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ビジュアル社会学

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令和元年度以前入学者 ビジュアル社会学
教員名 後藤範章
単位数    2 学年 3・4 開講区分 文理学部
科目群 社会学科
学期 後期 履修区分 選択
授業の形態 課題研究(学修課題と教材を提示し、受講生が調べ/学んでレポートを提出し、それを踏まえて受講生と教員間及び受講生間で意見交換する)型の授業をオンデマンドで行います。学修課題と教材の提示、レポートの提出、意見交換と受講生へのフィードバックの全てを、Blackboard上で行います。履修希望者は、Bbにログインして、コースID:20211967「2021ビジュアル社会学(後藤範章・後・金5)」の「自己登録」を早めに行って、「教材」ページから「シラバス」と「授業の進め方」をDLし、授業が始まるまでに熟読しておいて下さい。
授業概要 授業のテーマは、「ビジュアル社会学とビジュアル調査法のフロンティア-『見る/撮ること』による社会調査と社会学-」です。『ビジュアル調査法と社会学的想像力』を教科書として、ビジュアル社会学及びビジュアル調査法についての授業を展開します。教科書がないと学修が成り立たないので、履修を決めたら早めに入手して下さい。
授業のねらい・到達目標 Visual Sociologyは、通例「映像社会学」や「視覚社会学」の訳語があてられますが、両者のニュアンスは微妙に異なります。本講では、「ビジュアル社会学」と表現することとし、「映像の社会学」「視覚の社会学」や「映画の社会学」「テレビの社会学」などと狭く限定するのではなく、社会を映像で記録する/ ビジュアル素材を研究資料とする/社会を視覚的に考察する/社会をビジュアルに表現する等々の幅広い「社会学的実践」を包摂するものと位置づけます。受講生を、ビジュアル社会学並びにそれと密接不可分な関係にあるビジュアル調査法のフロンティアに誘います。言葉・文字(テクスト)とイメージ(ビジュアル)との錬金術によって社会の分析を錬成すること、これが授業のねらいであり、到達目標です。
 同時に、この授業では、難解な専門書を読み解く力と文章を構成・表現する力を格段に向上させることに「も」注力を注ぎます。そのために、教科書を熟読して作成・提出されたレポートに関する「講評」と「最優秀レポートの紹介」を、レポート提出締切の翌日か遅くても翌々日までにBbで公表してフィードバックし、それを参考にして次回以降の教科書の読解とレポート作成に取り組めるようにします。回を重ねるに従って、「読む力(読解力)」と共に「書く力(レポートの完成度や文章表現の質)」が高まっていくことを実感できるでしょう。

本授業では、「自ら考える力」(A-4-3問題発見・解決力)を育むことを目標とし、とりわけ現代社会の抱える諸課題を見い出して、ビジュアル社会学の観点から説明しかつその解決策を提示することができるようにしていきます。
この科目は、文理学部(学士(社会学))のディプロマポリシーDP4及びカリキュラムポリシーCP4に対応しています。
授業の方法 授業の形式:【講義】
授業は、教科書を使って/に沿って展開します。毎回、内容に関連する写真・ビデオ・映画・TV番組・絵画・ポスター・イラスト・スケッチ・マンガ・絵葉書などといったビジュアルな素材/データをBlackboardで提⽰し、「⾒ること」を通して理解と思考を深めていきます。また、Bbの掲⽰板で質問を受けたり意⾒交換を⾏ったりすることを通して、学⽣-教員間及び学⽣間の双⽅向・多⽅向のやり取り(意⾒表明・交換)も重ねていきます。
履修条件 楽して好成績が取れる授業では全くありません。ハードルは相当高いので、その対極にあると言って良いでしょう。生半可な気持ちで履修することを避け、毎回欠かさずに課題に取り組んでレポートを提出する「決意と覚悟」を持って臨むようにして下さい。
