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ドイツ語学講義1

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令和2年度以降入学者 ドイツ語学講義1
令和元年度以前入学者 ドイツ語学講義1
教員名 宮澤義臣
単位数    2 学年    2 開講区分 文理学部
(他学部生相互履修可)
科目群 ドイツ文学科
学期 前期 履修区分 選択必修
授業形態 対面授業
Canvas LMSコースID・コース名称 F010060M5 2024ドイツ語学講義1(宮澤義臣・前・火4)
授業概要 ドイツ語を科学します。ことばの不思議,面白さを体験しましょう。
言語学の様々な観点からドイツ語に焦点を定めて研究されてきていることをご紹介します。履修者は事前学習で毎回のテーマに関連する知識を入れてきた上で講義を聞くことでドイツ語の構造分析や分析の方法論などの「言語学的知識」を深めていくことになります。
前学期のこの講義では主にドイツ語の歴史,音声に関する研究,ドイツ語を研究してきた歴史,語尾変化などの変化に関する研究を取り上げます。
授業のねらい・到達目標 1年時に学んだドイツ語の知識がさらに確実に身につくよう言語学の力を借りて学ぶことで,ドイツ語に対する知見が広まります。
ドイツ語を学んできたときに浮かんだ素朴な疑問を,言語学の知識を借りて批判的に検証・考察し,解決する糸口を見つけることができます。
一般的な言語学の専門用語が分かるようになります。
既存の知識にとらわれることなく,物事を論理的・批判的に理解し説明することができる。(A-3-2)
この科目は文理学部(学士(文学))のディプロマポリシーDP3及びカリキュラムポリシーCP3に対応しています。
授業の形式 講義
授業の方法 授業形式:【講義】
(1)プレゼンテーションの方法:対面授業
(2)授業形態:
   1)LMS 経由で配信される授業プリントをダウンロードする。
   2)板書および動画等を用いた講義を受講する。
   3)授業動画内にあるクイズや課題を様々な情報を検索して解答する。
授業後半の課題の結果は成績に反映されます。
本授業の事前・事後学習は,合わせて4時間の学習を目安とします。
課題のフィードバック方法については、「成績評価の方法及び基準」を参照してください。
履修条件 学科の履修規定による。
授業計画
1 ガイダンス 言語研究はいつ,だれが,どうやって始めたの? 言語学の歴史:言語研究のジャンルとその歴史
多くの方々が「面倒だ」と思う文法を研究したのは一体どこの誰なのか?そして何のために文法なんて研究をしようとおもったのか?言語学誕生の歴史を垣間見てみましょう。(A-3-2)
【事前学習】Grammatik(文法)という言葉はヨーロッパでは16世紀まで,具体的にはどの言語の文法を指していたのか,例えば英語の grammar school の grammar を手がかりに調査して下さい。調査した文献名を挙げられるようにリストアップすることも忘れずに。 (3時間)
【事後学習】本日の講義内容とあなたが事前学習で調べた内容を比較検証して,内容を修正充実させた解答を作成してください。(習得した知識の定着をはかるためです)なお,事前学習で自分が発見したわからないこと,また事後学習として新たなる疑問を見つけたことを,次回提出時に記載すれば学習成果として高評価します。 (1時間)
【授業形態】対面授業
2 Deutschって一体何? 歴史言語学:ゲルマン語の分類と文字について
ドイツ語を意味する Deutsch ってそもそもどんな意味なのでしょう?今回の講義はそこから始まります。このことばの語源を探りながら,歴史的背景,当時の状況を基にDeutschとはなにかを考察します。(A-3-2)
【事前学習】1.自分の調べられる範囲で「ドイツ語」を各国語で何というか調べてみましょう。2.ドイツ語で使用される文字にはどんな文字があるのか調べてみましょう。 (3時間)
【事後学習】本日講義内容をふまえ,各国語で「ドイツ語」を表現する内容にはどんな傾向があるのか分類し,さらにドイツ語で用いられてきた(ている)文字はなぜその文字が使われてるようになったのかノートにまとめ直してください。なお,事前学習で自分が発見したわからないこと,また事後学習として新なる疑問を見つけたことを,次回提出時に記載すれば学習成果として高評価します。 (1時間)
【授業形態】対面授業
3 「エイン」と昔はそう読んだ ドイツ語史:ドイツ語の時代区分
ドイツ語は昔から今の姿だったわけではありません。ドイツ語の歴史をざっと知りましょう。
