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民俗文化論

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令和元年度以前入学者 民俗文化論
教員名 斎藤弘美
単位数    2 学年 3・4 開講区分 文理学部
(他学部生相互履修可)
科目群 社会学科
学期 後期 履修区分 選択
授業の形態 主としてオンデマンド型授業(音声付きPowerPoint等による講義資料配信)

Blackboard ID : 20202037
授業概要 グローバル化する現代社会において均質的、異文化に対して不寛容といわれる日本社会も変容を求められる時代が到来しています。「日本は2000年もの間、単一民族が続いている」という誤った認識と価値観を持つ政治家が存在するほど、この国では異質なものを排除する傾向が強いと考えられてきました。しかしかつての歴史を振り返ると、日本文化は度重なる異文化受容と、その影響による変容の結果、形成されたものであったことがわかります。均質的という幻想から自由になるために、あらためて日本文化の多様性と異文化受容、文化変容について学びます。
授業のねらい・到達目標 <知識><技能>
・日本文化がさまざまな異文化の影響を受けたきわめて柔軟性のある文化であることを学び、自らそうした例を身近に発見することで日本文化についての正しい理解ができるようになる。
・均質という幻想を抱きやすい日本文化について、東西・南北・中央と周辺といった地域的多様性を知り、その意味を説明できる。
・民俗は過去のものではなく、「過去の総体」としての現在であり、今私たちが生きているWay of lifeそのものであることを理解し、今後の生き方に役立てることができる。
<能力>
上記の<知識><技能>の習得を経て,以下の<能力>を育むことが目標である。
多様なメディアによって形作られる現代社会におけるわたしたちの日常生活の中の諸課題について,社会学の専門領域の観点から説明し,その解決案を提示することができる。(A-4-3: 問題発見・解決力)

