現代を読み解くための社会思想２

授業テーマ	社会思想を通じて、われわれが逃れることのできない現代社会の2大特徴、資本主義と大衆社会の核心に迫る。後期の授業テーマは、「大衆社会における人間存在のありかた」である。
授業のねらい・到達目標	大衆社会とそれが生み出す現代文明のあり方、そしてそこに生きる人間の諸問題を様々な社会思想を通じて読み解き、その本質的な問題の所在と解決への道筋を考える。
授業の方法	講義形式が中心となるが、たんに社会思想のエッセンスを述べるにとどまらず、それらが現代に与えた影響、そして何よりもそこから現代がいかに読み取れ、いかなる解決の道筋を教えてくれるのか言及したい。
事前学修・事後学修，授業計画コメント	高校時代に使用した『倫理』『政治・経済』『現代社会』の教科書や資料集は結構役立ちます。取り上げる思想家に関する予備知識を事前学習する場合等に活用してください。

授業計画
1	大衆社会における「死に至る病」と「限界状況」（実存主義哲学者キルケゴールとヤスパースの問題提起）
2	全体主義国家と大衆の登場(マンハイムの名著『変革期における人間と社会』における危機感)
3	大衆社会論の諸類型１（中間集団無力説）
4	大衆社会論の諸類型２（過剰同調説）
5	大衆社会における権力、消費、そして孤独(ライト・ミルズ、リースマン、ボードリヤールの諸見解)
6	大衆社会と自我問題1（ニヒリズムと｢超人｣思想をめぐるニーチェの人間理解)
7	大衆社会と自我問題2（｢エロスとタナトス｣論をめぐるフロイトの文化的ペシミズム論)
8	大衆社会における人間の連帯可能性1(フォイエルバッハが強調する「類的存在」とは何か)
9	大衆社会における人間の連帯可能性2（デュルケムの有機的連帯が意味するもの）
10	大衆社会論批判1（ホルクハイマー/アドルノの『啓蒙の弁証法』にみられる道具的理性論からの問いかけ）
11	大衆社会論批判2(パーソンズ社会進化論における新たな近代人の定義)
12	大衆社会論批判3(ダニエル・ベルによる高度知識社会の現状分析)
13	学習到達度の確認
14	社会思想にかかわる文献調査
15	再び実存主義者たちとの対話(アドルノのキルケゴールおよびハイデッガー批判)

その他
教科書	なし
参考書	重要な古典とその良質な解説書は授業中に指示する。
成績評価の方法及び基準	試験(70%)、授業参画度(30%)
オフィスアワー	社会学科松岡雅裕研究室。原則水・木・金曜日。
備考	本講義は、前期開講の「現代を読み解くための社会思想１」と相互に密接な関連をもっている。後期のみの受講では理解が困難になることが予想されるので、両方受講することが望ましい。なお、本講義の基礎的理解を得るために、松岡担当の総合教育科目「思想と文化2（前期開講）」を併せて受講することが望ましい。