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ドイツ文学研究3

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令和2年度入学者 ドイツ文学研究3
令和元年度以前入学者 ドイツ文学研究3
教員名 保阪一夫
単位数    2 課程 前期課程 開講区分 文理学部
科目群 ドイツ文学専攻
学期 前期 履修区分 選択必修
授業の形態 遠隔授業で行う。具体的には、提示する個々の「課題」について研究し、レポートする。
「課題」に対応する研究対象とその資料の詳細、および入手方法については、受講決定後に指示するので、連絡すること。

授業開始までにBlackBoardのコースID 20204251:2020ドイツ文学研究3(保坂一夫・前・火4)に登録し、初回授業の注意事項に従って準備をしておくこと
授業概要 ペーター・ハントケ(Peter Handke)の文学と現代世界。ー 昨年(2019年)のノーベル文学賞にオーストリアの作家ペーター・ハントケが選ばれたが、周知のように、この結果に対しては、賞賛の声だけでなく、激しい批判も浴びせられた。何故なのだろうか。本年度は、この疑問を手がかりに、ハントケ文学について考え、併せて、現代社会における文学の意味と役割について研究してみたい。
授業のねらい・到達目標 ペーター・ハントケは、1942年生まれの、典型的戦後作家である。彼は、デビュー時に、自己主張の道を求めて前世代の文学者を挑発的に批判して、戦後ドイツ(語)文学界の「問題児」(アンファン・テリブル)と評された。しかし、やがてスロベニア系の母の死に直面、自己の過去と対決し始める。そして、90年代、ユーゴスラビア紛争が生じると、問題の正確な報道を求めて西側ジャーナリズムを批判し、セルビアを擁護することになった。その結果が、今回のノーベル賞問題であり、受賞者である彼への激しい批判である。今学期は、この問題を入り口にして、現代における社会と文学の関係について考えてみたい。学期末には、後期のために、資料により、デビュー時のハントケの言動を紹介する。
授業の方法 ハントケの受賞については、新聞や雑誌に無数の記事や文章が発表された。今学期は、それらの中から中心的なものを調べ、その内容を理解することを課題としたい。したがって、配布資料の読み込みと、その整理および確認が授業の中心となる。なお、ハントケ達当事者の発言は、資料としてコピーで配布する。受講者の理解確認のための数回のレポートを求める。よりアクティヴなディスカッションによる理解深化は、後期に実現を期したい。
履修条件 学科の規定による。
授業計画
1 今学期の研究テーマを説明し、ハントケの経歴等を確認する。
次回以降のために資料とテクストを配布する。
【事前学習】文学史、文学事典、新聞、WikipediaなどでHandkeについて調べておく。 (2時間)
【事後学習】紹介された研究テーマを確認し、配布された資料を整理する。 (2時間)
2 ノーベル賞決定発表に対するハントケの対応、そしてそれに対する社会の反応を調査し、それらの背景について考える。"Der Spiegel"の「まとめ」を参考にする。2、3週間後に、その内容をレポートにまとめる。
【事前学習】指定した資料(Handkeの反応、Der Spiegel)に眼を通し、その内容をまとめる。 (2時間)
【事後学習】取り上げられた人々の問題理解の違いについて整理し確認しておく。 (2時間)
3 自分の文学賞の表彰式でハントケ授賞を批判したユーゴ系作家サーシャ・スタニシチの発言を読み、批判の内容と、意図および意味について考える。資料は配付する。
【事前学習】配布した資料の彼の発言を読んでおく。 (2時間)
【事後学習】彼の発言の内容を確認し、その意味について整理する。 (2時間)
4 他のユーゴ系発言者の批判を読み、その内容を確認する(1)。オスニアとボスニア・ヘルツェゴビナの反応。
以下数回分の資料は、事前に配布する。批判はこれから3~4週間でまとめ、レポートにする。
【事前学習】資料のユーゴ関係者の批判に眼を通してくる。 (2時間)
【事後学習】批判の内容とその背景について整理してみる。 (2時間)
