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美学史3

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令和2年度入学者 美学史3
令和元年度以前入学者 美学史3
教員名 樋笠勝士
単位数    2 学年 1・2 開講区分 文理学部
(他学部生相互履修可)
科目群 哲学科
学期 前期 履修区分 選択必修
授業の形態 対面授業ができるまではオンデマンド方式のオンライン授業にする。
授業概要 本科目は西洋古代・中世・ルネサンスの美学を扱う「美学史1・2」を通史的に引き継ぐ内容をもつ。美学史は哲学史に寄り添う。哲学史が西洋近代哲学を「理性の時代(age of reason)」と考えるのには相当の理由がある。美学史も同様である。「神」ではなく「理性」に対する憧憬や信頼や依存は、新たな哲学や美学を生み出す。そもそも美学の主題は「美・芸術・感性」なのであるが、西洋近代美学はこの三主題がまさに統合される仕方で美学が論じられる時代となる。その象徴的な事件は学問としての「美学」の誕生である。本科目では、デカルトから始まる近代合理主義哲学が如何にして「美学」固有の学的営為を生みだし、またそれがヘーゲルに至るまでどのような仕方で貫かれたのかについて、学説史的に講義する。
授業のねらい・到達目標 われわれは現代に住まう。だからといって西洋近代哲学が過去の産物というわけではない。それどころか、西洋近代主義(modernism)は未だに現代に対して地続きであり、それが貫かれている。「芸術は美しい」という言説が典型的である。西洋近代主義の全体像から引き出される美学の哲学的主題性や様々なトポスや視点を自らのものにすることは現代を生き抜くことに繋がるのである。ねらいは三つある。①美学における西洋近代主義と理性の役割を知る。②美学の三主題の統合の仕方を理解する。③美学が論じるトポスや視点から美学的思考の論理を会得する。この3点によって、この科目は、異文化となる歴史上の諸思想・文化・価値観・世界観を相対化でき、これを学生自らの世界観を以て語ることができると共に、自らの知識と教養によって倫理的な課題に立ち向かうことを目的としている。

