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ビジュアル社会学

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令和2年度以降入学者 ビジュアル社会学
令和元年度以前入学者 ビジュアル社会学
教員名 後藤範章
単位数    2 学年 3・4 開講区分 文理学部
科目群 社会学科
学期 前期 履修区分 選択必修
授業形態 対面授業
授業の形態 対面授業を行います。ただし、遠隔授業に全面的に切り替わる場合はZoomを使っての同時双方向型(ライブ)授業とします。いずれにしても、授業時間割通り、毎週月曜日の5限「限定」です。毎回授業に参加できる人のみ受講を許可します。
遠隔授業履修希望者は後藤宛に早めにメールで相談して下さい。ただし、遠隔授業で履修する場合はハードルが相当高くなるので、よく考え覚悟した上で申し出るようにして下さい。
Blackboard ID 20233882
授業概要 授業のテーマは、「ビジュアル社会学とビジュアル調査法のフロンティア-『見る/撮ること』による社会調査と社会学-」です。『ビジュアル調査法と社会学的想像力』を教科書として、ビジュアル社会学及びビジュアル調査法についての授業を展開します。教科書がないと学修が成り立たないので、履修を決めたら早めに入手して下さい。必須です。
授業のねらい・到達目標 Visual Sociologyは、通例「映像社会学」や「視覚社会学」の訳語があてられますが、両者のニュアンスは微妙に異なります。本講では、「ビジュアル社会学」と表現することとし、「映像の社会学」「視覚の社会学」や「映画の社会学」「テレビの社会学」などと狭く限定するのではなく、社会を映像で記録する/ ビジュアル素材を研究資料とする/社会を視覚的に考察する/社会をビジュアルに表現する等々の幅広い「社会学的実践」を包摂するものと位置づけます。受講生を、ビジュアル社会学並びにそれと密接不可分な関係にあるビジュアル調査法のフロンティアに誘います。言葉・文字(テクスト)とイメージ(ビジュアル)との錬金術によって社会の分析を錬成すること、これが授業のねらいであり、到達目標です。

本授業では、「自ら考える力」(A-4-3問題発見・解決力)を育むことを目標とし、とりわけ現代社会の抱える諸課題を見い出して、ビジュアル社会学の観点から説明しかつその解決策を提示することができるようにしていきます。
この科目は、文理学部(学士(社会学))のディプロマポリシーDP4及びカリキュラムポリシーCP4に対応しています。
授業の形式 講義
授業の方法 授業は、教科書を使って/に沿って展開します。合計13の章のうち9つの章を読解する回(7回分)と、それを基にしたワークショップを行う回(6回分)で構成します。毎回、内容に関連する写真・ビデオ・映画・TV番組・絵画・ポスター・イラスト・スケッチ・マンガ・絵葉書などといったビジュアルな素材/データを映し出し、「⾒ること」を通して理解と思考を深めていきます。またこの授業では、難解な専門書を読み解く力に加え、自分の考えを言語化して他者と対話する力(毎回、グループ・セッションやクラス全体での意見交換を行います)や文章を構成・表現する力(毎回、授業の最後にリアクション・ペーパーを書いてもらい、次の回の最初に数枚紹介しコメントします)を向上させることに「も」注力を注ぎます。回を重ねるに従って、「読む力(読解力)」「対話する力」「書く力」が高まっていくことを実感できるでしょう。なお、自分の考えを言語化し人前で堂々と論理的で説得力のある発言(口頭発表)をしかつ文章でも表現できることに特に力を注ぐので、履修者があまり多くならないことを期待します。

