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哲学特殊講義6

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令和2年度以降入学者 哲学特殊講義6
教員名 高取正大
単位数    2 学年 2~4 開講区分 文理学部
科目群 哲学科
学期 後期 履修区分 選択必修
授業形態 対面授業
授業の形態 原則として対面授業を行います。
Canvas LMSコースID・コース名称 A106015M7 2024哲学特殊講義6(高取正大・後・木2)
授業概要 現代の分析形而上学、あるいはより広く分析哲学一般において典型的に用いられる方法論的道具立てのいくつかについて---とりわけ"論理的"な部類に属するものを中心に---解説し、それらにまつわる哲学的諸論点を考察します。
具体的には、形而上学においてよく用いられる論理的道具立てとそれらが有する哲学的示唆、定義を巡る問題、理論的単純性、説明を与えるということ、近年注目されているモデル構築の考え方、といったトピックを取り上げます。
授業のねらい・到達目標 この授業は、分析形而上学ひいては分析哲学全般においてよく用いられる方法論的道具立てのいくつかについて、メタレベルの視点からの方法論的考察を行うことを通じて、分析形而上学において重要性を有している探究手法を習得し、またそれらにまつわる方法論的諸問題について議論できるようになることを目指します。
より具体的には、以下の二点を目標とします。
(1) 形而上学(そして哲学的議論一般)と論理学の関係、定義に関する問題、理論的単純性、形而上学および哲学における説明、モデル構築の方法、といった、分析形而上学ならびに分析哲学の方法論にまつわるトピックを学ぶことを通じて、現代の形而上学に関するより深い知識を身につける。
(2) 上記で述べた形而上学(ならびに哲学)の方法論を巡る様々な論点について、問題を自分の力で論じることができるようになる。

