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病弱教育論

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令和5年度以降入学者 病弱教育論
教員名 髙橋智
単位数    2 学年 2~4 開講区分 文理学部
科目群 教育学科
学期 前期 履修区分 選択
授業形態 対面授業
Canvas LMSコースID・コース名称 J10308D08 2024病弱教育論(髙橋智・前・木2)
授業概要 近年、病気の子どもの教育(病弱教育)においては子どもの抱える疾病の多様化の傾向が顕著であり、子ども一人ひとりの発達課題や支援ニーズに即した指導上の創意工夫がより一層求められている。本講義では、病気の子どもの心身の状態や心理発達的特性に基づいた教育課程・内容・指導法、ロボット技術等のICT活用・遠隔教育等の教育技術等に関する基本的理解を深めることを目的とする。あわせてCOVID-19パンデミックを含めて、病気の子どもの特別ケアに先進的に取り組んでいる北欧諸国の動向についても講義する。本講義では、受講学生が病弱教育の重要性を深く理解し,入院中・退院後を問わず、病気の子どもの有する発達課題に対しての具体的な教育ケアについて理解できることを目的とする。
病気の子どもの教育ケア(病弱教育)の視点は、以下の3点である。
 ①「本人のことは本人に聴くのが最善の理解と支援」:「聴く」という行為は相手の「リスペクト」、教師・支援者:子どもの通訳、コーディネーター。聴くことは相手の痛みを受け取ることでもあるので、教師仲間の支えが不可欠。
 ②病気の子どもが求める「QOL(生活の質)」の権利保障:病気の子どもの「QOL(生活の質)」とは、教育・学び、復学・進学、保育・遊び、笑い、仲間・友達、ファシリティドック、家族・家庭、生きがい・夢、ターミナルケア=人間としての尊厳)である。病気の子どもの教育ケアは、 「QOL(生活の質)」の保障を通して、病気の子どもの人間としての尊厳を守ること、大事にすることである。
 ③病気の子どもが求めるQOLを保障することが、子どもの「不安・緊張・ストレス」等を改善し、治療効果・回復力を高め、発達を保障していく。
授業のねらい・到達目標 授業のねらい:病気の子どもの特別ケアについての講義を行う。病気の子どもの心身の状態や心理発達的特性に基づいた教育課程・内容・指導法、ロボット技術等のICT活用・遠隔教育等の教育技術等に関する基本について概説するとともに、病気の子どもの特別ケアに先進的に取り組んでいる北欧諸国の動向について紹介する。
到達目標:仮説に基づく課題や問題を提示し,客観的な情報を基に,論理的・批判的に考察することの重要性を説明できる(A-3-1)。事象を注意深く観察して,解決すべき問題を認識できる(A-4-1)。
<ディプロマポリシーとの関係>
この科目は文理学部(学士(教育学))のディプロマポリシーDP3,DP5及びカリキュラムポリシーCP3,CP5に対応している。
授業の形式 講義
授業の方法 (1)授業の形式:講義
(2)具体的な授業方法
①本講義は授業日にCanvasにて講義資料と課題を配布する。
②各回の講義において課題をCanvasにて指示するので期限までにに提出する。課題提出をもって出席扱いとする。課題等についてはCanvasCにてフィードバックする。
③成績評価は14回分の課題提出(5点・14回:70点)と試験に替るレポート30点の合計100点により行う。なお、単位取得おいて14回分全ての課題提出と試験に替るレポート提出の双方が不可欠である。
④対面授業に参加できない学生の代替方法・要件:急病等の緊急事態により対面授業に参加できない場合、Canvasに掲載している当該講義の資料等を学習して、期日までに出席課題を提出する。
授業計画
1 オリエンテーション、病弱教育(病気の子どもの教育ケア)と学校保健制度
【事前学習】Canvasから講義資料をダウンロードして予習する
