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産業社会学

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令和2年度以降入学者 産業社会学
令和元年度以前入学者 産業社会学
教員名 立道信吾
単位数    2 学年 2~4 開講区分 文理学部
科目群 社会学科
学期 後期 履修区分 選択必修
授業形態 対面授業
授業の形態 対面授業を基本にするが、新型コロナの感染状況から一部遠隔授業に切り替える可能性がある。対面授業の際は、授業の内容を毎回ノートにまとめることを課題とする(教員がノートの提出を求める【場合もある】)。遠隔授業の際は、BLACKBOARDに配信された教材を視聴し、毎回の授業内容をノートにまとめることを課題とする(教員がノートの提出を求める【場合もある】)。仮に遠隔授業となった場合、教材は、時間割で指定されている時間帯に視聴するか、指定された時間帯から5日以内に必ず視聴すること。この条件が守られない場合は仮に授業を視聴しても出席としてカウントしない。
Blackboard ID 20233885
授業概要 産業社会学という学問の発展過程に沿って、ウェーバーの官僚制論をはじめとする組織論に関する諸学説、人間関係学派の嚆矢となったホーソン実験、小集団論、疎外論など産業社会学の基礎的な学説について学んでいく。本授業の担当者は、長らく厚生労働行政の研究所で政策研究に携わっており、我が国の官僚組織との関連も踏まえて講義を行う。
授業のねらい・到達目標 〈知識・能力〉
人間の一生の中で多くの部分を占める「働く」ということについて、産業社会の発展過程の中で、どのような問題が発生し、それをどのように解決してきたのか、社会学的な観点から考察する方法について学ぶ。社会学の古典と呼ばれている研究について正確に理解することを目標とする。これらの古典の中には、公務員試験や各種公的資格試験に出題されるものが含まれている。
〈能力〉
上記の〈知識〉〈技能〉を経て、以下の〈能力を育むことが目標である。
・人々が自明に思うことを疑う「脱常識」の観点から社会を考察する社会学の特性を踏まえ,現代社会を論理的・批判的に捉えるための社会学的枠組みや方法の基礎を築くことができる。
 (A-3-2: 論理的・批判的思考力)
*この科目は文理学部(学士(社会学))のディプロマポリシーDP3、およびカリキュラムポリシーCP3に対応しています。
授業の形式 講義
授業の方法 教員がオンスクリーンプレゼンテーションで授業を行う。新型コロナの感染状況によって切り変える可能性のある遠隔授業では、BLACKBOARDにオンデマンド教材(動画)を配信する。全ての回(15回)の授業を講義形式で行うので、受講生はこれをノートにまとめることを毎回の課題とする。対面以外での質問は原則BLACKBOARDを通じて随時受け付ける。対面授業、遠隔授業の両方の受講上の注意事項をBLACKBOARDを通じて随時伝達するので毎週BLACKBOARDの掲示や教員から受講者向けのメールなどに注意すること。授業内容に関するコメントを対面授業、遠隔授業で求める授業回がある。BLACKBOARDには講義の動画と静止画の配付資料を配信する。必ず、BLACKBOARD上から直接視聴ないしBLACKBOARDの教材を受講者本人が直接ダウンロードした上で視聴すること。他人から動画、静止画等のファイルの再配布を受けた上での視聴は、BLACKBOARD上の記録に残らないので出席としてカウントされないことに注意すること。授業内で課題(試験やレポート等)に対するフィードバックを行う。

本授業の事前・事後学習は,各2時間の学習を目安とします。
履修条件   社会学の方法論、とりわけM.ウェーバーの価値自由やK.マンハイムの知識社会学などを理解した上で無いと、授業担当者の意図が正確に受講生に伝わらない授業回もあります。社会学といえども学問の一つの専門領域であるので、基本的な知識無しに応用的な知識を理解することは難しいことが予想されます。すなわち、専門外の人に対する説明にも自ずと限界があるわけで、その意味では、社会学の基礎を習得していない方が履修した場合に、疑問に感じることもあるかと思われるので、履修をしないか、この制約条件を理解した人のみの受講していただきたいと考えています。
