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東洋史特講5

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令和2年度以降入学者 東洋史特講5
令和元年度以前入学者 東洋史特講5
教員名 神田惟
単位数    2 学年 2~4 開講区分 文理学部
科目群 史学科
学期 前期 履修区分 選択必修
授業の形態 対面授業を原則とする。新型コロナウイルス感染症の流行の状況によっては、履修者と相談の上、随時、Zoomを用いたリアルタイム授業に切り替える可能性がある。
BlackboardのコースID:20220642
授業概要 主として西アジア(中東)を中心とした地域の物質文化の検討を通じ、イスラーム⽂化の史的・地域的展開を学びます。

授業キーワード:イスラーム美術史、マテリアル・カルチャー、イスラーム、西アジア、中東、中近東、中央アジア、マー・ワラー・アンナフル、南アジア、インド、マグリブ、アル=アンダルス、宗教、歴史、文化、美術、音楽、言語、文字、グローバル化、アラビア語、ペルシア語、トルコ語、クルアーン、コーラン、ハディース
授業のねらい・到達目標 本講座は、①イスラームが成立した7世紀以降、現代に至るまでの間に、主に西アジア(中東)を中心とする地域においてムスリムのために/ムスリムによって生み出された工芸品・写本絵画・建築の地域的・史的展開についての知識を時系列順に習得することで、各時代・地域の文化について具体的な作品例を挙げながら説明できるようになることを目指す。同時に、②多様なムスリムの多様な価値観を共有し、グローバル化の時代を⽣き抜くために必要な想像⼒・創造⼒を⾝につけることを目標とする。

この科目は文理学部(学士文学)のDP及びCP2、3に対応しています。
・世界諸国の歴史,経済,文化,政治などの背景を理解し,国際社会が直面している問題を人文学の視点から説明することができる(A-2-3)。
・物事を既存の知識にとらわれることなく,人文学的根拠にもとづいて論理的・批判的に考察し,説明することができる(A-3-3)。
授業の方法 授業の形式:【講義】

・【第1回から第13回までの講義の内容】この授業はイスラーム美術史の通史の授業です。イスラームの教義と各宗派の違いについて概観したのち、この教えがムスリムのために/ムスリムによって7世紀以降主に西アジア(中東)を中心とする地域で生み出された工芸品・写本絵画・建築にどのような特色をもたらしたのかについて多角的に検討します(第1回)。

続いて、それらの工芸品・写本絵画・建築が、どのような文化的・宗教的・政治的背景のもと生み出されたのか、タテ(地域性)とヨコ(時代性)の繋がりに重点を置きながら、時系列順に分析します(第2回〜第11回)。この際、時代によっては、西アジアのみならず、中央アジア、イベリア半島、インドのムスリム諸王朝の下で作られた工芸品・写本絵画・建築についても考察の対象とします。

最後に、第12回および第13回の講義では、開講期間中および近日中に日本国内で見ることのできるイスラーム美術作品について紹介し、受講生のみなさんが、講義で学んだことを実際に自身の目で確かめ、自ずから作品について思考するための一助とします。

・第14回から第15回までは、課題学習の形式をとります。各回ごとに、こちらが指定したテーマについて小レポートを書いていただきます。

・単位の取得には、9回以上の「小テストへの回答とコメントペーパーへの記入」(締め切り厳守)に加え、1回以上の「小レポート」の提出(締め切り厳守)が必須です。

・高校で世界史を選択していない方、アラビア語等の諸言語の知識がない方でも理解できるような授業作りを心がけますが、対象とする地域が広域に渡りますので、日頃からよく地図を眺めておくようにしてください。もちろん、高校で世界史を既に学習済みだけれども、イスラーム史を学び直したい、という方のニーズにも応えたいと思います。

