文理学部シラバスTOP > 文理学部 > 数学科 > 微分積分学2(含演習)
日本大学ロゴ

微分積分学2(含演習)

このページを印刷する

令和2年度以降入学者 微分積分学2(含演習)
教員名 山浦義彦
単位数    3 学年 1~4 開講区分 文理学部
科目群 数学科
学期 後期 履修区分 必修
授業形態 対面授業
授業の形態 対面講義
Canvas LMS による資料アップロード, および, 報告書(講義毎)の提出あり.
Canvas LMSコースID・コース名称 P008230E7 2024微分積分学2(含演習)(山浦義彦・後・金1・金2)
授業概要 当科目の前期科目である「微分積分学1」でも数列の極限, 関数の極限, 関数の連続性は取り扱った. それは数学的な定義に基づく議論ではなくあくまで直観に頼った「限りなく近づく」というある種の文学的表現を基礎としていた. そのため, 極限に関する様々な性質は証明すべき定理ではなく, 当たり前として受け入れるべき「特徴づけ」という位置づけに甘んじていた. 高等学校で受験問題を解くためにはこのような極限の理解で全く問題はなかった. しかしながら, これから4年間にわたり専門数学を理解していく上ではこのレベルの理解では到底進んだ内容を理解することはできない.そこで, イプシロン-デルタ論理式による極限の定義を出発点とするのが本講義の内容である.はじめに,中学校で学ぶ一次関数・二次関数を例にイプシロン-デルタ論理式を学ぶ.これは一切直観を交えることなく定量的に定義される厳密な数学的定義であるため,これまでは当たり前であると考えられた様々な現象が, 証明すべき定理になる. たとえば,極限がただ一つである, という事実は高等学校では教科書にすら登場しない. しかし,これさえも, イプシロン-デルタ論理式を出発点とすれば決して自明な性質ではなくなる.また, 高等学校ではほとんど扱われることのない振動する数列に対してもそこから収束する部分列を見つけ出すという Bolzano-Weierstrass の定理 (コンパクト性定理)を学ぶ.関数の連続性の理解と相まって, 以上の道具を使うことにより, 高等学校の教科書には1行で証明なしで認めるべき事実として紹介されている「連続関数の最大値原理」を厳密に証明することができる.
授業のねらい・到達目標 【授業のねらい・到達目標】
・最大値という概念を理解して, 具体的問題に対して証明ができる.
・実数からなる集合が上に有界である, ないという概念を理解して具体的な問題に対して証明ができる.
・上界値と上限値を理解して, 具体的問題に対して証明ができる.
・上限値であることの同値条件を理解して, 具体的問題に対して証明ができる.
・数列の収束をイプシロン-エヌ論理式で理解し, 具体的問題に対して証明ができる.
・実数の完備性の証明を理解できる.
・ボルツァーノ-ワイエルシュトラスの定理の証明を理解できる.
・関数の連続性をイプシロン-デルタ論理式で理解し, 具体的問題に対して証明ができる.
・中間値定理の証明が理解できる.
・連続関数の最大値の証明が理解できる.

【ディプロマポリシーとの関係】
この科目は文理学部(学士(数学))のディプロマポリシーDP3,4,6,8並びにカリキュラムポリシーCP3,4,6,8に対応しています。

【日本大学教育憲章との関係】
・数理科学に基づいて学んだ知識をもとに、物事の本質を論理的、客観的に捉えることができる(A-3-2)。
・日常生活における現象に潜む数理科学的問題を発見し、内容を説明することができる(A-4-2)。
・周りの人々と相互に意思を伝達することができる(A-6-1)。
・自分の学修経験の振り返りを継続的に行うことができる(A-8-1)。
授業の形式 講義、演習
授業の方法 原則として対面で実施します. なお, やむを得ない事情で欠席した場合, あるいは復習の勉強用として活用できるように, Canvas LMS に過年度に作成した講義ビデオをアップロードしますので活用ください. 講義毎に, A4用紙1枚の「演習問題」を配布し, 演習時間に解いていただき, 質問や相談は自由にできるようにします. 受講後に詳細解説入りの「演習書」を用いて各自, 自学を行っていただきます. 講義内容に関する質問は, 対面ならば講義時間内に直接, また, 対面, 遠隔にかかわらず, Canvas LMS およびメールで随時受け付けます.
演習の模範解答は, 講義の翌週の火曜日の朝6:00に Canvas LMS の課題ボックスにアップロードします.

 受講生は, 講義の一週間後の木曜日までに「復習成果報告書」を Canvas LMS に提出してください. 報告書内の質問等には Canvas LMS でフィードバックします. 本授業の事前・事後学習は事後に毎日2時間から3時間の学習を目安とします.

