文理学部シラバスTOP > 文理学部 > 総合 II 群 > 日本の歴史・社会・文化
日本大学ロゴ

日本の歴史・社会・文化

このページを印刷する

令和2年度以降入学者 日本の歴史・社会・文化
教員名 小野美典
単位数    2 学年 1~4 開講区分 文理学部
科目群 総合教育科目
学期 後期 履修区分 選択
授業形態 対面授業
Canvas LMSコースID・コース名称 206152A04 2024日本の歴史・社会・文化(小野美典・後・水2)
授業概要 時代転換期を題材とした文学作品を、その時代の思想・宗教・文化・世相などに注目しながら解読して行きます。取り扱う時代・作品は以下の通りです。
(1)貴族社会から武家社会への転換:『平家物語』の「死」を前にした武将
(2)極楽往生に囚われた人々:『発心集』の異相往生譚
(3)戦国の世をしたたかに生きる:明智光秀・里村紹巴ら『愛宕百韻』をめぐる逸話群
(4)元寇の神風批判:『太平記』と頼山陽『日本楽府』
 以上の4つを大きな柱とし、種々の文献・先行研究を参酌しながら、時代転換期の歴史・社会・文化を文学がどのように描出していったのかを体系的に講義していく予定です。
授業のねらい・到達目標 〈授業のねらい〉
 日本の歴史・社会・文化を過去に遡って見たとき、「時代転換期」と呼びうる時期があります。その前後で何かが大きく変容したのです。その変容・転換の内実を表現する手段の一つとして文学作品があります。文学作品は歴史的転換期をどのように捉え、どのように描出していったのか。それを講義形式の授業の中で皆さんと一緒に考えて行きます、その考察の過程において、以下の3点を授業のねらいとします。
(1)原典やそれに関係する諸資料・先行研究を正確に読む方法を身に付ける。
(2)当時の思想や社会・文化・世相などにも広く目を向けながら、時代転換期の文学の諸相を考える方法を身に付ける。
(3)ひいては、日本史・文化史・文学史の中に、取り上げた時代・作品がどのように位置づけられるかを考える方法を身に付ける。
〈到達目標〉
(1)様々な歴史資料や文学作品、先行論文などを読解しつつ、自ら問題点を見つけてそれを探究・考察することができる。
(2)上記の目標を達成する過程において、その時代の特質・特性について知見を深めることができる。
(3)最終的には、上記の2つの目標を達成した上で、自身の言葉でそれらを正確に説明することができる。
〈ディプロマポリシーとの関係〉
この科目は文理学部(学士(文学))のディプロマポリシーDP1,2,3及びカリキュラムポリシーCP1,2,3に対応している。
〈日本大学教育憲章との関係〉
・経験や学修から得られた豊かな知識と教養に基づいて、倫理的な課題を理解し説明することができる。(A-1-1)
・世界諸国の歴史や政治、経済、文化、価値観、信条などの現状を概説できる。(A-2-1)
・仮説に基づく課題や問題を提示し、客観的な情報を基に、論理的・批判的に考察することの重要性を説明できる。(A-3-1)
授業の形式 講義
授業の方法 (1)毎回プリントを用意するので、それを受け取ってから入室して欲しい(プリントは出入り口近くの机上に設置)。そのプリントの内容に沿って、講義を進めます。
(2)プリントは書き込みが可能なように配慮して用意します。このプリントは試験の際に持ち込み可とするので、分かりやすくメモを取るとともに失くさないように注意して欲しい。
(3)この授業はGoogle Classroom(クラスコードは第1回授業内で公表)を用いて毎回の授業後にチェックテスト(復習のための選択肢問題。半期で総計40点)と質問・感想・意見などの自由書き込み(リアクションペーパー)を実施します。次の週に質問などの紹介(匿名扱い)・補足説明なども実施し、一方通行にならない授業に心掛けます。
(4)やむを得ず授業に欠席した場合は、次の週の授業開始前に教員のもとに前回のプリントを貰いに来てください。前々回のプリントまで持参します。
履修条件 CHIPSによる抽選実施。Google Classroomへの登録が履修条件となる。
授業計画
1 ガイダンスの実施 授業概要、授業のねらい・到達目標、授業の方法、授業計画についての説明 Google Classroom利用に関する説明とクラスコードの発表
