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ナノサイエンス特論

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令和2年度入学者 ナノサイエンス特論
教員名 川上隆輝
単位数    2 課程     開講区分 文理学部
科目群 相関理化学専攻
学期 前期 履修区分 選択必修
授業の形態 オンデマンド型の遠隔授業(12回)と課題研究(3回)を組み合わせる。
授業概要 本授業では,ナノテクノロジーを駆使した科学について講義する。ナノサイズの科学では,量子論を扱う必要があるため,はじめに量子論の復習をする。ナノテクノロジーを駆使した最先端技術のひとつに,パソコンやスマートホンに使われるメモリーがある。現在は,半導体(DRAM)を用いているがこれ以上性能を向上させるのに限界が近づいている。次世代のメモリとして期待されるのが,磁性体を用いたマグネティック・ランダム・アクセス・メモリ(MRAM)である。MRAMについて理解できるように,授業の中盤は磁性について勉強する。最後に,人工格子について学び,最先端のナノテクノロジーのひとつであるMRAMについて理解する。
授業のねらい・到達目標 ミクロな世界の物理的な性質を理解する。
主に実験を行っている学生を対象としているため,複雑な計算は扱わず,ナノサイエンスを理解するために必要なミクロの世界を直感的に考えられるようにする。
授業の方法 5月13日(水)から7月29日(水)までの授業実施日(12回),Blackboardを通して,オンデマンド教材を配信する(15分程度×3)。
受講生はその教材を視聴し,毎回,クイズに解答してもらう。クイズの解答は,提出期限後に提供する。
また,Blackbosrdの掲示板機能を通して,「質問」の機会を提供する。
課題研究に関して,課題を設定しレポートとして提出してもらう。
履修条件 量子力学または量子化学的な考え方を身につけていることが,本授業を効率よく学習するうえで望ましい。量子力学や量子化学を本格的に学んでいない学生でも,授業が理解できるように,必要に応じて,量子力学的な考え方を最小限の数式でイメージできるように工夫して授業を展開する。
授業計画
1 ナノサイエンスとは(授業のテーマや到達目標および授業の進め方について説明する。残りの時間で,授業で展開する内容の一部を紹介し,興味を持って受講できるか判断してもらう)(オンデマンド授業)
【事前学習】量子力学および量子化学の復習をする。 (2時間)
【事後学習】ナノサイエンスに関する興味ある物理及び化学に関する現象を調べる。 (2時間)
2 エネルギー量子の発見と量子力学の誕生(ナノサイエンスの理解に不可欠な知識のおさらい)(オンデマンド授業)
【事前学習】量子力学の誕生に貢献したプランクの発見を調べる。 (2時間)
【事後学習】古典論と量子論の違いを理解し,応用できるようにする。 (2時間)
3 原子の構造と量子論(電子の軌道について学ぶ)(オンデマンド授業)
【事前学習】原子のエネルギー準位が連続ではなく,とびとびの値しかとれない理由を調べる。 (2時間)
【事後学習】ハイゼンベルクの不確定性について理解し,説明できるようにする。 (2時間)
4 磁性の種類と強磁性体(マクロな分類とミクロな分類と磁気モーメントを揃える相互作用について学ぶ)(オンデマンド授業)
【事前学習】室温で強磁性を示す元素を3つ調べる。 (2時間)
【事後学習】磁性体の分類を理解し,説明できるようにする。 (2時間)
5 電子配置と配位子場(磁性を担う電子のスピンについて学ぶ)(オンデマンド授業)
【事前学習】ボーア磁子について調べる。 (2時間)
【事後学習】弱い結晶場と強い結晶場の違いについて理解し,説明できるようにする。 (2時間)
6 水素原子(シュレディンガー方程式を用いて水素原子を学ぶ)(オンデマンド授業)
【事前学習】1次元自由粒子のシュレディンガー方程式がどのようものか調べる。 (2時間)
