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美学演習4

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令和2年度以降入学者 美学演習4
令和元年度以前入学者 美学演習4
教員名 高橋陽一郎
単位数    1 学年 2~4 開講区分 文理学部
科目群 哲学科
学期 後期 履修区分 選択必修
授業形態 対面授業
Blackboard ID 20233519
授業概要 ハイデガー(Martin Heidegger, 1889-1976)の講演『技術についての問い』を日本語訳で講読することを通じて、技術/藝術と人間との関係、または世界との関係を考察する。後学期は訳書の第三講演「技術についての問い」を講読する。
授業のねらい・到達目標 講演『技術についての問い』は、晩年のハイデガーが現代テクノロジーの問題から人間と世界の危機を表明した論文である。ただしこの『存在と時間』の著者は、テクノロジーの問題を単なる現代的現象として扱うことなく、「物」、「技術/藝術」、「制作」、「真理」等の本来の意味に帰って問い正している。この講演を読解し、現代の根本的な問題をハイデガーと共有することで、世界・歴史・技術/藝術・自己への吟味力の養成が可能となる。前年度、担当者は演習においてベンヤミンとアドルノの現代藝術論を講読した。今年度の演習もその系列に属するが、今年度は一層明確に<危機の学としての美学>という観点を立て講読を進めてみたいと考えている。
なお、演習では、必要に応じてハイデガーの『存在と時間』、『藝術作品の根源』、アーレントの『人間の条件』、ベンヤミンの『複製技術時代の藝術作品』なども参照される。

・自他の主張や論証を論理的・批判的に考察して,既存の見解を問い直すことができる(A-3-3)。
・人間の生き方や現代社会のあり方を問い直し,自らの思想的課題を設定して,それに挑戦することができる(A-5-2)。
・自分の意見を他人に対してわかりやすく伝えることができる(A-6-2)。
・学修活動のみならず,日常生活においても,より良い成果を上げるために,お互いを尊重しながら協働することができる(A-7-2)。
・他者の評価を謙虚に受け止めながら,自分の学修経験を振り返り,分析していくことができる(A-8-2)。

