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美学演習1

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令和2年度以降入学者 美学演習1
教員名 高橋陽一郎
単位数    1 学年 2~4 開講区分 文理学部
科目群 哲学科
学期 前期 履修区分 選択必修
授業形態 対面授業
Canvas LMSコースID・コース名称 A063013E7 2024美学演習1(高橋陽一郎・前・火3)
授業概要 ハンナ・アーレント(Hannah Arendt, 1906-1975)の代表作『人間の条件(The Human Condition)』を、とくに第四章「仕事」、第五章「活動」、第六章「<活動的生>と近代」を中心に読解することを通じて、人間性の危機が意識されるようになった近現代の様相を考察する。前学期は、第一章「人間の条件」、第四章「仕事」を輪読する。(第二章「公的領域と私的領域」と第三章「労働」は、担当箇所をあらかじめ当て、そのレジュメのみ発表していただく。)
授業のねらい・到達目標 アーレントは政治哲学の分野で卓越した業績を残した20世紀の大思想家の一人である。ハイデガーやヤスパースの教えを受けながら、第二次世界大戦期よりユダヤ系という出自ゆえの辛酸を嘗め、それが図らずも、これらの哲学者たちが考えた―しばしば抽象的な―「存在」や「実存」ではなく、「政治」(公的領域・私的領域)のなかで問われる「実存」、19世紀に人間疎外を指摘したマルクス由来の「労働(labor)」の問題、さらには「仕事(work)」や「活動(action)」という領域に定位することこそ、自分の使命であると彼女をして自覚させることとなった。機械やAIに支配される現代、人間らしさはどこに見出せるのか。この演習ではとりわけ古代ギリシアの「ポイエーシス(制作)」論の系譜にある「仕事」や「活動」の問題、さらに「共通感覚」の問題を扱いながら、現今の時代の「人間の条件」を考える。
・自他の主張や論証を論理的・批判的に考察して,既存の見解を問い直すことができる(A-3-3)。
・人間の生き方や現代社会のあり方を問い直し,自らの思想的課題を設定して,それに挑戦することができる(A-5-2)。
・自分の意見を他人に対してわかりやすく伝えることができる(A-6-2)。
・学修活動のみならず,日常生活においても,より良い成果を上げるために,お互いを尊重しながら協働することができる(A-7-2)。
・他者の評価を謙虚に受け止めながら,自分の学修経験を振り返り,分析していくことができる(A-8-2)。

