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科目名 | 英米文学演習5 | ||||
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教員名 | 福島 昇 | ||||
単位数 | 1 | 課程 | 前期課程 | 開講区分 | 文理学部 |
科目群 | 英文学専攻 | ||||
学期 | 前期 | 履修区分 | 選択必修 |
授業テーマ | オセローの最後の台詞から、ブラッドレーはこの劇を悲劇の中でも最も悲痛なものとしてとらえ、エリオットはそこにオセローのボヴァリスムや自己劇化を見ています。現在のOthello批評は、ブラッドレー的な立場を受けつぐものと、エリオット的な立場を発展させるものと2つの大きな流れを形成しています。ブラッドレーの系列にはJ・D・ウィルソンやヘレン・ガードナーやスペンサーやR・スピートやA・C・スウィンバーンがあり、オセローはヒロイックな人物であると主張しています。エリオットの系統をひくものとしてはF・R・リーヴイスやグランヴイル・バーカーやジョン・マニーやジェラルドがあり、最も極端な例としては、トマス・ライマーの如くこの劇を笑劇とまで極言する批評家もいます。オセローの解釈にはこのように相反する2つの立場があり、それは水と油の如く相容れません。授業の目的は、オセローの最後の台詞を吟味し、更に他のいくつかの箇所における彼の台詞を取上げ、オセローの人物造形について考察することにあります。 2003年、ピーター・セラーズとトニ・モリスンの間で、Othelloにどのような今日的意味があるのか激しい論争がありました。セラーズはデズデモーナの悲劇は彼女が信じられないほど善人で人種的感覚が欠如しているからだと言いました。セラーズはこの劇は「賞味期限のすぎた商品」だと言い、モリスンは自分なら21世紀にふさわしいもっと優れた『オセロー』の翻案を演出できると主張しました。2009年、モリスンはセラーズとの議論の成果として、音楽に合わせた翻案劇Desdemonaを創作し、2011年にパリで上演しました。授業ではモリスンのDesdemonaにも言及します。 |
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授業のねらい・到達目標 | 「英米文学演習5」では、シェイクスピアのOthelloを読みます。シェイクスピアの英語は英文学、米文学、言語学の基礎です。シェイクスピアの英語を通して、 Othelloの奥深さを少しでも理解させるのが授業のねらいであり到達目標です。 |
授業の方法 | シェイクスピアと Othelloの諸問題について議論し、批評的感想(おしゃべり)を述べる習慣を身につける。時にギリシア悲劇、現代劇、黒人演劇、日本演劇、日本文学などにも話題を広げます。必要に応じて、研究論文の書き方(『MLA』第7版に基づく)にも言及します。シェイクスピアによって書かれた英語には、37編の戯曲と154編のソネット集、それにいくつかの長編詩、叙情詩があります。これらの作品は、今から400年以上も前のものであり、語彙、文法、発音などの点で、現代の英語とは大いに異なっています。言語に内在するこれらの点を十分ふまえつつ、テキストにつけられた注釈を参考にしながら、作品を丹念に読むことが求められます。これらの英語が持つ言語的な意味、作品が書かれた16世紀、17世紀当時の社会状況、受容のされ方についても十分念頭に置く必要があります。それらを背景に、現代での受容のされ方と比較しながら、英語という言語に潜在している英語圏文化を理解していきます。シェイクスピアを読むことは、英語の歴史を振り返ることにとどまらず、文学、言語学、音声学、英語教育など、大学院で学ぶほとんどの領域と関連を持ちながら、英語を読むことを意味します。 |
事前学修・事後学修,授業計画コメント | Othelloを事前に読んでおくこと。毎回60行ぐらい読むことを目標とする。授業の最後に次回の授業の範囲を説明します。詳しくは下記の授業計画を参照。 |
授業計画 | |
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1 | ガイダンス:授業の方針、到達目標確認試験(レポート)について |
2 |
