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微分積分学2(含演習)

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令和2年度入学者 微分積分学2(含演習)
令和元年度以前入学者 微分積分学2(含演習)
教員名 山浦義彦
単位数    3 学年    1 開講区分 文理学部
科目群 数学科
学期 後期 履修区分 必修
授業の形態 ②オンデマンド授業 (音声付き講義録, および, 補助資料のアップロード)

Blackboard のコース ID :
20203059 : 2020微分積分学2(含演習)(山浦義彦・後・金1)
授業概要 当科目の前期科目である「微分積分学1」でも数列の極限, 関数の極限, 関数の連続性は取り扱った. それは数学的な定義に基づく議論ではなくあくまで直観に頼った「限りなく近づく」というある種の文学的表現を基礎としていた. そのため, 極限に関する様々な性質は証明すべき定理ではなく, 当たり前として受け入れるべき「特徴づけ」という位置づけに甘んじていた. 高等学校で受験問題を解くためにはこのような極限の理解で全く問題はなかった. しかしながら, これから4年間にわたり専門数学を理解していく上ではこのレベルの理解では到底進んだ内容を理解することはできない.そこで, イプシロン-デルタ論理式による極限の定義を出発点とするのが本講義の内容である.はじめに,中学校で学ぶ一次関数・二次関数を例にイプシロン-デルタ論理式を学ぶ.これは一切直観を交えることなく定量的に定義される厳密な数学的定義であるため,これまでは当たり前であると考えられた様々な現象が, 証明すべき定理になる. たとえば,極限がただ一つである, という事実は高等学校では教科書にすら登場しない. しかし,これさえも, イプシロン-デルタ論理式を出発点とすれば決して自明な性質ではなくなる.また, 高等学校ではほとんど扱われることのない振動する数列に対してもそこから収束する部分列を見つけ出すという Bolzano-Weierstrass の定理 (コンパクト性定理)を学ぶ.関数の連続性の理解と相まって, 以上の道具を使うことにより, 高等学校の教科書には1行で証明なしで認めるべき事実として紹介されている「連続関数の最大値原理」を
厳密に証明することができる.
授業のねらい・到達目標 ・最大値という概念を理解して, 具体的問題に対して証明ができる.
・実数からなる集合が上に有界である, ないという概念を理解して具体的な問題に対して証明ができる.
・上界値と上限値を理解して, 具体的問題に対して証明ができる.
・上限値であることの同値条件を理解して, 具体的問題に対して証明ができる.
・数列の収束をイプシロン-エヌ論理式で理解し, 具体的問題に対して証明ができる.
・実数の完備性の証明を理解できる.
・ボルツァーノ-ワイエルシュトラスの定理の証明を理解できる.
・関数の連続性をイプシロン-デルタ論理式で理解し, 具体的問題に対して証明ができる.
・中間値定理の証明が理解できる.
・連続関数の最大値の証明が理解できる.
この科目は文理学部(学士(数学))のディプロマポリシーDP3,4,6,8並びにカリキュラムポリシーCP3,4,6,8に対応している。
・数理科学に基づいて学んだ知識をもとに、物事の本質を論理的、客観的に捉えることができる(A-3-2)。
・日常生活における現象に潜む数理科学的問題を発見し、内容を説明することができる(A-4-2)。
・周りの人々と相互に意思を伝達することができる(A-6-1)。
・自分の学修経験の振り返りを継続的に行うことができる(A-8-1)。
授業の方法 90分程度, 授業形式で黒板を使って講義内容の解説を行う. その後, 講義内容に関連する演習問題を提示し, まずは各自取り組んでもらう. そして一定時間ののちに問題解説を行う. この時点で理解できた学生は他の問題に取り組んでもらい, 理解できなかった学生には個別に質問に応じる時間を設ける. 授業の最後に, 練習問題を解いた授業内レポートを提出してもらう. そこには, 解いていて感じた数学的な疑問などを書いてもらい, 次の回の講義でそれに対するフィードバックをする.
授業計画
1 実数の集合の「最大値・最小値」の定義を改めて理解し,
