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令和2年度以降入学者 | 美学史特殊講義3 | ||||
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教員名 | 高橋陽一郎 | ||||
単位数 | 2 | 課程 | 開講区分 | 文理学部 | |
科目群 | 哲学専攻 | ||||
学期 | 前期 | 履修区分 | 選択必修 |
授業の形態 | Zoomによる同時双方向型の遠隔授業(15回) BlackboardコースのID: 火曜4限→20221759 |
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授業概要 | 今年度は、「生の哲学(Lebensphilosophie)」や「実存哲学(Existenzphilosophie)」の代表者フリードリヒ・ニーチェ(Friedrich Nietzsche, 1844-1900)の初期作品『音楽の精神からの悲劇の誕生』(以下『悲劇の誕生』)を読みながら、藝術とは何か、藝術の分類や種類の問題、自然と人間との関係などの問題を探究する。前期は本書前半(第一節「アポロ的夢幻とディオニュソス的陶酔」から第十四節「ソクラテスとプラトン」まで)の講読を予定しているが、受講者の希望によりドイツ語原典で読む可能性もある(その場合には進度は遅くなることが予想される)。 |
授業のねらい・到達目標 | 本書『悲劇の誕生』は、たんにワーグナー的楽劇を予見する悲劇の再生論を語っているだけではない。そこには藝術の本質はもとより、現象学へ至る哲学の方法や、人間と自然との関係に関する多くの示唆が含まれている。こうした問題圏を受講者各自が受け取りながら、自己の哲学的・美学的思索を鍛錬することが本講義の第一の目的である。この目的が、外国語文献を(恣意的にではなく)正確に読解することによって達成されるならば、受講者はテキスト・クリティークの能力獲得という第二の目的も達成することになると思われる。 |
授業の方法 | 授業の方法:【演習】 ①毎回、参加者で日本語訳されたテキストを輪読してゆくか、またはドイツ語原典を文法等の説明を加えながらゆっくり読んでゆく(どちらの進め方にするかは受講者とともに決める)。数ページごとに担当者が問題を指摘し、その後、参加者の問題提起と合わせて議論を重ねる。 ②Blackboardのメールを通して、質問の機会を設ける。参加者間のやり取りはZoomでの授業中に行っていただく。 ③学期末に1500字前後のレポートを課すが、そのほかに学期中にニーチェ美学に関する小レポートを1~2度提出いただく。 |
履修条件 | なし |
授業計画 | |
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1 |
ガイダンス:『悲劇の誕生』執筆の意図と、思想的背景【同時双方向型】
【事前学習】参考文献によってニーチェの基本思想について学ぶ。 (2時間) 【事後学習】担当者が配布したプリントを精読し、ショーペンハウアー哲学との関係を理解する。 (2時間) |
2 |
『悲劇の誕生』序文「リヒャルト・ワーグナーに宛てた序言」と第一節「アポロ的夢幻とディオニュソス的陶酔」の読解―ニーチェの意図を理解する―【同時双方向型】
【事前学習】参考文献によってニーチェ哲学について調べておく。 (2時間) 【事後学習】なぜニーチェはショーペンハウアーとワーグナーに着目したのかについて、メモを作成する。 (2時間) |
3 |
『悲劇の誕生』第二節「ディオニュソス的ギリシア人」の読解【同時双方向型】
【事前学習】序言を復習し、内容を要約しておく。 (2時間) 【事後学習】「ディオニュソス」概念を理解し、第3回授業で問題となった箇所を復習する。 (2時間) |
4 |
『悲劇の誕生』第三節「アポロ的文化の基底」の読解【同時双方向型】
【事前学習】第二節を復習し、内容を要約しておく。 (2時間) 【事後学習】「アポロ」概念を理解し、第4回授業で問題となった箇所を復習する。 (2時間) |