授業内で課題(試験やレポート等)に対するフィードバックを行います。
対面授業への参加が困難な人には個別に指示します。
履修条件 上記した通り、毎週月5限に開講する対面または同時双方向型の授業に参加できる人だけに受講を認めます。なお、後期火4限に開講する「東京と東京人の社会学」は、本講と相互に関連性を有するので、シラバスを参照して興味関心を抱いた人はこちらの科目もぜひどうぞ。
授業計画
1 ガイダンス:授業のテーマや到達目標、教科書、授業の進め方、課題、成績評価の方法、その他について
(第1回~15回:A-4-3)
【事前学習】指定教科書を入手し、あらかじめ全体に目を通しておくこと (2時間)
【事後学習】授業を振り返り、理解が及んでいないことを補うこと (2時間)
【授業形態】対面授業
2 1.序論:ビジュアル調査法と社会学的想像力  <社会世界を視覚化する/社会学と写真術/ビジュアル表象/イメージと言葉/タトゥー/浮世絵・アニメ(北斎や広重やスタジオ・ジブリ)>
2.グラディ論文:目に見える証拠とは -実践的なアドバイス-  <ビジュアル・ワーク/ジェンダー広告とフェミニン・タッチ/広告・テレビCM/アフォーダンス/教員と学⽣との協働>
【事前学習】教科書のpp.1~49を熟読して(pp.ⅷ~ⅸも)、上記のキーワードについてよく理解しておくこと (2時間)
【事後学習】授業を振り返り、理解が及んでいないことを補うこと (2時間)
【授業形態】対面授業
3 広告・CMとジェンダー・バイアスに関するワークショップ:序論とグラディ論文を基にして
【事前学習】教科書のpp.1~49を再読して、主要な論点について考えを巡らせておくこと (2時間)
【事後学習】授業を振り返り、理解が及んでいないことを補うこと (2時間)
【授業形態】対面授業
4 第1章:写真日記 -自明なものを積極的に「見る」習慣-  <写真の連続/連続性のパターン=ルーティンを写す/凍った瞬間/審美性/文脈づけ/窃視と内省/構築物としての写真/ブログ>
第2章:ビデオ日記 -アイデンティティの構築と自己表象-  <クィア・アイデンティティのパフォーマティビティ/自己表象と自己提示/再帰と反映/想像的な自己と物語化/告白と主体の映像化/ビデオに基礎を置いた調査>
【事前学習】教科書のpp.53~96を熟読して、上記のキーワードについてよく理解しておくこと (2時間)
【事後学習】授業を振り返り、理解が及んでいないことを補うこと (2時間)
【授業形態】対面授業
5 身体とパフォーマティビティに関するワークショップ:第1・2章を基にして
【事前学習】教科書のpp.53~96を再読して、主要な論点について考えを巡らせておくこと (2時間)
【事後学習】授業を振り返り、理解が及んでいないことを補うこと (2時間)
【授業形態】対面授業
6 第5章:水曜日の夜のボウリング -男性性の解釈とパフォーミング-  <ビジュアル社会学の経験的な翼/労働者階級の性格づけ/男性性と女性性/労働に基礎を置いた関係/小さな儀礼>
【事前学習】教科書のpp.139~167を熟読して、上記のキーワードについてよく理解しておくこと (2時間)
【事後学習】授業を振り返り、理解が及んでいないことを補うこと (2時間)
【授業形態】対面授業
7 スポーツと社会階級に関するワークショップ:第5章を基にして
【事前学習】教科書のpp.97~117をpp.139~167を再読して、主要な論点について考えを巡らせておくこと (2時間)
【事後学習】授業を振り返り、理解が及んでいないことを補うこと (2時間)
【授業形態】対面授業
8 第7章:眼で聴き取る -都市の出会いの窓としての肖像写真-  <アバウト・ザ・ストリート・プロジェクト/一握の砂/東ロンドン/隠喩/印象操作/記憶のキャンバスとしての肌/ストリートの記号/眼と眼同士の承認>
【事前学習】教科書のpp.195~216を熟読して、上記のキーワードについてよく理解しておくこと (2時間)
【事後学習】授業を振り返り、理解が及んでいないことを補うこと (2時間)
【授業形態】対面授業
9 オリンピックと都市再開発と移民/下町社会に関するワークショップ:第7章を基にして
【事前学習】教科書のpp.195~216を再読して、主要な論点について考えを巡らせておくこと (2時間)
【事後学習】授業を振り返り、理解が及んでいないことを補うこと (2時間)
【授業形態】対面授業
10 第8章:ジェントリフィケーション -アムステルダムとシカゴにおける都市空間の転換-  <高級住宅地化/撮影台本と写真目録/写真誘出インタビューとGTA/写真によるドキュメント化/転換のプロセスとパターン>
【事前学習】教科書のpp.217~243を熟読して、上記のキーワードについてよく理解しておくこと (2時間)
