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歴史民俗学1

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令和元年度以前入学者 歴史民俗学1
教員名 岸本昌良
単位数    2 学年 2~4 開講区分 文理学部
科目群 史学科
学期 前期 履修区分 選択
授業の形態 ブラックボードに講義資料を掲載する遠隔授業(12回)と課題研究(3回)を組み合わせる
授業概要 歴史民俗学とは歴史を民俗学の視点で考える学問です。授業では、民俗学の成立史をたどりながら、学問の基本的性格を明らかにします。また、日本民俗学の成立時に、英国のFolklore(民俗学)の影響があり、英国のFolkloreも講義の範囲となります。その際、英国の民俗(Fairyなど)にも言及します。日本民俗学の成立を確認後、日本が近代社会に入る際に、民俗が歴史とどうかかかわっていたのかを、村(ムラ)と都市(マチ)及び若者の民俗(社会のならわし・しきたり)に関連して考察し、生活における「しきたり・ならわし」の強さを確認します。
授業のねらい・到達目標 民俗(「ならわし」)は日常生活に深く結びついています。民俗の視点で歴史を考察することにより、大きな歴史の動きとは関わらないが、日々の生活に関わる歴史があることを確認させ、結果として、学生諸君にこれからの社会生活に役立つ知識も提供することも、この授業のねらいの一つである。