【事後学習】講義資料を復習しながら受講ノートの加筆修正を行い、 提示された課題に取り組む
【授業形態】対面授業
2 病弱教育(病気の子どもの教育ケア)のシステムと実践:病弱特別支援学校
【事前学習】Canvasから講義資料をダウンロードして予習する (2時間)
【事後学習】講義資料を復習しながら受講ノートの加筆修正を行い、 提示された課題に取り組む (2時間)
【授業形態】対面授業
3 病弱教育(病気の子どもの教育ケア)のシステムと実践:病弱・身体虚弱特別支援学級
【事前学習】Canvasから講義資料をダウンロードして予習する (2時間)
【事後学習】講義資料を復習しながら受講ノートの加筆修正を行い、 提示された課題に取り組む (2時間)
【授業形態】対面授業
4 病弱教育(病気の子どもの教育ケア)のシステムと実践:病棟保育、プレパレーション、遊び、ホスピタルプレイスペシャリスト
【事前学習】Canvasから講義資料をダウンロードして予習する (2時間)
【事後学習】講義資料を復習しながら受講ノートの加筆修正を行い、 提示された課題に取り組む (2時間)
【授業形態】対面授業
5 病弱教育(病気の子どもの教育ケア)のシステムと実践:学校教育における医療的ケア
【事前学習】Canvasから講義資料をダウンロードして予習する (2時間)
【事後学習】講義資料を復習しながら受講ノートの加筆修正を行い、 提示された課題に取り組む (2時間)
【授業形態】対面授業
6 病弱教育(病気の子どもの教育ケア)のシステムと実践:小児がん、晩期障害・晩期合併症、AYA世代
【事前学習】Canvasから講義資料をダウンロードして予習する (2時間)
【事後学習】講義資料を復習しながら受講ノートの加筆修正を行い、 提示された課題に取り組む (2時間)
【授業形態】対面授業
7 病弱教育(病気の子どもの教育ケア)のシステムと実践:高次脳機能障害
【事前学習】Canvasから講義資料をダウンロードして予習する (2時間)
【事後学習】講義資料を復習しながら受講ノートの加筆修正を行い、 提示された課題に取り組む (2時間)
【授業形態】対面授業
8 病弱教育(病気の子どもの教育ケア)のシステムと実践:アレルギー、小児の糖尿病
【事前学習】Canvasから講義資料をダウンロードして予習する (2時間)
【事後学習】講義内容を参考にノート・資料等の加筆・修正を行い、 課題を整理する (2時間)
【授業形態】対面授業
9 病弱教育(病気の子どもの教育ケア)のシステムと実践:摂食障害
【事前学習】Canvasから講義資料をダウンロードして予習する (2時間)
【事後学習】講義資料を復習しながら受講ノートの加筆修正を行い、 提示された課題に取り組む (2時間)
【授業形態】対面授業
10 病弱教育(病気の子どもの教育ケア)のシステムと実践:起立性調節障害、不登校
【事前学習】Canvasから講義資料をダウンロードして予習する (2時間)
【事後学習】講義資料を復習しながら受講ノートの加筆修正を行い、 提示された課題に取り組む (2時間)
【授業形態】対面授業
11 病気の子どものQOLの保障:ホスピタルクラウン、クリニクラウン(病室に笑いを~道化師たちの挑戦)、子どもホスピス
【事前学習】Canvasから講義資料をダウンロードして予習する (2時間)
【事後学習】講義資料を復習しながら受講ノートの加筆修正を行い、 提示された課題に取り組む (2時間)
【授業形態】対面授業
12 病気の子どものQOLの保障:ファシリティードック、
【事前学習】Canvasから講義資料をダウンロードして予習する (2時間)
【事後学習】講義資料を復習しながら受講ノートの加筆修正を行い、 提示された課題に取り組む (2時間)
【授業形態】対面授業
13 病気の子どものQOLの保障:チャイルドケモハウス(おうち診療所―がんと闘う子どもたちの願い―)、ドナルド・マクドナルド・ハウス
【事前学習】Canvasから講義資料をダウンロードして予習する (2時間)
【事後学習】講義資料を復習しながら受講ノートの加筆修正を行い、 提示された課題に取り組む (2時間)
