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19世紀アメリカ文学演習1

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令和2年度以降入学者 19世紀アメリカ文学演習1
教員名 高橋利明
単位数    1 学年 3・4 開講区分 文理学部
科目群 英文学科
学期 前期 履修区分 選択必修
授業形態 対面授業
授業の形態 対面授業
教育効果を高めるために、対面授業を受けることができる学生を受講対象とする。

19世紀アメリカ文学演習1(高橋利明・前・水3)
*(CHIPSでの履修登録に加え)初回授業時までにCanvas LMSでこの科目の登録をしておくこと
Canvas LMSコースID・コース名称 E096053F7 202419世紀アメリカ文学演習1(高橋利明・前・水3)
授業概要 メルヴィル・ワールドへの誘いとして、"Bartleby, the Scrivener" を読む。それによって人間の不条理に直面し、人間同士の了解可能性について考究する。
授業のねらい・到達目標 世界は「前提」で動いている。ニューヨークの法律事務所に雇われたバートルビー青年は、自己の「好み」を優先し、仕事を放棄し死んでゆく。彼が繰り返し言う決まり文句 ("I would prefer not to") の本質的な意味を考察できる。
(A-3-3,A-4-3)

この科目は文理学部(学士(文学))のディプロマポリシーDP3、DP4、及び、カリキュラムポリシーCP3、CP4、に対応している。
A-3-3言語現象や歴史的事象を既存の知識にとらわれることなく, 語学的根拠や批評理論に基づいて批判的, 論理的に考察し, 説明することができる。
A-3-4言語現象や歴史的事象を既存の知識にとらわれることなく, 語学的根拠や批評理論に基づいて批判的, 論理的に考察し, その本質を理解しようと他者に説明することができる。
授業の形式 演習
授業の方法 輪読形式で原文読解を進めていく。学生はテクストの精読の結果を授業内で発表していくことになる。なお、授業進度は予定である。

各回、学生は事前に教員が割り当てた課題に対して、口頭発表する。その後、発表者の解釈をめぐって皆で議論を展開していく。フィードバックは適宜行う。

本授業の事前・事後学習は、合わせて2時間の学習を目安とする。
履修条件 英文学科の学生(3・4年生および再履修・転科・転籍・転部・編入の学生を含む)は抽選によって振り分けられた者のみ履修可。
抽選の詳細は年度初めガイダンス(3月末/4月頭)にて案内する。

