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批評研究方法論3

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令和元年度以前入学者 批評研究方法論3
教員名 柿原和宏
単位数    2 学年 3・4 開講区分 文理学部
科目群 国文学科
学期 後期 履修区分 選択必修
授業の形態 オンデマンド型授業(15回)【スライド教材配信】
BlackboardのコースID:20211453
授業概要 この授業では、1920年代から現在までのミステリーと社会・文化の関わりについて講義形式で学びます。ミステリーは現代サブカルチャーにおいて中心的な位置を占めていますが、このジャンルは社会情勢や法的・制度的変化の影響を大きく受けて現在の地位に至っています。またミステリーは謎解きという様式を守りつつも、探偵や犯人のキャラクター、捜査方法、事件の動機など、そのメッセージは社会・文化状況に応じて変化しています。各時代のジャンルの位置づけを示す代表的なミステリーを扱いながら、近現代日本におけるミステリーの役割について考えていきます。
授業のねらい・到達目標 この授業では、1920年代から現代までのミステリーと社会・文化の関わりについて理解したうえで、授業で得た知見を応用して現在のフィクションや社会・文化現象を考察する態度を身につけることをねらいとしている。そこで、以下の到達目標を設定する。
・1920年代から現代までの代表的なミステリーの表現の特徴とその社会・文化的背景の関わりについて説明できる。
・授業で扱ったテーマと関連する現在のフィクション作品や社会・文化現象をとりあげ、比較しながら類似点と差異を説明できる。

この科目は文理学部(学士(文学))のディプロマポリシーDP6,及びカリキュラムポリシーCP9に対応している。
授業の方法 授業の形式:【講義】
各時代のジャンルの位置づけを示す代表的なミステリーとその背景について学習します。

