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科目名 | イギリス文学特殊講義2 | ||||
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教員名 | 野呂 有子 | ||||
単位数 | 2 | 学年 | 4 | 開講区分 | 文理学部 |
科目群 | 英文学科 | ||||
学期 | 後期 | 履修区分 | 選択必修 |
授業テーマ | 16世紀英国エリザベス朝の花Edmund Spenser、16世紀から17世紀初頭の英国演劇界に燦然と輝く、William Shakespeare、17世紀英国の国民的叙事詩人John Milton、英国の特殊な宗教・政治状況を反映して翻訳の多い、聖書英語訳書などの作品を総合的に扱うことによって、英国近代の文学、思想、歴史、宗教的背景について理解を深める。さらに、通常は文学者の中には位置づけられることの少ないエリザベス女王についても光を当てて、後の英国に女性作家たちの花園となるに至った契機がこの女王にあること、さらに、女性が男性に劣らぬ資質を備えた存在であると認識したミルトンの作品が後代の女性作家たちに与えた影響を総括的に俯瞰・検証する。 |
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授業のねらい・到達目標 | 近代英語の根幹を為す三本柱はShakespeare、The Authorized Version of King James Bible(通称、『欽定英訳聖書』)そしてMiltonであることは英米では常識であるが、日本ではなぜかShakespeareと『欽定英訳聖書』のみが取り沙汰され、Miltonは等閑視されている。本講義ではミルトンや、スペンサー、そして、通常は文学者としては位置づけられることの少ないエリザベス女王も視野に入れて考察を行う。そしてによって、彼らが近代英語と英国文化(特に男女平等と民主主義)の礎となるという事実に対する受講学生の理解を促すことを狙いとする。特に、エリザベス一世から多くのinspirationを受けたと想定される、ジョン・ミルトンの作品と文体について綿密に考察を行い、叙事詩の伝統の最後を飾るミルトンが、後の女性作家たちに与えた影響の大きさに対する受講学生の理解を促すことを目標とする。さらに、ミルトンが欧米の自由と民主主義の先駆けとなる文書を作成したことにも言及し、今日の民主主義の源流が英国ルネッサンスにあるという事実に対する受講学生の理解を促すことを到達目標とする。 |
授業の方法 | 主として担当教師がテーマに沿って講義形式で授業を行う。 |
履修条件 | 後学期は、主として当時の文学作品の位置づけ、宗教、政治などについて、当該作家たちとの関連で全体を俯瞰する。授業計画はあくまでも計画であるので、実際の授業の進行状況によって、ある程度の変更がありうることを、あらかじめ承知されたい。 |
事前学修・事後学修,授業計画コメント | 学生は配付資料に必ず事前に目を通して、授業内容の大枠をあらかじめ理解しておくことが望まれる。当該作家の作品については、優れた日本語訳が入手可能であるため、授業開始以前に主な作品を日本語訳で読了しておくことが授業の速やかな理解には欠かせない。また、野呂有子の研究サイト(ジョン・ミルトンを中心にして)Yuko Kanakubo Noro’s Web site with special emphasis on John Milton(http://www.milton-noro-lewis.com/database.html)には論文執筆の参考になるよう、野呂自身が過去に執筆した論文約40本を掲載してある。この中から自分の興味のあるものを漸次、読み進めて、可能な限り多くを読んで、「論文」というものに慣れ親しんでおくことを推奨する。 |
授業計画 | |
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1 | イントロダクション(授業のテーマや到達目標および授業の方法について説明する) |
2 | 文学と女性 その1:ヘンリー八世と「非嫡出子」エリザベス・テューダー――六人の妻を持った父親と生涯独身の娘 |
3 | 文学と女性 その2:イングランド女王エリザベス一世とスコットランド女王メアリー・ステュアート――生涯独身vs.子生みの道具 |
4 | 文学と女性 その3:エリザベス女王とウィリアム・シェイクスピア――敵か味方か |
5 | 文学と女性 その4:エリザベス一世、スペンサー作『妖精の女王』とジョン・ミルトン作『ラドロー城の仮面劇』 |
6 | 文学と女性 その5:ジョン・ミルトン作『ラドロー城の仮面劇』から『楽園の喪失』 |
7 | 文学と女性 その6:ミルトン作『離婚論』、『楽園の喪失』、そしてメアリ・ウルストンクラーフト作『女性の権利の擁護』 |
8 | 文学と女性 その7:ミルトン作『楽園の喪失』とメアリー・シェリー作『フランケンシュタイン』 |
9 | 文学と女性 その8:ミルトン作『楽園の喪失』とエミリー・ブロンテ作『嵐が丘』 |
10 | 文学と女性 その9:ミルトン作『楽園の喪失』とシャーロット・ブロンテ作『ジェーン・エア』 |
11 | 文学と女性 その10:ジョン・バニヤン作『天路歴程』とシャーロット・ブロンテ作『ジェーン・エア』 |
12 | 文学と女性 その11:ミルトン作『楽園の喪失』とフランシス・バーネット作『秘密の花園』 |
13 | 文学と女性 その12:ミルトン作『楽園の喪失』とフィリッパ・ピアス作『トムは真夜中の庭で』。さらに課題を提出してもらう。課題テーマは授業内容と出席者各自の卒論テーマ(予定)を絡めて論じるというものである。原稿用紙400字詰め10枚以上を目安とする。(日本語の場合4000字相当。英語の場合、1400語相当。) |
14 | 事前に示した、授業内容と出席者各自の卒論テーマ(予定)を絡めて論じるという課題について質疑応答およびフィードバックを行う。 |
15 | 後期の講義の復習・解説を行い授業の理解を深める。 |
その他 | |
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教科書 | 特に指定しない。担当教師が作成した教材を適宜使用する。 |
参考書 | 新井明訳 『ジョン・ミルトン『楽園の喪失』』 大修館書店 新井明・野呂有子共編著 『摂理をしるべとして:ミルトン研究会記念論文集』 リーベル出版 2002年 野呂有子 『詩篇翻訳から『楽園の喪失』へ:出エジプトの主題を中心として』 冨山房インターナショナル 2015年 野呂有子編著 『<楽園>の死と再生(第一巻)』 金星堂 2014年 野呂有子編著 『<楽園>の死と再生 第二巻』 金星堂 2017年 新井明・野呂有子共訳 『ジョン・ミルトン:イングランド国民のための第一弁護論および第二弁護論』 聖学院大学出版局 2002年 担当教師が随時紹介する。 |
成績評価の方法及び基準 | レポート(50%)、授業参画度(50%) 成績は課題リポート(50%)、および授業参画度(50%)を合わせて総合的に判断する。 |
オフィスアワー | 毎週水曜日野呂研究室にて行う。 |
備考 | 毎回必ず辞書(英和)を携帯すること。(電子辞書可)授業開始時に単語調べを行い、結果を提出することが要求される場合が多々ある。単語調べの結果も成績の一部として反映される。 |