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ナノサイエンス特論

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令和4年度以降入学者 ナノサイエンス特論
教員名 川上隆輝
単位数    2 課程 前期課程 開講区分 文理学部
科目群 相関理化学専攻
学期 前期 履修区分 選択必修
授業形態 対面授業
Blackboard ID 20231935
授業概要 本授業では,ナノテクノロジーを駆使した科学について講義する。ナノサイズの科学では,量子論を扱う必要があるため,はじめに量子論の復習をする。ナノテクノロジーを駆使した最先端技術のひとつに,パソコンやスマートホンに使われるメモリーがある。現在は,半導体(DRAM)を用いているがこれ以上性能を向上させるのに限界が近づいている。次世代のメモリとして期待されるのが,磁性体を用いたマグネティック・ランダム・アクセス・メモリ(MRAM)である。MRAMについて理解できるように,授業の中盤は磁性について勉強する。最後に,人工格子について学び,最先端のナノテクノロジーのひとつであるMRAMについて理解する。
授業のねらい・到達目標 ナノサイズで起こる現象は量子論的なとらえ方を必要とするため,量子論の基礎を理解することを目標とする。
主に実験を行っている学生を対象としているため,複雑な計算は扱わず,ナノサイエンスを理解するために必要なミクロの世界を直感的に扱えるようになることを目標とする。
授業の形式 講義
授業の方法 対面授業(第1回~第14回)とオンデマンド型(第15回(学期末テスト))を併用して行う。
対面授業への対面参加が困難な学生は,教員の許可をうけて,オンデマンド型で授業に参加することができる。
受講生は対面授業を受講した後に,毎回,Blackboardを用いて確認テストを解いてもらう。
履修条件 量子力学または量子化学的な考え方を身につけていることが,本授業を効率よく学習するうえで望ましい。量子力学や量子化学を本格的に学んでいない学生でも,授業が理解できるように,必要に応じて,量子力学的な考え方を最小限の数式でイメージできるように工夫して授業を展開する。
授業計画
1 ナノサイエンスとは(授業のテーマや到達目標および授業の進め方について説明する。残りの時間で,授業で展開する内容の一部を紹介し,興味を持って受講できるか判断してもらう)
【事前学習】量子力学および量子化学の復習をする。 (2時間)
【事後学習】ナノサイエンスに関する興味ある物理及び化学に関する現象を調べる。 (2時間)
【授業形態】対面授業
2 エネルギー量子の発見と量子力学の誕生(ナノサイエンスの理解に不可欠な知識のおさらい)
【事前学習】量子力学の誕生に貢献したプランクの発見を調べる。 (2時間)
【事後学習】古典論と量子論の違いを理解し,応用できるようにする。 (2時間)
【授業形態】対面授業
3 原子の構造と量子論(電子の軌道について学ぶ)
【事前学習】原子のエネルギー準位は連続ではなくとびとびの値しかとれない理由を調べる。 (2時間)
【事後学習】ハイゼンベルクの不確定性について理解し,説明できるようにする。 (2時間)
【授業形態】対面授業
4 磁性の種類と強磁性体(マクロな分類とミクロな分類と磁気モーメントを揃える相互作用について学ぶ)
【事前学習】室温で強磁性を示す元素を3つ調べる。 (2時間)
【事後学習】磁性体の分類を理解し,説明できるようにする。 (2時間)
【授業形態】対面授業
5 電子配置と配位子場(磁性を担う電子のスピンについて学ぶ)
【事前学習】ボーア磁子について調べる。 (2時間)
【事後学習】弱い結晶場と強い結晶場の違いについて理解し,説明できるようにする。 (2時間)
【授業形態】対面授業
6 水素原子(シュレディンガー方程式を用いて水素原子を学ぶ)
【事前学習】1次元自由粒子のシュレディンガー方程式がどのようものか調べる。 (2時間)
