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令和2年度以降入学者 | 宗教学特殊講義3 | ||||
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令和元年度以前入学者 | 宗教学特殊講義3 | ||||
教員名 | 久保隆司 | ||||
単位数 | 2 | 学年 | 2~4 | 開講区分 | 文理学部 |
科目群 | 哲学科 | ||||
学期 | 前期 | 履修区分 | 選択必修 |
授業形態 | 対面授業 |
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授業の形態 | *遠隔対応をしない |
Blackboard ID | 20230603 |
授業概要 | 「宗教」は「心」(こころ)とのつながりが深い。それぞれを探究する学問として、宗教学と心理学という二つの学問がある。現在、一般的にその関係性は疎遠といえよう。副題を「ー宗教心理学への招待ー」とする本講義では、「宗教と心理」の関係性を探る学問として、「宗教心理学」に注目し、概観する。「宗教」には、宗教性やスピリチュアリティを含み、「心理」には精神性やセラピーを含む。具体的なトピックとしては、「宗教心理学」の定義、ユング心理学と象徴・夢、心身の統合と自己実現、仏教心理学、神道と宗教心理学的アプローチ、60年代アメリカ西海岸で興った人間性回復運動、そして近年、人材教育等でも注目されるマインドフルネスなど。以上を含む「宗教と心理」に関わる多彩なトピックを通して、神道学、宗教学、心理学といったそれぞれ単体での学習を超えた複数の学問の連携(学際研究)についての基礎的理解を深める。授業では、一方的に講義を聞くだけでなく、できれば質問や受講生同士の対話などの機会も設けたい。 *宗教学特殊講義4とは連続性はなく、前期のみで完結する。 |
授業のねらい・到達目標 | ⑴宗教学と心理学の関係性に関する基本問題や概念を説明することができる。 ⑵宗教心理学の様々な概念の論理的な関係性を説明することができる。 ⑶包括的な視点から、現実の「宗教と心理」に関わる諸問題について意見を持つことができる。 ⑷学際的研究についての理解を深める。 この科目は文理学部(学士(文学))のディプロマポリシーDP1,2,4及びカリキュラムポリシーCP1,2,4に対応しています。 ・真・善・美・聖の探究から得られた知識と教養に基づい て、人間と社会の倫理的な課題を理解し、説明することができる(A-1-3)。 ・思想・芸術・宗教の観点から、世界の現状をその歴史的背景とともに理解するこ とができる(A-2-3)。 ・文献や資料の読解・解釈を通じて、あるいは、現代の思想的状況を注意深く考察することによって、哲学的問題を発見することができる(A-4-3)。 |
授業の形式 | 講義 |
授業の方法 | 授業の形式:【講義】パワーポイント資料を軸として講義形式で行う。受講生は、事前に毎回の対象箇所を読み、同意点や疑問点を整理しておくことが要求される。授業内でも適時質問を受け付ける。授業外ではメールやBlackboardの機能を使って質問等すること。2回の小テストを実施予定。学期末にレポート(1500字程度)作成を行う。期末レポートの詳細は授業中にも伝える。受講者数やその他諸事情によって、内容や進行速度などの調整や変更行うことがある。小テストについては、翌週に解説・全体講評をする。 |
履修条件 | 授業中は進行の邪魔になるので私語等厳禁だが、質問や意見を求められたときには積極的に発言すること。 |
授業計画 | |
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1 |
●オリエンテーション: 授業の進め方、評価の仕方などの説明。 「宗教心理学」とは何か?「宗教的宗教心理学」と「心理的宗教心理学」の違いについてなど、基本的な定義や研究方法について概説し、2回目以降の各回の流れを説明する。 【事前学習】特になし 【事後学習】授業を振り返り、考え方を確認し、自分でも調べ、理解をさらに深める。 (2時間) 【授業形態】対面授業 |
2 |
●実証的宗教心理学1 「宗教心理学」における基礎概念と基礎的な研究法を概観する。 【事前学習】前回の疑問点/不明点や意見をまとめておく。 (2時間) 【事後学習】授業を振り返り、考え方を確認し、自分でも調べ、理解をさらに深める。 (2時間) 【授業形態】対面授業 |
3 |
●宗教と深層心理学1:オカルトから心理学へ 19世紀後半は、宗教学と心理学が近代的学問として誕生した時代である。それまでの時代、憑依/降霊現象にはオカルト的な説明しかできなかったが、催眠術を経て、無意識の存在を唱えたフロイトやユングの心理学によって説明できるようになっていった。その過程を概説する。 【事前学習】前回の疑問点/不明点や意見をまとめておく。 (2時間) 【事後学習】授業を振り返り、考え方を確認し、自分でも調べ、理解をさらに深める。 (2時間) 【授業形態】対面授業 |
4 |
●宗教と深層心理学2:ユング心理学と神々の対話 スイスの臨床心理学者ユングは、集合無意識を唱え、宗教や神話的な知識を多く取り入れた。主に夢、元型、そしてアクティヴ・イマジネーション(能動的想像法)などのユング心理学の概念を通して、宗教と心理の関係を見ていく。 【事前学習】前回の疑問点/不明点や意見をまとめておく。 (2時間) 【事後学習】授業を振り返り、考え方を確認し、自分でも調べ、理解をさらに深める。 (2時間) 【授業形態】対面授業 |
5 |