具体的な例を比較しながら,時代によって何が変化しているのかを考察します。(A-3-2)
【事前学習】ドイツ語を通時的・共時的に区分するにはどんな分類方法があるのか文献から調べてみましょう。 (2時間)
【事後学習】ドイツ語が歴史的に変遷していく中で顕著に変化している事項は何か,今回の講義を参考に具体例を添えて箇条書きにしてみましょう。なお,事前学習で自分が発見したわからないこと,また事後学習として新たなる疑問を見つけ,次回提出時に記載すれば学習成果として高評価します。 (2時間)
【授業形態】対面授業
4 Vaterとfatherはなぜ似ているのか? 音韻論(1):子音推移について
ドイツ語学には欠かせない音の変化,ゲルマン語子音推移,第二次子音推移の知識を身につけます。
文字表記を参考に言語音が推移した事実をふまえて,言語グループの分類にどんな影響を与えているか考察します。(A-3-2)
【事前学習】ドイツ語と英語で(またはご存じの他言語で)似ている単語を対比させて列挙してください。 (1.5時間)
【事後学習】本日の講義内容から印欧語族,ゲルマン語派,それ以降の分類について一目でわかるような系統樹をつくってください。なお,事前学習で自分が発見したわからないこと,また事後学習として新たなる疑問を見つけ,次回提出時に記載すれば学習成果として高評価します。 (2.5時間)
【授業形態】対面授業
5 rは舌で出すの?それともアソコを震わせるの? 音韻論(2):音声学と音韻論,音素と文字の関係 
発音を科学的に分析します。音声学と音韻論の違い,双方から見たドイツ語の「音」についての考え方の違いを具体例を基に考察します。(A-3-2)
【事前学習】ドイツ語を発音する際に,口のどこを使って発音しているのか自分で発音しながら考えてください。 例えば (1) 次の単語の音の違いはどこをどう使っていることが違いますか:schonとschön, dichとdoch (2) wird, Reich の発音では何通りの違った場所からの調音が容認されるでしょうか。 (3時間)
【事後学習】ドイツ語に関して言語音を出す場所(調音点)と出し方(調音の仕方)についてIPA表を参考にまとめてください。なお,事前学習で自分が発見したわからないこと,また事後学習として新たなる疑問を見つけ,次回提出時に記載すれば学習成果として高評価します。 (1時間)
【授業形態】対面授業
6 誰がドイツ文法をつくったのか? ドイツ語の文法史(1):16世紀〜18世紀のドイツ語研究
すでに人々はなんの苦労もなくドイツ語で生活していたのに,文法がなぜ必要になったのかその歴史的背景と実際に書かれた初期の文法はどんな内容だったのか,実際の文献を目にしてその特徴をまとめます。(A-3-2)
【事前学習】ご自分で経験してきたことから,ドイツ語の文法は英語や日本語の文法とはどんなところが異なっていて,学習するのに何を重要視しなければならないか箇条書きにしてみましょう。勿論その内容を証明すべく例を1つ1つつけてくださいね。 (2時間)
【事後学習】講義の内容をふまえて,学校教育で自国語を学ばせる目的は何か,また学校で学んだことで実社会でどう役に立つのかを箇条書きにしてください。なお,事前学習で自分が発見したわからないこと,また事後学習として新たなる疑問を見つけ,次回提出時に記載すれば学習成果として高評価します。 (2時間)
【授業形態】対面授業
7 強・弱・混合はグリムのアイデア! ドイツ語の文法史(2) :19世紀のドイツ語研究
ドイツ語の変化につけられた名称,Jakob Grimmの考えた強変化・弱変化・混合変化とは一体どういう概念なのかを実例を考えながら理解します。(A-3-2)
【事前学習】グリム童話を編纂したグリム兄弟の業績(著作物)にはどんなものがあるのかできるだけ詳しく調べて下さい。勿論著作名はオリジナルのドイツ語を書いてください。 (3時間)
【事後学習】本日の講義をふまえて弱変化,強変化,混合変化という概念に当てはまる具体的な単語を動詞,形容詞,名詞から例をあげてください。なお,事前学習で自分が発見したわからないこと,また事後学習として新たなる疑問を見つけ,次回提出時に記載すれば学習成果として高評価します。 (1時間)
【授業形態】対面授業
8 グリムの後継者たち大活躍 ドイツ語の文法史(3):グリム以降のドイツ語研究
グリムが確立した比較言語学の文法を発展させた青年文法学派,Hemann Paul, Otto Behaghel, Konrad Duden, Daniel Sandersらの業績について知識を広めます。(A-3-2)