【事後学習】電子の軌道について,どのように導かれるか理解し,説明できるようにする。 (2時間)
【授業形態】対面授業
7 分子軌道と交換相互作用(交換エネルギーと強磁性の発現原因について学ぶ)
【事前学習】原子軌道が混じるとどのようなことが起こるかについて調べる。 (2時間)
【事後学習】強磁性の発現原因とはどのようなものであるか,説明できるようにする。 (2時間)
【授業形態】対面授業
8 超交換相互作用と二重交換相互作用(磁性イオンの間に非磁性イオンが入る場合の磁気秩序の仕方について学ぶ)
【事前学習】反強磁性になる酸化物と強磁性になる酸化物を調べる。 (2時間)
【事後学習】超交換相互作用と二重交換相互作用を理解し,説明できるようにする。 (2時間)
【授業形態】対面授業
9 磁性のバンド理論(金属の磁性について学ぶ)
【事前学習】典型的な金属で強磁性を示す元素を調べる。 (2時間)
【事後学習】絶縁体の磁性体と金属の磁性体の磁気秩序の仕方の違いを理解し,説明できるようにする。 (2時間)
【授業形態】対面授業
10 人工格子とナノサイエンス(薄膜製造装置の原理や扱い方を学ぶ)
【事前学習】人口格子とはどのようなものか,調べる。 (2時間)
【事後学習】ナノサイエンスを支えている技術について整理する。 (2時間)
【授業形態】対面授業
11 巨大磁気抵抗効果(磁気抵抗について学ぶ)【対面授業】
【事前学習】ハードディスクドライブについて調べる。 (2時間)
【事後学習】磁気ヘッドの原理を理解し,説明できるようにする。 (2時間)
【授業形態】対面授業
12 トンネル磁気抵抗効果(TMR)(ナノサイエンスを駆使して作られる磁気デバイスについて学ぶ)
【事前学習】トンネル効果について調べる。 (2時間)
【事後学習】人工格子によって作成された物理的特性とその応用について理解し,説明できるようにする。 (2時間)
【授業形態】対面授業
13 マグネティック・ランダム・アクセス・メモリ(MRAM)(MRAMについて解説をする)
【事前学習】MRAMについて調べる。 (2時間)
【事後学習】DRAMとMRAMの違いについて説明できるようにする。 (2時間)
【授業形態】対面授業
14 NAND型フラッシュメモリ(世界最先端のメモリ技術について学ぶ)
【事前学習】メモリの種類について調べる。 (2時間)
【事後学習】SSDとHDDの利点と欠点を整理し理解する。 (2時間)
【授業形態】対面授業
15 ナノサイエンス特論のまとめと授業内テストを行いフィードバックする。
【事前学習】ナノサイエンス特論の総復習を行う。 (2時間)
【事後学習】ナノサイエンスとマクロなサイエンスの違いを説明できるよにする。 (2時間)
【授業形態】オンデマンド型授業
その他
教科書 なし
参考書 太田恵造 『磁気工学の基礎Ⅰー磁気の物理- (共立全書)』 共立出版株式会社 1973年 第初版
参考書が必要な学生は授業の終了後またはメールで連絡をしてもらえれば対応する。
成績評価の方法及び基準 授業内テスト:第15回の授業のときに学期末テストを行う。学期末テストは点数で評価する。(30%)、授業参画度:確認テストの解答状況を授業参画度として評価する。(70%)
学期末テストは他の受講生の解答を参考にしなければ,何を参照にしても構わない。
確認テストは期日を設けて提出してもらう。確認テストの提出が遅延になった場合は出席としては扱わないこともある。
教員の許可をもらってオンデマンド型で受講する学生は,授業の教材の視聴状況と確認テストの得点を総合的に評価して授業参画度とする。学期末テストは対面の学生と同じものを一緒にオンデマンド型で受けてもらう。
オフィスアワー 対面授業終了後に質問などを受ける。(対面の学生は教室で,オンデマンド型の学生はメールで対応する)

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