【事後学習】授業を振り返り、理解が及んでいないことを補うこと (2時間)
【授業形態】対面授業
11 東京のジェントリフィケーションに関するワークショップ:第8章を基にして
【事前学習】教科書のpp.217~243を再読して、主要な論点について考えを巡らせておくこと (2時間)
【事後学習】授業を振り返り、理解が及んでいないことを補うこと (2時間)
【授業形態】対面授業
12 第9章:視覚的なものと言語的なもの -6フレームのスローな動画-  <炭鉱の表象/縦坑とボタ山/ビジュアル・ナラティブ/ハビトゥスと自己内省/ソシオスケープ/感情の構造>
第10章:写真による口述史 -鶏処理工場の閉鎖とリンダ・ロード-  <産業空洞化/文章と写真との対話/多声的なアプローチ/庶民の日常生活/両義性と逆説と矛盾/異国人の視点/知識や歴史の視覚化>
【事前学習】教科書のpp.245~284を熟読して、上記のキーワードについてよく理解しておくこと (2時間)
【事後学習】授業を振り返り、理解が及んでいないことを補うこと (2時間)
【授業形態】対面授業
13 炭鉱と食肉と地球環境問題に関するワークショップ:第9・10章を基にして
【事前学習】教科書のpp.245~284を再読して、主要な論点について考えを巡らせておくこと (2時間)
【事後学習】授業を振り返り、理解が及んでいないことを補うこと (2時間)
【授業形態】対面授業
14 グローバリゼーションとコマーシャリズム(商業資本主義)と市場(資本主義的市場経済体制)に関するワークショップ:これまで扱った全ての章を基にして
【事前学習】これまで議論してきた内容をおさらいして、それらについて考えを巡らせておくこと (2時間)
【事後学習】授業を振り返り、理解が及んでいないことを補うこと (2時間)
【授業形態】対面授業
15 前半:確認テスト。後半:テストの解説及び授業の振り返りと総まとめ
【事前学習】第1回~14回までの授業を教科書と共に振り返り、自分なりにまとめておくこと (2時間)
【事後学習】授業を振り返り、理解が及んでいないことを補うこと (2時間)
【授業形態】対面授業
16 第3章:ハウスシェア生活の空間地図 -主観性の鍵を開く-  <感情的な緊密さと社会的な結合/触れることのできる特徴/若者の世帯形成パターン/エンパワーメント/交友関係の内縁と外縁/よそ者の視角>
17 第4章:触れることのできないものを映し出す -社会的構築物としてのモノ-  <経験の物体化/記憶と結びつけられた価値/自己性/対話的・弁証法的な関係/象徴体系としての社会/多声性/私の再発見>
18 第6章:日記-写真日記-インタビュー法 -都市の日常の出来事-  <日常生活世界のパターン/時空間リズム/生きている主体としての身体/語りの能力/多産性/都市の公共的な社会性>
19 ベッカー論文:証拠としての写真術、説明としての写真  <バリ島人の性格/アメリカ人/セブンス・マン/アメリカン・フォトグラフス>
その他
教科書 キャロライン・ノウルズほか(後藤範章監訳) 『社会風景をありありと描写する-ビジュアル調査法と社会学的想像力-』 ミネルヴァ書房 2012年
教科書は必須です。新刊本でも古本でも結構ですが、必ず入手(自分のものにして)下さい。毎回の授業に留まらず、課題に取り組むためにも必須です。授業に先立って該当章を読んでくるのは勿論のこと、随時書き込みなどをしつつ、批評的に深く読み込んでいきます(テキスト・クリティークの実践!)。
参考書 谷富夫・山本努編著 『よくわかる質的社会調査 プロセス編』 ミネルヴァ書房 2010年
成績評価の方法及び基準 レポート(30%)、授業内テスト(40%)、授業参画度(30%)
第15回の授業内で実施する確認テスト40%、レポート(1回)30%、授業参画度(授業での発⾔やコメントシートなど)30%として、成績評価を行います。これらの得点(100点満点の素点)に加算する「特別加算レポート」を課すことがあります。なお、確認テストを受けられない場合は、事前にメールで理由を後藤に伝えて下さい。
以上を踏まえ、A-4-3(問題発見・解決力)の修得状況を評価します。

対面授業に参加できない場合の成績評価については、別途授業内で説明します。
オフィスアワー 質問や個別の相談に関しては、月6限に社会学科後藤研究室で対応します。まず、メールをgoto.noriaki☆nihon-u.ac.jp宛に(☆を@に置き換えて)送って下さい。
備考 後藤研究室に所属する学部生(ゼミ生)で本授業の未履修者は、研究を行う上での理論的・方法論的な土台を固めるために、早い段階で履修するようにして下さい。

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