次元特異点論の論説を各自通覧する (2時間)
5 基礎事項5, 極大イデアルを中心とするブローイングアップ一回で特異点解消に至る2次元超曲面特異点の計算を紹介する
【事前学習】第4回講義で指示された資料部分の計算例を各自通読してくる (2時間)
【事後学習】講義内で紹介した例の計算の再確認、類似の計算例を各自行う (2時間)
6 中間的な特論、第5回の主題であったスーパー孤立特異点の計算から、星型特異点解消を有する特異点の例を認識し、類似の状況になるクラスを関数の環のイデアルの減少列の性質で再確認する
【事前学習】第5回で事後学習に指定した計算例の再確認と配布資料の通読 (2時間)
【事後学習】特異点の分類につながる性質達を指示された文献で確認する (2時間)
7 分類理論1, 有理2重点1、正規2次元特異点の分類論の典型例である有理2重点について定義式と特異点解消を紹介する
【事前学習】有理2重点に関する指示をされた文献を各自通覧しておく (2時間)
【事後学習】授業内で計算した例以外のものについて、各自計算をおこなう (2時間)
8 分類理論2,有理2重点2, この特異点には様々な特徴づけがあり、多くの研究手法の交差点となっている。正多面体群の分類と不変式環という観点で再構成をし、代数学と解析空間論の交わりを観察する
【事前学習】学部の群論で扱うプラトンの多面体群の認識と前回の方程式の復習をする (2時間)
【事後学習】講義内で計算したもの以外のケースを各自計算で確認する (2時間)
9 分類理論3, 有理2重点を含む有理特異点の定義、その発展として定義される幾何種数、算術種数、基本因子より定まる有理特異点の次にくるクラスを学ぶ
【事前学習】配布された資料および教科書の指定部分の定理を一覧してくる (2時間)
【事後学習】講義内で扱われた不変量に対する論文を確認し、教科書で証明を理解する (2時間)
10 分類理論4, 2次元特異点の有理特異点、楕円型特異点に関する、代数的な不変量、クラス全体を例外集合で特徴づけるArtin, Brieskorn, Laufer の基本結果を紹介する
【事前学習】配布資料内の文献および教科書の指定部分を一読してくる (2時間)
【事後学習】講義内で証明にいたった定理に関する議論の再確認をおこなう (2時間)
11 分類理論5, 特異点の分類の基準となった種数(幾何種数、算術種数、基本種数)などの不変量の定義式や特異点解消を用いた計算公式とその計算例を紹介する
【事前学習】これまでの講義で扱われ様々なクラスの実例を復習しておく (2時間)
【事後学習】この回に述べた計算法でひとつの例が計算できるように要点を整理する (2時間)
12 特別な構造を持った特異点概論として1,
定義式の観点から、特異点解消の構成がやさしいクラスとして、超曲面2重点、次数付環を座標環に持つ特異点を学ぶ
【事前学習】前回までの、基礎理論での言葉、分類理論でのクラス達を確認しておく (2時間)
【事後学習】2重点や次数付特異点についての正規性や分類論的考察を整理する (2時間)
13 特別な構造を持った特異点概論として2,
特別な構造をもったクラスについての計算理論を前回にひきつづき議論をする。特に、聴衆の理解に応じて対象を特化し、また、例を厳選して講義する。
【事前学習】基礎理論、分類理論で印象に残った考察について自身の理解が述べられるよう復習をする (2時間)
【事後学習】講義内での質疑応答に対して文献を調査し、レポートできるよう準備をはじめる (2時間)
14 研究発表 受講者の成果に応じて専門結果を紹介し、研究討論ができるスタイルをもうける
【事前学習】受講者の講義をとうしての成果を述べられるよう準備をする (2時間)
【事後学習】講義内で討論した結果をレポートにする準備を続ける (2時間)
15 まとめ:2次元特異点理論についての、基礎理論、分類理論、そして、特殊構造を持つ場合に特化した細論に
ついて、この講義で紹介した結果の総括と、今後の研究の展望を紹介する。受講者は、課題レポートを提出する。
【事前学習】各自のこの講義で学んだ内容のまとめをレポートで提出する準備をする (3時間)
【事後学習】最終レポート提出後、各自の専門分野へ参考となる情報の収集 (1時間)
その他
教科書 樋口禎一、吉永悦男、渡辺公夫 『多変数複素解析入門 (数学ライブラリー 51)』 森北出版 1980年 第1版
Henry B. Laufer, Normal Two-dimensional Singularities:Annals of Mathematics Studies , Princeton University Press, 1971
渡辺敬一 『可換環論における代数幾何的手法 ( Nagoya mathematical lectures = 多元数理講義録 11)』 名古屋大学多元数理研究科 2013年 第1版
特異点論を学ぶのは、それぞれの研究をする目的や興味によって、非常に多くのバリエーションがあるだろう。本講義では、まず、特異点を特異点解消を用いて理解することを出発点である。Laufer の教科書は、本当に理解できる、貴重な書物である。これを出発点に様々な手法がある。また、可換環論とくに次数付き特異点を扱ったものでは、渡辺敬一氏の講義論は貴重である。
さらに、教員がこれまで講義に使用してきた資料(過去の講義録など)を配布し、講義のストーリーの骨格となるように配慮する。
参考書 その他、参考になる文献、論文は講義内で適宜指示する
成績評価の方法及び基準 レポート(30%)、授業参画度(70%)
レポートは、講義の最終回に、本講義の主題の中から、各自の専門性に応じて特化した関連テーマを選び作成する。

授業参画度は、紹介する結果の理解についての反応を明確することなどの対話を通じて計る予定である。自由な対話を重視する。
オフィスアワー 講義の最初の時間に指示する.
備考 講義内容は、代数学特論 I の基本になる「特異点論の入門」を記しています。ただし、大学院生の専門などを考慮し、受講者全員が確定した段階で、適切な形に修正をする可能性があります。受講を考えておられる皆さんは、初回に出席しご相談ください。

このページのトップ