具体例に対する厳密な証明を学ぶ.
【事前学習】 高等学校での最大値・最小値の扱いを復習しておくこと. (2時間)
【事後学習】 最大値・最小値の定義における最も大切な命題を理解すること. 具体的な問題に対して証明ができるようになること (A-4, A-8). (3時間)
2 実数からなる集合の「有界性」の定義を学び,
具体例に対する厳密な証明を学ぶ.
【事前学習】テキスト第2回講義内容に目を通しておくこと. (2時間)
【事後学習】 直観的な理解と論理式による理解の両面から「有界性」を理解し, 具体的な問題に対して証明ができるようになること (A-4, A-8). (3時間)
3 実数からなる集合に対して「上界値」と「上限値」を理解する.
【事前学習】テキスト第3回講義内容に目を通しておくこと. (2時間)
【事後学習】上に有界であることと上界値の存在が同値であることを理解する. また, 上界値と上限値の違いを理解する (A-8). (3時間)
4 剰余項つきテイラー展開とその応用について学ぶ.
【事前学習】 微分積分学1で学んだ「テイラー級数展開」を復習しておくこと (A-8). (2時間)
【事後学習】テイラー級数展開は無限級数であり, 極限の概念を用いて 定式化される. これに対して, 誤差項つきのテイラー展開を学ぶ. 具体的な問題に対して証明ができるようになること (A-4). (3時間)
5 第1回中間試験(授業内試験)とその解説
【事前学習】 1回から3回までの講義内容をよく復習すること (A-8). (6時間)
【事後学習】 詳細解答解説を配布するので, 正答できた問題もできなかった問題もすべて解き直すこと. また, 友人と積極的に試験範囲の数学の原理について議論すること (A-6, A-8). (2時間)
6 数列の収束性をイプシロン-エヌ論理式に基づいて理解する.
【事前学習】 高等学校の教科書では「数列の収束」をどのように規定し, どのように 扱っていたかを復習しておく. (2時間)
【事後学習】 高等学校での数列の収束性の規定方法と イプシロン-エヌ論理式による定義を比較し, 直観的イメージをつなげること. 具体的な問題に対して証明ができるようになること (A-5). (3時間)
7 収束数列と有界性の関係から, Bolzano-Weierstrass の定理が自然に
理解されることを学ぶ.
【事前学習】 収束性と有界性を明確に区別しておくこと. (2時間)
【事後学習】 収束列が有界であることを証明まで込めて理解する. 逆命題は必ずしも成り立たないことを理解し, その結果 Bolzano-Weierstrass の定理を学ぶというストーリーを学ぶ (A-5). (3時間)
8 コーシー列の概念導入と, その意味を学ぶ. 応用として実数の完備性を学ぶ.
【事前学習】 高等学校の数IIIにおいて「自明」とされていた事項を探し出してみよう. (2時間)
【事後学習】コーシー列と収束列の違いを明確に理解すること(A-5). (3時間)
9 逆三角関数の定義およびその微分と積分を学ぶ.
【事前学習】関数の「対応」による定義を思い出し, その規約に 基づいて具体的な問題の証明ができるようにしておくこと. (2時間)
【事後学習】 何故三角関数の「逆対応」が「関数」にならないのかを 理解し, その結果として定義されるいわゆる「逆三角関数」について 理解する. さらにその微分や積分の問題も解けるようにしておくこと. (3時間)
10 第2回中間試験(授業内試験)とその解説
【事前学習】 6回から9回までの講義内容をよく復習すること. (2時間)
【事後学習】詳細解答解説を配布するので, 正答できた問題もできなかった問題もすべて解き直すこと(A-8). また, 友人と積極的に試験範囲の数学の原理について議論すること(A-6, A-8). (3時間)
11 関数の極限と連続性の概念をイプシロン-デルタ論理式で定義する.
【事前学習】微分積分学1で学んだ関数の連続性の定義を確認しておく. (2時間)
【事後学習】 lim 記号を用いた連続性の定義と, 講義で学んだイプシロン-デルタ論理式 による定義が直観的に整合性が取れていることを深く理解する (A-5). (3時間)
12 中間値定理の証明を理解する (A-3).
【事前学習】中間値定理の証明における背理法で要となる, 上限値の概念とその同値条件を復習しておくこと (A-3). (2時間)