この科目は文理学部(学士(社会学)のDP及びCP4に対応しています。
授業の方法 講義形式で進めますが、講義を聴くことで湧いてきた疑問や、新たな気づき、意見などは、課題答案にリアクションコメントとして提出してください。コメントについてはまとめて、または個別に可能な限り答える形での双方向授業を行います。授業終了時に提出する課題答案(リアクションコメント)は出席確認と共に授業参画の評価対象となります。答案提出はBlackboardを利用しますが、フィードバック方法に関しては授業開始時に説明いたします。
また、理解を助けるためにYouTube等の視聴も適宜入れていきます。
知識を定着させ、理解を深めるため、PowerPointには要点項目のみ記載し、各自が事後学習でノートを整理する形式をとります。授業を受けたらすぐにノートを整理し、復習しておくようにしてください。。
自ら調べ、考えることが大切なので、授業の最後にレポートの提出を求めます。
授業で最も大切なのは「気づく」「考える」習慣。これを身につけられるよう重要な項目については繰り返し触れていきます。
なお本授業の事前・事後学習は,各2時間の学習を目安とします。
履修条件 第1回の授業の受講者から抽選を行い、履修定員を最大70名とする。
音声付きPowerPointの閲覧によるオンデマンド授業を行いますので、教材の受信環境が整っていることが履修の最低条件となりますのでご注意ください。
授業計画
1 イントロダクション:「当たり前を疑う」ことから始めよう。まずは「日本人」という幻想に気づくことから。(「民俗学」とはどのような学問か説明する。)
【事前学習】シラバスを事前に確認し、授業全体の流れを理解しておく。 (1時間)
【事後学習】第2回以降の授業に備え、この日の板書をもとに自らのノートを整理し、自身の「日本人」についての認識を再確認する。 (1時間)
2 近代オリンピックの光と影:オリンピック、ワールドカップなどの事例から近代国家の枠組みを問い直す。国という枠組みが絶対的なものではないことに気づく。
【事前学習】授業内容の理解を深めるため、オリンピックの歴史を自ら予習しておく。 (2時間)
【事後学習】「国家」「国民」「人種」「民族」などの用語を正しく理解しているか、用語について整理しておく。 (2時間)
3 パラリンピックと障がい者:パラリンピックの意味とそこに見える障がい者の問題を民俗学の視点から考える(障がいを「異文化」ととらえる視点に注目)
【事前学習】授業内容の理解を深めるため、パラリンピックの歴史を自ら調べて、スポ―ツと障がいについて理解しておく。関する (2時間)
【事後学習】障がいを異文化ととらえる視点に関して、自らの経験を踏まえて再確認する。 (2時間)
4 障がいという異文化:民俗学が対象としてきた障がい者の事例をもとに、異文化としての障がい者について考え、新たな共生の方向性を見出す。(A-4-3)
【事前学習】授業で触れた障がい者文化に関して、参考書などを読んで理解を深める。 (2時間)
【事後学習】民俗学の対象となった障がい者文化について、自分の考えを整理しておく。 (2時間)
5 マツリと日本人①日本人にとってマツリとは何か。基本的な知識を身に付けるとともに、祭りの要素は多くの異文化受容によって成り立っていることを知る。
【事前学習】授業内容を正しく理解するために、自分の経験したマツリの事例を整理しておく。 (2時間)
【事後学習】日本のマツリに関する情報をあつめ、その文化的意味を検討してみる。 (2時間)
6 マツリと日本人②宗教を超えた日本的マツリとしてのハロウィンやクリスマスの意味を読み解く。そこから日本人の異文化受容の特性と今日的意味を考える。(A-4-3)
【事前学習】マツリとは何か、その本質を理解し、日本的ではないマツリについても検討してみる。 (2時間)
【事後学習】マツリの文化変容とともに日本人の宗教観についても検討する。 (2時間)
7 食文化から学ぶ①:日本人のソウルフードは和食か?ラーメン、カレーライスと日本人。食生活における外国文化の受容法を学ぶ。
【事前学習】ハレの日の食べ物、マツリを食文化の視点から検討してみる。 (2時間)
【事後学習】日本的な食生活が、かつての異文化受容によって形成されたことを再認識し、授業で触れたもの以外の例も考えてみる。 (2時間)
8 食文化から学ぶ②:海外に受容され、広がる日本食。寿司ロールは寿司といえるか?キムチは韓国のオリジナルか。(受容という視点だけでなく、海外に広がる日本文化についても知ることが日本文化についての理解を深めることにつながる)(A-4-3)
【事前学習】異文化を取り入れ柔軟に変化してきた日本の食文化は、それゆえに海外では様々に変化して広がっている。そのような例を考えてみる。 (2時間)
【事後学習】日本文化が海外の文化に影響を与え、その交流の中で自身も変容していることを再認識する。 (2時間)
9 食文化から学ぶ③:稲作を選んだ日本人。麦の文化、雑穀の文化との比較による社会のあり方を考える。さらに日本文化における「肉食」を歴史的な文化変容、あるいは異文化との関連で読み解く。
【事前学習】日本が固有の文化を持つ背景に稲作と米食が関係することを、自身の食生活からも考えてみる。 (2時間)
【事後学習】文化の基層に食生活が深くかかわっていることを知り、日本社会にある異文化としての食生活を再確認する。 (2時間)
10 日本の中の異文化①:アイヌ民族理解のための国立施設が4月にオープン。あらためてアイヌ民族について正しく理解し、異文化としてのアイヌ文化を知るとともに日本文化との交流の歴史を知る。(A-4-3)
【事前学習】アイヌ民族に関して自分の知識を整理しておき、事前に関連する本や資料などを読んでおく。 (2時間)
【事後学習】アイヌ文化の固有性についての知識を得ることで、日本における文化の多様性と、アイヌ文化からあらたな思考を学ぶ。 (2時間)
11 日本の中の異文化②:琉球という文化に出会う。沖縄はなぜ観光地として魅力的なのか。異文化としての琉球について理解するとともに、ヤマトとの交流の歴史から日本文化との関係を探る。(A-4-3)
【事前学習】授業をより深く理解するために、沖縄と日本との関係を歴史的な視点でまとめておく。 (2時間)
【事後学習】琉球文化についての総合的な知識を得るとともに、沖縄が日本あるいはアメリカとの交流により形成された新たな文化について考えることで、異文化との出会いがもたらす社会変化について認識する。 (2時間)
12 日本の中の異文化③:「在日朝鮮・韓国人」の文化を知る。歴史的に日本社会と深くかかわってきた「在日」と呼ばれる人々について、とくに文化的交流の側面に焦点を当てて理解する。(A-4-3)
【事前学習】授業をより深く理解するために、韓国と日本との関係について基礎的な知識を復習しておく。 (2時間)
【事後学習】政治的な側面ではなく、文化的側面からの日韓関係や在日という視点からとらえる韓国文化に関しての知識を得ることで、より良い関係を築くことができる。 (2時間)
13 日本の中の異文化④:近年、日本国内の在留外国人にはさまざまな人々が存在する。どのような人々が日本社会に定借し、地域社会にどのような影響を与えているかを考える。(A-4-3)
【事前学習】日本各地に形成されている外国人コミュニティについての情報を集めてみる。そのうえで在留外国人社会の異文化との出会いが地域にもたらす影響について考えてみる。 (2時間)
【事後学習】異文化との出会いがどのような社会変化をもたらすか、かつて民俗社会が経験した知恵を役立てる方法はないかを探ってみる。 (2時間)
14 授業内テストと解説:授業内テストを行い、終了後は後期民俗文化論の授業を通して学んできた重要ポイントを再確認する。
【事前学習】ノートを改めて整理することで、後期授業で学んだことを復習し、理解を深めておく。 (4時間)
【事後学習】テスト終了後の解説をもとに、自らの理解の程度を認識し、足りなかった部分に関しては再度、学修する。課題のレポートを完成させる。 (4時間)
15 試験結果講評とこく授業のまとめ・レポート提出:テスト結果の講評を受け、自らの理解を再確認する。最後の授業として、後期を通して学んだ日本社会の多様性と柔軟性を今後、自分たちがどのように社会生活に活かしていけるかを考える。
【事前学習】テスト終了後に認識した、理解が足りなかった部分に関して質問・再確認できるように整理しておく。レポートを完成させる。 (1時間)
【事後学習】後期授業を通して、日本の民俗文化が異文化との出会いによって変容し、形成されていったことを改めて認識し、今後、グローバル化していく社会においてどのような対応をしてけばいいかの理解 (1時間)
その他
教科書 使用しない
参考書 参考書については適宜、授業中に紹介する。
成績評価の方法及び基準 レポート:自ら「調べ」「考え」「記述する」ことが重要なので、授業中に関心を持ったテーマについて資料を調べ、聞き取り調査等により実態に即した理解を深め、レポートとして決められた形式にのっとってきちんと説明できているかどうかによって評価します。(40%)、授業参画度:毎回の授業終了後に提出するリアクションコメントにより、授業の理解度だけでなく、自らの考え、気づきなどが的確に記述されているかどうかにより参画度を評価します。(60%)
以上を踏まえ、A-4-3(問題発見・解決力)の修得状況を評価します。
オフィスアワー 遠隔授業のためメールにより随時対応します。また必要な都度、こちらからの発信をBlackboardまたはメールにて一斉に、あるいは個別に行いますので、注意していてください。

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