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環境化学2

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令和元年度以前入学者 環境化学2
教員名 海老原充
単位数    2 学年    3 開講区分 文理学部
科目群 化学科
学期 後期 履修区分 選択必修
授業の形態 オンデマンド型授業(音声入りスライド試料配信)

Blackboard ID: 木1限→20213274
授業概要 太陽系という広い領域での環境について、元素、同位体という化学の基本概念をもとに授業を行う。今から138億年前の出来事である宇宙の創生 (Big Bangイベント) から現在に至るまで、元素、同位体がどのような環境で作られ、どう変転してきたかについて講義する。
授業のねらい・到達目標 本講義では身近な「環境」という概念から離れて、宇宙空間における太陽系、太陽系における地球という広い視野から環境を考えられる。化学の基本概念である元素や同位体に注目し、それらの組成が地球や太陽系のおかれている環境とどのように関連するか理解できる。

この科目は文理学部(学士(理学))のディプロマポリシーDP6及びカリキュラムポリシーCP9に対応しています。
授業の方法 授業の形式:【 講義 】

教科書をもとに授業をすすめる。各回の授業内容を音声入りパワーポイントファイルにまとめ,授業日にBlackboard上に公開する。学習上の注意事項についても随時blackboardで周知するので,常にBlackboardを参照すること。学期中3回にわけて課題を出すので、指定された日までに課題について学習した内容を提出すること。なお,類似の提出物とおもわれるものについては剽窃とみなし、類似物すべてを採点の対象から除外する。剽窃は不正受験と見なされ、おおきなペナルティが科されるので十分留意のこと。
フィードバック方法等については,授業開始時に提示する。
履修条件 Blackboardにアクセスできること。「放射化学」の知識があるか,興味があることが望ましい。
授業計画
1 本講義の内容の概略を説明する。特に、「太陽系の環境」をどうとらえるかについて解説する。教科書第1章の前半、特に原子核の壊変について学習する。
【事前学習】 シラバスを事前に確認し、授業全体の流れを理解しておくこと。 (2時間)
【事後学習】日本化学会のホームページから最新の原子量表をダウンロードし、原子量表に見られる特徴を考える。 (2時間)
2 教科書第1章の後半を学習する。3回以降の授業を理解する上で重要な概念である原子核の壊変系列,放射平衡について学ぶ。化学の視点から、太陽系における元素や原子核の数や存在度に関する一般的な特徴を解説する。
【事前学習】教科書1.3を充分理解できるようにする。 (2時間)
【事後学習】 教科書1章の演習を行う。 (2時間)
3 教科書第2章の前半 (2.1, 2.2, 2.3) を学習する。身の回りの環境で起こっている反応が化学反応あるのに対して、宇宙環境での主要な反応は核反応であることを知り、その違いを考える。次いで、我々の身の回りに存在する元素にもそのルーツがあるが、その元素がいつ、どこで、どのような環境で生成するかを考える。特に、宇宙創生最初期のBig Bangで何が起こるかを学ぶ。
【事前学習】化学の基本法則である質量保存則、およびエネルギー保存則は、質量とエネルギーの等価性という考えと整合するかどうか、考察する。 (2時間)
【事後学習】化学反応と核反応の違いについて整理する。 (2時間)
4 教科書第2章の続きで、2.4を学習する。元素の生成過程のうち、星の進化に伴う元素の合成について学ぶ。
【事前学習】宇宙の変遷について調べる。 (2時間)
【事後学習】教科書第2章の演習問題を行う。 (2時間)
5 教科書第3章の前半 (3.1, 3.2) を学習する。第3回、第4回の授業で学んだ元素が、宇宙において、あるいは太陽系においてどのような存在度(組成)をとるのか。そうした「元素の存在度」はどのようにして求められるのかについて解説する。
【事前学習】太陽系の元素組成はなぜ重要性なのかを考える。 (2時間)
【事後学習】太陽系の元素組成の情報源を整理し、なぜ情報源になり得るかを説明できるようにする。 (2時間)
6 教科書第3章の後半 (3.3, 3.4, 3.5) を学習する。第5回で学んだ太陽系の元素の存在度のもつ特徴について学ぶ。
【事前学習】スース・プロット (Suess plot) とは何か、調べてみる。興味があれば、スースのnuclear systematics (原子核の系統性) についても調べてみる。 (2時間)
【事後学習】教科書第3章の演習問題を行う。 (2時間)