5 他のユーゴ系発言者の批判を読み、その内容を確認する(2)。クロアチアとスロベニアの反応。
レポートのためにまとめておく。
【事前学習】資料に基づき批判の展開について考えてくる。 (2時間)
【事後学習】批判の内容と背景について確認する。 (2時間)
6 他のユーゴ系発言者の批判を読み、その内容を確認する(3)。コソボ、そしてアルバニアの批判。
レポートのためにまとめておく。
【事前学習】資料に基づき批判とその意味について考えておく。 (2時間)
【事後学習】批判の内容と背景についてまとめてみる。 (2時間)
7 サーシャ・スタニシチを含めた南東ヨーロッパの人々の批判について整理する。続いて、ドイツの関わりなど、事実関係を含めて批判の歴史的背景について確認し、内容をレポートする。
【事前学習】前回までの資料に関し自分の判断を試みてみる。 (2時間)
【事後学習】南東ヨーロッパの人々の批判について自分の理解をまとめる。 (2時間)
8 ハントケの受賞を歓迎した人々の発言内容とその方向について考える(1)。セルビアの反応。
以下、2回分を一緒に整理しておく。
【事前学習】資料に基づき発言に眼を通し内容を確認してくる。 (2時間)
【事後学習】歓迎した人々の背景について考えてみる。 (2時間)
9 ハントケの受賞を歓迎した人々の発言内容について考える(2)。ヴェンダース、イェリネク達の反応。
批判者の発言との相違点を確認し、その理由について討論する。
【事前学習】資料により発言内容について違いを考えておく。 (2時間)
【事後学習】授業で取り上げた歓迎発言者について整理する。 (2時間)
10 スエーデン・アカデミーの選定理由とそれに対する批判について考えてみる。
資料は配付する。資料からアカデミーの説明をまとめておく。
【事前学習】資料のスエーデン側の発表内容に眼を通してくる。 (2時間)
【事後学習】選定理由とそれに対する批判を整理しておく。 (2時間)
11 スエーデン側からの選定理由の説明に基づき、問題点を整理する(1)。
参考に、配布するノーベル賞委員会外部委員ヘンリク・ペーターセンの発言を読む。
【事前学習】彼の発言を確認しその内容について考えておく。 (2時間)
【事後学習】彼の発言内容を整理してみる。 (2時間)
12 スエーデン側からの選定理由説明について考える(2)。
ペーターセンの発言のつづきを読む。
【事前学習】前回からの彼の論の展開について考えてくる。 (2時間)
【事後学習】彼の発言の内容を整理し、次回に備える。 (2時間)
13 スエーデン側からの選定理由説明について理解を進める(3)。
ペーターセンの発言を読み進める。
【事前学習】ペーターセン発言と彼の指摘する事実背景について考えてみる。 (2時間)
【事後学習】発言の背景を整理しておく。 (2時間)
14 スエーデン側からの選定理由説明についてまとめる(4)。
ペーターセンの発言を読み終え、最終的に、その趣旨を整理し、レポートする。
【事前学習】ペーターセン発言の意図は何か。この問題について考えてくる。 (2時間)
【事後学習】彼の発言によって見えてくる現代の文学と社会についてまとめを試みる。 (2時間)
15 スイスの作家アードルフ・ムシュクのコメントを読み、今学期の論点とその展開をまとめレポートする。
最後に、前期のまとめを渡し、デビュー時のハントケの言動を紹介して、後期のテーマへの導入とする。
【事前学習】資料のムシュク発言を読んでおく。 (2時間)
【事後学習】ハントケの言動から、彼の、そして現代の文学について考える視点をまとめておく。 (2時間)
その他
教科書 事前にプリント等として配布する。
参考書 テーマに応じて指示する。
成績評価の方法及び基準 レポート:テーマに応じて提出する数回のレポートによる、40%。(40%)、授業参画度:テーマ理解の内容と精度による、60%。 (60%)
テーマへの関心を高め、理解の精度を上げるための努力を見て評価する。
オフィスアワー 火曜日授業後が望ましいが、希望すれば、昼休みにも応じる。事前に事務を通じて連絡しておくこと。

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