 以上についてやや具体的に説明すると、当為(独:Sollen)と存在(独:Sein)という対をなす考え方があります。前者は「あるべきこと」であり、規範的な価値を示す場合が多く、後者は、存在そのもの、すなわち価値観を超えて、そこに「あるもの」すなわち実在を指します。社会学は規範科学ではないので、当為だけで社会現象を説明することはありません。人が見たくない、知りたくないもの、規範的な価値だけでなく、そうした実在も交えて、社会を考えるのが社会学なのです。規範的なものの見方だけに慣れている人にとっては、自らの価値観を損なわれたかのような印象を抱くことが多いのが社会学です。従って、その前提をもって受講を考えるか、あるいは自らの規範的価値観から逃れられないと考えている人は当授業を受講しないことも十分に検討に値すると思います。当授業は必修ではありませんので、「嫌な思いをしたくない」と考えている方は受講を控えることもご自身にとっては大事なことであると、老婆心ながらお伝えします。しかしながら、自分の価値観と異なる考え方と接触すること。それ自身があなたが社会学を学ぶことの第一歩でもあるのです。辛くても一歩踏みとどまることにも多少の意味はありますことを申し添えます。なお、以上の前提に立って、質問があればいつでも受け付けますので、自分の殻を破りたい、新しい知の世界に立ちたいという気持ちのある方はどうぞメール等で質問して下さい。いつでもお答えする準備があります。
 なお、担当教員は受講生の様々な事情に配慮したいと考えておりますが、他の受講生が授業を受ける際に、その妨げになる行為、例えば私語や授業に関係ない活動を一定時間ないし反復して教室内で行う場合は、口頭で注意を与える場合があります。担当教員は足に障害があるため、当事者の真横に行って、小さな声で注意を与えることが難しい状況にあります。できれば、教室では注意をしたくないのですが、こうした担当教員の事情も理解していただけると助かります。世の中には様々な人がいて、その人たちとコミュニケーションをするには、多様な方法ですることが重要なのです。自分が望む方法だけで、他人がコミュニケーションを行ってくれるとは限りません。視覚に障害がある人には音声で、聴覚に障害がある人には画像でコミュニケーションをする必要があります。あなたが、自分が小声で話しているとしても、そうした人が複数人いると、仮にあなたの近くにいる聴覚に障害がある人には授業を聞き取ることが困難になります。また、視覚に障害がある人は、聴覚を頼りに授業を聞いている場合が実際に私が担当する授業でもありました。授業中私語をすることは、こうした人の授業を受ける権利を奪うことになるのです。こうした他人の権利を最低限尊重する行動ができない方は受講をお断りします。大学の授業において、自分が自由を貫くために最低限必要なことは、他人の自由を侵害しないことです。別の見方をすると、全ての受講生に授業をすることを職務としている教員にとっては、職務の妨害に相当することもありますので、可能な範囲内で気をつけてください。教員が授業を中断して、注意またはそれに準ずる行動を採る結果、中断がなかった場合と比較して、当該授業の質の相対的低下は免れ得ません。これは他の受講生の不利益となります。どうしても授業中に授業に関係のない活動をしたいと考える場合は、その都度担当教員に相談し、それが可能かどうか確認して下さい。全ての要望に沿えるとは思えませんが、特別な事情があれば配慮することも吝かではありません。遠慮無く言ってきてください。できれば授業前に教えてくださると、授業の進行が遅れなくて助かります。無論、授業中にトイレにいきたいなど体調が悪い場合は、ご自身の体調を優先して行動していただいて全く構いません。体調が回復次第、速やかに着席し、引き続き授業を受けて下さい。私は教える立場として、誰もが快適に思えるような空間を教室に作りたいと考えています。この考え方に賛同される方の受講を希望しています。歩み寄れる余地があれば受講を検討して下さい。
授業計画
1 企業組織と人間①―現代社会における孤立と孤独(A-3-2)
【事前学習】Cinii(文献データベース)で「孤立」「孤独」をキーワードに論文を検索し、ひとつの論文に目を通しておく (2時間)
【事後学習】インターネットで「従属変数」「独立変数」といった統計用語を検索し、概念の特徴を把握しておく (2時間)
【授業形態】対面授業
2 企業組織と人間②―疎外に関する学説の検討(A-3-2)
【事前学習】マルクスとフォイルエルバッハの疎外概念の違いについて明確に説明できるように整理しておく。 (2時間)
【事後学習】どのような具体的な現象が、疎外の4類型に当てはまるのか、類型ごとに具体例を考えてみる。 (2時間)
【授業形態】対面授業
3 企業組織と人間③職場における個人化の進展
【事前学習】ウルリッヒ・ベックの「個人化」概念についてインターネットで検索しておく (2時間)
【事後学習】職場における「個人化」という変化について授業の内容をもとに整理をしておく (2時間)
【授業形態】対面授業
4 企業と組織①マックスウェーバーの官僚制論 前編(A-3-2)
【事前学習】マックスウェーバーの支配の3類型について調べておく。 (2時間)
【事後学習】組織の概念について授業中に提示した学者の定義を整理しておく。 (2時間)
【授業形態】対面授業
5 企業と組織②マックスウェーバーの官僚制論 後編(A-3-2)
【事前学習】マックスウェーバーの生きた時代のドイツがどのような問題を抱えていたのか、経済面における後進性を中心に調べておく。 (2時間)
【事後学習】官僚制の6つの特質についてそれぞれ300字以内程度で整理しておく。 (2時間)