①授業時間までにBlackboardを通じてスライド教材を配信しますので、受講者はそれを学修してください。(オンデマンド型学修)
②各回のスライド教材の最後に課題を設定しますので、指定された期日までに解いて提出してください。
③授業の節目に授業内容に関する小レポートを5回課し、15回の授業後には学期末レポートを作成してもらいます。レポート類のフィードバックは原則として翌週に行います。質問にはできるだけ回答するとともに、代表的なコメントをとりあげて講評も行います。
授業計画
1 第1回:現代ミステリーの探偵像について 『金田一少年の事件簿』と『名探偵コナン』における探偵の特徴を学ぶ【オンデマンド型】
【事前学習】『名探偵コナン』と『金田一少年の事件簿』を鑑賞したうえで、その探偵像について確認し、特徴を整理しておくこと。 (2時間)
【事後学習】第1回の授業資料をふりかえり、現代の探偵像とその特徴をまとめること。 (2時間)
2 第2回:1920年代のミステリーについて1 江戸川乱歩『一枚の切符』における探偵の特徴を学ぶ【オンデマンド型】
【事前学習】江戸川乱歩『一枚の切符』を読んだうえで、第1回で学習した現代の探偵像と比較し、その相違点についてまとめておくこと。 (2時間)
【事後学習】第2回の授業資料をふりかえり、1920年代の探偵像とその特徴をまとめること。 (2時間)
3 第3回:1920年代のミステリーについて2 江戸川乱歩『陰獣』における推理の特徴を学ぶ【オンデマンド型】
【事前学習】江戸川乱歩『一枚の切符』を読んだうえで、第1回で学習した現代における探偵の推理と比較し、その相違点についてまとめておくこと。 (2時間)
【事後学習】第3回の授業資料をふりかえり、1920年代における探偵の推理とその特徴をまとめること。 (2時間)
4 第4回:1920年代のミステリーとその社会的・文化的背景について 関東大震災後の東京の変化を中心に学ぶ【オンデマンド型】
【事前学習】1920年代の東京の変化について調べたうえで、第2回で確認した探偵像と関連する要素について考えをまとめておくこと。 (2時間)
【事後学習】第2回~第4回の授業内容をふまえて、各自の意見を小レポート(第1回)にまとめる。 (3時間)
5 第5回:戦後復興期のミステリーとその社会的・文化的背景について 犯罪捜査の変化と戦後民主主義を中心に学ぶ【オンデマンド型】
【事前学習】江戸川乱歩『化人幻戯』を読んだうえで、第2回~第3回で学習した1920年代の探偵像と比較し、その相違点についてまとめておくこと。 (2時間)
【事後学習】第5回の授業資料をふりかえり、戦後復興期の探偵像との関係についてまとめること。 (2時間)
6 第6回:戦後復興期のミステリーについて1 高木彬光『呪縛の家』と新刑事訴訟法の関わりを学ぶ【オンデマンド型】
【事前学習】高木彬光『呪縛の家』を読んだうえで、第4回で確認した戦後復興期の法的・制度的変化と関連する要素について考えをまとめておくこと。 (2時間)
【事後学習】第6回の授業資料をふりかえり、高木彬光『呪縛の家』と戦後復興期の法的・制度的変化との関係についてまとめること。 (2時間)
7 第7回:戦後復興期のミステリーについて2 横溝正史『本陣殺人事件』と封建制の関わりを学ぶ【オンデマンド型】
【事前学習】横溝正史『本陣殺人事件』を読んだうえで、第4回で確認した戦後復興期の社会・文化と関連する要素について考えをまとめておくこと。 (2時間)
【事後学習】第5回~第7回の授業内容をふまえて、各自の意見を小レポート(第2回)にまとめる。 (3時間)
8 第8回:高度経済成長期のミステリーについて1 松本清張『ゼロの焦点』とパンパンガールの描かれ方を学ぶ【オンデマンド型】
【事前学習】松本清張『ゼロの焦点』を読んだうえで、第5回~第6回で学習した戦後復興期のミステリーと比較し、その相違点についてまとめておくこと。 (2時間)
【事後学習】第8回の授業資料をふりかえり、松本清張『ゼロの焦点』と高度経済成長期の社会・文化との関係についてまとめること。 (2時間)
9 第9回:高度経済成長期のミステリーについて2 松本清張『小説帝銀事件』と占領期周辺の日米関係を学ぶ【オンデマンド型】
【事前学習】松本清張『小説帝銀事件』を読んだうえで、第7回で確認した高度経済成長期の社会・文化と関連する要素について考えをまとめておくこと。 (2時間)
【事後学習】第8回~第9回の授業内容をふまえて、各自の意見を小レポート(第3回)にまとめる。 (3時間)
10 第10回:現代のミステリーについて1 綾辻行人『十角館の殺人』と新本格ミステリーを学ぶ【オンデマンド型】
【事前学習】綾辻行人『十角館の殺人』を読んだうえで、第8回~第9回で学習した高度経済成長期のミステリーと比較し、その相違点についてまとめておくこと。 (2時間)
【事後学習】第10回の授業資料をふりかえり、綾辻行人『十角館の殺人』と1980年代の社会・文化との関係についてまとめること。 (2時間)
11 第11回:現代のミステリーについて2 東野圭吾『容疑者Xの献身』と新自由主義の関わりを学ぶ【オンデマンド型】
【事前学習】東野圭吾『容疑者Xの献身』を読んだうえで、2000年代の社会的・文化的状況について調べ、『容疑者Xの献身』の犯人像と関連する要素について考えをまとめておくこと。 (2時間)
【事後学習】第11回の授業資料をふりかえり、綾辻行人『十角館の殺人』と2000年代の社会・文化との関係についてまとめること。 (2時間)
12 第12回:現代のミステリーについて3 米澤穂信『インシテミル』とポストトゥルースの関わりを学ぶ【オンデマンド型】
【事前学習】米澤穂信『インシテミル』を読んだうえで、2000年代の社会的・文化的状況について調べ、『インシテミル』の推理と関連する要素について考えをまとめておくこと。 (2時間)
【事後学習】第10回~第12回の授業内容をふまえて、各自の意見を小レポート(第4回)にまとめる。 (3時間)
13 第13回:現代のミステリーについて4 『金田一少年の事件簿』とメディアミックスを学ぶ【オンデマンド型】
【事前学習】『金田一少年の事件簿』を鑑賞したうえで、その謎解きの特徴について、小説と漫画のメディアの違いをふまえて考えをまとめておくこと。 (2時間)
【事後学習】第13回の授業資料をふりかえり、『金田一少年の事件簿』の漫画というメディアを用いた謎解きの特徴についてまとめること。 (2時間)
14 第14回:現代のミステリーについて5 『名探偵コナン』とバブル経済崩壊の関わりを学ぶ【オンデマンド型】
【事前学習】『名探偵コナン』を鑑賞したうえで、その謎解きの特徴について、小説と漫画のメディアの違いをふまえて考えをまとめておくこと。 (2時間)
【事後学習】第14回の授業資料をふりかえり、『名探偵コナン』の漫画というメディアを用いた謎解きの特徴についてまとめること。 (2時間)
15 第15回:現代のミステリーについて6 『あなたの番です』とAI、電子テクノロジーの関わりを学ぶ【オンデマンド型】
【事前学習】日曜ドラマ『あなたの番です』を鑑賞したうえで、その謎解きの特徴について、小説と映像のメディアの違いをふまえて考えをまとめておくこと。 (2時間)
【事後学習】第13回~第15回の授業内容をふまえて、各自の意見を小レポート(第5回)にまとめる。 (3時間)
その他
教科書 なし。

授業内で配信する資料を教材として用います。長編ミステリーを扱う場合は、適宜カット版を配信します。各回で扱う作品についてはシラバスに記載したとおりですので、必ず事前に読んでから授業に参加してください。
参考書 松山巌 『乱歩と東京 1920 都市の貌』 ちくま学芸文庫 1994年
押野武志・谷口基・横濱雄二・諸岡卓真〔編著〕 『日本探偵小説を知る 150年の愉楽』 北海道大学出版会 2018年
成績評価の方法及び基準 レポート(50%)、授業参画度:授業内課題(小レポート)を含む(50%)
A:学期末レポート B:授業参画度(授業内課題含む)を合わせて総合的に評価します。

A:学期末レポートでは、授業内容の理解度を評価します。レポートのテーマを提示しますので、授業資料を参照しながら必要な要素を取捨選択して適切にまとめてください。
B:授業内課題として、授業の節目に小レポート(1000字程度)を5回課します。小レポートでは、授業内容で扱ったテーマをとりあげて考察してもらいます。現在のフィクション作品と比較しながらその類似点と差異について考察を展開できているかを評価します。
オフィスアワー Blackboardおよびメールを通して随時行う。

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