【事後学習】高等学校ではグラフを描いて「自明」で済ませていた 中間値定理が, 本講義ではいかにして厳密に証明できたのか, 原理を追究すること(A-3, A-5, A-8). (3時間)
13 連続関数の最大値の定理の証明を理解する (A-3).
【事前学習】 高等学校の教科書では連続関数に最大値が存在することを どのように記述されているかを確認しておくこと (A-3). (2時間)
【事後学習】高等学校ではグラフを描いて「自明」で済ませていた 連続関数の最大値の存在について, 本講義ではいかにして厳密に証明できたのか, 原理を追究すること(A-4, A-5, A-8). (3時間)
14 積分の計算方法である「部分積分法」と「置換積分法」の原理を学ぶ(A-3).
【事前学習】高等学校で学んだ「部分積分法」と「置換積分法」による 具体的積分計算問題を10題ずつ解いてくること(A-8). (2時間)
【事後学習】 計算方法の原理を学ぶことの大切さを理解し, 原理の理解の上でもう一度事前学習で解いた問題を解きなおしてみること (A-4, A-5, A-8). (3時間)
15 期末試験(授業内試験)とその解説
【事前学習】 10回から14回までの講義内容をよく復習すること(A-8). (6時間)
【事後学習】詳細解答解説を配布するので, 正答できた問題もできなかった 問題もすべて解き直すこと. また, 友人と積極的に試験範囲の数学の原理について議論すること (A-6,A-8). (2時間)
その他
教科書 山浦義彦 『微分積分学講義ノート 』 簡易製本 2019年 第1版
山浦義彦 『微分積分学演習書』 簡易製本 2019年 第1版
山浦義彦 『微分積分学 過去三年間授業内試験問題集』 簡易製本 2019年 第1版
山浦義彦 『微分積分学 計算演習解説書』 簡易製本 2019年 第1版
以上の教科書はすべて微分積分学1受講の際に購入していただいた簡易製本版のテキストです.
新たに追加で必要になるテキストはありません.
参考書 水本久夫 『微分積分学の基礎 (培風館)』 培風館 第1版
指定した問題集は微分積分学1で使ったものと同一の問題集です.
試験問題は講義の内容から6割程度, そして残りを指定問題集から出題します.
成績評価の方法及び基準 レポート:講義ごとの復習成果レポート, レポート (自力, 復習)2回(65%)、授業内テスト:計算テストを1回実施予定 (オンライン試験)(25%)、授業参画度:講義ごとのビデオ視聴確認レポート(10%)
授業内レポートは講義終了後に提出をしていただきます.
出席も込めた講義への積極性を点数化する(10%). 事後復習成果レポートは次の回の講義の前に提出をしていただきます. 講義の理解のための日常の努力を
点数化する(10%).
復習成果レポートおよび演習レポートは内容を確認した上で, 基本的に次の講義時間に返却します. 質問に対してはコメントをつけ, 多かった質問に対してはプリントを作成して全員に対して注意を促したり補足説明をします.
授業内テストは中間試験(2回), 期末試験(1回)を行い, それらの合計点で成績を評価する.

A-3, A-4 の達成度は中間試験, 期末試験の解答状況にて判断し, A-5 の達成度についてはレポート提出状況にて判定する.
また, A-6 の達成度については講義中の演習とその机間指導にて判断し, ノート点検を通して A-8 の達成度を確認する.
オフィスアワー 事前に連絡をしてもらえれば, 常時受け付けるが, 原則として金曜日午後が望ましい.

ブラックボードへの「復習成果レポート」にて質問を受け付けます. また, ブラックボードで提示するアドレスで随時質問を受け付けます.
備考 【重要】授業開始一週間前には, ブラックボードへの登録を済ませてください.


「事前学習・事後学修」に関する学習時間は目安です.

授業の方法については, 現状の推移を見て状況に応じて対面授業に切り替えるなど
臨機応変に対応します. また, 試験は今のところ実施は困難であると予想されますが,
状況に応じて実施する可能性がありますので, 試験はあるものと考えて勉強を進めておいてください.

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