英文学科以外の学生は、担当教員の許可を得て履修すること。
なお、人数調整等の理由により、受講不可の場合がある。
授業計画
1 ガイダンス及び、アメリカ文学の中のメルヴィルの存在意義について
【事前学習】アメリカ文学史の中のメルヴィルを再確認しつつ、「バートルビー」を翻訳で通読しておくこと。 (1時間)
【事後学習】今後の授業に備え、原文の予習的読解を始めること。 (1時間)
【授業形態】対面授業
2 メルヴィル(『白鯨』解説)ビデオ鑑賞
作家の伝記的事実も紹介される解説を見ることで、代表作と「バートルビー」との関係性について考えること。
【事前学習】今後の授業に備え、原文の予習的読解を始めること。 (1時間)
【事後学習】次回以降の授業に備え、原文の予習的読解に努めること。 (1時間)
【授業形態】対面授業
3 "Bartleby" p.1-3 精読と議論
あるNYの法律事務所長である語り手が、バートルビーについて語り始める冒頭部分について
【事前学習】コピー機のない時代に必須であった代書人バートルビーについて語る理由を考察すること。 (1時間)
【事後学習】音読練習などをして原文の意味の再確認を行うこと。 (1時間)
【授業形態】対面授業
4 "Bartleby" p.4-6 精読と議論
語り手が語る本人の自画像(野心家ではないきわめて安全な人間)について
【事前学習】"the easiest way of life is the best" というキーセンテンスについて考えること。 (1時間)
【事後学習】音読練習などをして原文の意味の再確認を行うこと。 (1時間)
【授業形態】対面授業
5 "Bartleby" p.7-9 精読と議論
法律事務所の部屋が周りを壁に囲まれていることについて
【事前学習】隣の建物の壁と自分の事務所の壁の間を、"a huge square cistern" と比喩することの意味について考察すること。 (1時間)
【事後学習】音読練習などをして原文の意味の再確認を行うこと。 (1時間)
【授業形態】対面授業
6 "Bartleby" p.10-12 精読と議論
バートルビーの入職以前からいるのは、Turkey, Nippers, Ginger Nut の三名である。そのネーミングの面白さについて考察すること。
【事前学習】まずターキーがどういう人物なのか原文の精読から理解しよう。 (1時間)
【事後学習】音読練習などをして原文の意味の再確認を行うこと。 (1時間)
【授業形態】対面授業
7 "Bartleby" p.13-15 精読と議論
ターキーは午後になると異常な張り切りぶりを見せ、書類にインクの染みをつけてしまう。それにもかかわらず、"I was willing to overlook his eccentricities" と言う所長の言葉を考察すること。
【事前学習】ターキーは午後になると人間が変わるが、どう変わるかを丁寧に読み取ること。 (1時間)
【事後学習】所長はターキーの欠点を寛大に受け止めるが、その人間性について考察すること。 (1時間)
【授業形態】対面授業
8 "Bartleby" p.16-18 精読と議論
ニッパーズは海賊のような風貌で神経質な25歳くらいの男であるが、ターキーと反対に午前中の仕事がうまくこなせない。なにが原因であるかを作品から読み取ること。
【事前学習】"Nippers knew not what he wanted" というキーセンテンスの意味を解釈すること (1時間)
【事後学習】このようなニッパーズを役立つ人間として受け入れる所長について考察すること。 (1時間)
【授業形態】対面授業
9 "Bartleby" p.19-21 精読と議論
"When Nippers' was on, Turkey's was off; and vice versa" というキーセンテンスの意味を考察すること。
【事前学習】ここでは12歳ほどの給仕ジンジャー・ナットが登場するが、その性格と仕事の内容を読み取ること。 (1時間)
【事後学習】三人の使用人の特徴を整理しまとめておくこと。 (1時間)
【授業形態】対面授業
10 "Bartleby" p.22-24 精読と議論
主人公バートルビーの登場。青白く救いがたいような寄る辺なさをたたえた顔で戸口に立つ姿の描写を丁寧に読み取ること。
【事前学習】バートルビーの人格造形の卓抜さを原文から直接感じ取ること。 (1時間)
【事後学習】"a motionless young man" という表現からなにかを読み取ること。 (1時間)
【授業形態】対面授業
11 "Bartleby" p.25-27 精読と議論
"I would prefer not to" のせりふが初めて出る箇所ゆえに、原文を丁寧に読み取ること。
【事前学習】予習箇所を深く読み込み、キーワード・キーセンテンスを把握し、文脈を確実に理解すること。 (1時間)
【事後学習】音読練習などをして原文の意味の再確認を行うこと。 (1時間)
【授業形態】対面授業
12 "Bartleby" p.28-30 精読と議論
所長が看取したバートルビーの "any thing ordinarily human about him" について吟味すること。
【事前学習】予習箇所を深く読み込み、キーワード・キーセンテンスを把握し、文脈を確実に理解すること。 (1時間)
【事後学習】音読練習などをして原文の意味の再確認を行うこと。 (1時間)
【授業形態】対面授業
13 "Bartleby" p.31-33 精読と議論
2回目の "I would prefer not to" の登場について、本人の心情を考察すること。
【事前学習】予習箇所を深く読み込み、キーワード・キーセンテンスを把握し、文脈を確実に理解すること。 (1時間)
【事後学習】音読練習などをして原文の意味の再確認を行うこと。 (1時間)
【授業形態】対面授業
14 "Bartleby" ビデオ鑑賞(1)
【事前学習】これまでの学習内容での疑問点をまとめておくこと (1時間)
【事後学習】映像作品と原作の相違について整理してまとめること、及び疑問点の整理と授業内試験の準備 (1時間)
【授業形態】対面授業
15 授業内試験と解説
【事前学習】第1回から第14回の内容を復習すること (A-8) (1時間)
【事後学習】学修内容の整理をし、アメリカ文学の中のメルヴィル文学の意義と価値を再確認すること (A-1, A-8) (1時間)
【授業形態】対面授業
その他
教科書 Herman Melville 高瀬省三 注 『メルヴィル短篇集 ("Bartleby" and "Other Stories")』 開文社出版 ISBN: 978-4-87571-011-0 2013年
参考書 授業時に適宜指示する。
成績評価の方法及び基準 授業内テスト:英文解釈など(50%)、授業参画度:課題への回答及び議論(50%)
授業内テストは、学期末に授業内で行う試験で評価する。
オフィスアワー メールやCanvas LMSを用いて質疑応答を行います。
備考 予習的読解を必ず行うこと。各回ごと学生は辞書を丹念に引き解釈を深め、キーワードを鋭敏に捉え、自分なりのテーマを把握してゆくことが求められる。
復習では、音読訓練を繰り返し、原文の英語の意味と音との親和性を高める努力を惜しまないこと!

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