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無機分析化学

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令和2年度以降入学者 無機分析化学
令和元年度以前入学者 分析化学6
教員名 高橋純一
単位数    2 学年    3 開講区分 文理学部
科目群 化学科
学期 後期 履修区分 選択必修
授業の形態 対面授業(一部遠隔授業,Blackboardを使用する)

Blackboard コースID︓ 水曜1限→20224540
授業概要 分析化学は机上の知識と同時に,実験技術の熟達を必要とする。その⽬的は対象試料に含まれる 化学種の真の姿を描き出すことにある。この授業では,原⼦スペクトル法を⽤いる実際の微量⾦属分析を例にとり、分析法の原理・装置の構成と共に、サンプリングから結果の考察に到るまでの過程を学ぶ。現場での分析に焦点を当て,分析化学と現場分析の⽬指すゴールの違いを理解する。また分析の失敗例から試料とは何か、正しい分析値とは何を意味するのか,そしてなぜ分析に失敗するのかを考察する。
授業のねらい・到達目標 この科⽬は⽂理学部(学⼠( 理学))のDP及びCP3,4 に対応しています。
分析化学は現場における化学・物理分析の理論的支持母体である。しかし前者が科学の一環として対象物質の真の姿を描き出すことを目的とするのに対し,現場における分析ではまず正しいと思われる値を提出することが一義的に要求される。目的が異なるためにしばしば齟齬を生じ,分析者や研究者の間で誤解が生まれる。本授業においては,このギャップがなぜ生まれ,いかにすれば埋められるかについて考察し理解できるようにすることをそのねらいとする。正しい値とは誰にとって正しいのか、 分析の目的とは何か,について説明できるようになることが到達目標である(A-4-4)。またそのために分析者として,分析の依頼者と分析の「契約」に関して交渉できること(A-4-4),機器分析の原理,分析装置の構成をなぜ知る必要があるのか(A-3-4) , ブラックボックスではなぜいけないのかをきちんと説明できること(A-4-4)なども到達目標である。
授業の方法 授業の形式︓【講義】
事前学習⽤に,授業で使⽤するスライドのpdfファイルをBlackboardに公開することを予定している。毎回の授業の後半で⼩課題を提示するので,その場で記述するか次回までに提出,あるいはBlackboardを通じて提出すること。課題提出をもって出席点,授業参画点とする。フィードバックはコメントとして学⽣1⼈1⼈に答えるつもりでいる。方法はそのつど知らせる。対面授業に参加できない場合は,Blackboardを通じて外部の動画サイトより,簡単な音声コメントをつけた動画を見て学習してもらう。動画ファイルの有効期間は授業前日より1週間までとする。課題,小テストはBlackboardにも提示する。提出期限は対面授業と同様,次回の授業日前までとする。
履修条件 特になし
授業計画
1 産業界における微量⾦属分析を例にとり,なぜ分析しなくてはいけないのかについて講義する。(対面授業)
【事前学習】無機・分析化学実験で使ったノートを参照して,試料の調製からデータの整理までの流れをまとめること。スライド資料を⾒ておくこと(A-3) (3 時間)
【事後学習】課題を検討すること。スライド資料からキーワードを拾い出し整理しておくこと (A-3-4) (1 時間)
2 分析化学で⽤いる基本⽤語のうち,単位,純度,感度,検量線について説明する。(対面授業)
【事前学習】参考書でこれらの⽤語について疑問点をリストアップすること。スライド資料を⾒ておくこと(A-3) (2 時間)
【事後学習】課題を検討すること。疑問点に対する回答を⽐較対照する(A-3-4) (2 時間)
3 基本⽤語としてさらに,分析の精度,正確度,共存化学種による⼲渉,汚染,メモリー効果について説明する。(対面授業)
【事前学習】スライド資料を⾒て,分析の結果を左右するこれらの要因の例を考えること (A-4) (2 時間)
【事後学習】課題を検討すること。参考書にある定義と実分析における⽤語の意味とを⽐較対照する(A-4-4) (2 時間)
4 分析⽅法と装置の各論として最初に原⼦吸光分析をとりあげる。(対面授業)
【事前学習】参考書で原⼦吸光分析の原理を通読しておくこと。スライド資料を⾒ておくこと(A-3) (2 時間)
【事後学習】課題を検討すること。河川⽔中の鉛分析を例にとり,分析の流れをフローチャートにしてみること(A- 3-4) (2 時間)
5 分析⽅法と装置の各論として誘導結合プラズマ(ICP)発光分析をとりあげる。(対面授業)
【事前学習】参考書でICP発光分析の原理を通読しておくこと。スライド資料を⾒ておくこと(A-3) (2 時間)
【事後学習】課題を検討すること。鉄鋼中の硫⻩分析を例にとり,分析の流れを考えて無機・分析化学実験の方法論と比較してみること。(A-3-4) (2 時間)
6 誘導結合プラズマ質量分析法について説明する。授業時間の⼀部を使って⼩テストを実施する。(対面授業)
【事前学習】発光分析と質量分析の違いを理解しておくこと。スライド資料を⾒ておくこと。(A-4) (3 時間)
【事後学習】⼩テストの内容について再検討すること。(A-4-4) (1 時間)
