文理学部シラバスTOP > 文理学部 > 社会学科 > 社会学特殊研究Ⅲ
日本大学ロゴ

社会学特殊研究Ⅲ

このページを印刷する

令和元年度以前入学者 社会学特殊研究Ⅲ
教員名 後藤美緒
単位数    2 学年    4 開講区分 文理学部
(他学部生相互履修可)
科目群 社会学科
学期 前期 履修区分 選択必修
授業の形態 オンデマンド授業(13回)と課題研究(2回)で構成される。
授業概要 文化現象は、それだけで完全に独立して存在しているわけではありません。
たとえば、2020年4月、(クラシックやポピュラーを問わず)世界中の音楽家が多様なメディアを用いて表現活動をおこない、さまざまな反響が起こっているのはそのよい例でしょう。果たしてそれは、現在だけの現象なのでしょうか?

文化現象は、古くはレコード、ラジオ、映画をはじめテレビ、そして現代ではインターネットといったさまざまなマスメディアと互いに及ぼし合うとともに、私達の日常生活と分かちがたく結びついています。そしてそれゆえに、想像力の発露であると同時に、統治の手段となることもあります。

このような社会的背景、メディアとの関わり、日常生活とのかかわりに注意をはらいつつ、日本が近代化した19世紀初頭から2010年代の現代までの文化の在り方を歴史社会学の手法を用いて概観していきます。そして、私たちが今立っている社会の成り立ちについて考えていきます。とくにこの授業では、参加者とともに「読書」という経験を中心として、声と文字の文化から近現代日本について考えていきます。
授業のねらい・到達目標 〈知識〉〈技能〉
・現代社会のメディアと文化をめぐる諸現象をメディアの特性や社会的・歴史的な出来事と関連づけてとらえる視点を習得できる。
・文化現象に内包される統治と創造力について説明できる。

〈能力〉
上記の〈知識〉〈技能〉の習得を経て、以下の〈能力〉を育むことが目標である。
・身近な文化現象について、メディアの特性を踏まえて、その構造を説明することができる(A-3-4論理的・批判的思考力)。
・現代社会の諸現象に対して、歴史比較的な視点を以て説明することができる(A-5-4挑戦力)。

*この科目は文理学部(学士(社会学))のディプロマポリシーDP3・5及びカリキュラムポリシーCP3・5のに対応しています。
授業の方法 ・課題研究、オンデマンド授業ともに、Blackboardを通して資料や課題を配布します。必ず資料を入手し、視聴すること。
・オンデマンド授業はパワーポイント資料(大学が推奨している音声付きを予定。ただし、通信環境をはじめ視聴に困難がある場合、変更があります)を配布します。この授業では、毎回、授業の内容に沿ったミニレポート(300字程度)あるいはワークシートを作成します。提出期限は授業当日の23:59までになります。このミニレポートの内容は匿名にして、次の回で紹介することがあります。力のこもったレポートを期待します。
・課題研究では指定された内容で、課題に取り組んでレポートを作成し、提出します。詳細は「成績評価の方法と基準」で記してあります。

