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総合研究2

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科目名 総合研究2
教員名 浅野 麗・黒岩 裕市・尾形 龍太郎
単位数    2 課程 前期課程 開講区分 文理学部
科目群 国文学専攻
学期 集中 履修区分 選択
授業テーマ 現代文学の諸相
授業のねらい・到達目標 現代文学が描く問題が先鋭化するほど、分析する側の理論や態度にも精緻さが要求される。本講義では、3人の講師によるオムニバス授業により、現代文学への分析的アプローチを学び、また、出版状況についての理解を深めることを目的とする。
黒岩裕市氏は、〈性の多様性〉、あるいは、〈性の個人化〉や〈性の脱政治化〉といった性をめぐる近年の論点を踏まえ、それらを手がかりにしつつ現代の小説を読む。
浅野麗氏は、〈周縁化された地域の終局〉を描く作品について、終局への〈抵抗〉の論理、また新たな連帯の方法について講義する。〈反差別〉に拠る〈改善〉が、新たな権力構造に基づく不安定な場を生み出す様相や、独特の抗いの様式を成す表現の可能性について論じる。
尾形龍太郎氏は、現役の編集者(河出書房新社)の立場から、コンテンツ(情報)を編集し、読者と繋げる(伝える)編集者の仕事について講義し、情報発信媒体の可能性や、著者・会社・編集者・読者、さらには社会……様々な立場における「いい本」の基準をあらためて考え直していく。
授業の方法 9月11日から13日の集中講義である。1日目(第1回~第5回)は黒岩裕市氏、2日目(第6回~第10回)は浅野麗氏、3日目(第11回~第15回)は尾形龍太郎氏が担当する。
事前学修・事後学修,授業計画コメント 第11回から第15回では、基本的な「本」の構造を授業で説明するため、各自単行本をなんでもいいので持参する。詳細は第1日目の授業で指示する。
授業計画
1 現代の性をめぐる議論――個人化、脱政治化
2 村上春樹「偶然の旅人」を読む
3 よしもとばなな『王国その1』『王国その2』『王国その3』を読む
4 よしもとばなな『アナザー・ワールド 王国その4』を読む
5 〈性の多様性〉を再考する(小括)
6 中上健次『地の果て至上の時』を読む(1)―〈廃墟〉のネットワーク―
7 中上健次『地の果て至上の時』を読む(2)―妄想の〈共同体〉―
8 笙野頼子『水晶内制度』を読む―〈原発〉と女たちの終わりと始まり―
9 町田康『告白』を読む―軋む〈ムラ〉からの告白―
10 小括
11 「編集者」という仕事(1)会社としての出版社/編集者の位置
12 「編集者」という仕事(2)書籍・雑誌の編集/編集者が出会う人々
13 「編集者」という仕事(3)作家と編集者の関係
14 「編集者」という仕事(4)「売れる」とは?「いい小説」とは?/ディスカッション
15 「編集者」という仕事(5)「編集」の可能性/ディスカッション
その他
教科書 中上健次 『地の果て至上の時』 新潮文庫 1993年
笙野頼子 『水晶内制度』 新潮文庫 2003年
町田康 『告白』 中公文庫 2008年
村上春樹 『東京奇譚集』 新潮文庫 2007年
よしもとばなな 『アナザー・ワールド 王国その4』 新潮文庫 2012年
恩田陸 『ブラザー・サン シスター・ムーン』 河出文庫
上記以外はプリントで配布する。
参考書 ロベルト・エスポジト(岡田温司訳) 『近代政治の脱構築 共同体・免疫・生政治(第Ⅰ部・第1章、第2章、第3章)』 講談社 2009年
ジュディス・バトラー(佐藤嘉幸・清水知子訳) 『自分自身を説明すること―倫理的暴力の批判』 月曜社 2008年
内田隆三 『国土論』 筑摩書房 2002年
上記以外は、適宜授業内で紹介する。
成績評価の方法及び基準 レポート(80%)、授業参画度(20%)
オフィスアワー 質問等は、授業後に受け付ける。
備考 授業開始前の質問などは、コーディネーターの小平麻衣子に問い合わせること。

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