事前学修:オーソン・ウェルズのオセロ(1952)を調べてくる。 講義内容:オーソン・ウェルズのオセロ(1952)を鑑賞。シェイクスピアと世界文学、文学批評用語:フェティシズム 事後学習:講義内容について図書館やBlackBoard(LMS)を利用し復習する。 |
3 |
事前学修:オーソン・ウェルズのオセロ(1952)を調べてくる。 講義内容:オーソン・ウェルズのオセロ(1952)を鑑賞。シェイクスピアと世界文学、文学批評用語:フェティシズム 事後学習:講義内容について図書館やBlackBoard(LMS)を利用し復習する。 |
4 |
事前学修: Othello 1幕1場を読んでくる。 講義内容: Othello1幕1場、喜劇とは何か(1)、文学批評用語:不条理 事後学習:講義内容について図書館やBlackBoard(LMS)を利用し復習する。 |
5 |
事前学修: Othello1幕1場を読んでくる。 講義内容: Othello1幕1場、喜劇とは何か(2)、文学批評用語:プロタゴニスト 事後学習:講義内容について図書館やBlackBoard(LMS)を利用し復習する。 |
6 |
事前学修: Othello1幕1場を読んでくる。 講義内容: Othello 1幕1場、悲劇とは何か(1)、文学批評用語:フロイト的批評 事後学習:講義内容について図書館やBlackBoard(LMS)を利用し復習する。 |
7 |
事前学修: Othello 1幕2場を読んでくる。 講義内容: Othello1幕2場、悲劇とは何か(2)、文学批評用語:文化研究 事後学習:講義内容について図書館やBlackBoard(LMS)を利用し復習する。 |
8 |
事前学修:Othello 1幕2場を読んでくる。 講義内容:Othello1幕2場、歴史劇とは何か(1)、文学批評用語:文彩 事後学習:講義内容について図書館やBlackBoard(LMS)を利用し復習する。 |
9 |
事前学修:Othello 1幕2場を読んでくる。 講義内容:Othello1幕2場、歴史劇とは何か(2)、文学批評用語:マルクス主義文学理論 事後学習:講義内容について図書館やBlackBoard(LMS)を利用し復習する。 |
10 |
事前学修:Othello1幕3場を読んでくる。 講義内容:Othello1幕3場、ロマンス劇とは何か(1)、文学批評用語:メタ演劇 事後学習:講義内容について図書館やBlackBoard(LMS)を利用し復習する。 |
11 |
事前学修:Othello1幕3場を読んでくる。 講義内容:Othello1幕3場、ロマンス劇とは何か(2)、文学批評用語:メタレプシス 事後学習:講義内容について図書館やBlackBoard(LMS)を利用し復習する。 |
12 |
事前学修:Othello1幕3場を読んでくる。 講義内容:Othello1幕3場、問題劇とは何か、文学批評用語:ラング 事後学習:講義内容について図書館やBlackBoard(LMS)を利用し復習する。 |
13 |
事前学修:Othello2幕1場を読んでくる。 講義内容:Othello2幕1場、シェイクスピアの詩、文学批評用語:パロール 事後学習:講義内容について図書館やBlackBoard(LMS)を利用し復習する。 |
14 |
事前学修:Othello2幕1場を読んでくる。 講義内容:Othello2幕1場、シェイクスピア別人説、文学批評用語:ロゴス中心主義 事後学習:講義内容について図書館やBlackBoard(LMS)を利用し復習する。 |
15 |
事前学修:前期の内容を復習する。 講義内容:到達目標確認試験(レポート) 事後学習:シェイクスピア劇を観劇し、読書体験と演劇体験の違いを学ぶ。 |
その他 | |
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教科書 | Norman Sanders, Othello: The New Cambridge Shakespeare, Cambridge University Press, 2018, 3 edition |
参考書 | Shakespeare Survey Shakespeare LexiconやOEDでテキストを調べて授業に臨む |
成績評価の方法及び基準 | レポート(100%) |
オフィスアワー | 授業終了時 |