【事後学習】電子の軌道について,どのように導かれるか理解し,説明できるようにする。 (2時間)
7 分子軌道と交換相互作用(交換エネルギーと強磁性の発現原因について学ぶ)(オンデマンド授業)
【事前学習】原子軌道が混じるとどのようなことが起こるか調べる。 (2時間)
【事後学習】強磁性の発現原因どのようなものであるか,説明できるようにする。 (2時間)
8 超交換相互作用と二重交換相互作用(磁性イオンの間に非磁性イオンが入る場合の磁気秩序の仕方について学ぶ)(オンデマンド授業)
【事前学習】反強磁性になる酸化物と強磁性になる酸化物を調べる。 (2時間)
【事後学習】超交換相互作用と二重交換相互作用を理解し,説明できるようにする。 (2時間)
9 磁性のバンド理論(金属の磁性について学ぶ)(オンデマンド授業)
【事前学習】典型的な金属で強磁性を示す元素を調べる。 (2時間)
【事後学習】絶縁体の磁性体と金属の磁性体の磁気秩序の仕方の違いを理解し,説明できるようにする。 (2時間)
10 人工格子とナノサイエンス(薄膜製造装置の原理や扱い方を学ぶ)(オンデマンド授業)
【事前学習】人口格子とはどのようなものか,調べる。 (2時間)
【事後学習】ナノサイエンスを支えている技術について整理する。 (2時間)
11 NAND型フラッシュメモリ(世界最先端のメモリー技術について学ぶ)(オンデマンド授業)
【事前学習】現在使われている最先端のメモリーがどのようなものか,調べる。 (2時間)
【事後学習】今あるメモリーをしのぐ技術を開発するためにはどのような工夫が必要か,考察する。 (2時間)
12 巨大磁気抵抗効果とトンネル磁気抵抗効果(TMR)(ナノサイエンスを駆使して作られる磁気デバイスについて学ぶ)(オンデマンド授業)
【事前学習】磁気抵抗とは何か調べる。 (2時間)
【事後学習】人工格子によって作成された物理的特性とその応用について理解し,説明できるようにする。 (2時間)
13 マグネティック・ランダム・アクセス・メモリ(MRAM)(MRAMについて解説をする。その後,MRAMに関する課題を与えるため,各自研究し,レポートにまとめ提出する)(課題研究)
【事前学習】MRAMについて調べる。 (2時間)
【事後学習】DRAMとMRAMの違いについて説明できるようにする。 (2時間)
14 メスバウアー分光(磁性の測定手段のひとつであるメスバウアー分光について解説する。その後,メスバウアー分光に関する課題を与えるため,各自研究し,レポートにまとめ提出する)(課題研究)
【事前学習】メスバウアー分光とは,何の共鳴現象を扱うものか調べる。 (2時間)
【事後学習】メスバウアー分光の原理について説明できるようにする。 (2時間)
15 ナノサイエンス特論のまとめ(ナノサイエンス特論のまとめを行い,その後,授業内テストを行う)(課題研究)
【事前学習】ナノサイエンス特論の総復習を行う。 (2時間)
【事後学習】ナノサイエンスとマクロなサイエンスの違いを説明できるよにする。 (2時間)
その他
教科書 使用しない
参考書 太田恵造 『磁気工学の基礎Ⅰー磁気の物理- (共立全書)』 共立出版株式会社 1973年 第初版
成績評価の方法及び基準 レポート:第13回から第15回の課題研究のとき,それぞれレポートを作成してもらう。(30%)、授業内テスト:第15回の課題研究のときに授業内テストを行う。授業内テストは点数で評価する。(30%)、授業参画度:第1回から第12回は,オンデマンド教材の視聴状況とクイズの解答状況を授業参画度として評価する。(40%)
授業内テストは他の受講生の解答を参考にしなければ,何を参照にしても構わない。オンデマンド教材をノートにまとめておくことが,授業内テストを時間内に解答する助けになる。
ただし,出席回数が十分でない場合は成績評価の対象としない。
オフィスアワー Blackboardを通しての質問などを受ける。

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