この科目は文理学部(学士(文学)のDP3,DP5-8及びCP3, CP5-8に対応しています。
授業の形式 演習
授業の方法 授業の形式:【演習】
テキスト(講演「技術についての問い」)を定め、現代の技術と人間・世界との関係をめぐって、演習形式で授業を行う。テーマに関連した種々の文献を参考にしながら、討論を通じて指導を行う。全授業の最後に課題を出すので、1500字前後の後学期総括レポートとして提出していただく。
受講者は復習にも時間を十分にかけ、学修成果を獲得するするよう努められたい。
なお、授業計画は学修者の能力や関係する講義の進捗状況に応じて、変更されることがある。
本授業は、演習の性格上対面授業を基本とし、原則として遠隔措置を取らない。
授業計画
1 前期授業を回顧し、問題の所在を確認する。(A-1-1)
【事前学習】哲学事典等でハイデガーについて調べ、メモを作る。 (2時間)
【事後学習】担当者の配布するプリントを熟読し、疑問点を明記する。 (2時間)
【授業形態】対面授業
2 ハイデガーはなぜ「技術」を問題にしたのか(A-3-3)
【事前学習】「技術」概念について哲学事典等で調べる。 (2時間)
【事後学習】ハイデガーの「問い」の性格についてメモをとる。 (2時間)
【授業形態】対面授業
3 講演「技術についての問い」96~98頁の講読と解釈:技術を問うとはいかなることか。(A-6-2)
【事前学習】テキストの予定された講読部分を読んで要約を試みる。 (2時間)
【事後学習】西欧における技術と藝術の異同について調べ、自分なりの考察を加えてみる。 (2時間)
【授業形態】対面授業
4 講演「技術についての問い」98~100頁の講読と解釈:現代の技術について(A-5-2)
【事前学習】現代テクノロジーの功罪について考えた結果をまとめる。 (2時間)
【事後学習】当日のテキストに対する他人の発表について理解し、批判的考察を加えてみる。 (2時間)
【授業形態】対面授業
5 講演「技術についての問い」100~106頁の講読と解釈:原因論について(A-3-3)
【事前学習】授業予定箇所を通読して、疑問点を明確にしておく。 (2時間)
【事後学習】当日のテキストに対する他人の発表について理解し、批判的考察を加えてみる。 (2時間)
【授業形態】対面授業
6 講演「技術についての問い」106~108頁の講読と解釈:ポイエーシス(制作)について(A-7-2)
【事前学習】「制作」という観点から授業の予定箇所を通読しておく。 (2時間)
【事後学習】当日のテキストに対する他人の発表について理解し、批判的考察を加えてみる。 (2時間)
【授業形態】対面授業
7 講演「技術についての問い」108~112頁の講読と解釈:テクネーとアレーテイアについて(A-1-2)
【事前学習】「真理」という観点から授業の予定箇所を通読しておく。 (2時間)
【事後学習】当日のテキストに対する他人の発表について理解し、批判的考察を加えてみる。 (2時間)
【授業形態】対面授業
8 講演「技術についての問い」112~117頁の講読と解釈:挑発と駆り立てについて(A-3-3)
【事前学習】授業予定箇所を通読して、疑問点を明確にしておく。 (2時間)
【事後学習】当日のテキストに対する他人の発表について理解し、批判的考察を加えてみる。 (2時間)
【授業形態】対面授業
9 講演「技術についての問い」117~121頁の講読と解釈:徴用物資(Bestand)について(A-4-2)
【事前学習】「物」という観点から授業の予定箇所を通読しておく。 (2時間)
【事後学習】当日のテキストに対する他人の発表について理解し、批判的考察を加えてみる。 (2時間)
【授業形態】対面授業
10 講演「技術についての問い」121~127頁の講読と解釈:「ゲシュテル(Gestell)」について(1)(A-5-2)
【事前学習】「技術」、「活動」、「仕事」といったテーマについてハイデガーとは異なった考察を行った思想家や歴史家の考えについて調べてみる。 (2時間)
【事後学習】当日のテキストに対する他人の発表について理解し、批判的考察を加えてみる。 (2時間)
【授業形態】対面授業
11 講演「技術についての問い」127~131頁の講読と解釈:「ゲシュテル(Gestell)」について(2)(A-5-2)
【事前学習】自然科学の特色という観点から授業予定箇所を読んで要約を試みる。 (2時間)
【事後学習】当日のテキストに対する他人の発表について理解し、批判的考察を加えてみる。 (2時間)
【授業形態】対面授業
12 講演「技術についての問い」131~136頁の講読と解釈:危機(危険)について(1)(A-5-1)
【事前学習】現代テクノロジーの功罪という観点から授業の予定箇所を読んで要約しておく。 (2時間)
【事後学習】当日のテキストに対する他人の発表について理解し、批判的考察を加えてみる。 (2時間)
【授業形態】対面授業
13 講演「技術についての問い」136~144頁の講読と解釈:危機(危険)について(2)(A-5-1)
【事前学習】人間とテクノロジーについて自分なりの考えをまとめておく。 (2時間)
【事後学習】当日のテキストに対する他人の発表について理解し、批判的考察を加えてみる。 (2時間)
【授業形態】対面授業
14 講演「技術についての問い」144~151頁の講読と解釈:技術の本質について(A-7-2)
【事前学習】「危機」ないし「危険」という観点から授業の予定箇所を通読しておく。 (2時間)
【事後学習】他人からどのような批判や批評を受けたかについてメモをとる。 (2時間)
【授業形態】対面授業
15 授業のまとめ:危機のなかの技術と人間(A-8-2)
【事前学習】これまでの提出された種々の意見を復習しまとめる。 (2時間)
【事後学習】「現代における技術と人間の危機」というテーマでレポートを書き始める。 (2時間)
【授業形態】対面授業
その他
教科書 マルティン・ハイデガー(森一郎編訳) 『技術とは何だろうか―三つの講演― (講談社学術文庫)』 講談社 2019年
参考書 参考書は授業内に適宜紹介します。
成績評価の方法及び基準 レポート:レポート(学期末レポート)は求めるテーマと内容、提出状況をみて評価します。(50%)、授業参画度:授業参画度は、時折課す小レポートや議論・質問等の度合いで評価します。(50%)
授業中のディスカッションにおける自他の主張に対する論理的な批判力を見てA-3、A-6の到達度を評価する。
授業中のディスカッションとレポートの双方において、学習したことをどれほど現代の人間や社会を考察する際に役立たせているか(A-5)の到達度を評価する。
ディスカッションにおいて、どれほど自分が他人の意見を公正に評価できるか、またどれほど自分の意見を他人の意見によって客観的に分析できるか(A-7、A-8)の到達度を評価する。
オフィスアワー 授業後に随時機会を設けます。

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