〈ディプロマポリシーとの関係〉
この科目は文理学部(学士文学)のDP1, 4およびCP1, 4に対応しています。
〈日本大学教育憲章との関係〉
・真・善・美・聖の探究から得られた豊かな知識と教養に基づいて,自己の倫理観をもって,人間と社会の倫理的な課題に向き合うことができる。(A-1-3)
・文献や資料の読解・解釈を通じて,あるいは,現代の思想的状況を注意深く考察することによって,哲学的問題を発見し,解決策を考えることができる。(A-4-3)
授業の形式 講義
授業の方法 講義形式の授業です。
後期では教科書は使用せず、定期的に講義資料を配布し、それに沿って授業を行います。
学期末レポートと毎回のリアクションペーパーが課されます。
講義形式ではありますが、(当然ながら)授業内での積極的な質問を歓迎します。
レポートに関するフィードバックはディスカッションの授業で行います。
本授業の内容は前期の授業からは独立したものですが、前期の授業で扱った内容をある程度以上背景としています。また本授業で焦点が当てられる話題のいくつかは、前期の授業内でも言及されるものです。
授業計画
1 分析形而上学および分析哲学の方法論について考えることの意義。授業の進め方。
【事前学習】形而上学的問題や哲学的問題を探究する際にどのような方法がありうるかを自分なりに考えてみる。 (1時間)
【事後学習】授業の進め方について確認しておく。講義内容を踏まえて、形而上学や哲学の方法論をめぐる問題にはどのようなものがあるかをまとめる。 (2時間)
【授業形態】対面授業
2 論理学と形而上学その1:論証と論理学の言語(A-1-3)
【事前学習】哲学的論証の具体例について考えてみる。また可能であれば、それを論理学の言葉で表現したらどのようになるかを考えてみる。 (2時間)
【事後学習】講義内容に基づいて、哲学や形而上学の論証を論理学の言語で表現するとは何をすることなのかについて、再考してみる。 (2時間)
【授業形態】対面授業
3 論理学と形而上学その2:論理学の言語と意味論(A-1-3)
【事前学習】配布資料を読んで、そこで取り上げられている言語の意味論の基本的なアイデアを確認し、自分の中で不明な点をまとめておく。 (2時間)
【事後学習】講義内容に基づいて、それらの意味論において鍵となる概念や考え方、そしてそれらと形而上学的話題との関係を自分自身で説明できるようになる。 (2時間)
【授業形態】対面授業
4 論理学と形而上学その3:メタ論理学的結果のいくつか(A-1-3)
【事前学習】配布資料を読んで、哲学的に重要な示唆をもたらすように見えるいくつかのメタ論理学的定理の内容を確認しておく。 (2時間)
【事後学習】講義内容に基づいて、授業で扱った定理のポイントを自分で説明できるようになる。 (2時間)
【授業形態】対面授業
5 定義その1:予備的事項・分析のパラドクス(A-1-3)
【事前学習】定義とは何か、その具体例としてどんなものがあるかについて自分の事前の理解をまとめておく。 (2時間)
【事後学習】講義内容に基づいて、定義にはどんな種類があるか、分析のパラドクスとはどのような問題かということを説明できるようになる。 (2時間)
【授業形態】対面授業
6 定義その2:定義についての形式的側面(A-1-3)
【事前学習】配布資料に基づいて、定義の形式的特徴にどんなものがあるかを確認しておく。 (2時間)
【事後学習】講義内容に基づいて、定義の形式的特徴を自分で説明できるようになる。 (2時間)
【授業形態】対面授業
7 定義その3:解明的定義と分析のパラドクス(A-1-3)
【事前学習】配布資料に基づいて、解明的定義の形式的理解を確認しておく。 (2時間)
【事後学習】講義内容に基づいて、解明的定義という考え方が分析のパラドクスにどのように応答しうるかを整理してみる。 (2時間)
【授業形態】対面授業
8 単純性その1:イデオロギー(A-1-3)
【事前学習】配布資料に基づいて、理論の単純性の測り方、ならびに理論のイデオロギーと存在論的コミットメントいうアイデアを確認しておく。 (2時間)
【事後学習】講義内容に基づいて、理論のイデオロギーというアイデアについて説明できるようになる。 (2時間)
【授業形態】対面授業
9 単純性その2:存在論的コミットメント(A-1-3)
【事前学習】配布資料に基づいて、理論の存在論的コミットメントという概念の内容を確認しておく。 (2時間)
【事後学習】講義内容に基づいて、存在論的コミットメントにまつわる諸論点について説明できるようになる。 (2時間)
【授業形態】対面授業
10 説明を与える:反照的均衡と最善の説明への推論(A-1-3)
【事前学習】形而上学、あるいはひいては哲学一般において「説明を与える」とはどういうことかについて考えてみる。できれば、哲学的議論における説明の実例を考えてみる。 (2時間)
【事後学習】講義内容に基づいて、反照的均衡・最善の説明への推論といった考え方がどのようなものかについて自分で説明できるようになる。 (2時間)
【授業形態】対面授業
11 モデリングその1:科学におけるモデリング(A-1-3)
【事前学習】経験科学と伝統的な分析哲学の探究方法にはどんな違いがありそうかを考えてみる。 (2時間)
【事後学習】講義内容に基づいて、科学におけるモデリングとはどんなものかを説明できるようになる。 (2時間)
【授業形態】対面授業
12 モデリングその2:哲学とモデリングの方法(A-1-3)
【事前学習】配布資料に基づき、哲学的探究におけるモデル構築の手法の役割について考えてみる。 (2時間)
【事後学習】哲学におけるモデリング、経験科学的探究と哲学的探究を比較し、その異同について自分なりの評価を試みる。 (2時間)
【授業形態】対面授業
13 これまでの授業のまとめとレポートの準備(A-1-3, A-4-3)
【事前学習】ここまでの各回の授業で分からなかった点、理解が不十分だった点を整理しておく。レポートの書き方について確認する。 (3時間)
【事後学習】課題を踏まえてレポートを作成する。 (8時間)
【授業形態】対面授業
14 レポートに関するディスカッション(A-4-3)
【事前学習】レポートを完成させ持参する。ディスカッションの準備をする。 (4時間)
【事後学習】ディスカッションを踏まえてレポートを完成させる。 (2時間)
【授業形態】対面授業
15 授業全体の振り返りと質疑応答(A-4-3)
【事前学習】授業全体を振り返り、疑問点ならびに自分の関心をまとめておく。 (2時間)
【事後学習】授業を通じて得られた自分の問題意識について、それを更にどう発展させることが可能かについて考えてみる。 (2時間)
【授業形態】対面授業
その他
教科書 教科書は使用しない。
参考書 飯田隆 『増補改訂版 言語哲学大全III 意味と様相(下)』 勁草書房 2024年 第1版
戸田山和久 『論理学をつくる』 名古屋大学出版会 2000年 第1版
Gupta, Anil and Mackereth, Stephen, Definition (Fall 2023 Edition):The Stanford Encyclopedia of Philosophy, Stanford University, 2023
戸田山和久 『科学的実在論を擁護する』 名古屋大学出版会 2015年 第1版
ティモシー・ウィリアムソン著/廣瀬覚訳 『哲学がわかる 哲学の方法』 岩波書店 2023年 第1版
その他授業内で適宜参照すべき文献を指示する。
成績評価の方法及び基準 レポート(80%)、授業参画度:毎回のリアクションペーパーによって判定します。(20%)
オフィスアワー 授業後あるいはメールでアポイントメントを取ってください。
備考 論理学に関連する話題を扱うため、その分野について一定以上知識があったり、あるいはその分野の授業をすでに履修していたりすると、理解の助けになるでしょう。
ただし本授業は論理学そのものの授業ではありません。

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