7 教科書第4章の前半 (4.1, 4.2前半) を学習する。太陽系初期に、その後の惑星物質を作る原料となる固体物質が生成した。この太陽系形成初期環境における元素の挙動は気相から固相への化学反応で記述される。太陽系の元素組成を持つ気体から固体が出来る過程(凝縮過程)について学ぶ。
【事前学習】教科書4.2を予習し、その内容を予め理解する。 (2時間)
【事後学習】凝縮モデルのアウトラインを理解し、2段階の平衡過程 (気相-気相、気相-固相) を充分理解する。 (2時間)
8 教科書第4章の後半 (4.2の後半、4.3, 4.4) を学習する。第7回に引き続き、太陽系初期の元素の凝縮過程について学ぶ。それに関連して、いろいろな観点から元素の分類について考える。
【事前学習】元素の分類にはいろいろな観点からの分類法があることを知る。特に地球化学的分類は我々の身近にある元素がどのように偏在しているかという観点からの分類であることに注目して、具体的な分類名(グループ名)とそこに帰属される代表的な元素を書き出してみる。 (2時間)
【事後学習】教科書第4章の演習問題を行う。 (2時間)
9 教科書第5章の前半(5.1, 5.2) を学習する。太陽系の形成初期の環境でつくられた固体物質、隕石について,その概要を知る。第9回は,隕石の中でも太陽系の化石と呼ばれる種類の隕石について説明する。
【事前学習】隕石について、その実体を調べてみる。 (2時間)
【事後学習】隕石、特に今回取り上げた種類の隕石の科学的重要性を整理する。 (2時間)
10 第9回に続いて、教科書第5章の後半(5.3, 5.4) を学習する。第10回は,隕石の中でも熱による変質を経験した隕石グループについて説明する。こうした種類の隕石としては月隕石、火星隕石も含まれる。
【事前学習】月隕石、火星隕石とはどういうものか、調べてみる。 (2時間)
【事後学習】教科書5章の演習問題を行う。 (2時間)
11 教科書第6章の前半(6.1, 6.2) を学習する。太陽系の同位体組成の特徴について学ぶ。特に、酸素同位体組成についてやや詳しく説明する。
【事前学習】教科書第5章の5.3.4の記述を読み、内容を復習する。 (2時間)
【事後学習】プレソーラーグレイン(pre-solar grain; 前太陽系粒子) の特徴を整理するとともに、その存在の意義について理解する。 (2時間)
12 教科書第6章の後半 (6.4) を学習する。地球物質の同位体組成の変動要因と特徴について学ぶ。特に、元素の同位体組成と原子量との関係を学ぶ。
【事前学習】同位体比の変動を生じる原因について考える。 (2時間)
【事後学習】教科書第6章の演習問題を行う。 (2時間)
13 教科書第7章の7.3を学習し、過去の年代を求める方法(年代測定法)の原理を学ぶ。年代測定法の内容に関連して、人類の活動の歴史を考える上で重要な年代法である炭素14年代法を解説する。この年代法と、過去1-2世紀の環境問題(地球上の環境問題)との関連性について考える。
【事前学習】年代測定法の原理を予習する。考古学分野での炭素14年代法の重要性を調べる (2時間)
【事後学習】年代測定法としてのK-Ar法とRb-Sr法の特徴を整理し、どこが大きく異なるかを理解する。 (2時間)
14 教科書8章の8.2, 8.3を学習し、地球の構造や組成について理解する。宇宙の中の太陽系、太陽系の中の地球という観点で我々の身の回りの物質をとらえられるようになることを目標とする。
【事前学習】太陽系の惑星のなかでの地球の特殊性を考える。 (2時間)
【事後学習】地球環境を広い視野から考察し、まとめてみる。 (2時間)
15 第8回目の授業で元素の分類について学んだが、ここではそうした分類がどのような環境で成立するか理解する。授業全体のまとめを行う。
【事前学習】太陽系の惑星のなかでの地球の特殊性をいろいろな角度から考えてみる。 (2時間)
【事後学習】地球環境を広い視野から考察し、自分のなかで環境という概念がどう変化したか、あるいはしないかを考えてみる。 (2時間)
その他
教科書 海老原充 『太陽系の化学 (化学新シリーズ)』 裳華房 2017年 第POD版
教科書を持っていることを前提として授業をおこなう。
参考書 海老原充 『現代放射化学』 化学同人 2005年 第1版
必要に応じて、予習、復習に利用して欲しい。
成績評価の方法及び基準 レポート:課題に対する提出物の内容 (3回課題を課す)(100%)
成績はレポートの提出状況と内容をもとに評価する。6回目、10回目、15回目の授業終了時に課題を出す。レポートの複製は不正行為であり,複製されたものが見いだされた場合、当事者(複製した者、された者)の成績を0点とする。剽窃はカンニングと同様の行為であり、相応のペナルティが科されるので注意すること。
オフィスアワー 初回の授業の時に連絡する。原則としてメールを利用する。

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