・本授業の事前・事後学習は合計4時間程度を目安とします。

*履修者は初回講義開始までにBlackboardのコース登録をすること。受講者への連絡はBlackboardの“連絡事項”欄に掲示するので随時確認すること。

対面授業に参加できない要件を満たした場合:zoomで参加し、指定日時までにBlackboardに配信する課題を提出する。
授業計画
1 ガイダンス:「イスラーム」とは何か、「イスラーム美術」とは何か (A-2-3、A-3-3)
【事前学習】シラバスの概要を確認する。教科書 pp. 130–131(「イスラーム教の誕生」)を熟読した上で、「イスラーム」について自身が知っていることを授業時間内に短時間で記述できるよう準備しておく。 (2時間)
【事後学習】六信五行、スンナ派とシーア派の考え方の違い、イスラームで預言者とされている人物たち、といった基本事項を確認する。 (2時間)
2 ビザンツ・ササン文化の遺産とイスラームの勃興・伝播(622–c. 950年)(A-2-3、A-3-3)
【事前学習】第1回授業時の配布物および教科書 pp. 131–133(「イスラーム世界の成立」「イスラーム帝国の形成」)を熟読し、講義内容の前提となる歴史的背景についての知識を身につける。 (2時間)
【事後学習】第2回授業の配布物を見直し、イスラームの教えが、先行する西アジアの諸文化とどのように交わり、広まっていくのかについて考察する。 (2時間)
3 カリフ国鼎立・イラン系王朝成立期のイスラーム美術(c. 750–c. 1150年)(A-2-3、A-3-3)
【事前学習】教科書 pp. 134–135, 196(「イスラーム帝国の政治的分裂」「トルコのイスラーム化[イラン系のサーマーン朝台頭まで]」)を熟読し, 講義内容の前提となる歴史的背景についての知識を身につける。とくに, p. 134とp. 196掲載の地図をよく見ておく。 (2時間)
【事後学習】第3回授業の配布物を見直し、10世紀後半の時点における、「カリフ」を自称した君主を擁するアラブ系の王朝を全て把握すると同時に, イラン系王朝の台頭を認識し、それぞれの王朝の文化的特徴について考察する。 (2時間)
4 トルコ系王朝の西進・インド進出とイスラーム美術(c. 950年–c. 1250年)(A-2-3、A-3-3)
【事前学習】教科書 pp. 135–137, 142–143, 196–197(「東方イスラーム世界[ルーム・セルジューク朝台頭まで]」, 「イスラーム勢力の進出とインド」, 「トルコのイスラーム化[カラハン朝以降]」)を熟読し, 講義内容の前提となる歴史的背景についての知識を身につける。とくに, p. 136とp. 196掲載の地図をよく見ておく。 (2時間)
【事後学習】第4回授業の配布物を見直し、10世紀半ば頃以降におけるトルコ系王朝の台頭が、西アジア全域に及ぼした文化的なインパクトについて考察する。 (2時間)
5 モンゴル系王朝の西進とイスラーム美術(c. 1250年–c. 1350年)(A-2-3、A-3-3)
【事前学習】教科書 pp. 137–138, 206–207(「東方イスラーム世界[モンゴルの中央アジア, イラン進出以降]」「モンゴル帝国の形成」)を熟読し, 講義内容の前提となる歴史的背景についての知識を身につける。とくに, p. 139とp. 207掲載の地図をよく見ておく。 (2時間)
【事後学習】第5回授業の配布物を見直し、13世紀初頭以降におけるモンゴル系王朝の西アジア進出が、この地域に及ぼした文化的なインパクトについて考察する。 (2時間)
6 トルコ=モンゴル系王朝の西進とイスラーム美術(1350年–1500年)(A-2-3、A-3-3)
【事前学習】教科書 pp. 218, 241–242(「モンゴルとユーラシア世界の交流[トルコ=モンゴル系集団のイスラーム化]」,「ティムール朝の興亡」)を熟読し, 講義内容の前提となる歴史的背景についての知識を身につける。とくに, p. 225掲載の地図をよく見ておく。 (2時間)
【事後学習】第6回授業の配布物を見直し、14世紀半ば以降におけるトルコ=モンゴル系王朝の西アジア進出が、この地域に及ぼした文化的なインパクトについて考察する。 (2時間)
7 十字軍・国土回復運動時代の地中海世界のイスラーム美術(1150年–1500年)(A-2-3、A-3-3)
【事前学習】教科書 pp. 138–140(「バグダードからカイロへ」、 「西方イスラーム世界の変容」)を熟読し, 講義内容の前提となる歴史的背景についての知識を身につける。とくに, p. 138とp. 139掲載の地図をよく見ておく。 (2時間)
【事後学習】第7回授業の配布物を見直し、ファーティマ朝滅亡後の地中海世界に興ったスンナ派の諸王朝の文化に対し、十字軍や国土回復運動に伴う人と物の移動がどのようなインパクトを与えたかについて、考察する。 (2時間)
8 大航海時代のイスラーム美術(1500年–1800年)①:オスマン朝期地中海世界の美術(A-2-3、A-3-3)