・各授業終了時に次回の授業テーマを告知します。そのテーマに沿ったキーワードや現象を3つ以上考えて授業に臨んでください。

・本授業の事前・事後学習は、(すくなくとも)各2時間の学習を目安とします。
授業計画
1 イントロダクション:自分史をあらわす(A-5-4)(オンデマンド授業)
【事前学習】シラバスを熟読し、授業内での自分の課題を考える。 (1時間)
【事後学習】スケジュールとオフィスアワー、授業のすすめ方について確認する。合わせて、指定されたワークシートを提出する。 (2時間)
2 歴史の中にある現在、現在のなかにある歴史(オンデマンド授業)
【事前学習】自分および保護者のライフ・イベントと社会的出来事、メディア経験について調べておく。 (2時間)
【事後学習】ミニレポート(もしくはワークシート)を提出する。 (2時間)
3 文化の作り手は誰か?:限界芸術論と現代社会(A-3-4)(オンデマンド授業)
【事前学習】文化の作り手となっている人・集団を3つ以上考える。 (2時間)
【事後学習】講義の内容を踏まえ、事前学習で考えたものを事例に現代の文化の特徴を整理し、ミニレポート(もしくはワークシート)を提出する。 (2時間)
4 作品から考える:映画『舟を編む』の示す物質性・開放性・統治と創造力(A-3-4)(オンデマンド授業)
【事前学習】『舟を編む』の書籍を読了、あるいは映画作品を視聴する。 (2時間)
【事後学習】メディアの特性や物質性を介して創造力が発揮、あるいた統制されている事例を取り上げて、ミニレポート(もしくはワークシート)を提出する。 (2時間)
5 日常生活とメディアの接点を文献から紐解く(A-5-4)(課題研究)
【事前学習】課題図書から一冊を選んで読んでおく。 (3時間)
【事後学習】課題図書から1冊を選び、中間レポートを提出する。 (3時間)
6 読書が作る文化:読者共同体(A-3-4)(オンデマンド授業)
【事前学習】前期期間中の登下校中に「読んだ」モノについてリストを作成する。 (2時間)
【事後学習】現代において読書による共同体の発生する可能性・不可能性とその理由にかんするミニレポート(もしくはワークシート)を提出する。 (2時間)
7 「読書国民」の誕生:階層の創出・分断・固定化(A-3-4)(オンデマンド授業)
【事前学習】読書を通して共同性を感じた事例を3つ以上考える。 (2時間)
【事後学習】メディアの使用方法と共同体の発生について自分の意見をまとめ、ミニレポート(もしくはワークシート)を提出する。 (2時間)
8 学生たちの読書実践:近代学校制度と学生の読書経験(A-3-4)(オンデマンド授業)
【事前学習】義務教育、高等教育それぞれの読書経験を振り返り、まとめる。 (2時間)
【事後学習】第6回から第8回までの講義内容を振り返り、学校内外での読書経験の効果と特徴にかんするミニレポート(もしくはワークシート)を提出する。。 (2時間)
9 「声」の文化を考えるために(1):流行歌の誕生:A-3-4)(オンデマンド授業))
【事前学習】自分と親の世代の流行歌を調べておく。 (2時間)
【事後学習】現代における「流行歌」発生の条件構造について、ミニレポート(もしくはワークシート)を提出する。 (2時間)
10 「声」の文化を考えるために(2):ラジオに現れた「漫才」:(A-3-4)(オンデマンド授業)
【事前学習】2000年代の漫才の特徴を考え、その定義を考えてみる。 (2時間)
【事後学習】現代における「文字」の文化と「耳」の文化を比較し、ミニレポート(もしくはワークシート)を提出する。 (2時間)
11 兵士たちの読書経験:戦地の図書館(A-3-4)(オンデマンド授業)
【事前学習】極限状況の読書経験の事例を3つ以上考え、その特徴を整理しておく。 (2時間)
【事後学習】戦時下の読書がもたらす効果と他の極限状況との共通点と差異に関するミニレポート(もしくはワークシート)を提出する。 (2時間)
12 兵士たちの読書経験:「慰問袋」のなかの出版物(A-3-4) (オンデマンド授業)
【事前学習】戦時下日本における書物をめぐる状況について調べておく。 (2時間)
【事後学習】11・12回の講義内容をもとに、戦時下の読書についてミニレポート(もしくはワークシート)を提出する。 (2時間)
13 日刊・週刊・月刊:戦後雑誌文化の展開(A-3-4)(オンデマンド授業)
【事前学習】これまで読んできた雑誌のリストを作り、創刊年を調べておく。 (2時間)
【事後学習】戦前と戦後の雑誌の共通点と相違点について、ミニレポート(もしくはワークシート)を提出する。 (2時間)
14 「読書」の社会学:教養主義と文化的再生産(A-3-4)(オンデマンド授業)
【事前学習】教養主義的な読書の定義を確認する。 (2時間)
【事後学習】文化的再生産が起こっている場を一つ以上上げて、その過程と構造についてミニレポート(もしくはワークシート)を提出する。 (2時間)
15 「読者」共同体のゆくえ(A-5-4)(課題学習)
【事前学習】第2回から第14回の講義内容の復習をしておく。 (2時間)
【事後学習】この授業で得た知見をもとに、期末レポートを提出する。 (3時間)
その他
教科書 教科書は特に指定しません。
参考書 B・アンダーソン 『定本 想像の共同体――ナショナリズムの起源と流行』 書籍工房早山 2007年
佐藤健二 『読書空間の近代』 弘文堂 1987年
キャロライン・マーヴィン、吉見俊哉・水越信・伊藤昌亮訳 『古いメディアが新しかった時―19世紀末社会と電気テクノロジー』 2003年
上記は全体の参考になるもので目を通しておくとよいものです。しかし、現在入構が制限されており、また流通が限定されています。いずれも日本大学文理学部図書館に所蔵されています。blackboardを通して一部を配布します。

また、初回の授業で、参考文献でかつ第5回の課題文献(新書)一覧を紹介します。
成績評価の方法及び基準 レポート:中間レポートは文献(新書1冊)を読み、課題に沿ってまとめます。課題となる文献は初回で一覧表を示すので、一冊を選んでください。字数は2000字以上、締め切りは第5回の6月8日です。期末レポートは授業内容の理解度を確認する目的で課します。3000字以上、提出期限は最終回の8月15日です。(55%)、授業参画度:毎回、ミニレポート(300字)またはワークシートを課します。(45%)
遠隔授業となり、受講生の皆さんは不安をもっているかもしれません。しかし、私自身は、この形態は授業の内容とこれまでの経験を結びつける良い機会を提供すると捉えています。是非、授業を通して考えたことを文字化してみましょう。また、自身の使える機器と機能を駆使して自ら調べてみましょう。そのためにも、毎回のミニレポート(もしくはワークシート)における論述を重視します(A-3-4)。そして、提出された課題は、授業の内容にもとづき論理的に自分の言葉で論述できることを評価の基準とします(A-5-4)。
オフィスアワー Blackboardを通しておこないます。
備考 【初回講義開始までに、当該授業のBlackBoardのコース登録を行うこと。】
みなさんの関心や授業の進展を考慮して、適宜、順番を変更することがあります。
毎回のミニレポートや中間・期末レポートにおいて、授業と関係ない内容や無意味と思える記述、代筆があった場合は厳しく対応します。

このページのトップ