【事前学習】シラバスを確認し、学習内容の概略を把握しておく。また、いつの時代のどのような作品を扱うのかも確認しておく。 (2時間)
【事後学習】第2回以降の授業に備え、ガイダンスとシラバスの内容を再確認する。 (2時間)
【授業形態】対面授業
2 (1)『平家物語』が成立した時代背景の考察  (2)巻七「忠度都落」の精読〈一〉
【事前学習】『平家物語』の概要を調べ、時代背景に関しても調査しておく。 (2時間)
【事後学習】(1)巻七「忠度都落」の前半部の物語展開を、特に語り手の視点に注目して整理しておく。(2)チェックテストを各自で解き、締め切りまでに提出する。 (2時間)
【授業形態】対面授業
3 (1) 巻七「忠度都落」の精読〈二〉  (2)平忠度の和歌に込めた思い
【事前学習】巻七「忠度都落」全体を精読し、忠度と俊成の思いを考えておく。 (2時間)
【事後学習】(1)「忠度都落」と巻九「忠度最期」の和歌を比較対照して忠度の思いを整理しておく。(2)チェックテストを各自で解き、締め切りまでに提出する。 (2時間)
【授業形態】対面授業
4 『往生要集』の概要と「極楽往生」に憧れる人々
【事前学習】『往生要集』の概要を調べ、日本人の「あの世」観にどのような影響を与えたかに関しても調査しておく。 (2時間)
【事後学習】(1)「極楽往生」するための要諦を整理しておく。(2)チェックテストを各自で解き、締め切りまでに提出する。 (2時間)
【授業形態】対面授業
5 『発心集』序文から読み解く「人の心の恐ろしさ」  (2)『発心集』巻八「老尼死の後橘の虫となる事」
【事前学習】『発心集』の概要を調べ、あわせてどのような説話集なのかについても調査しておく。 (2時間)
【事後学習】(1)序文中の「心の師とはなるとも、心を師とすることなかれ」という言葉で作者が言おうとした内容を整理しておく。(2)チェックテストを各自で解き、締め切りまでに提出する。 (2時間)
【授業形態】対面授業
6 (1)異相往生という極楽往生の方法  (2)『発心集』巻三「蓮花城入水の事」〈一〉
【事前学習】異相往生とはどのようなものか、何を目的とするのか、各自で事前に調査しておく。 (2時間)
【事後学習】(1)異相往生の概要をまとめるとともに、授業で扱った蓮花城の話がどのように進展していくかに関して予測してみる。(2)チェックテストを各自で解き、締め切りまでに提出する。 (2時間)
【授業形態】対面授業
7 『発心集』巻三「蓮花城入水の事」〈二〉
【事前学習】「入水」以外の異相往生に関して調査しておく。 (2時間)
【事後学習】(1)蓮花城の願った極楽往生はどうなったのか、またそのようになった原因に関しても整理しておく。(2)チェックテストを各自で解き、締め切りまでに提出する。 (2時間)
【授業形態】対面授業
8 (1)明智光秀と織田信長・豊臣秀吉、そして里村紹巴  (2)『誹風柳多留』の句から見た明智光秀像
【事前学習】明智光秀と『誹風柳多留』の二つの項目について、各々その概要を調べておく。 (2時間)
【事後学習】(1)川柳を手掛かりに、江戸時代の庶民が明智光秀・織田信長・豊臣秀吉をどのように理解していたかについて整理する。(2)チェックテストを各自で解き、締め切りまでに提出する。 (2時間)
【授業形態】対面授業
9 明智光秀「時は今」の句をめぐる逸話と解釈:『信長公記』『常山紀談』『三暁庵主談話』
【事前学習】『信長公記』『常山紀談』『三暁庵主談話』がそれぞれ「時は今」の句をどのように理解しているのかを整理しておく。 (2時間)
【事後学習】(1)『三暁庵主談話』の本文の不明瞭さが何に起因しているのかを確認しておく。(2)チェックテストを各自で解き、締め切りまでに提出する。 (2時間)
【授業形態】対面授業
10 明智光秀の本能寺急襲と粽(ちまき)をめぐる逸話の解釈:『閑際筆記』『絵本太閤記』
【事前学習】資料によって明智光秀が粽を口にした時期が異なる点を整理しておく。 (2時間)
【事後学習】(1) 明智光秀が粽を口にした時期が資料によって異なる理由を考えておく。 (2)チェックテストを各自で解き、締め切りまでに提出する。 (2時間)
【授業形態】対面授業
11 頼山陽『日本楽府』の「本能寺」の精読
【事前学習】(1)頼山陽、『日本楽府』についてそれぞれ調査しておく。(2)「本能寺」の詩は光秀が粽をいつ食べたこととして作っているかを考えておく。 (2時間)