※「学部(学科)が認めた者」以外の遠隔希望者の扱いについて.
過年度に作成した同じ回の講義ビデオと, 当日実施した「演習」の pdf を Canvas LMS にアップロードします. 以上をもって受講の代わりとすることができます. 欠席がむを得ない事情(感染症陽性, 濃厚接触など)であれば, 出席点は対面の場合と同じ点数を加点します.
授業計画
1 【第1回講義】 ガイダンス,最大値, 有界性
実数の集合の「最大値・最小値」の定義を改めて理解し, 具体例に対する厳密な証明を学ぶ.
【事前学習】 高等学校での最大値・最小値の扱いを復習しノートにまとめること. (2時間)
【事後学習】 最大値・最小値の定義における最も大切な命題を理解すること. 具体的な問題に対して証明ができるようにし, ノートにまとめること (A-4, A-8). (3時間)
【授業形態】対面授業、オンデマンド型授業
2 【第2回講義】 上界値, 上界集合, 上限値
実数からなる集合の「有界性」の定義を学び, 具体例に対する厳密な証明を学ぶ.
【事前学習】テキスト第2回講義内容に目を通し, ノートにまとめること. (2時間)
【事後学習】 直観的な理解と論理式による理解の両面から「有界性」を理解し, 具体的な問題に対して証明ができるようにして, ノートにまとめること (A-4, A-8). (3時間)
【授業形態】対面授業、オンデマンド型授業
3 【第3回講義】上限値 -- 再考
実数からなる集合に対して「上界値」と「上限値」を理解する.
【事前学習】テキスト第3回講義内容に目を通し, ノートにまとめること. (2時間)
【事後学習】上に有界であることと上界値の存在が同値であることを理解する. また, 上界値と上限値の違いを理解する (A-8). (3時間)
【授業形態】対面授業、オンデマンド型授業
4 【第1回講義】から【第3回講義】の内容に即した演習問題を解いてもらい, 事後に解説を行う.
【事前学習】 微分積分学1で学んだ「テイラー級数展開」を復習しノートにまとめること (A-8). (6時間)
【事後学習】テイラー級数展開は無限級数であり, 極限の概念を用いて 定式化される. これに対して, 誤差項つきのテイラー展開を学ぶ. 具体的な問題に対して証明ができるようにし, ノートにまとめること (A-4). (4時間)
【授業形態】対面授業、オンデマンド型授業
5 第1回授業内中間試験 [原則対面] とその解説 (A-3, A-4).
【試験範囲】第1回講義 ~ 第3回講義の内容
【事前学習】【第1回講義】から【第3回講義】の内容を復習しノートにまとめること.(A-8). (10時間)
【事後学習】模範解答を参考にして, 解けなかった問題に対する理解を深め, ノートにまとめること . (3時間)
【授業形態】対面授業
6 【第4回講義】 数列の収束
数列の収束性をイプシロン-エヌ論理式に基づいて理解する.
【事前学習】 高等学校の教科書では「数列の収束」をどのように規定し, どのように 扱っていたかを復習し, ノートにまとめること. (2時間)
【事後学習】 高等学校での数列の収束性の規定方法と イプシロン-エヌ論理式による定義を比較し, 直観的イメージをつなげること. 具体的な問題に対して証明ができるようにし, ノートにまとめること (A-5). (3時間)
【授業形態】対面授業、オンデマンド型授業
7 【第5回講義】 Bolzano-Weierstrass の定理
収束数列と有界性の関係から, Bolzano-Weierstrass の定理が自然に理解されることを学ぶ.
【事前学習】 収束性と有界性を明確に区別し, ノートにまとめること. (2時間)
【事後学習】 収束列が有界であることを証明まで込めて理解し, ノートにまとめること.. 逆命題は必ずしも成り立たないことを理解し, その結果 Bolzano-Weierstrass の定理を学ぶというストーリーを学ぶ (A-5). (3時間)
【授業形態】対面授業、オンデマンド型授業
8 【第6回講義】 Cauchy 列と実数の完備性
コーシー列の概念導入と, その意味を学ぶ. 応用として実数の完備性を学ぶ.
【事前学習】 高等学校の数IIIにおいて「自明」とされていた事項を探し出して, ノートにまとめること. (2時間)
【事後学習】コーシー列と収束列の違いを明確に理解し, ノートにまとめること(A-5). (3時間)
【授業形態】対面授業、オンデマンド型授業
9 【第4回講義】から【第6回講義】の内容に即した演習問題を解いてもらい, 事後に解説を行う.
【事前学習】関数の「対応」による定義を思い出し, その規約に 基づいて具体的な問題の証明ができるようにしておくこと. (6時間)
