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光化学反応特論

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令和2年度入学者 光化学反応特論
教員名 坂口喜生
単位数    2 課程     開講区分 文理学部
科目群 相関理化学専攻
学期 前期 履修区分 選択必修
授業の形態 授業内容のレジュメとオンデマンド型講義を組み合わせて行う。初回講義開始までにBlackBoardのコース登録をすること。受講者への連絡はBlackBoardの“連絡事項”欄に掲示するので随時確認すること。教官自身、BlackBoardに習熟していないので、資料の差し替え、再掲載などもあり得るので、随時、資料だけでなく連絡事項も確認すること。
授業概要 光励起分子の電子状態とその反応を理解する
授業のねらい・到達目標 光吸収により励起状態となった分子は通常の基底状態分子とは全く異なるふるまいをする。その原因を電子状態、スピン状態などから物理化学的に理解する。それを基礎として、分子が獲得したエネルギーを失活や種々の化学反応などで放出する過程とそのダイナミクスを紹介する。
この科目は文理学部(修士(化学))のDPおよびCPのA-3-3(高度な化学知識に基づいて,自然科学に関係する諸現象を論理的・批判的に考察することができる。)、A-4-3(さまざまな事象に潜む化学的問題を発見し,専門的化学知識に基づいてそれに対する解決策を考えることができる。)に対応しています。
授業の方法 授業はパワーポイントファイルとレジュメ型の資料による講義形式で行う。レジュメ末尾に出席チェック代わりの極小テストがありますので、解答を送信してください。
履修条件 特になし。量子力学の基礎知識があると便利です。量子力学について復習または原理を理解しておいて下さい。詳細に係る部分は講義で説明します。
授業計画
1 電磁波としての光 授業の構成についての説明と光そのものの性質の紹介(A-3-3)
オンデマンド型講義を行う。
【事前学習】量子力学の原理の理解 (1時間)
【事後学習】配布資料の精読 (1時間)
2 励起状態とそのスピン状態 普通(基底)状態ではほぼ存在しない、三重項状態について(A-3-3)
オンデマンド型講義を行う。
【事前学習】光化学反応の持続時間の推定 (1時間)
【事後学習】配布資料の精読 (1時間)
3 励起状態の電子分布 基底状態にある分子と励起状態にある分子のエネルギー以外の差について(A-3-3)
オンデマンド型講義を行う。
【事前学習】一重項と三重項状態の差異の考察 (1時間)
【事後学習】配布資料の精読 (1時間)
4 光吸収スペクトル 励起状態を作るには特定の大きさのエネルギーが必要で、それがスペクトルとなる(A-3-3)
オンデマンド型講義を行う。
【事前学習】励起状態の生成方法にはどのようなものがあるかの考察 (1時間)
【事後学習】配布資料の精読 (1時間)
5 対称性入門 1 分子の形とその物性には明確な関連がある、その基本である対称性について紹介する(A-4-3)
オンデマンド型講義を行う。
【事前学習】日常語としての「対称性」の意味内容についての考察 (1時間)
【事後学習】配布資料の精読と美しい形状に潜む対称性の認識 (2時間)
6 対称性入門 2 続き 対称性を分子軌道に当てはめると、どのような考察が直観的にできるようになるか(A-4-3)オンデマンド型講義を行う。
【事前学習】左右対称であれば起こり得ない日常現象についての考察 (1時間)
【事後学習】配布資料の精読と様々な形の分子の対称性の識別 (2時間)
7 対称性入門 3 振動・回転スペクトルに対称性を当てはめるとどうなるか 対称性の分類(A-3-3、A-4-3)
オンデマンド型講義を行う。
【事前学習】振動・回転分子としていない分子の対称性の差異の考察 (1時間)
【事後学習】配布資料の精読と物理系に対する対称性の適用 (2時間)
8 光吸収の禁制と振動・回転スペクトル 対称性と光化学がどのように関係しているのか(A-3-3)
オンデマンド型講義を行う。
【事前学習】光吸収状態での分子の対称性の考察 (1時間)
【事後学習】配布資料の精読 (1時間)
9 スピン−軌道相互作用と項間交差 禁制に阻まれているはずの三重項がなぜ生ずるか(A-3-3)
【事前学習】対称性が破れる状況についての考察 (1時間)
【事後学習】配布資料の精読 (1時間)
10 発光スペクトル(蛍光と燐光)及び内部転換 励起状態に上がった分子のエネルギー放出機構を紹介する(A-3-3)
オンデマンド型講義を行う。
【事前学習】物理的なエネルギー放出過程についての考察 (1時間)
【事後学習】配布資料の精読 (1時間)
11 励起エネルギー移動(増感) 他の分子に対するエネルギー移動で光吸収によらない励起状態を作り、自らは基底状態に戻る過程(A-3-3)オンデマンド型講義を行う。
【事前学習】光禁制である三重項状態の生成方法についての考察 (1時間)
【事後学習】配布資料の精読 (1時間)
12 光イオン化と電子移動反応 励起分子の行なう最も単純な反応(A-4-3)
オンデマンド型講義を行う。
【事前学習】分子に莫大なエネルギーを与えた場合の挙動の推定 (1時間)
【事後学習】配布資料の精読 (1時間)
13 結合開裂反応と原子移動反応(カルボニル化合物の光化学反応) 典型的な化合物の光反応(A-4-3)
オンデマンド型講義を行う。
【事前学習】自分の知る、光で起きる反応の列挙 (1時間)
【事後学習】配布資料の精読 (1時間)
14 環化・異性化反応 もう1種の典型的な反応(A-4-3)
オンデマンド型講義を行う。
【事前学習】エネルギー面を除き、光化学でしか起きない反応の考察 (1時間)
【事後学習】配布資料の精読 (1時間)
15 反応のダイナミクス 光を吸収してから分子はどのように変化して行くか(A-3-3)
オンデマンド型講義を行う。
【事前学習】光化学と熱化学反応過程はどう違うかの考察 (1時間)
【事後学習】全配布資料の再読 (3時間)
その他
教科書 特に指定しません。「光化学」に関する教科書はかなりありますが、それぞれに特長と癖があります。特定の教科書に偏らない講義を目指しています。
参考書 坂口喜生 『スピン化学 (化学サポートシリーズ)』 裳華房 2005年 第1版
イアン・スチュアート 『対称性 不変性の表現 (サイエンス・パレット)』 丸善出版 2017年 第1版
量子力学の授業で用いた教科書なども役立ちます。
成績評価の方法及び基準 レポート:第12回講義を目途として課題を掲示します。(60%)、授業内テスト(40%)
出席チェック代わりの極小テストの集積が授業内テストにあたります。その解答は次回講義の掲載前までに、BlackBoardシステムを用いて返信してください。レポートも最終講義後一週間以内に送信してください。
オフィスアワー 基本的にはBlackBoardシステムを用いて質問してください。重要と思われるものは、数回後の講義資料の追加ページとして参加者全員に分かるようにします。個別の返答が特に必要な場合はメールを利用してください。
備考 今年度は集合しての試験が行えませんので、レポートを中心に評価します。

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