5 |
『悲劇の誕生』第四節「アポロ的・ディオニュソス的ギリシア文化の推移」の講読【同時双方向型】
【事前学習】ギリシア悲劇の上演形式について参考文献で調べる。 (2時間) 【事後学習】ギリシア悲劇の基本を理解し、第5回授業で問題となった箇所を復習する。 (2時間) |
6 |
『悲劇の誕生』第五節「抒情詩人の解釈」の読解【同時双方向型】
【事前学習】ショーペンハウアー美学における「抒情詩」を調べ、その大要を理解しておく。 (2時間) 【事後学習】ニーチェのショーペンハウアー批判を理解し、第6回授業で問題となった箇所を復習する。 (2時間) |
7 |
『悲劇の誕生』第六節「詩と音楽との関係」の読解【同時双方向型】
【事前学習】ショーペンハウアー美学における「詩」を調べ、その大要を理解を理解しておく。 (2時間) 【事後学習】ニーチェ美学における「詩」について、ショーペンハウアーとの対比のなかで理解する。 (2時間) |
8 |
『悲劇の誕生』第七節「悲劇合唱団の起源」の読解【同時双方向型】
【事前学習】悲劇における音楽の役割について、自分なりの考えをまとめておく。 (2時間) 【事後学習】「コロス」の概念について理解し、第8回授業で問題となった箇所を復習する。 (2時間) |
9 |
『悲劇の誕生』第八節「サチュロスと演劇の根源現象」の読解【同時双方向型】
【事前学習】テキストの第八節を読み、悲劇における「合唱」のイメージをつかんでおく。 (2時間) 【事後学習】音楽の共同体的役割についてまとめ、第9回授業で問題となった箇所を理解する。 (2時間) |
10 |
『悲劇の誕生』第九節「ソフォクレスとアイスキュロス」の読解【同時双方向型】
【事前学習】ギリシア悲劇の代表作について各自で調べておく。 (2時間) 【事後学習】ソフォクレスとアイスキュロスの違いについてメモを作成する。 (2時間) |
11 |
『悲劇の誕生』第十節「悲劇の秘教」の読解【同時双方向型】
【事前学習】ホメロスの詩的世界観について、自分なりのイメージを形成しておく。 (2時間) 【事後学習】ホメロスの詩的世界と悲劇作家の世界観について自分なりにメモを作成する。 (2時間) |
12 |
『悲劇の誕生』第十一節「悲劇の死とエウリピデス」の読解【同時双方向型】
【事前学習】エウリピデスについて調べておく。 (2時間) 【事後学習】アッティカ新悲劇について、第十一節をもとにまとめる。 (2時間) |
13 |
『悲劇の誕生』第十二節「エウリピデスの美的ソクラテス主義」の読解【同時双方向型】
【事前学習】ニーチェのソクラテス像について自分なりに意見を形成しておく。 (2時間) 【事後学習】ソクラテス主義の性格を理解し、第13回授業で問題となった箇所を復習する。 (2時間) |
14 |
『悲劇の誕生』第十三節「ソクラテスの主知的傾向」の読解【同時双方向型】
【事前学習】テクスト第十三節を一読し、ニーチェのソクラテス像を明確に言語化しておく。 (2時間) 【事後学習】主知主義に対するニーチェの態度についてメモを作成する。 (2時間) |
15 |
『悲劇の誕生』第十四節「ソクラテスとプラトン」の読解【同時双方向型】
【事前学習】第十四節を読解し、ニーチェのプラトン像を明確に言語化しておく。おく。 (2時間) 【事後学習】ニーチェの悲劇観の独自性について、これまでの授業内容からメモを作る。 (3時間) |
その他 | |
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教科書 | ニーチェ(秋山英夫訳) 『悲劇の誕生 (岩波文庫)』 岩波書店 担当者の方でドイツ語原典のコピーも用意しておく。可能であれば原典で講読するが、受講者との相談の結果、日本語訳のまま進める可能性もある。 |
参考書 | 使用しない |
成績評価の方法及び基準 | レポート:レポートは求めるテーマと内容、提出状況を見て評価します。(50%)、授業参画度:授業参画度は、出席状況や質問の頻度、議論への参画等によって評価します。。(50%) |
オフィスアワー | Blackboardを通じ、またはZoomでの授業終了後に随時行う。 |