【事後学習】 何故三角関数の「逆対応」が「関数」にならないのかを 理解し, その結果として定義されるいわゆる「逆三角関数」について 理解する. さらにその微分や積分の問題も解けるようにしておくこと. (4時間)
【授業形態】対面授業
10 第2回授業内中間試験 [原則対面] とその解説 (A-3, A-4).
【試験範囲】第4回講義 ~ 第6回講義の内容
【事前学習】【第4回講義】から【第6回講義】の内容を復習しておくこと(A-8). (10時間)
【事後学習】模範解答を参考にして, 解けなかった問題に対する理解を深め, ノートにまとめること. (3時間)
【授業形態】対面授業
11 【第7回講義】 関数の連続性
関数の極限と連続性の概念をイプシロン-デルタ論理式で定義する.
【事前学習】微分積分学1で学んだ関数の連続性の定義を確認し, ノートにまとめること.. (2時間)
【事後学習】 lim 記号を用いた連続性の定義と, 講義で学んだイプシロン-デルタ論理式 による定義が直観的に整合性が取れていることを深く理解し, ノートにまとめること (A-5). (3時間)
【授業形態】対面授業、オンデマンド型授業
12 【第8回講義】 中間値定理
中間値定理の証明を理解する (A-3).
【事前学習】中間値定理の証明における背理法で要となる, 上限値の概念とその同値条件を復習し, ノートにまとめること. (A-3). (2時間)
【事後学習】高等学校ではグラフを描いて「自明」で済ませていた 中間値定理が, 本講義ではいかにして厳密に証明できたのか, 原理を追究し, ノートにまとめること (A-3, A-5, A-8). (3時間)
【授業形態】対面授業、オンデマンド型授業
13 【第9回講義】 最大値原理
連続関数の最大値の定理の証明を理解する (A-3).
【対
【事前学習】 高等学校の教科書では連続関数に最大値が存在することを どのように記述されているかを確認し, ノートにまとめること (A-3). (2時間)
【事後学習】高等学校ではグラフを描いて「自明」で済ませていた 連続関数の最大値の存在について, 本講義ではいかにして厳密に証明できたのか, 原理を追究し, ノートにまとめること (A-4, A-5, A-8). (3時間)
【授業形態】対面授業、オンデマンド型授業
14 演習【第7回講義】から【第9回講義】の内容に即した演習問題を解いてもらい, 事後に解説を行う.
【事前学習】これまで学んだ論理式の正確な読解を確認し, ノートにまとめること. (6時間)
【事後学習】論理式に基づいて証明する練習を行い, ノートにまとめること. (4時間)
【授業形態】対面授業
15 授業内期末試験 [原則対面] とその解説 (A-3, A-4).
【試験範囲】第1回講義 ~ 第9回講義の内容 (10,3)
【事前学習】【第1回講義】から【第9回講義】の内容を復習しておくこと(A-8). (10時間)
【事後学習】[事後] 模範解答を参考にして, 解けなかった問題に対する理解を深め, ノートにまとめること. (3時間)
【授業形態】対面授業
その他
教科書 教科書はすべて微分積分学1受講の際に購入していただいた簡易製本版のテキストです.
新たに追加で必要になるテキストはありません.
参考書 水本久夫 『微分積分学の基礎 (培風館)』 培風館 第1版
指定講義ノート, 演習書, 問題集等はすべて前期に購入していただいたテキストをそのまま使いますので追加購入の必要はありません.
成績評価の方法及び基準 授業内テスト:合計3回の授業内試験結果(80%)、授業参画度:受講報告書, 復習成果報告書(20%)
授業内テスト80% と 授業参画度 20% の根拠はおよそ以下の通りです.
(1) 授業内試験は, 各回ともにおよそ 250点から300点満点の試験になります.
目安として, 3回合計でおよそ 800点程度になる予定です.
(2) 演習問題答案兼受講報告書, 復習成果報告書(いずれも質問応答の伝達欄あり)はそれぞれ10回程度で毎回10点ですので, 合計200点満点程度になります.
以上により, パーセントを算出しました.
オフィスアワー 木曜日3限. 金曜日3,4限. 研究室にて質問に応じます.
その他, メール, Canvas LMS でも質問を随時受け付けます.
備考 「事前学習・事後学修」に関する学習時間は目安です.

【重要】 Canvas LMS の登録は必ず行ってください. なお, 登録は1,2限のどちらにも登録可能ですが, 本講義では「1限講義」を使用しますので, 学生は「1限講義」に対して登録をしてください.

このページのトップ