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量子力学入門

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令和元年度以前入学者 量子力学入門
教員名 石田浩
単位数    2 学年    2 開講区分 文理学部
科目群 物理学科
学期 後期 履修区分 必修
授業の形態 オンデマンド型の遠隔授業
Blackboard ID:水曜4限→20203366
授業概要 20世紀初め原子核や電子の存在が明らかになるにつれて、古典物理学では説明できない物理現象が多々発見された。量子力学はこうしたミクロの世界の自然法則として多くの科学者によってつくられた。本授業では、プランク定数の発見からシュレーディンガー方程式、ハイゼンベルクの行列力学、ディラック方程式にいたるまで、量子論に寄与した科学者の原書論文を読みながら、量子論の成立過程をたどる。
授業のねらい・到達目標 3年次の「量子力学1,2」「量子力学演習1,2」の準備として量子力学の基本方程式を、歴史をたどりながら導出する。
・古典力学と量子力学の違いを説明できる、
・プランクの放射式を説明できる、
・アインシュタインの光量子説を説明できる、
・コンプトン散乱の式を導ける、
・ラザフォードの原子模型を説明できる、
・ボーアの定常状態について説明できる、
・ドブロイの物質波を導出できる、
・シュレーディンガー方程式を説明できる、また簡単な系に適用できる、
・ハイゼンベルグ行列力学を使って調和振動子の量子化を計算できる、
・不確定性原理について説明できる、
・電子のスピンの発見について説明できる、
・ディラック方程式を導出できる、ディラック方程式からスピンが説明できること、陽電子が予言されたことを説明できる。
・物事を科学的根拠に基づいて批判的、論理的に考察し、既存の知識にとらわれることなく、の物事の本質を捉えることができる。既存の知識にとらわれることなく、物事を論理的に・批的に考え、説明することができる(A-3-2)。