【事前学習】青年文法学派(Junggrammatiker)に属する学者にはどんな人(少なくとも3人以上)がいて,主著はなんであるか調べておこう。 (2時間)
【事後学習】本日の講義を受けて,Hermann Paulのようなドイツ語学者とKonrad Dudenのようなドイツ語教師では,ドイツ語に対して違った考え方があるがそれは何かを発見してみよう。 (2時間)
【授業形態】対面授業
9 エストテンテンとは?なぜ1格・2格・3格・4格なのか? ドイツ語の文法史(4):日本のドイツ語受容と教育
明治初年度のドイツ語学習の方法からはじまり,「三太郎文法」の成立,その後のドイツ語学習方法の変遷を実際の教科書を見ながら,日本のドイツ語学習の歴史を俯瞰します。当時の教科書と皆さんが昨年ドイツ語習得に使用した教科書を比べてどんなことが言えるか話し合います。(A-3-2)
【事前学習】自分が一年生のときに使ったドイツ文法の教科書にはどんな特徴があるでしょう。①理解しやすいところ,②難しくて何をいっているかわからない部分,③もっと詳しく説明して欲しい箇所などを箇条書きにして整理しておいてください。 (2時間)
【事後学習】本日の講義をふまえて①なぜ明治以降ドイツ語が学習されねばならなかったのか。②ドイツ語を学習するための教材はドイツ本国のどんな教材に影響を受けていたのかを,講義で紹介された具体的例示からまとめてください。なお,事前学習で自分が発見したわからないこと,また事後学習として新たなる疑問を見つけ,次回提出時に記載すれば学習成果として高評価します。 (2時間)
【授業形態】対面授業
10 辞書を編む(ドイツ語編) 辞書学:ドイツ語辞典の記述方法の変遷と工夫
Hermann Paul : Deutsches Wörterbuch と Langenscheidt : Großwörterbuch Deutsch als Fremdsprache を比較したり,片山正雄,権田保之助,登張信一郎,木村・相良の独和辞典または岩波独和辞典と現在出版されている独和辞典を比較して語学事典の目的,使いやすさの工夫の違いを考察します。(A-3-2)
【事前学習】ご自分の独和辞典にはどんな記号があるか,語義の順番はどのような基準で配置されているのかを考えてください。 (1時間)
【事後学習】本日の講義を参考にして①語学辞書を編纂する目的にはどんな種類があるのか②私たちが普段利用している独和辞典にはどんな工夫があるのか(他言語の辞書や独独辞典と比較して)を具体例を挙げながらまとめてください。なお,事前学習で自分が発見したわからないこと,また事後学習として新たなる疑問を見つけ,次回提出時に記載すれば学習成果として高評価します。 (3時間)
【授業形態】対面授業
11 性・数・格は名詞三銃士 形態論(1):名詞(形容詞・冠詞等)のシステムについて
ドイツ語には性・数・格で語尾変化が決まるシステムがあります。これは一体何のためにあるのか具体的に色々な言語の例と比較して考えてみます。(A-3-2)
【事前学習】性・数・格があることのメリット・デメリットを次の例から考えてきてください。 Hier sind ein Stift, eine Uhr und ein Buch. Alle drei sind schön. Gestern habe ich ihn gekauft, seit vorgestern lese ich es und sie ist ein Geschenk von meinem Freund. (2時間)
【事後学習】本日の講義から①ドイツ語の格変化は具体的にどの品詞が視覚的に明示しているのでしょうか,②他の印欧語族で性・数・格の存在はどのようになっているのでしょうか,を見やすいように表でまとめてみましょう。なお,事前学習で自分が発見したわからないこと,また事後学習として新たなる疑問を見つけ,次回提出時に記載すれば学習成果として高評価します。 (2時間)
【授業形態】対面授業
12 エストテンテンの限界 形態論(2):動詞の屈折変化語尾と動詞の複合形態について
屈折変化と複合形態による動詞表現がなぜあるのか歴史言語学的な観点から掘り下げていきます。(A-3-2)
【事前学習】語尾変化でつくられる動詞の形には何があるか具体例を挙げて調べておきましょう。 (1.5時間)
【事後学習】本日の講義から,ドイツ語の複合形態による動詞表現の多様さを再考してみます。高校時代に習った英語の参考書の例文(教室で提示される3問)をドイツ語に直すことでその実例をつくり出してください。なお,事前学修で自分が発見したわからないこと,また事後学修として新たなる疑問を見つけ,次回提出時に記載すれば学修成果として高評価します。 (2.5時間)