授業計画
1 ガイダンス:授業のテーマや到達目標、教科書、授業の進め方、課題、成績評価の方法、その他について
(第1回~15回:A-4-3)
【事前学習】指定教科書を入手し、あらかじめ全体に目を通しておくこと (2時間)
【事後学習】授業を振り返り、理解が及んでいないことを補うこと (2時間)
2 序論:ビジュアル調査法と社会学的想像力  <社会世界を視覚化する/社会学と写真術/ビジュアル表象/イメージと言葉/タトゥー/浮世絵・アニメ(北斎や広重やスタジオ・ジブリ)>
【事前学習】教科書のpp.ⅷ~ⅸ及びpp.1~26を熟読して、よく理解しておくこと (2時間)
【事後学習】第2回の課題に取り組み、7日間以内に提出すること (2時間)
3 グラディ論文:目に見える証拠とは -実践的なアドバイス-  <ビジュアル・ワーク/ジェンダー広告とフェミニン・タッチ/広告・テレビCM/アフォーダンス/教員と学⽣との協働>
【事前学習】教科書のpp.27~49を熟読して、よく理解しておくこと (2時間)
【事後学習】第3回の課題に取り組み、7日間以内に提出すること (2時間)
4 第1章:写真日記 -自明なものを積極的に「見る」習慣-  <写真の連続/連続性のパターン=ルーティンを写す/凍った瞬間/審美性/文脈づけ/窃視と内省/構築物としての写真/ブログ>
【事前学習】教科書のpp.53~71を熟読して、よく理解しておくこと (2時間)
【事後学習】第4回の課題に取り組み、7日間以内に提出すること (2時間)
5 第2章:ビデオ日記 -アイデンティティの構築と自己表象-  <クィア・アイデンティティのパフォーマティビティ/自己表象と自己提示/再帰と反映/想像的な自己と物語化/告白と主体の映像化/ビデオに基礎を置いた調査>
【事前学習】教科書のpp.73~96を熟読して、よく理解しておくこと (2時間)
【事後学習】第5回の課題に取り組み、7日間以内に提出すること (2時間)
6 第3章:ハウスシェア生活の空間地図 -主観性の鍵を開く-  <感情的な緊密さと社会的な結合/触れることのできる特徴/若者の世帯形成パターン/エンパワーメント/交友関係の内縁と外縁/よそ者の視角>
【事前学習】教科書のpp.97~117を熟読して、よく理解しておくこと (2時間)
【事後学習】第6回の課題に取り組み、7日間以内に提出すること (2時間)
7 第4章:触れることのできないものを映し出す -社会的構築物としてのモノ-  <経験の物体化/記憶と結びつけられた価値/自己性/対話的・弁証法的な関係/象徴体系としての社会/多声性/私の再発見>
【事前学習】教科書のpp.119~137を熟読して、よく理解しておくこと (2時間)
【事後学習】第7回の課題に取り組み、7日間以内に提出すること (2時間)
8 第5章:水曜日の夜のボウリング -男性性の解釈とパフォーミング-  <ビジュアル社会学の経験的な翼/労働者階級の性格づけ/男性性と女性性/労働に基礎を置いた関係/小さな儀礼>
【事前学習】教科書のpp.139~167を熟読して、よく理解しておくこと (2時間)
【事後学習】第8回の課題に取り組み、7日間以内に提出すること (2時間)
9 第6章:日記-写真日記-インタビュー法 -都市の日常の出来事-  <日常生活世界のパターン/時空間リズム/生きている主体としての身体/語りの能力/多産性/都市の公共的な社会性>
【事前学習】教科書のpp.171~194を熟読して、よく理解しておくこと (2時間)
【事後学習】第9回の課題に取り組み、7日間以内に提出すること (2時間)
10 第7章:眼で聴き取る -都市の出会いの窓としての肖像写真-  <アバウト・ザ・ストリート・プロジェクト/一握の砂/東ロンドン/隠喩/印象操作/記憶のキャンバスとしての肌/ストリートの記号/眼と眼同士の承認>