この科目は文理学部のDP3及びCP3に対応しています。
授業の方法 Blackboardを通じて、授業15回分のオンデマンド教材を、毎週、配信します。受講生はその教材を使って学修してください。また毎回または2週に1回程度、授業内容に関する小テストを実施します。小テストの解答は、テストの期日後に提供するので復習もしてください。学期末にはこれまでの授業内容全般にわたる期末テストも実施します。課題の解答例は、翌週までに提供するので復習もしてください。またBlackboardの掲示板機能を用いて質問に回答します。
履修条件 なし
授業計画
1 物理学は光速 c とプランク定数 h で分類できる。h が現れるのが量子論である。空洞放射、黒体放射の実験結果が古典論では説明できなかったことを学ぶ、
【事前学習】高校物理の「原子」の章をよく復習しておく。 (2時間)
【事後学習】パワーポイント教材中の問題を解き、ノートを作成して、理解不足を補っておくこと (2時間)
2 プランクの空洞放射の式を導く。プランクは光のエネルギーではなく、光を発する物質中の“共鳴振動子”のエネルギーが量子化されると仮定して放射式を導いたことを学ぶ。
【事前学習】小正準分布における、場合の数と内部エネルギーの関係を調べる。 (2時間)
【事後学習】パワーポイント教材中のプランクの原著論文の一節をよく読んで、基本的な考え方を理解する。 (2時間)
3 アインシュタインの光量子説を学ぶ。光電効果の式を理解する。
【事前学習】高校物理の「原子」の章で光電効果の復習をしておく。 (2時間)
【事後学習】パワーポイント教材中のアインシュタインの原著論文の一節をよく読んで、基本的な考え方を理解する。 (2時間)
4 ミリカンは光電効果を使って h を定量測定したが光量子説を信じていなかったことを学ぶ。コンプトン効果の実験によって光量子説が広く受け入れられたことを学ぶ。
【事前学習】高校物理の「原子」の章でコンプトン散乱の復習をしておく。 (2時間)
【事後学習】パワーポイント教材中のミリカンとコンプトンの原著論文をよく読んで、基本的な考え方を理解する。 (2時間)
5 トムソンとラザフォードの原子模型を学ぶ。原子によるα線の散乱実験により、ラザフォードが原子模型を導いたことを学ぶ。
【事前学習】「力学2」で学んだクーロン散乱による微分散乱断面積の式を復習する。 (2時間)
【事後学習】パワーポイント教材中のラザフォードの原著論文をよく読んで、基本的な考え方を理解する。 (2時間)
6 古典論では、原子核の周りを電子がまわると光をだしてすぐ壊れてしまうことを学ぶ。ボーアが定常状態に関する3つの仮説を用いて、この問題を解決したことを学ぶ。
【事前学習】荷電粒子が加速度運動すると光を放出することを電磁気学の教科書で調べる。 (2時間)
【事後学習】パワーポイント教材中のボーアの原著論文をよく読んで、基本的な考え方を理解する。 (2時間)
7 水素原子の発光スペクトルの式を理解する。ボーアが水素原子模型では、軌道角運動量が量子化された状態が定常状態であることを理解する。
【事前学習】高校物理の「原子」の章でボーアの原子模型の復習をしておく。 (2時間)
【事後学習】パワーポイント教材中のボーアの原著論文をよく読んで、基本的な考え方を理解する。 (2時間)
8 ドブロイの物質波の式を導く。ドブロイが、エネルギーと振動数の関係を表す光量子説が、4次元ベクトルの第4成分であることに気が付き、残り3成分も同じ比例関係を満たすと仮定して、運動量と波長の関係式 p=h/λ を導いたことを学ぶ。
【事前学習】高校物理の「原子」の章で物質波の復習をしておく。 (2時間)
【事後学習】パワーポイント教材中のドブロイの博士論文をよく読んで、基本的な考え方を理解する。 (2時間)
9 音波型の波動方程式とドブロイの式を組み合わせて、時間に依らないシュレーディンガー方程式を導く。また時間依存性を考えると波動関数が複素数になってしまうことを学ぶ。
【事前学習】「振動と波動」で学んだ波動方程式を復習する。 (2時間)
【事後学習】パワーポイント教材中のシュレーディンガーの原著論文(1)をよく読んで、基本的な考え方を理解する。 (2時間)
10 シュレーディンガー方程式を用いて、井戸型ポテンシャルに束縛された粒子のエネルギー、調和振動子の量子化されたエネルギー、水素型原子の束縛エネルギーを計算する。
【事前学習】古典力学における調和振動子の解き方を復習しておく。 (2時間)
【事後学習】パワーポイント教材中のシュレーディンガーの原著論文(2)をよく読んで、基本的な考え方を理解する。 (2時間)
11 観測される物理量のみに基づいてハイゼンベルクが量子力学の方程式を導いたことを学ぶ。ハイゼンベルク、ボルン、ヨルダンがこれを行列で書きなおして、“行列力学”として定式化したことを学ぶ。行列力学を使って、調和振動子の量子化されたエネルギーを求めて、シュレーディンガー方程式の解と一致することを示す。
【事前学習】行列の演算について復習しておく。 (2時間)
【事後学習】パワーポイント教材中のハイゼンベルクの原著論文(1)をよく読んで、基本的な考え方を理解する。 (2時間)
12 前半はハイゼンベルクの不確定性原理について学ぶ。後半はStern-Gerlachの実験から、電子が軌道角運動量とは異なる起源をもつ磁気モーメント“スピン角運動量”をもつことを学ぶ。
【事前学習】行列の演算について復習しておく。 (2時間)
【事後学習】パワーポイント教材中のハイゼンベルクの原著論文(2)をよく読んで、基本的な考え方を理解する。 (2時間)
13 電子の2重性を説明するために、ディラックが相対論的な電子波の方程式を導いたことを学ぶ。これから電子スピンが説明され、負エネルギーの解から陽電子が予言され実験で観測されたことを学ぶ。
【事前学習】「電磁気学」等で学んだ特殊相対論の式を復習しておく。 (2時間)
【事後学習】パワーポイント教材中のディラックの原著論文をよく読んで、基本的な考え方を理解する。 (2時間)
14 期末テストとその解説(A-3-2)
【事前学習】これまでの授業内容について復習しておくこと。 (2時間)
【事後学習】解けなかった問題について、もう⼀度ノート、パワポ教材を参照して解きなおすこと (2時間)
15 まとめ(これまでの復習・解説を⾏い,講義内容の理解を深める)
【事前学習】「量子力学入門」のテキストをまとめたノートを整理して、3年次科⽬「量子力学1,2」に備える。 (2時間)
【事後学習】事前学習の続きを⾏う。 (2時間)
その他
教科書 使用しない
参考書 星野敏春、浅田寿生、藤間信久、田村了、古門聡士 『量子力学入門 -物質科学の基礎-』 学術図書出版社 2006年 第3版
成績評価の方法及び基準 授業内テスト(70%)、授業参画度(30%)
出席回数が十分でない場合は成績評価の対象としない
オフィスアワー 授業内容に関する質問は授業後あるいは学科事務室で受け付けます。その後、時間を調整して、物理学科図書室または本館1階で応対します。

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