【授業形態】対面授業
6 企業と組織③FayolとTaylorの組織論(A-3-2)
【事前学習】経営学の入門書を読み、経営学の成り立ちについて理解しておく。 (2時間)
【事後学習】Line and Staff Type of organizationが、ウェーバーの官僚制とどのように違うかを考える。 (2時間)
【授業形態】対面授業
7 最新の経営学理論の紹介―帯域幅と弱い紐帯、レッドクイーン理論など
【事前学習】「弱い紐帯の強み」「進化論」についてインターネットで検索しておく (2時間)
【事後学習】グラノベッダーの弱い紐帯理論がどのように修正されていったのか授業の内容をもとにノートに整理する (2時間)
【授業形態】対面授業
8 産業社会学の誕生―ホーソン実験①(A-3-2)
【事前学習】1920年代~30年代のアメリカ史を概観し、ホーソン実験の時代背景を理解しておく。 (2時間)
【事後学習】労働科学、テイラーの科学的管理法などについて、インターネットで検索し、知識を深めておく。 (2時間)
【授業形態】対面授業
9 産業社会学の誕生―ホーソン実験②(A-3-2)
【事前学習】社会科学と自然科学の方法論の違いについて考えておく。 (2時間)
【事後学習】授業中に提示した問いに対して、社会学の教科書に載っている以外の仮説をいくつか考えておく。 (2時間)
【授業形態】対面授業
10 産業社会学の誕生―ホーソン実験③(A-3-2)
【事前学習】人間関係学派と呼ばれる研究者たちの研究業績をインターネットで検索しておく。 (2時間)
【事後学習】ホーソン実験の実験段階ごとに何が判ったのかを段階別に300字以内程度で整理しておく。 (2時間)
【授業形態】対面授業
11 労働組合とは何か 現代日本におけるストライキの実態―佐野SA,西武そごうのストライキ
【事前学習】日本国憲法第 28 条団結権の条文を読みわからない用語は調べておく (2時間)
【事後学習】池袋西武そごうのストライキについて新聞記事を検索し、どのような報道がされていたかを確認する (2時間)
【授業形態】対面授業
12 現代日本の大学生の就職事情―立道ゼミナールの就活実態調査の結果から
【事前学習】現代日本における就職活動にはどのような問題があるのか、インターネットで新聞記事などを検索しながら考えておく。 (2時間)
【事後学習】授業の中で提示した様々な仮説とその検証結果についてノートに整理しておく。 (2時間)
【授業形態】対面授業
13 企業・労働組合と地域社会 ヤンキーシティ研究
【事前学習】日本国憲法において労働組合はどのように位置づけているかを憲法の条文を見ながら理解しておく。 (2時間)
【事後学習】ホーソン実験に対する主要な批判の論点について、箇条書きで整理しておく。 (2時間)
【授業形態】対面授業
14 小集団とリーダーシップ(A-3-2)
【事前学習】ホーソン実験の第二段階において、職場の小さな集団を分析対象とした意義が何であるのかを考えておく。 (2時間)
【事後学習】リーダーシップとヘッドシップの違いについて300字程度で整理しておく。 (2時間)
【授業形態】対面授業
15 現代の産業社会学―最新の研究成果の紹介 成果主義、ブラック企業、職場で孤立化する個人
【事前学習】現代の産業社会を巡る問題にはどのような問題があるのか、新聞記事などを検索しながら考えをまとめておく。 (2時間)
【事後学習】現代の産業社会学者がテーマとしている問題について自分の考えをまとめておく。 (2時間)
【授業形態】対面授業
その他
教科書 なし
参考書 松島静雄 『産業社会学 (放送大学印刷教材 絶版につき図書館等で参照せよ)』 日本放送協会 1985年
参考書は興味のある人が目を通して下さい。その際、既に絶版で、入手は困難ですので図書館等で閲覧して下さい。授業を視聴していれば、参考書を読まなくても単位は取得できます。
成績評価の方法及び基準 試験(90%)、授業参画度:不定期にレポート、コメントペーパーを求める授業回がある。新型コロナの感染状況によっては、レポート提出に切り替える場合がありうるので毎週BLACKBOARDの連絡事項を確認すること。(10%)
試験(もしくはレポート)の内容を重視しますが、不定期に提出を求める課題の内容も加味します。
産業社会学の古典的な研究や独自の考え方を理解しているかどうか、授業内容を正確に理解しているかどうかを確認します。
以上を踏まえ、A-3-2(論理的・批判的思考力)の修得状況を評価します。
オフィスアワー Black Board上で随時質問を受け付ける。
備考 初回講義開始までに、当該授業のBlackBoardのコース登録を行うこと。授業に関連する重要な連絡(課題の提出等)はBLACKBOARDを通じて随時行うので毎週授業の前日に必ずチェックすること。特に新型コロナ感染拡大時には遠隔授業への切り替えを行う可能性があるため注意すること。

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