【授業形態】対面授業
14 病弱教育(病気の子どもの教育ケア)のシステムと実践:ターミナル期の教育
【事前学習】Canvasから講義資料をダウンロードして予習する (2時間)
【事後学習】講義資料を復習しながら受講ノートの加筆修正を行い、 提示された課題に取り組む (2時間)
【授業形態】対面授業
15 病弱教育(病気の子どもの教育ケア)のシステムと実践:まとめ
【事前学習】Canvasから講義資料をダウンロードして予習する (2時間)
【事後学習】講義資料を復習しながら受講ノートの加筆修正を行い、 提示された課題に取り組む (2時間)
【授業形態】対面授業
その他
教科書 教科書は特に定めず、講義においてダウンロードして入手すべき文献・資料等を指示する。
参考書 参考資料
①瀬戸さやか・髙橋智(2009)ターミナル期の教育における教師の役割に関する検討―保護者・医療関係者・教師への調査から―、『東京学芸大学紀要総合教育科学系』第60集、pp.323-364。
②池田理恵子・髙橋智(2009)学齢期の高次脳機能障害児の困難・ニーズと支援に関する研究―保護者調査から―、『東京学芸大学紀要総合教育科学系』第60集、pp.293-321。
③石川衣紀・田部絢子・内藤千尋・石井智也・能田昴・柴田真緒・髙橋智(2017)スウェーデンにおける病院内保育とホスピタルプレイセラピー―カロリンスカ大学病院アストリッド・リンドグレーン子ども病院の調査を中心に―、『東京学芸大学紀要総合教育科学系Ⅱ』第68集、pp.115-124。
④田部絢子・髙橋智(2020)スウェーデンにおける摂食障害と「子ども・家族包括型発達支援」の課題―摂食障害センターおよび摂食障害当事者組織の訪問調査から―、『東京学芸大学紀要総合教育科学系』第71集、pp.161-175。
⑤田部絢子・石川衣紀・内藤千尋・池田敦子・石井智也・柴田真緒・能田昴・田中裕己・髙橋智(2021)スウェーデンの就学前学校におけるアレルギー対応支援―マルメ市の「アレルギー専用就学前学校(Änggårdens Allergiförskola)」への訪問調査から―、『金沢大学人間社会研究域学校教育系紀要』第13号、pp.115-123。
⑥髙橋智(2022)スウェーデンにおける病気の子どもの教育ケアの動向、『障害者問題研究』第50巻1号、pp.43-48。

成績評価の方法及び基準 レポート:各回の講義の学びに関わる課題の提出による評価(単位取得おいて14回分全ての課題提出は不可欠)(70%)、授業内テスト:講義全体の学びをふまえて作成する試験に替るレポート提出による評価(単位取得おいて試験に替るレポート提出は不可欠)(30%)
成績評価は14回分の課題提出(5点・14回:70点)と試験に替るレポート30点の合計100点により行う。なお、単位取得おいて14回分全ての課題提出と試験に替るレポート提出の双方が不可欠である。
オフィスアワー メール、Canvasを用いて質疑応答を行う。
備考 講義担当者(文理学部教育学科教授・博士(教育学))の専門は特別支援教育・特別ニーズ教育・当事者研究・発達教育学・特別教育史・北欧特別教育ケア・矯正教育等であり、40年以上にわたり、当該分野の理論と実践に取り組んできた(東京学芸大学名誉教授・放送大学客員教授)。これまで法務省矯正局外部アドバイザー・日本特別ニーズ教育学会代表理事・日本特殊教育学会副理事長・地域自立支援協議会会長等の社会的活動を行いながら、現在も毎週1回、児童発達支援センター・少年院・歯科大学病院口腔リハビリテーション摂食外来等における発達相談臨床に取り組んでいる。またこれまでに30年、25回にわたり北欧福祉国家(スウェーデン、ノルウェー、アイスランド、フィンランド、デンマーク)において子ども・若者の特別ケアに関する訪問調査研究に取り組んできたので、それらの研究成果や実践をふまえながら講義を進めていく。

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