科目名  環境と生命2
          環境と生命2
  
2 単位  
 
 
1~4 年  
後期 
選択 
教員名  横井 洋太 
授業テーマ
動的複合体としての生命と環境 
授業のねらい・到達目標
生命と環境は相互に影響し合い、動的に変動するシステムを形成している。この授業では、生命と環境の相互作用により形成されているシステム、すなわち個体群、群集、生態系、バイオームなどの様々な様相を知ることにより、環境と生命が不可分なものであることを理解してもらう。そして、現在、地球上で、ある意味では、過剰に繁栄している我々人類が今後直面していかざるを得ない様々な環境問題に、学生が向き合う為の科学的基盤の形成の一助とすることを目標とする。 
授業の方法
パワーポイントにより資料を提示し、それに基づく事項の解説を中心にして授業を進める。したがって、板書は最小限にとどめる。提示する資料は第1回目は当日に、2回目以降は事前にプリントして配布する。教科書は使用しない。 
履修条件
前期に開講する「環境と生命1」を履修しておくことが望ましい。 
事前学習・授業計画コメント
事前に配布するプリントにより、講義内容の大枠を頭に入れ、未知の用語や図表について予習をしておくことが望ましい。また、授業終了後には、授業中にとったメモとプリントをつき合わせて整理し、授業ノートを作成して、授業内容の体系的な理解をして欲しい。 
授業計画
1
生命体と環境概念:この授業の主題である「生命体」と「環境」に関する基礎的知識を解説する。 
2
環境への適応と進化:現在の地球の多様な生物は、それぞれその環境に見事に適応している。この環境への適応を生み出した機構とその結果として為された生物の進化について概説する。 
3
無機的環境と個体の機能1.水分環境:代表的な環境要素である水分に対する生物体の反応と適応の様相を概説する。 
4
無機的環境と個体の機能2.温度環境:水分と並んで主要な環境要素である温度に対する生物体の反応と適応の様相を概説する。 
5
生活史と環境:生物はそれぞれ固有の成長、生殖、繁殖、死亡のスケジュール、すなわち生活史を持っている。この生活史が、環境に対する主要な適応形質であることを解説する。 
6
抑圧的環境要素としての同種個体:生物の各個体にとって、他の生物個体は重要な環境要素である。この生物的環境要素のうち同種個体の抑圧的作用について解説する。
 
7
促進的環境要素としての同種個体:同種個体は抑圧的作用を及ぼす一方、必須の環境要素でもある。個体の生活を支える促進的要素としての同種個体の作用について解説する。
 
8
環境としての異種個体群:個体群の存続の主要な条件は、その環境要素の一つである異種の個体群との作用・反作用関係である。この関係を概説し、その結果として作られる生物群集の生命系としての意義を解説する。
 
9
環境形成作用と遷移:生命体は、必然的に環境に影響を与え、環境を変化させる。変化した環境は生物に新たな作用を行い、その結果変化した生物群集は、また、新たな環境形成を行う。この遷移現象を概説し、環境と生命の係わり合いを基盤にした自然の動態について解説する。 
10
生態系:生物と環境は密接に関連しているため、それぞれを構成要素とするひとつのシステムとして認識される。これを生態系と呼ぶ。この生態系の構造と機能について解説する。 
11
地球環境とバイオーム:地球の一領域としての生物の世界の様相とその地球規模の環境について、バイオームの視点から解説する。 
12
地球環境の変遷と生物世界の変化:生命の起源を支えた環境の概説と、その後38億年間の地球環境の変遷に果たした生物の役割り、及び、その環境の変化による生物世界の変化に付いての解説する。 
13
人間と環境:ヒトの生物的特異性とその強い環境形成作用を概説し、その結果作り出された環境が生命体に及ぼしている作用の様相を解説する。
 
14
理解度の確認:授業内容に関わる幾つかの設問について記述させ、受講者の理解度を判定する。 
15
補足とまとめ及び質疑 
その他
参考書
石川統 監訳  『ケイン 生物学』  東京化学同人  2004年
日本生態学会 編  『生態学入門』  東京化学同人  2004年
巌佐庸・松本忠夫・菊沢喜八郎・日本生態学会  『生態学事典』  共立出版  2003年
「ケイン生物学」は生物学の教科書であるが、生命と環境の関係を特に意識した構成であり、本授業の内容と共通点が多い。「生態学入門」と「生態学事典」は生物の生活と環境の関わりの科学である生態学の基礎・基本を学ぶのに適している。 
成績評価の方法
及び基準
授業内テスト(70%) 、 授業参画度(30%)
コメント[成績は、第13回目に行う理解度の確認のための設問に対する記述の内容を100点満点で評価し、60点以上を合格とする。なお、出席が2/3に満たない者や不正出席を行った者は評価の対象としない。]
オフィスアワー
設置しない。 
備考
なし