この科目は文理学部(学士(文学)のDP3,DP5-8及びCP3, CP5-8に対応しています。
授業の形式 演習
授業の方法 授業の形式:【演習】
テキストを定め、人間と仕事と活動の相互関係をめぐって、演習形式で授業を行う。テーマに関連した種々の文献を参考にしながら、討論を通じて指導を行う。前学期の全授業の最後に課題を出すので、1500字前後の前学期総括レポートとして提出していただく。
受講者は復習にも時間を十分にかけ、学修成果を獲得するするよう努められたい。
なお、授業計画は学修者の能力や関係する講義の進捗状況に応じて、変更されることがある。
本授業は、演習の性格上、対面授業とし、課題学習等の遠隔措置は取らない。
授業計画
1 導入:アーレントの生涯と代表作の紹介(A-5-2)
【事前学習】哲学事典などでアーレントについて調べる。 (2時間)
【事後学習】授業担当者が配布する資料を復習する。 (2時間)
【授業形態】対面授業
2 『人間の条件』「プロローグ」と第一章「人間の条件」の読解(A-3-3, A-5-2)
【事前学習】第一節「<活動的生>と人間の条件」を前もって読む。 (2時間)
【事後学習】第一節の内容を小レポートにしてまとめる (2時間)
【授業形態】対面授業
3 『人間の条件』第一章「人間の条件」の読解(A-3-3, A-5-2)
【事前学習】第二節「<活動的生>という用語」を前もって読む。 (2時間)
【事後学習】第二節および第三節「永遠対不死」を小レポートにしてまとめる。 (2時間)
【授業形態】対面授業
4 『人間の条件』第二章「公的領域と私的領域」の概要解説(A-6-2, A-7-2)
【事前学習】第二章「公的領域と私的領域」を前もって読む。 (3時間)
【事後学習】「公的領域」と「私的領域」に関する小レポートを作成する (2時間)
【授業形態】対面授業
5 『人間の条件』第二章「公的領域と私的領域」の全分担箇所の要約の発表(A-6-2, A-7-2)
【事前学習】第二章「公的領域と私的領域」の分担部分をまとめる。 (2時間)
【事後学習】「公的領域」と「私的領域」それぞれの問題をノートする。 (2時間)
【授業形態】対面授業
6 『人間の条件』第三章「労働」の概要解説(A-6-2, A-7-2)
【事前学習】第三章「労働」を前もって読む。 (2時間)
【事後学習】第三章で取り上げられる哲学者(とくにマルクス)の学説について調べる。 (2時間)
【授業形態】対面授業
7 『人間の条件』第三章「労働」の全分担箇所の用飽く発表(A-6-2, A-7-2)
【事前学習】第三章「労働」の分担箇所をまとめる。 (2時間)
【事後学習】第三章「労働」全体の内容をまとめる。 (2時間)
【授業形態】対面授業
8 『人間の条件』第四章「仕事」の読解(1):「世界の耐久性」「物化」(A-3-3, A-5-2)
【事前学習】第18節「世界の耐久性」、第19節「物化」を前もって読み、不明な用語や思想について調べておく。 (2時間)
【事後学習】「世界の耐久性」、「物化」についてまとめる。 (2時間)
【授業形態】対面授業
9 『人間の条件』第四章「仕事」の読解(2):「手段性と<労働する動物>」(A-3-3, A-5-2)
【事前学習】第20節「手段性と<労働する動物>」を前もって読み、不明な用語や思想について調べておく。 (2時間)
【事後学習】「テクノロジー」の観点から第20節の内容を批評する。 (2時間)
【授業形態】対面授業
10 『人間の条件』第四章「仕事」の読解(3):「手段性と<工作人>」(A-3-3, A-5-2)
【事前学習】第21節「手段性と<工作人>」のなかの不明な用語や思想について調べておく。 (2時間)
【事後学習】ベルクソンの「工作人(ホモ・ファーベル)」を参考にしながら第21節をまとめる。 (2時間)
【授業形態】対面授業
11 『人間の条件』第四章「仕事」の読解(4):「交換市場」(A-3-3, A-5-2)
【事前学習】第22節「交換市場」のなかの不明な用語や思想について調べておく。 (2時間)
【事後学習】マルクスの学説を参照にしながら第22節をまとめる。 (2時間)
【授業形態】対面授業
12 『人間の条件』第四章「仕事」の読解(5):「世界の永続性と藝術作品」(1)(A-3-3, A-5-2)
【事前学習】第23節「世界の永遠性と藝術作品」のなかの不明な用語や思想について調べておく。 (2時間)
【事後学習】「工作人」と「藝術」という観点から本節の内容を小レポートにまとめてみる。 (2時間)
【授業形態】対面授業
13 『人間の条件』第四章「仕事」の読解(6):「世界の永続性と藝術作品」(2)(A-3-3, A-5-2)
【事前学習】プラトン哲学におけるイデアと藝術との関係について調べる。 (2時間)
【事後学習】アーレントの藝術観について小レポートをまとめる。 (2時間)
【授業形態】対面授業
14 『人間の条件』第一章から第四章までの補足的議論:オルテガやフランクフルト学派の議論と比較しつつ(A-5-2, A-8-2)
【事前学習】オルテガの『大衆の反逆』やフランクフルト学派による疎外論の議論内容を調べる。 (2時間)
【事後学習】第一章から第四章までの内容を学期末レポートとしてまとめ始める。 (2時間)
【授業形態】対面授業
15 前学期のまとめ:「労働」と「仕事」との関係について(A-5-2, A-8-2)
【事前学習】第一章から第四章の内容で理解に不足している部分を再読して、理解を深める。 (2時間)
【事後学習】第一章から第四章までの内容をまとめた学期末レポートを完成させる。 (2時間)
【授業形態】対面授業
その他
教科書 ハンナ・アレント(志水速雄訳) 『人間の条件 (ちくま学芸文庫)』 筑摩書房
参考書 参考書は授業内で随時紹介します。
成績評価の方法及び基準 レポート:レポート(学期末レポート)は求めるテーマと内容、提出状況をみて評価します。(50%)、授業参画度:授業参画度は、毎回の小レポートや質問等の度合いで評価します。(50%)
授業中のディスカッションにおける自他の主張に対する論理的な批判力を見てA-3、A-6の到達度を評価する。
授業中のディスカッションとレポートの双方において、学習したことをどれほど現代の人間や社会を考察する際に役立たせているか(A-5)の到達度を評価する。
ディスカッションにおいて、どれほど自分が他人の意見を公正に評価できるか、またどれほど自分の意見を他人の意見によって客観的に分析できるか(A-7、A-8)の到達度を評価する。
オフィスアワー 毎回授業後に設ける。

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