この科目は文理学部(学士(文学)のDP1,2及びCP1,2に対応しています。
・真・善・美・聖の探究から得られた知識と教養に基づいて,人間と社会の倫理的な課題を理解し,説明することができる。(A-2-1)
・思想・芸術・宗教の観点から,世界の現状をその歴史的背景とともに理解することができる。(A-1−1)
授業の方法 原則的に講義形式をとる。ハンドアウトを配布し、またアクティブ・ラーニングの一環としてリアクションペーパーを毎回配布し回収する。そこには毎回の授業内容に対する意見や感想や質問を書いてもらい、次回の授業にて応答し、またン内容に反映させる(フィードバック)。必要に応じて視聴覚教材も適宜使用するが、その際、必ず内容についてのミニッツペーパーの提出を求める。事前事後学習は各2時間を想定している。
履修条件 なし。
授業計画
1 イントロダクション:哲学史と美学史、哲学の近代と美学の近代
【事前学習】任意で選んだ「哲学史」文献のうち「近代」の始まりの部分を読んでおく。(A-1-1) (2時間)
【事後学習】美学史が哲学史と共通するものと美学史独自のものとについてまとめておく。(A-2−1) (2時間)
2 「理性の時代」の先駆け:デカルトが目指した理性の「確実性」の問題が美学に対してどのように波及していくのかを考える。
【事前学習】任意で選んだ「哲学史」文献のうち「デカルト」の項目を読んでおく。(A-1-1) (2時間)
【事後学習】デカルト哲学に対して美学が注視する論点についてまとめておく。(A-2−1) (2時間)
3 西洋哲学を揺るがす「スピノザ問題」:この問題に対して美学は沈黙したのか。それともなんらかの応答はあったのかを考える
【事前学習】任意で選んだ「哲学史」文献のうち「スピノザ」の項目を読んでおく。(A-1-1) (2時間)
【事後学習】西洋近代主義における「汎神論」の意味についてまとめる。(A-2−1) (2時間)
4 ライプニッツの美学:美学に大きな影響を与える可能世界論や予定調和説。その神学と哲学について。
【事前学習】任意で選んだ「哲学史」文献のうち「ライプニッツ」の項目を読んでおく。(A-1-1) (2時間)
【事後学習】ライプニッツまでの美学史と理性の役割とについてまとめる。(A-2−1) (2時間)
5 英国経験論と合理論の美学:経験主義と合理主義は英国の場合どのような美学となったのかを考える
ロック・ヒューム・バークレーからケンブリッジプラとニストまで
【事前学習】任意で選んだ「哲学史」文献のうち「ロック」「ヒューム」」等の項目を読んでおく。(A-1-1) (2時間)
【事後学習】合理主義の先天主義と経験主義の後天主義の対比を美学においてまとめる。(A-2−1) (2時間)
6 バウムガルテンの美学:学問としての美学の誕生
【事前学習】ライプニッツ・ヴォルフ学派について調べておく。(A-1-1) (2時間)
【事後学習】「形而上学」と「美学」についてまとめる。(A-2−1) (2時間)
7 バウムガルテンの美学:主観性の「哲学/美学」の準備
【事前学習】「美学」の学問の目的やその構成について復習しておく。(A-1-1) (2時間)
【事後学習】バウムガルテンの認識論と心理学についてまとめる。(A-2−1) (2時間)
8 近代の芸術論:独仏の様々な芸術論をとりあげる。「美しい自然の摸倣」(バトゥ)や「ラオコーン論争」(ヴィンケルマン、レッシング、ヘルダー)などの議論が「芸術美」の理想を創り出す点を考える。
【事前学習】「合理論」と「感性の働き」との関係について考えておく。(A-1-1) (2時間)
【事後学習】様々な芸術論の論点をまとめる。(A-2-1) (2時間)
9 啓蒙主義の美学:カントやルソーなど、美学構築を基礎づける近代理性の啓蒙的役割について、美学との関連を一般的に検討する.。
【事前学習】哲学事典等で「啓蒙主義」について調べて概念を把握しておく。。(A-1-1) (2時間)
【事後学習】「啓蒙主義の美学」の要因についてまとめる。(A-2−1) (2時間)
10 カント美学:前批判期のカント哲学と批判期のカント哲学の差異を明確にして美学構築への経路をとらえる。
【事前学習】任意で選んだ「哲学史」文献のうち「カント」の項目を読んでおく。(A-1-1) (2時間)
【事後学習】カント哲学において「美学」が論じられる可能性について考えておく。(A-2-1) (2時間)
11 カント美学:『判断力批判』を中心に、「美的判断」、「芸術美と自然美」等について考える。
【事前学習】『哲学事典』や『美学事典』等で「判断力」や「自然」と「技術・芸術」の対比について調べる。(A-1-1) (2時間)
【事後学習】美学が倫理学と接点をもつことについて普遍的に考えてみる。(A-2-1) (2時間)
12 ゲーテとロマン主義:ロマン主義芸術運動が「芸術」概念を育て且つ称揚することで「芸術は美しい」の言説がつくられる。その様相を観る。
【事前学習】一般的な事典や美術関連の事典で「ロマン主義」を調べておく。(A-1-1) (2時間)
【事後学習】ゲーテの感性の近代主義と古典主義についてまとめる。(A-2−1) (2時間)
13 ドイツ観念論(フィヒテ・シェリング)の美学:カントの主観性の哲学は結果として観念論をもたらす。そこから観念論(idealism)の美学が生じる。この推移を学ぶ。
【事前学習】各哲学者について調べておく。(A-1-1) (2時間)
【事後学習】「合理主義の美学」の概念をまとめておく。(A-2−1) (2時間)
14 ヘーゲル美学:「合理主義の美学」の極地を学ぶ。
【事前学習】「ヘーゲル哲学」について調べておく。(A-1-1) (2時間)
【事後学習】美学に関して、西洋近代の合理主義美学の論点についてまとめておく。(A-2−1) (2時間)
15 ヘーゲル美学の限界とショーペンハウアー美学の可能性:合理主義の哲学の限界が合理主義の美学の限界でもあることを理解する。
【事前学習】シューペンハウアーについて調べておく。(A-1-1) (2時間)
【事後学習】理性の時代の終焉における美学(感性学)の可能性いついて考える。(A-2-1) (2時間)
その他
教科書 資料を配付します。
参考書 教室にて紹介します。
成績評価の方法及び基準 レポート:前期末のレポート(60%)、授業参画度:課題・ミニッツペーパー(40%)
オフィスアワー 金曜日2限の前後。その他はメールで対応します。

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