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物性物理学2

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令和2年度以降入学者 物性物理学2
教員名 橋本拓也
単位数    2 学年 3・4 開講区分 文理学部
科目群 物理学科
学期 後期 履修区分 選択
授業形態 対面授業
授業の形態 対面講義。Canvas LMSは講義で使用したパワーポイントファイルの公開やレポート提出などに使用する。
Canvas LMSコースID・コース名称 R046252J7 2024物性物理学2(橋本拓也・後・水3)
授業概要 “物性”すなわち、物質の性質をミクロの物理法則から理解する。物性物理学では、物質の巨視的な性質(色、電気特性など)を、物質中のイオンと電子の振舞いにさかのぼって微視的に理解する。ここでイオンや電子の運動を記述するため量子力学が必要となり、また熱平衡状態の莫大な個数の粒子を扱うため熱力学・統計力学が必要となる。後期開講の本講義では、結晶固体の電子物性を中心に学ぶ。まず、自由電子モデルを用いて、波数空間、状態密度、フェルミ準位等の概念に親しむ。次に結晶格子ポテンシャルによって、電子のエネルギーバンド構造が生じることを学ぶ。エネルギーバンド構造に基づいて、固体の電気物性(金属、半導体、絶縁体)や光学特性が理解できることを示す。またバンド構造を結晶構造の関連も定性的に示す。
授業のねらい・到達目標 「物性物理学2」では、まず多電子系を扱うための一体近似(平均場近似)について説明する。次に自由電子モデルを用いて、波数空間、状態密度、フェルミ準位等の概念に親しむ。次に結晶格子ポテンシャルによって、電子のエネルギーバンド構造が生じることを学ぶ。エネルギーバンド構造に基づいて、固体の電気物性(金属、半導体、絶縁体)や光学特性が理解できることを示す。エネルギーバンドの応用として、半導体や透明導電体の電子状態を学び、これが応用されているデバイスの原理を学ぶ。
・多電子系を扱うための一体近似(平均場近似)について説明できる。(A-3-1)
・自由電子モデルを用いて、固体中の電子の状態密度、フェルミ準位等を計算できる。(A-3-1)
・周期的な格子ポテンシャルのある場合のシュレーディンガー方程式を波数空間で書き表すことができる、(A-3-1)
・電子のエネルギーバンド、エネルギーギャップについて説明できる、(A-3-1)
・ユニットセル中の価電子数とエネルギーバンドの占有数の関係を説明できる、(A-3-1)
・エネルギーバンド構造にもとづいて金属、絶縁体に分類できる、(A-3-1)
・代表的な結晶のエネルギーバンド構造を理解して、状態密度から物質の物性を予測できる、(A-3-1)
・真性半導体、不純物半導体(p型、n型半導体)、ドナー準位、アクセプター準位について説明できる、(A-3-1)
・pn接合、ダイオード、太陽電池の原理を説明できる、(A-3-1)
・バンド構造を結晶構造の相関を透明導電体を例として説明できる。(A-3-1)
・物事を科学的根拠に基づいて批判的、論理的に考察し、既存の知識にとらわれることなく、物事の本質を捉え説明することができる(A-3-3)。