【授業形態】対面授業
13 本当の?時制システムと複合形態による動詞表現 形態論(3):動詞の複合形態について
屈折変化が表す動詞表現と複合形態によって得られる時制を中心にした表現の違いは何か考えていきます。(A-3-2)
【事前学習】複数の要素でつくられる動詞の形には何があるか具体例を挙げて調べておきましょう。 (2時間)
【事後学習】本日の講義から,ドイツ語の複合形態による動詞表現の多様さを再考してみます。高校時代に習った英語の参考書の例文(教室で提示される3問)をドイツ語に直すことでその実例をつくり出してください。なお,事前学習で自分が発見したわからないこと,また事後学習として新たなる疑問を見つけ,次回提出時に記載すれば学習成果として高評価します。 (2時間)
【授業形態】対面授業
14 授業内試験と講評
授業内試験の実施と試験内容についての講評をします。どのような目的の設問であったか,言語学の世界ではどんな答えが正確でふさわしいのかについて理解していただきます。(A-3-2)
【事前学習】授業内試験の範囲を再確認して適切な予習ノートを作っておきましょう。(ノート,辞書は持ち込めます。)授業内試験の準備をしましょう。予め提示されている内容の模擬問題の解答をつくっておきましょう。 (3時間)
【事後学習】本日の試験を解き直して,自分の解答で足らなかった部分を補完しましょう。 (1時間)
【授業形態】対面授業
15 この講義のまとめ
今まで学んできたことを再確認して,学修を振り返る自己点検記録を作ります。
学生めいめいの授業内試験の結果をふまえて,理解が不足している部分はピアサポート等を利用して互いに学び合います。(A-3-2)
【事前学習】今まで学習した内容をキーワードを使ってB41枚の紙に網羅してください。 (3時間)
【事後学習】返却された授業内試験の結果をもとに補習に該当した方は補習課題を,それ以外の方は配布される発展課題に取り組んでください。 (1時間)
【授業形態】対面授業
その他
教科書 LMSを通してプリント(pdfファイル)を配布します。
参考書 塩谷饒 『ドイツ語の諸相』 大学書林 1988年 第1版
ヨアヒム・シルト(橘好碩訳) 『図説 ドイツ語の歴史』 大修館書店 1999年 第1版
下宮忠雄 『ドイツ語とその周辺』 近代文芸社 2003年 第1版
宮澤義臣 『言語史(ゲルマン語篇)』 ココデ出版 2011年 第1版
千石喬,藤本淳雄 『現代ドイツ語文法の基礎』 三修社 1991年 第6版
講義対象学年が2年生であることを考えて,参考書は入門的なもの,専門の門を叩く前に読んでおくべきものを選んであります。
最初の3冊はドイツ語学のそれぞれの分野について読みやすく書かれている信頼のできる書籍です。
拙著はこの講義のベースとして使用している部分があるので掲載しました。(現在廃刊ですので購入はできません。国立国会図書館で閲覧は可能です。)
「現代ドイツ語文法の基礎」はドイツ語文法の教科書として書かれた簡潔なものですが,説明を丹念に読むと随所に示唆的な内容が読み取れます。
成績評価の方法及び基準 授業内テスト:授業内テストは第14回講義にて実施します。手書きのノート,プリント,独和辞典が参照できます。(50%)、授業参画度:授業参画度は毎回の事前学習・課題・事後学習の成果により評価します。(毎回の事前学習・課題・事後学習は提出の後点数をつけて添削した形でフィードバックします。)(50%)
授業内テスト,授業参画度を通してA-3-2の達成度を評価します。

期日までに課題を出さない,事前学習・事後学習をやらないと授業参画度の評価がなくなりますので,大変不利になります。御注意を。

今学期にドイツ語学に関する書籍と認められるもの(または参考書にあげられている書籍)を読書した方は所定の「読書記録」を提出してくだされば+α点をつけます。(何冊読んでも+αは1回だけです。)
オフィスアワー ①事前にアポイントメントを取って頂ければ,火曜日11:30〜12:30に対面にて対応いたします。
それ以外に,
②電子メールでも受け付けます。(miyazawa★lit.tamagawa.ac.jp ★をアットマークに変換して送信して下さい。)

わからないこと,質問は躊躇せずにメールをください。(メールで質問することに抵抗をもたないで気軽にご質問ください。)
メールでの質問の際は,件名に ①科目名,②学部学科③学年組番号④氏名 を必ず記入してください。件名に何も記載のないメール,誰が送信したのかわからないメールにはお答えしかねますので,ご注意ください。

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