●宗教と深層心理学3:ユング心理学と日本文化 日本にユング心理学を紹介した河合隼雄は、心理学と宗教との関係性に注目し、関連テーマの著書をいくつも出版した。主に『ユング心理学と仏教』『明恵、夢を生きる』『宗教と科学のあいだ』をもとに、日本における「宗教と心理」の関係、東洋と西洋の見方の違いなどについてみていく。 【事前学習】前回の疑問点/不明点や意見をまとめておく。 (2時間) 【事後学習】授業を振り返り、考え方を確認し、自分でも調べ、理解をさらに深める。 (2時間) 【授業形態】対面授業 |
6 |
●意識の発達論と宗教性:人間性心理学:エリクソンとマズローを中心に エリック・エリクソンの生涯発達論とマズローの人間性心理学における「心理と宗教」についてみていく。エリクソンらのスピリチュアルな段階にいたる生涯発達論、ならびにマズローは、自己実現、至高体験による心理と宗教の統合の問題を中心に扱う。 【事前学習】前回の疑問点/不明点や意見をまとめておく。 (2時間) 【事後学習】授業を振り返り、考え方を確認し、自分でも調べ、理解をさらに深める。 (2時間) 【授業形態】対面授業 |
7 |
●服従/洗脳と心理学 服従/洗脳に関する古典的な社会心理学的実験研究のいくつかを紹介することで、誰でも当事者になるメカニズムを理解する。 *小テスト1を予定。 【事前学習】前回の疑問点/不明点や意見をまとめておく。 (2時間) 【事後学習】授業を振り返り、考え方を確認し、自分でも調べ、理解をさらに深める。 (2時間) 【授業形態】対面授業 |
8 |
●仏教と心理学 インドのブッダが開祖である仏教が持つ心理学的側面や心理学による仏教の注目についてふれる。授業では、たとえば、唯識論、禅心理学、仏教心理学、マインドフルネスなどを概観する。 【事前学習】前回の疑問点/不明点や意見をまとめておく。 (2時間) 【事後学習】授業を振り返り、考え方を確認し、自分でも調べ、理解をさらに深める。 (2時間) 【授業形態】対面授業 |
9 |
●神道と心理1:古代ー中世ー近世 日本人の精神性を象徴する概念「大和魂(やまとだましひ)」の起源と変容について通史的に概観する。 【事前学習】前回の疑問点/不明点や意見をまとめておく。 (2時間) 【事後学習】授業を振り返り、考え方を確認し、自分でも調べ、理解をさらに深める。 (2時間) 【授業形態】対面授業 |
10 |
●神道と心理2:近世における「山崎闇斎」の事例(1) 江戸前期の著名な朱子学者・垂加神道家である山崎闇斎とその思想は、宗教心理学的視点からの解釈を試みるのに適したケーススタディである。葛藤と超克のプロセスを通じての研究を紹介する。 【事前学習】前回の疑問点/不明点や意見をまとめておく。 (2時間) 【事後学習】授業を振り返り、考え方を確認し、自分でも調べ、理解をさらに深める。 (2時間) 【授業形態】対面授業 |
11 |
●神道と心理3:近世における「山崎闇斎」の事例(2) 山崎闇斎の「垂加神道」を事例として、合理性から超合理性への、「葛藤」と「超克」のプロセスをみる。 【事前学習】前回の疑問点/不明点や意見をまとめておく。 (2時間) 【事後学習】授業を振り返り、考え方を確認し、自分でも調べ、理解をさらに深める。 (2時間) 【授業形態】対面授業 |
12 |
●霊魂と救済の行方:近世後半から戦前まで 霊魂の行方:本居宣長ー平田篤胤:顕幽:幽界の主宰神としての大国主神、そして祭神論争。民間精神精神療法など、昭和前期までを概観する。 *小テスト2を予定。 【事前学習】前回の疑問点/不明点や意見をまとめておく。 (2時間) 【事後学習】授業を振り返り、考え方を確認し、自分でも調べ、理解をさらに深める。 (2時間) 【授業形態】対面授業 |
13 |
●現代の心理学とスピリチュアリティ:1970年ー2000年 20世紀後半から21世紀に至る「宗教と心理」の動向を概観する。カリフォルニアを中心とする人間性回復運動、宗教と科学の接点、集団療法と自己啓発など、現在に通じる複数のテーマを概観する。 【事前学習】前回の疑問点/不明点や意見をまとめておく。 (2時間) 【事後学習】授業を振り返り、考え方を確認し、自分でも調べ、理解をさらに深める。 (2時間) 【授業形態】対面授業 |
14 |
●現代日本と「宗教と心理」の諸課題:2000年ー現在 現代における「宗教と心理」に関する諸課題(宗教多元主義、マインドフルネスなど)ついていくつか紹介する。 【事前学習】前回の疑問点/不明点や意見をまとめておく。 (2時間) 【事後学習】授業を振り返り、考え方を確認し、自分でも調べ、理解をさらに深める。 (2時間) 【授業形態】対面授業 |
15 |
まとめ:これまでの振り返りと全範囲のQ&A、できれば参加学生のフィードバックのシェアなどの時間も設けたい。
【事前学習】これまでの疑問点/不明点や意見をまとめておく。 (3時間) 【事後学習】授業を振り返り、考え方を確認し、自分でも調べ、理解をさらに深める。 (3時間) 【授業形態】対面授業 |
その他 | |
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教科書 | なし。パワーポイント資料を使う。 |
参考書 | 松本滋 『宗教心理学 』 東京大学出版会 1979年 第1版 島薗進・西平直(編) 『宗教心理の探求 』 東京大学出版会 2001年 第1版 金児暁嗣(監修)・松島公望・河野由実・杉山幸子・西脇良(編) 『宗教心理学概論』 ナカニシヤ出版 2011年 第1版 *各回の参考文献は、その都度伝える。 |
成績評価の方法及び基準 | レポート:期末レポート(40%)、授業内テスト(20%)、授業参画度:授業内での発言やリアクションペーパーなどを評価する。(40%) |
オフィスアワー | メールやBlackbaordにて対応する。 |