【事前学習】教科書のpp.195~216を熟読して、よく理解しておくこと (2時間)
【事後学習】第10回の課題に取り組み、7日間以内に提出すること (2時間)
11 第8章:ジェントリフィケーション -アムステルダムとシカゴにおける都市空間の転換-  <高級住宅地化/撮影台本と写真目録/写真誘出インタビューとGTA/写真によるドキュメント化/転換のプロセスとパターン>
【事前学習】教科書のpp.217~243を熟読して、よく理解しておくこと (2時間)
【事後学習】第11回の課題に取り組み、7日間以内に提出すること (2時間)
12 第9章:視覚的なものと言語的なもの -6フレームのスローな動画-  <炭鉱の表象/縦坑とボタ山/ビジュアル・ナラティブ/ハビトゥスと自己内省/ソシオスケープ/感情の構造>
【事前学習】教科書のpp.245~262を熟読して、よく理解しておくこと (2時間)
【事後学習】第12回の課題に取り組み、7日間以内に提出すること (2時間)
13 第10章:写真による口述史 -鶏処理工場の閉鎖とリンダ・ロード-  <産業空洞化/文章と写真との対話/多声的なアプローチ/庶民の日常生活/両義性と逆説と矛盾/異国人の視点/知識や歴史の視覚化>
【事前学習】教科書のpp.263~284を熟読して、よく理解しておくこと (2時間)
【事後学習】第13回の課題に取り組み、7日間以内に提出すること (2時間)
14 ベッカー論文:証拠としての写真術、説明としての写真  <バリ島人の性格/アメリカ人/セブンス・マン/アメリカン・フォトグラフス>
【事前学習】教科書のpp.285~292を熟読して、よく理解しておくこと (2時間)
【事後学習】第14回の課題に取り組み、7日間以内に提出すること (2時間)
15 授業の振り返りと総まとめ
【事前学習】教科書のpp.293~303を熟読して、よく理解しておくこと (2時間)
【事後学習】第15回の課題に取り組み、7日間以内に提出すること (2時間)
その他
教科書 キャロライン・ノウルズほか(後藤範章監訳) 『社会風景をありありと描写する-ビジュアル調査法と社会学的想像力-』 ミネルヴァ書房 2012年
教科書は必須です。新刊本でも古本でも結構ですが、必ず入手(自分のものにして)下さい。毎回の授業に留まらず、課題に取り組むためにも必須です。授業に先立って該当章を読んでくるのは勿論のこと、随時書き込みなどをしつつ、批評的に深く読み込んでいきます(テキスト・クリティークの実践!)。
参考書 谷富夫・山本努編著 『よくわかる質的社会調査 プロセス編』 ミネルヴァ書房 2010年
成績評価の方法及び基準 レポート(84%)、授業参画度(16%)
試験は実施しません。課題に対するレポートの評価点(14回課題を課し1回につき6点満点、合計点の最高は84点)に、Bbの掲示板フォーラムでの質問や意見のやり取り(最高16点)を加えて評価します。毎回、「全体の講評と最優秀レポートの紹介」を行うと共に、レポートに対する点数を各人に伝えます。なお、これらの得点(100点満点の素点)に加算する「特別加算レポート」を課すことがあります。なお、レポート提出回数6回を「最低要件」とします。合計得点が60点を大幅に下回る6回以上提出者には、追加の課題に取り組むことで60点に到達できる道を用意します。
以上を踏まえ、A-4-3(問題発見・解決力)の修得状況を評価します。
オフィスアワー 個別の相談に関しては、まずメールをngotoh@chs.nihon-u.ac.jp宛に送って下さい。メールもしくはオンラインでやり取りするようにします。
備考 後藤研究室に所属する学部生(演習生・ゼミ生)・大学院生・研究生で本授業の未履修者は、研究を行う上での理論的・方法論的な土台を固めるために、早い段階で履修するようにして下さい。

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