【事後学習】(1)「本能寺」の詩の主題はどこにあるのかを整理しておく。(2)チェックテストを各自で解き、締め切りまでに提出する。 (2時間)
【授業形態】対面授業
12 頼山陽『日本楽府』の「蒙古来」の精読〈一〉
【事前学習】元寇(文永の役・弘安の役)で元軍が失敗した理由が歴史教科書ほか諸資料でどのように説明されているかを調査しておく。 (2時間)
【事後学習】(1)「蒙古来」の詩は元軍の失敗の原因をどこに見いだしているのかを整理する。(2)チェックテストを各自で解き、締め切りまでに提出する。 (2時間)
【授業形態】対面授業
13 『太平記』が描く元軍敗走の理由
【事前学習】『太平記』の概要について調べておく。 (2時間)
【事後学習】(1)『太平記』が元寇(文永の役・弘安の役)で元軍が失敗した理由をどう描いているかを整理しておく。また余力があるようなら、『太平記』以外の古典作品や文献資料が元軍失敗の理由として何を挙げているかを調査する。(2)チェックテストを各自で解き、締め切りまでに提出する。 (2時間)
【授業形態】対面授業
14 これまでの授業(文学作品は歴史的転換期をどのように捉え、どのように描出していったのか)に関するまとめ
【事前学習】「死を前にした平家武将の生きざま」「極楽往生に囚われた人々」「戦国の世をしたたかに生きる人々」「元寇の神風に対する批判的言説」この四つに関して整理しておく。 (2時間)
【事後学習】(1)事前学習の四つの項目の中で理解の至らなかったものに関して、復習するとともにメールを使った質問などで問題点の解消を図る。(2)チェックテストを各自で解き、締め切りまでに提出する。 (2時間)
【授業形態】対面授業
15 (1)1~14回までの授業内容の理解度・到達度をみるための授業内試験  (2)試験の解説と授業の発展学習
【事前学習】14回で整理してまとめた内容をもう一度確認して理解の徹底を図る。 (2時間)
【事後学習】試験の中で出来のよくなかった問題に関して、教員による授業内の解説や友人との意見交換などによって理解の深化をはかる。 (2時間)
【授業形態】対面授業
その他
教科書 教科書は使用しない(プリントを配付する)。
参考書 授業内で出来るだけ多く紹介する。
成績評価の方法及び基準 試験(60%)、「Google フォーム」を使用したチェックテスト(40%)
(1)「試験」は、最終授業時に実施する授業内試験(計60点)。授業全体の目標が達成できているかを見るために実施。
(2)「チェックテスト」は、授業終了後にGoogle フォームによって配信されるテスト(1回につき3~4点、全て選択肢問題。計40点)。このチェックテストは、各自が事前・事後学習を実施しているか、授業に集中して取り組んでいるか、の2点をチェックするために実施。なお、締め切り(授業実施日の翌日の23:59)を過ぎて提出した場合はその回は0点(機械的に扱うので、PC環境の不備、停電などといった一切の理由は受け付けない。早めにチェックテストを実施・送信して欲しい)。
オフィスアワー 授業時間の前後に教室で受け付けます(当方は法学部の教員なので当該授業のときにのみ文理学部に出講)。Google Classroomの個人限定質問機能を使って質問しても可。あるいは、授業初回公表のメールでも受け付けます。なお、メールには必ず「文理学部・授業名・学年・学科・学籍番号・氏名」を明記してください。質問を送信しても、即座には返信できない可能性もあるので、数日は待って欲しい。
なお、特定感染症への罹患、各種大会への参加、忌引きなどによって対面授業への参加が困難な場合は、上記メールにて早めに相談すること。レポート等により代替措置を講じる場合もあります。
備考 (1)授業では日本の古典文学作品や古い時代の諸資料を扱いますが、古典文献の直訳や解釈をするのが目的ではないので、可能な限り現代語訳・語釈などはプリント資料として配付します。高等学校初級レベルの古典の能力があれば理解できるように配慮します。
(2) この授業はGoogle Classroomを使ってのチェックテスト(40点分)を実施するので、それを了解した上で履修してください。
(3)学生の理解度によっては、授業の進度・内容などを若干変更する場合もあります。
(4)事前学習・事後学習の時間は目安です。

このページのトップ