【事前学習】教科書 pp. 242–244(「オスマン帝国の成立と発展」)を熟読し、 講義内容の前提となる歴史的背景についての知識を身につける。とくに, p. 243掲載の地図をよく見ておく。 (2時間)
【事後学習】第8回授業の配布物を見直し、ビザンツ帝国およびマムルーク朝滅亡後の地中海世界において覇権を握ったオスマン朝が、周辺諸国との文化的交流や政治的・宗教的対立を経て、どのようなアイデンティティを確立していったかについて考察する。 (2時間)
9 大航海時代のイスラーム美術(1500年–1800年)②:サファヴィー朝イランとその周辺の美術(A-2-3、A-3-3)
【事前学習】教科書 pp. 245–246(「サファヴィー朝の興隆」)を熟読し、講義内容の前提となる歴史的背景についての知識を身につける。とくに, p. 243掲載の地図をよく見ておく。 (2時間)
【事後学習】第9回授業の配布物を見直し、神秘主義教団であるサファヴィー教団を母体とするサファヴィー朝が、周辺諸国との文化的交流や政治的・宗教的対立を経て、どのようなアイデンティティを確立していったかについて考察する。 (2時間)
10 大航海時代のイスラーム美術(1500年–1800年)③:ムガル朝期インドの美術(A-2-3、A-3-3)
【事前学習】第5回および第6回授業の配布物を見直すと同時に、教科書 pp. 246–248(「ムガル帝国の成立」「ムガル帝国の衰退と地方勢力の台頭」)を熟読し, 講義内容の前提となる歴史的背景についての知識を身につける。とくに, p. 246掲載の地図をよく見ておく。 (2時間)
【事後学習】第10回授業の配布物を見直し、ティムール朝の後継王朝を称するムガル朝が、周辺諸国との文化的交流や政治的・宗教的対立を経て、どのようなアイデンティティを確立していったかについて考察する。 (2時間)
11 近代化・西洋化の波とイスラーム美術の終焉?(1800年–現代)(A-2-3、A-3-3)
【事前学習】教科書 pp. 364–370(「オスマン帝国の動揺」、「アラブの民族的な覚醒」、「オスマン帝国の改革運動」、「タンジマートから憲法発布へ」,「イラン・アフガニスタンの動向」)を熟読し, 講義内容の前提となる歴史的背景についての知識を身につける。とくに, p. 364掲載の地図をよく見ておく。 (2時間)
【事後学習】第12回授業の配布物を見直し、世界規模での近代化・西洋化がイスラーム美術にもたらした変化について考察します。 (2時間)
12 日本とイスラーム美術 Part 1〜常設展編〜(A-2-3、A-3-3)
【事前学習】こちらが事前に指定したウェブサイトに目を通します。 (2時間)
【事後学習】日本国内で見ることのできるイスラーム美術コレクションについてネットで検索し、実際に足を運ぶ計画を立てます。 (2時間)
13 日本とイスラーム美術 Part 2〜特別展編〜(A-2-3、A-3-3)
【事前学習】こちらが事前に指定したウェブサイトに目を通します。 (2時間)
【事後学習】日本国内で見ることのできるイスラーム美術コレクションについてネットで検索し、実際に足を運ぶ計画を立てます。 (2時間)
14 課題学習(A-2-3、A-3-3)
【事前学習】第1回から第11回までの復習を行う。 (0.5時間)
【事後学習】第1回から第11回までの内容に基づき、小レポートを作成する。 (3.5時間)
15 課題学習(A-2-3、A-3-3)
【事前学習】第12回と第13回の復習を行う。 (0.5時間)
【事後学習】第12回と第13回の内容に基づき、小レポートを作成する。 (3.5時間)
その他
教科書 木村靖二, 岸本美緒, 小松久男編 『詳説世界史研究』 山川出版社 2017年
イスラーム美術史のより深い理解には、高校世界史程度のイスラーム史+αの知識が必要不可欠です。このため、予習として上記教科書の指定ページを事前に熟読し、時代背景についての理解を深めることが求められます。なお、授業自体は、レジュメ(参考文献表含む)に沿って進めます。
参考書 ジョナサン・ブルーム&シーラ・ブレア著, 桝屋友子訳 『イスラーム美術 (岩波 世界の美術)』 岩波書店 2001年
中田考監修, 中田香織・下村佳州紀訳 『日亜対訳 クルアーン―[付]訳解と正統十読誦注解』 作品社 2014年
桝屋友子 『すぐわかるイスラームの美術ー建築・写本芸術・工芸』 東京美術 2009年
参考書の購入は必須ではありません。授業時間中に配布するレジュメ(参考文献表含む)に沿って授業を進めます。
成績評価の方法及び基準 レポート(35%)、授業参画度(65%)
対面授業に参加できない要件を満たし、zoomで参加した場合:別途指示する課題の提出によって評価する。対面授業での評価と差が出ることはない。
オフィスアワー 質問等への対応は、授業時間内に行う。質問がある場合は、授業時間中に課される小テストの質問欄に記入すること。

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