この科目は文理学部(学士(文学))のディプロマポリシーDP2,3及びカリキュラムポリシーCP2,3に対応しています。
授業の方法 5月14日から7月30日の毎週火曜日、ブラックボードに教材をPDFで配信します。受講生はその教材を視聴し、学修すること。また、同時期にブラックボードに掲載した課題を所定の日時(金曜日夜中)までにブラックボードに提出すること。履修者は初回講義開始までにBlackboardのコース登録をすること。受講者への連絡はBlackboardの“連絡事項”欄に掲示するので随時確認すること。
授業計画
1 ガイダンス及び民俗とは何か。授業の概要を説明する。また、民俗というと僻地に見られる行事などと考え易いが、近代そのものと思える大工場の中でも、民俗が生きていることを映像で示し、民俗の基本的性格を明らかにする。(オンデマンド授業)
【事前学習】シラバスを良く読み、授業全体の流れを理解する事。 (1時間)
【事後学習】配付資料を再読し、風俗と民俗の違い、類似点を整理する事。 (2時間)
2 Folkloreの成立。民俗学とは英語「Folklore」の翻訳語である。Folkloreは英国人W.J.Thomsが19世紀中頃に作った用語であり、それは英国のPopular Antiquites(古代からのならわし)の言い換えでもあった。また、Thomsは英国の伝統あるAntiqurian Society(古物研究家協会)の会員でもあった。(オンデマンド授業)
【事前学習】授業には英語が出てます。翻訳はつけますが、英語に親しんでおいてください。 (4時間)
【事後学習】folkloreとpopular antiquitesの関係を整理すること (2時間)
3 Folklore以前。Thoms(トムズ)は英国のFairy(妖精)に関心があり、そこからFolkloreの研究を開始しようとした。ただ、それは、Thomsの属していた伝統あるAntiqurian Society(古物研究家協会)と深く関わっていた。そして、ThomsはFolklore研究の場として雑誌「Notes & Queries」(問いかけ雑誌)を創刊する。それは、Thomsが伝統ある古物研究家協会から別れる第一歩でもあった。(オンデマンド授業)
【事前学習】19世紀中頃の英国について調べる事。 (2時間)
【事後学習】Antiqurian Societyの成立事情を整理する。 (2時間)
4 英国民俗学会の成立。Thomsは晩年になってようやくFolklore研究の同志をつのり、19世紀後半にFolklore Society(民俗学会)を設立し、民俗学研究は格段に進む。(オンデマンド授業)
【事前学習】英国人類学者フレーザーに言及するので、どのような人物か調べておく事。 (2時間)
【事後学習】英国での民俗学の成立状況を整理する事。 (2時間)
5 日本民俗学会(第一次)の成立。明治(19世紀後半)になり、日本では人類学研究が坪井正五郎の提唱で始まり、『人類学雑誌』が創刊される。坪井は英国留学の経験もあり、『人類学雑誌』において、徐々にFolkloreの紹介がされ、坪井の影響力のもと、明治45年に日本民俗学会(第一次)が生まれる。なお、その場に柳田国男の名前はなかった。(オンデマンド授業)
【事前学習】人類学者坪井正五郎について言及するので、どのような人物か調べておく事。 (2時間)
【事後学習】日本民俗学会(第一次)が成立するまでの状況を整理する事。 (2時間)
6 柳田国男と民俗学。柳田国男は一般的には日本民俗学の父とみなされているが、元来は、詩人であり、経世済民を願う国家官僚であった。ただ、旅行でたまたま立ち寄った椎葉村で、柳田は民俗世界を引き込まれ、英国帰りの南方熊楠からFolkloreの紹介を受け、民俗学研究を志し、雑誌『郷土研究』を創刊する。(オンデマンド授業)
【事前学習】柳田国男の著作を読んでおく事。 (2時間)
【事後学習】柳田国男が民俗学に接するまでの状況を整理する事。 (2時間)
7 ムラ(村)とは何か。明治22年、町村制の施行のため町村の合併が実施された。行政組織の最終端末として行政村が成立する。そのため、従来の生活の共同の場としてのムラと行政村の違いを明らかにする。(オンデマンド授業)
【事前学習】木村礎著の「近世の村」など村に関する資料を読み、村とは何かを考えておく事。 (3時間)
【事後学習】行政村と自然村との違いを整理する事。 (1時間)
8 ムラ(村)の変化(地方改良運動)。柳田と南方の交際の元となった神社合祀とはどのような事件であったかを解明し、地方改良運動の一環であったことを指摘し、行政村と自然村の関係を考え、ムラという存在は、歴史社会的な存在であり、でも、その中に民俗が生きている事を示す。(オンデマンド授業)
【事前学習】南方熊楠について言及するので、どのような人物か調べておく事。 (2時間)
【事後学習】行政村を統一するためには何が必要だったかを整理しておく事。 (2時間)
9 ムラ(村)のしきたり(共同・協力・村法)。地方改良運動では、行政村の中の共有地の処分も課題の一つであった。共有地は、ムラ(村落共同体・自然村)にとり必要なものであった。そして、ムラの土地を管理するためには、協同作業が必要であり、決まりが必要となる。法律で定められていない、互いの決まり、シキタリが日本においては中世から存在していた。(オンデマンド授業)
【事前学習】村の中の共有地とは何かを考えておく事。 (2時間)
【事後学習】共有・協同作業・村の掟について整理しておく事。 (2時間)
10 ムラ(村)のしきたり(ムラハチブ)。ムラのシキタリを守るためには、互いの理解が必要になるが、ぶつかり合うときもあり、ムラの中では物理的な暴力をふるうことが出来ず、ムラハチブという形の制裁が生まれ、それは現代的な課題にもなっている。(オンデマンド授業)
【事前学習】ムラハチブとは何かを考えておく事。 (2時間)
【事後学習】ムラハチブが何故起きるのかを考える事。 (2時間)
11 マチ(都市)のしきたり・仕組み①(町会)。都市の基礎社会集団である町会がどのようにして形成されたかを考え、その機能は何かを考察する。(オンデマンド授業)
【事前学習】自分が住んでいる所の町会・自治会名を調べる事。 (2時間)
【事後学習】町会がどのような機能を有しているかを整理する事。 (2時間)
12 マチ(都市)のしきたり。仕組み②(マンション)。最近、都市において急激に共同住宅に住み、生活をする人々が増えている。マンションの特性、その歴史、法的特性などを考える。(オンデマンド授業)
【事前学習】近隣にあるマンションの外観・名称などを調べる。 (2時間)
【事後学習】共有部分と専用部分の関係を整理する事。 (2時間)
13 課題研究 ①自分が住んでいる現在の地名の由来、地域の行政変遷を報告すること。
【事前学習】第7回の講義内容を再学修すること (2時間)
【事後学習】町村制について整理すること (2時間)
14 課題研究 柳田国男の著作を読み、分かったことを報告すること
【事前学習】第6回の講義内容を再学修すること (2時間)
【事後学習】柳田の人物像をまとめること (2時間)
15 課題研究 民俗とは何かを、自分の探した事例により報告すること
【事前学習】レポートの提出に向けてこれまでの授業内容を整理しておく (2時間)
【事後学習】これまでの授業を見直すこと (2時間)
その他
教科書 使用しない
参考書 毎回のブラックボードに掲載します。
成績評価の方法及び基準 レポート:課題研究(30%)、授業参画度:遠隔授業(70%)
遠隔授業は、毎回の提出する課題の提出物の内容により評価します。
課題研究は課題に対するレポートにより評価します。
オフィスアワー 分からないところなどがあれば、毎回提出する課題に記入してください。次回の授業の時に回答します。

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