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美学特殊講義6

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科目名 美学特殊講義6
教員名 鈴木生郎
単位数    2 学年 2~4 開講区分 文理学部
科目群 哲学科
学期 後期 履修区分 選択必修
授業概要 生と死に関する現代の分析哲学を学ぶ
授業のねらい・到達目標 生や死に関する哲学的問題を一度でも考えたことがない人は、おそらく存在しないでしょう。「私たちはどうせ死んでしまうのに、生まれてきたことに意味があるのだろうか」、「私たちが死ぬとはいったいどのようなことなのだろうか」、「私たちは死後にどうなってしまうのだろうか」、「死は本当に悪いものなのだろうか、そうであるとしたらなぜ悪いことなのだろうか」、「永遠に死なないことは、私たちにとってよいことなのだろうか」など、哲学的に問いうる問題は数多く存在し、その多くが重要で難しい問題です。
 この授業では、こうした問いのうちの代表的なものについて、現代の分析哲学の議論を背景にしつつ考えていきます。もちろん、こうした重大な問題にそれほど簡単に答えが与えられるわけではありません。しかし、こうした議論を学ぶこと通じて、問題の理解をより深めることができ、自分の思考を洗練させることができます。また同時に、哲学の議論を正確に理解し、批判的に評価し、それをレポートして発表する能力もを伸ばしていただく狙いもあります。
 後期の授業では、不死の望ましさに関する問題、誕生に関する問題(反出生主義に関するベネターの議論)、人生の無意味さの問題、自殺の問題を考えます。

この科目は文理学部(学士(文学))のディプロマポリシーDP6及びカリキュラムポリシーCP9に対応しています。
授業の方法 基本的には講義形式ですが、毎回リアクションペーパーを用いて質問を受け付けます。また、レポートに基づくディスカッションも行っていただきます。
本授業の事前・事後学習は,各2時間の学習を目安とします。
授業計画
1 ガイダンス:前期の復習と後期の授業の進め方
【事前学習】前期の内容を復習しておくこと。
【事後学習】確認事項の復習をしておくこと。
2 不死の望ましさについて (1):不死であるとはどのようなことかを考えます。
【事前学習】私たちが永遠に生き続けることがどのように可能であるか考えておくこと。
【事後学習】可能な不死のありかたについて整理しておくこと。
3 不死の望ましさについて (2):不死は必然的に退屈をもたらすというB・ウィリアムズの議論を確認します。
【事前学習】教科書の第五講を読んでおくこと。
【事後学習】ウィリアムズの議論を確認し、批判的に検討してみること。
4 不死の望ましさについて(3):ウィリアムズの議論を批判的に検討します。
【事前学習】退屈ではない不死のあり方の可能性について検討しておくこと。
【事後学習】ウィリアムズに対する反論を整理しておくこと。
5 不死の望ましさについて(4):不死の望ましくなさとして、退屈さ以外のものがありうるかを検討します。
【事前学習】不死には他に望ましくない点があるかどうか考えておくこと。
【事後学習】授業内容を踏まえ、不死の望ましさについて自身の考えを整理しておくこと。
6 私たちは生まれてこないほうがよかったのか (1):D・ベネターの反出生主義の議論(のうちの代表的なもの)を確認します。
【事前学習】教科書の第六講を読んでおくこと。
【事後学習】ベネターの議論を整理し、説明できるようにしておくこと。
7 私たちは生まれてこないほうがよかったのか(2):ベネターの議論に対する代表的な批判を紹介します。
【事前学習】ベネターの議論に対する反論を考えてくること。
【事後学習】授業内容を踏まえ、反出生主義に対する自分の立場を考えてみること。
8 人生の無意味さについて (1):ベネターの「人生の宇宙的な無意味さ」についての議論を紹介します。
【事前学習】紹介された文献に目を通しておくこと。
【事後学習】ベネターの議論を整理し、説明できるようにしておくこと。
9 人生の無意味さについて (2):ベネターの議論を批判的に検討します。
【事前学習】ベネターの議論に対する反論を考えてみること。
【事後学習】死後説の立場と課題を説明できるようになっておくこと。
10 人生の無意味さについて (3):人生の意味に関するG・カヘインの議論を検討します。
【事前学習】有限の人生だけがもちうる重要さについて考えてみること。
【事後学習】ベネターとカヘインの議論を整理しておくこと。
11 自殺について (1):自殺が合理的でありうるかについて検討します。
【事前学習】教科書第九講(pp. 293–337)を読んでおくこと。
【事後学習】自殺が自分にとってよいと言える場合について考えておくこと。
12 自殺について (2):自殺が道徳的に許されないかどうかについて検討します。
【事前学習】これまでの授業ノートを再確認し、要点を確認しておくこと。
【事後学習】レポートの課題や指定を踏まえ、レポートを作成すること。
13 ここまでの授業の振り返りとレポートの準備:これまでの授業の論点を整理し、レポートのための準備を行います。
【事前学習】これまでの授業ノートを再確認し、要点や疑問点を確認しておくこと。
【事後学習】レポートの課題や指定を踏まえ、レポートを作成すること。
14 ディスカッション:グループに別れ、自分の書いたレポートを発表・議論していただきます。
【事前学習】自分のレポートについて10分程度で発表できるように準備する。
【事後学習】ディスカッションの成果を踏まえ、レポートを修正する。
15 より進んだ課題の提示と質疑応答
【事前学習】レポートを完成させること。
【事後学習】より高度な課題やそのための文献にチャレンジしてみること。
その他
教科書 シェリー・ケーガン 『死とは何か』 文響社 2018年 第1版
教科書は必ず買っておいてください。
参考書 デイヴィッド・ベネター 『生まれてこない方が良かった:存在してしまうことの害悪』 すずさわ書店 2017年 第1版
成績評価の方法及び基準 レポート(80%)、授業参画度(20%)
授業参画度は、毎回のリアクションペーパーで評価します。
オフィスアワー 授業後に直接(あるいは後にメールで)アポイントメントを取ってください。アドレスについては初回授業時にお伝えします。

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