7 実際の分析を⾏う上で⾮常に重要な「分析の設計」について講義する。前回の⼩テストについて解説する。(対面授業)
【事前学習】再度無機・分析化学実験ノートを参照し,スライド資料と照らし合わせること (A-4) (1 時間)
【事後学習】課題を検討すること。分析設計において使われるキーワードをリストアップし,意味を理解すること (A-4-4) (3 時間)
8 分析の特に極微量,極低濃度を扱う場合の容器の選択,洗浄について講義する。(対面授業)
【事前学習】実験室でどんな容器を使っているか,⽬的と洗浄について調べておきなさい。スライド資料を⾒ておくこと(A-3) (1 時間)
【事後学習】課題を検討すること。講義で取り上げた容器の材質とその特徴を調べてまとめなさい(A-3-4) (3 時間)
9 分析装置にかける前の試料前処理について講義する。原⼦スペクトル分析法は液体試料を導⼊するものであり,試料前処理は液化処理を意味する。(対面授業)
【事前学習】固体試料の溶液化について参考書で調べておくこと。スライド資料を⾒ておくこと(A-3) (2 時間)
【事後学習】課題を検討すること。実際に分析試料に触れるチャンスはまだ少ないであろうから,ウェブなどの動画 を参照して実処理の⼿順をみておく。(A-3-4) (2 時間)
10 実試料分析例(1)として⼯場排⽔の分析と太陽電池に使う半導体シリコン中の不純物分析について講義する。(対面授業)
【事前学習】⼯場排⽔とは何か,太陽電池とは何かを図書館の資料(JISハンドブックなど)で調べておくこと。スライド資料を⾒ておくこと(A-3) (2 時間)
【事後学習】課題を検討すること。講義で取り上げた参考資料に⽬を通しておきなさい(A-3-4) (2 時間)
11 分析実験を⾏うに当たっての危険⾏為や危険な対象試料について説明する。2回⽬の⼩テストを事業時間の⼀部を使って実施する。(対面授業)
【事前学習】常識的な範囲で,してはいけない実験操作などをリストアップしておくこと。スライド資料を⾒ておくこと(A-4) (2 時間)
【事後学習】⼩テストの内容を再検討すること。危険度の評価について理解すること(A-4-4) (2 時間)
12 前回の⼩テストについて解説する。実試料分析例(2)として鉄鋼分析,⾷品分析,オイルなどの有機溶媒試料の分析について説明する。(対面授業)
【事前学習】⽇本の鉄鋼産業,⾷品産業についてその必要性について疑問点をまとめておきなさい。スライド資料を ⾒ておくこと(A-4) (2 時間)
【事後学習】課題を検討すること。産業分野での不純物分析に対する疑問・回答を対照すること(A-4-4) (2 時間)
13 実際の現場における分析失敗例として⽑髪分析と天然⽔晶の分析について講義する。(対面授業)
【事前学習】分析設計の流れを再度確認しておくこと。スライド資料を⾒ておくこと(A-4) (2 時間)
【事後学習】課題を検討すること。なぜ分析に失敗したのか考えておくこと(A-4-4) (2 時間)
14 分析失敗例として鉄鋼中のリン分析,⼟壌中の微量ヒ素分析について講義する。最終課題を提⽰する。(対面授業)
【事前学習】なぜ鉄鋼中のリン分析が必要か,⼟壌中のヒ素はどこから来るのかについて調べておきなさい。スライド資料を⾒ておくこと(A-3) (2 時間)
【事後学習】なぜ分析に失敗したのか考えること。最終課題を検討すること(A-4-4) (2 時間以上)
15 分析結果の重みについて考える。最終課題についての解説は各⾃へのコメントに記す。(対面授業)
【事前学習】スライド資料を⾒ておくこと。築地市場移転問題,和歌⼭ヒ素カレー事件について過去の新聞報道を⾒ておくこと(A-3, A-4) (3 時間)
【事後学習】最終課題を完成しなさい(A-4-4) (1 時間以上)
その他
教科書 特に指定はなし。事前公開するスライド資料は板書の⼿間を省くためのもので,あくまでも参考に
過ぎず,授業をよく聞いてノートをとること。
参考書 千葉光一 他 『ICP発光分析 (分析化学実技シリーズ4巻)』 共立出版 2013年
太田清久 他 『原子吸光分析 (分析化学実技シリーズ5巻)』 共立出版 2011年
田尾博明 『誘導結合プラズマ質量分析 (分析化学実技シリーズ17巻)』 共立出版 2015年
分析法の原理・装置構成について授業の参考になる。
成績評価の方法及び基準 レポート:最終試験に代えて提出する。(40%)、授業内テスト:2回実施する。合計点を算出する。(40%)、授業参画度:毎回の小課題(20%)
レポート:レポートとしての体裁,⽂章の出来不出来も内容と共に評価する。誤字脱字,意味不明の⽂章,期限後の提出などは厳しく減点する。授業内テスト:主として知識を問うものとする。覚えているかより考えているかを重点的にみる。授業参画度:毎回の⼩課題に対する回答を授業参画度として評価する。課題作⽂,レポートなどについて期限後の提出は減点対象とするが,必ず提出すること。対面授業に参加できない場合も,Blackboardを通じて毎回の課題,小テスト,最終課題を提示するのでオンラインで提出すること。
オフィスアワー 授業前後,あるいはメールにて随時対応する。

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