この科目は文理学部(学士(理学))のDP3及びCP3に対応しています。
授業の形式 講義
授業の方法 15回を対面で実施する。Canvas LMSは講義で用いた資料の公開やレポート提出など補助的に使用する。また毎回課題レポートを課する。課題レポートが合格に至らないと判断すれば再提出を求めたり、レポートが酷いと判断されたら再提出を禁止しレポート未提出と同じ扱いにする。対面講義に不安のある学生については個別に相談に応じる。
授業計画
1 イントロダクションとして、物性物理学とは何かをもう一度説明する。また物性物理学2で学ぶ授業内容を概観する。(A-3)
【事前学習】】3年次前期の「物性物理学1」のノートを復習しておく。 (2時間)
【事後学習】講義ノートを作成する。課題レポートを作する。 (2時間)
2 古典力学の範囲で説明できる現象として金属の反射率を扱う。古典力学を用いて自由電子金属の誘電率を計算する。誘電率と光の反射率の関係を学ぶ。光の振動数がプラズマ振動数以下の場合、光が全反射して金属光沢が生まれることを学ぶ。(A-3)
【事前学習】電磁気学で学んだ誘電率、マクセル方程式等の復習をする。 (2時間)
【事後学習】ノートを読み返し理解不⾜を補う。課題レポートを作成する。 (2時間)
3 多電子系のシュレーディンガー方程式を復習する。電子間クーロン相互作用を近似的に取り扱う方法として、一体近似(平均場近似)について説明する。平均場近似が成り立つ物質、成り立たない物質(強相関系)があることを学ぶ。(A-3)
【事前学習】「量子力学1」で学んだ1電子のシュレーディンガー方程式の復習をしておく。 (2時間)
【事後学習】課題レポートを作成する。 (2時間)
4 固体中の電子状態の第0近似として自由電子モデルを扱う。パウリの排他律とスピン自由度を考慮して。1次元、2次元、3次元の電子系について基底状態を計算する。フェルミ波数、フェルミエネルギー、フェルミ面、状態密度について学ぶ。(A-3)
【事前学習】無限障壁の井戸型ポテンシャル中の電子のシュレーディンガー方程式の解法を復習しておく。 (2時間)
【事後学習】課題レポートを作成する。 (2時間)
5 エネルギーバンド中の電子に外場が加わったとき、電子の波数ベクトルの時間変化を決める運動方程式を導く。自由電子モデルでは、電場をかけると電子のフェルミ球が電場と反対方向にシフトして電流が生じることを学ぶ。(A-3)
【事前学習】次回テーマに関して参考書等に目を通しておく (2時間)
【事後学習】課題レポートを作成する。 (2時間)
6 金属の電気抵抗の原因になる不純物、フォノンとの衝突について説明し、緩和時間近似で金属の電気伝導率、抵抗率を計算する。また金属の電気抵抗の温度変化の原因を学ぶ。(A-3)
【事前学習】「物性物理学1」で学んだ格子振動フォノンについて復習する。 (2時間)
【事後学習】課題レポートを作成する。 (2時間)
7 結集ポテンシャルが逆格子ベクトルを用いてフーリエ展開できることを示す。Blochの定理を説明して、結晶の電子は波数ベクトルを量子数に持つことを学ぶ。電子のシュレーディンガー方程式を、平面波表示で表し、エネルギー固有値の計算が行列の対角化になることを学ぶ。(A-3)
【事前学習】線形代数で学んだ行列の固有値方程式の復習をしておく。 (2時間)
【事後学習】課題レポートを作成する。 (2時間)
8 第7回で導いた波数 kをもつの電子の固有値方程式を1次元の場合に適用して、Brillouin域境界でエネルギーギャップが生じることを学ぶ。一般化して、3次元結晶のエネルギーバンドとバンドギャップについて学ぶ。(A-3)
【事前学習】2x2の行列の固有値方程式の解法を復習する。エルミート行列の固有値がじっすであることを復習しておく。 (2時間)
【事後学習】課題レポートを作成する。 (2時間)
9 エネルギーバンドに収容できる電子数が、スピンに関して縮退していればユニットセル当たり2個であることを説明する。これを用いて固体を金属と絶縁体に分類する。代表的な、単純金属、遷移金属、絶縁体について第一原理計算で得られるエネルギーバンド構造を説明する。(A-3)
【事前学習】単純金属と遷移金属について「化学」で学んだ性質の違いをまとめておく。 (2時間)
【事後学習】課題レポートを作成する。 (2時間)
10 エネルギーバンド理論が成功した例として半導体の物理を学ぶ。真性半導体と不純物半導体(p型、n型半導体)について学ぶ。間接ギャップと直接ギャップ半導体の違いについて学ぶ。半導体pn接合の界面領域における電子状態を取り上げる。pn接合に正負のバイアス電圧をかけたときの電流について学ぶ。pn接合を2つ組み合わせたバイポーラ型トランジスターの原理と太陽電池の原理を学ぶ。(A-3)
【事前学習】高校「物理」で半導体について復習しておく。 (2時間)
【事後学習】課題レポートを作成する。 (2時間)
11 エネルギーバンド理論と結晶構造の相関を考慮して新材料の開発に成功した例として透明導電体について解説する。本物質の応用や求められている特性について解説する。(A-3)
【事前学習】配布したプリントを読んで理解する。 (2時間)
【事後学習】課題レポートを作成する。 (2時間)
12 透明導電体などで考慮が必要な欠陥について概説する。欠陥の量や状態の制御や物性に与える影響について解説する。(A-3)
【事前学習】配布予定のプリントを読んで理解する。 (2時間)
【事後学習】課題レポートを作成する。 (2時間)
13 欠陥の状態や濃度の測定方法について概説する。この測定には光物性・電気物性・化学的な評価が必須であることを理解する。(A-3)
【事前学習】次回テーマに関して参考書等に目を通しておく (2時間)
【事後学習】課題レポートを作成する。 (2時間)
14 これまでの授業を振り返り、期末テストを実施する(A-3-3)
【事前学習】これまでの授業内容について復習しておくこと。 (2時間)
【事後学習】解けなかった問題について、もう⼀度ノート等を参照して解きなおすこと (2時間)
15 まとめおよび反省会。これまでの復習・解説を⾏い,講義内容の理解を深める(A-3)
【事前学習】「物性物理学2」のテキストをまとめたノートを整理して、4年次の「特別研究A,B」に備える (2時間)
【事後学習】事前学習の続きを⾏う。 (2時間)
その他
教科書 使用しない
参考書 使用しない
成績評価の方法及び基準 試験(100%)
基本的には試験の成績で評価する。試験の成績が不十分ではあるが、課題レポート提出状況・課題レポート内容がある程度あるものについては反省会で実施する追試験の結果も考慮する。なお試験を受けなかった学生については個別に相談し理由によっては追試を許可することも有り得る。
オフィスアワー 授業内容に関する質問はメールまたは対面で受け付けます。後者の場合は時間を調整して、物理学科図書室または本館1階で応対します。

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